理科教育学研究
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63 巻, 3 号
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巻頭言
特集「理科授業と教材・教具」
原著論文
  • 飯田 和也, 雲財 寛, 久保田 善彦
    2023 年63 巻3 号 p. 457-471
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,以下の2点である。1点目は,従来よりも作成が簡単で,地層に対する空間的な理解をより支援できるようなVR教材の作成手法を開発することである。2点目は,作成したVR教材の効果を検証することである。1点目の目的を達成するために,本研究では3DモデルとGoogle Earthを組み合わせたVR教材の作成手法を開発した。2点目の目的を達成するために,中学2年生171名を対象に授業実践を行い,その効果を,ユーザビリティと理解度の観点から検証した。その結果,さまざまな方向から地層を観察することのできる3Dモデルは,地層の傾きに対する空間的な理解を支援できることが示唆された。

  • ―第4学年理科「月と星」を対象にして―
    関谷 忠宏, 山田 貴之, 濤﨑 智佳
    2023 年63 巻3 号 p. 473-483
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,「地球」についての基本的な概念形成の初期段階に当たる第4学年「月と星」において,児童が3次元的に,かつ能動的に月や星を疑似観察することができる教材を開発することであった。そのために,まず,実天の様子を直接3次元的に視聴でき,季節や時刻,天候に関係なく,インターネットを介して誰でも実天の観察学習を可能にする,全天球カメラシステムによって撮影された画像を用いた教材を開発した。次に,第4学年児童を対象に,開発した教材を用いて月と星の動きを調べる授業を行った。その結果,事後調査における主観評価において,肯定的に回答した児童の人数は否定的に回答したそれよりも有意に多いことが明らかとなった。以上のことから,本教材は第4学年児童の天文学習における従来の映像教材と比べて,空間的な広がりを本物に近い感覚で実感しやすいことが明らかとなった。

  • 山野井 貴浩, 横内 健太
    2023 年63 巻3 号 p. 485-495
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    カブトムシは人気のある昆虫であるが,児童,教員志望学生,小学校教員の多くはその体のつくりを正しく理解できていないことが報告されている。そこで,本研究は昆虫の体節構造の進化を扱うことで,カブトムシの体のつくりを理解させる授業を開発した。また,本授業の副次的な効果として,節足動物の体のつくりや進化についての理解も深められることを期待した。中学生対象の授業実践の結果,授業後にはカブトムシの体のつくりに関して適切なイラストを選択する生徒の割合が有意に増加した。また,節足動物の体のつくりの特徴に関して,授業を通して「1つの節から1対のあしが生えていること」や「(進化の過程で)体節が融合したものがいること」の理解が深まったことが示唆された。一方で,授業後には「頭・胸・腹に分かれた体」や「胸からあし」などの昆虫の特徴を,節足動物の特徴として記述する生徒が増加した。地球上の既知種の約半分を占める節足動物を題材とした進化や分類に関する教材の開発が今後も期待される。

資料論文
  • ―天球儀の使用法の習得を意図した教師教育実践と授業時の留意事項―
    吉田 安規良
    2023 年63 巻3 号 p. 497-512
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    天球儀は中学校で天体のみかけの動き(日周運動や年周運動)と地球の自転・公転との関係を学習する際に用いられる教具である。しかし直感的に操作できないものであり,操作方法を十分に習得せずに使用することが困難な教具でもある。そこで,教員免許状更新講習や理科の指導法科目の中で天球儀を操作する教師教育の機会を設定し,天球儀を利用した授業―特に天球儀の内側・外側の両方から見える様子を容易に確認できるようにウェアラブルカメラ(アクションカム)を天球儀内部に取り付けた市販の透視天球儀を授業で有効利用する際―に関する留意事項を整理した。受講者には天球や天球儀の認識が不十分な者や,高度な専門性や十分な知識技能や能力を有していない者が含まれており,誰一人として受講前には天球儀を適切に操作できなかった。しかし180分もあれば,全員が天球儀を適切に操作できるようになった。天球儀を用いる際には,星座の位置関係(描かれ方)に注意し,問題演習時には星座ではなく恒星を指し示して問うことが留意事項である。改造した透視天球儀を利用する際には,カメラがとらえた画像の視認性を向上させることと,組み立てに時間がかかることに留意する必要がある。受講者は天球儀を授業で用いるメリットとして, 目の前で模型を見て立体的に観察したり自らの手で操作したりすることで学習内容の理解を促し,心的視点移動させた際の情景の想起を容易にすることを挙げつつも,天球儀を必要数揃えること,時間の確保や指導の難しさに起因する「実際の授業で使用することへの困難さ」を指摘した。また,操作方法や学習内容の理解を促すための指導法に,生徒の実態に応じた工夫や配慮が必要だと認識した。「授業者として自分の目の前の生徒にどうするか」という実際の授業を想定する能力の育成が,教師教育には必要不可欠であり,特に教員養成段階で留意しなければならない。

