日本シルク学会誌
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4 巻
選択された号の論文の38件中1~38を表示しています
論文
  • 河原 豊
    1995 年 4 巻 p. 1-3
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     タンニン化色素として2,5-ジヒドロキシ安息香酸および3,4-ジヒドロキシ安息香酸を用い、これらをポリフェノールオキシダーゼによりキノン化して生糸と反応させた。その結果、処理糸に若干のセリシン定着を生じ、カーボンアーク灯光に対する変退色において比較的安定であることがわかった。
  • 上石 洋一, 小松 秀和, 太田 正徳, 岩崎 健洋, 笠原 力, 清水 浩二, 玉村 日出隆, 中里 晃
    1995 年 4 巻 p. 4-11
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     メルカプト基を含むシランカップリング剤で処理した絹に, 側鎖にジメチルアミノ基を持つメタクリル酸エステル (メタクリル酸ジメチルアミノエチル) をグラフト重合し, さらに, ヨウ化メチルで側鎖の4級塩化を行った。グラフト後の付加率は約5%であり, 一般細菌に対する抗菌効果がみられた。モノマーで4級塩化を行った系では付加率も小さく, 顕著な抗菌性はみられなかった。EDX (エネルギー分散X線分析) を用いてヨウ素の分析を行うと, 前者には明瞭なピークが観察されたが, 後者では明瞭ではなかった。加工後機械的な性質には, ほとんど変化がみられなかった。染色性はモノマーがカチオン性のために濃色となった。
  • 栗岡 聡, 中村 直子, 山崎 昌良, 平野 久
    1995 年 4 巻 p. 12-17
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     家蚕繭層には微量成分として、低分子量タンパク質が含まれることが知られている。これらのタンパク質量を紫外吸収法により測定したところ、含有量は繭層重に対して約0.7%であった。
     次に、低分子量タンパク質の分布についてセリシン蚕、精練糸から抽出した成分をSDS-ポリアクリルアミド電気泳動法によって比較した結果、セリシン蚕の抽出成分と低分子量タンパク質の泳動像は非常によく似ていた。また、抽出処理前後の繭層表面を走査電子顕微鏡で観察したところ、内層セリシンに変化が認められた。これらの結果から、繭層低分子量タンパク質はセリシン層に由来している可能性が示唆された。
  • 香川 敏昭, 重松 正矩, 三木 六男, 篠塚 秀利
    1995 年 4 巻 p. 18-25
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     多くの利点を有するマイクロ波加熱乾燥法を家蚕繭の乾燥に利用するため、3種類の供試繭を用いて繰糸成績および生糸検査成績について、熱風乾燥区との比較検討を行った。
     その結果、マイクロ波の波長、出力、照射時間および乾燥むらを少なくするための補助装置の最適の組み合せをさらに改善すれば、短時間に生繭乾燥を行うための有効な乾燥方法となり得るものと思われる。
  • 青木 昭, 蓜島 富士江, 勝野 盛夫
    1995 年 4 巻 p. 26-32
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     ネットロウシルクの性能と用途の拡大を目的として、キュプラのスパン糸およびフィラメント糸を芯糸として挿入した2種類の複合ネットロウシルクを作製して、先練複合シャツ地および後練複合ストール地を試作した。
     先練複合シャツ地は、経糸にキュプラフィラメント糸、緯糸に複合ネットロウシルク (芯 : キュプラスパン糸) を織り込み、光沢のある嵩高な平織物に織り上った。後練複合ストール地は、追撚した複合ネットロウシルク (芯 : キュプラフィラメント糸) を経・緯糸に使いシャリ感を与え、糸間隔を広くして製織性を高め、通気性をもたせることができた。前者は構造的に経方向の収縮率が大きくなったが、両者ともアイロンにより良好に仕上がり、光沢、風合いともに絹味を十分に発揮できる実用的生地ができた。
  • 清水 重人, 勝野 盛夫, 石黒 善夫
    1995 年 4 巻 p. 33-38
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     スーパーハイブリッドシルク (SHS) の実用化拡大を図るため、ナイロン66、ポリエステル、ベンベルグの各化合繊を芯糸としたSHSを繰製し、各SHSの物理的特性および揚げ返し処理による生産費低減の可能性について検討した。その結果、ナイロン66およびベンベルグの各SHSでは揚げ返し処理によるコスト低減の可能性を得た。また、繭糸の混合比率が増大すると各物理的特性値も向上することから、繭糸とのハイブリッド効果による新しいSHS素材として開発の可能性を得た。
  • 但馬 文昭, 石黒 善夫, 清水 重人
    1995 年 4 巻 p. 39-43
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     節検査成績改善のための煮繭工程制御の可能性を検討するために, これまでに開発した2方向計測による節の計測・識別システムを揚返し工程に導入し, 節成績の計測・識別実験を行った. セリプレーンによる節検査結果と比較検討した結果, 小節点の成績は両者とも一致した. 大中節成績については小ずる節の一致を確認した.
