“The Four Question Strategy(4QS)”は, 4つの質問により仮説を設定させる指導方法である。本研究では, 長谷川らの観察・実験等の類型に基づいて, 小・中学校の理科教科書(X社)に掲載されている全ての観察・実験等について, 因果関係の有無の観点から検討を行い, 4QSの適用が可能かどうかを明確にするとともに, 適用の仕方を具体的に示すことを目的とした。
その結果, 長谷川らの観察・実験等の類型は, 4QSへの適用という観点から見ると, いずれの校種においても3つのカテゴリーに集約することができた。そして, 4QSの適用は, 第5学年以降における条件の制御を伴う実験において, 最も効果が期待できることが明確になった。また, 因果関係を有する事象であっても, 条件の制御を伴わない実験や, 因果関係を想定していない事物の観察においては, 4QSの適用は適切でないことも明確になった。
本研究で得られた知見は, 問題解決の能力や科学的な探究の能力を育成する理科授業を構想する際の基礎資料となることが期待される。
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