本研究では, 教師と子どもをともに評価者として捉える「統合的評価」を実践するために, Crispの提案を援用し, 理科授業を計画・実践した。Crispの提案する統合的評価を実践するための枠組みは, (1)自分の学習や表現の判断, (2)評価規準の明確化, (3)方法と履歴の分析, (4)フィードバックの取り入れ, (5)意味のある課題に従事, (6)メタ認知活動, の六つである。実践した授業は, 小学校第4学年「空気と水の性質」の空気の性質についてである。この枠組みを援用した授業を分析した結果, 教師は診断的評価と形成的評価, 総括的評価を行うことで, 子どもの学習を支援していた。また, 子どもは, 自己評価1)と相互評価2)を行うことで, 問題の解決を図っていた。教師と子どもがともに評価活動を行うことによって, 子どもは空気の性質に関する知識を構築していた。Crispの提案する統合的評価の六つの枠組みを機能させることは有効であり, 日本の理科教育にも援用可能であることが明らかになった。
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