コンセプトマップはNovakとGowinによって学習者のための“Learning How to Learn”のツールとして提案された。しかし,学校現場ではWhiteらの“Probing Understanding”に見られるような学習者の学びのツールというより,むしろ,学習者の理解を評価するためのツールとしての利用が多く見られるようになった。そこで本研究は,コンセプトマップを本来の目的である“Learning How to Learn”のツールとして再提案し,コンセプトマップの共有とラベル圧縮によってこれを実現させることを目的とする。コンセプトマップは作成者の理解を示すものであり,学習者の認知構造の写像として捉えることができる。コンセプトマップの問題点として多次元的で広範な構造をもつ認知構造を二次元平面上に表現することによる,構造の複雑化が挙げられる。この問題点を解決するものとして,ウエストらによって提案されたノード圧縮の考え方を.コンセプトマップに適用し,独自の方法で授業実践を行った。その結果,以下の3点が明らかになった。1.ノード圧縮は概念のチャンク化であり,サブマップを作成することによって上位概念の内部構造を理解させることに役立つ。2.ノード圧縮は概念のチャンク化であり,概念ラベル数を減少させるのでコンセプトマップを簡略化し,自己モニタリングを効果的に機能させることに役立つ。3.ノード圧縮によるコンセプトマップの簡略化はメタ認知・メタ学習を促進させる。
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