  • 高林 千幸, 中島 健一, 宮島 たか子, 宮崎 栄子, 赤羽 恒子, 彦部 孝吉
    1995 年 4 巻 p. 44-51
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
      In the reeling process of crimp hybrid silk by combining crimp nylon treated by knit-deknit method with the cocoon filaments using air jet, better combining conditions were studied. In addition, the properties of fabrics made of crimp hybrid silk were studied.
      It has been observed that the air pressure of air jet nozzle, the diameter of the threading tube of air jet nozzle and the croissure length during reeling has significant influence on the combining state of cocoon filaments with crimp nylon in the production of crimp hybrid silk. It has also observed that croissure length has no influence on the combining state of false twisted nylon with cocoon filaments in the production of hybrid silk. From the results, better combining conditions were defined for the production of crimp hybrid silk.
      By using the crimp hybrid silk, the fabrics were woven. As a result, it was confirmed that the fabric was thin, light, transparent and bulky, and it had the characteristics of the fine wrinkles like georgette crepe.
  • 坂口 明男, 鳥海 浩一郎, 松本 陽一, 古川 貴雄, 清水 義雄
    1995 年 4 巻 p. 52-58
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     布の接触状態を適切に数量化する方法として個体の大きさを考慮した配置状態評価モデルを検討した。このモデルで算出する集中度の性質を乱数模擬実験により調査し、実測データとの対比を行った。その結果、この方法は画像中の接触集団の形状を検出するのに適しており、手触りがざらざらする布に存在する帯状の接触部集団を数量的に表現できた。
  • 三村 温子, 中島 健一, 佐藤 幸夫
    1995 年 4 巻 p. 59-64
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     解じょ率の変化が屑物量、減耗量等の要因を通じて生糸量歩合変化に関わる量的関係を解析し、この結果を基に、養蚕農家の優良繭生産の技術指導にするための「繭質改善 (解じょ率向上) と生糸量歩合向上表」を作成した。
  • 三村 温子, 佐藤 幸夫
    1995 年 4 巻 p. 65-69
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     現在の天蚕を製糸原料としてみた場合、新繭、落繭の索抄緒が困難で機械化が図れない、繭糸長が短く解じょ率が悪いため高速繰糸ができない、繭層の約半分が屑物となり生糸収率が悪い等の理由により家蚕繭と比較して著しく生産性の劣る状況にある。このため糸価はコスト高となり、需要拡大の大きな障害となっている。今後需要を増進するためには、コストの低減が最も重要な課題であるが、このためには天蚕繭の性状を正確に把握し、製糸原料としての問題点を整理し、これを基に向上対策を検討することが必要である。天蚕繭の繰糸中の繭の動きを観察すると、家蚕繭とは異なる特徴的な動きが観察される。この動きの分析より家蚕繭と大きく相違する天蚕繭の営繭方法及び繭層構造が判明し、これと製糸原料上の問題点は密接な関係にあることが思考されたことから、その結果について報告する。
第43回製糸絹研究発表要旨
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