一般
原著論文
  • 米国・オーストラリア・フィリピン・フィンランドの幼児教育を手がかりとして
    大貫 麻美, 鈴木 誠
    2023 年63 巻3 号 p. 513-526
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    自然科学に関する幼児期からの継続的なコンピテンス基盤型教育の重要性は近年,国際的に周知されている。一方で,日本では,生命科学を科目として扱う幼児教育はなされていない。本論文では,日本の幼児教育において実施可能な生命科学に関するコンピテンス基盤型教育の検討のために,幼児期に育成が期待される生命科学に関する資質・能力の整理を試みた。まず,幼児期の生命科学教育が設定されている米国,オーストラリア,フィリピンの幼児教育スタンダードを調査し,先行研究に依拠しながら整理した。また,日本と同様に生命科学に関する科目設置のないフィンランドのコンピテンス基盤型幼児教育についても調査,分析を行った。これらの知見を基に,幼児期に育成が期待される生命科学に関する資質・能力について,日本の幼稚園教育要領を参照しながら考察を行った結果,日本の幼児教育で扱われる5領域全体を横断する形での学びが期待されることが分かった。

  • 金井 大季, 小倉 康
    2023 年63 巻3 号 p. 527-536
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,理科における「学びに向かう力・人間性等」を科学的リテラシーに関わる意識に主体性・協調性を加えた7項目の意識で捉え,それらが全体的に高まるように,児童自身に行動目標を自己決定させた上で問題解決の過程に取り組ませると共に,学習内容と日常生活との関連を活用として扱う指導法を設計し,その有効性を実践的に検証することを目的とした。手立てⅠとして,学習者にその授業で達成する目標を自己決定させることで主体性,協調性を喚起し自己効力感を高める指導,手立てⅡとして,学習内容の日常生活への有用性,重要性,職業との関連性を意識させ興味・関心を高める指導を設計した。小学校第6学年「てこ」の単元で指導法を検証した結果,開発した指導法を用いた実験群が,従来の指導法による統制群に比較して,7項目中6項目で学びに向かう力・人間性等の意識が有意に高く,学習理解度についても有意差が確認された。このことから,本指導法は理科における「学びに向かう力・人間性等」を育むために有効であることが示唆された。

  • ―潜在クラスモデルを用いた行動傾向の類型化に基づいた分析―
    亀山 晃和, 原田 勇希, 齋藤 惠介
    2023 年63 巻3 号 p. 537-550
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は「対話的な学び」で望ましいとは言えない行動(e.g.,我執,フリーライド)に着目し,理科の観察・実験場面においてこれらの行動が生起するのかを検討した。また,対話や我執,フリーライドなどの行動と理科教師に対する心理的安全性および実験グループのメンバーに対する心理的安全性との関連を検討した。その結果,我執やフリーライドといった「対話的な学び」で望ましいとは言えない行動が観察・実験場面で生起していることが明らかとなった。また,実験グループのメンバーに対する心理的安全性のみ「対話的な学び」で望ましい対話群に対して有意な正のパスが認められた。さらに,「対話的な学び」で望ましいとは言えない我執群に対して実験グループに対する心理的安全性からの有意な正のパス,理科教師に対する心理的安全性からの有意な負のパスが認められた。これらのことから,「対話的な学び」における生徒の行動や「対話的な学び」に対する心理的安全性の正や負の効果を明らかにすることができた。

  • ―思考ツール「情報分析Qチャート」を用いた小学校第5学年「電流のはたらき」の実践―
    岸 亮, 藤本 義博, 榊原 範久, 水落 芳明
    2023 年63 巻3 号 p. 551-562
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,川崎・吉田(2021)の知見を基に生成した問いを,学習者はどのように話し合い,科学的探究が可能な問いか否かを判断していったのか明らかにすることを目的とした。そして,開発した「情報分析Qチャート」を用いて第5学年「電流のはたらき」の単元で事例的に検証した。その結果,科学的探究が可能な問いか否かの判断を,「科学的判断」「無根拠判断」「個人的判断」「未解決判断」の4カテゴリーに分類して分析を行うことにより,原因を追究する「何が型」及び過程を追究するための具体的な方法が包含される「どのように型」は「科学的判断」に分類された。原因を追究する「何が型」及び目で見える現象そのものを追究する「どのように型」は科学的探究が可能な問いとして「無根拠判断」とされた。また,過程を追究する「どのように型」は「未解決判断」となる傾向が明らかとなった。さらに,「無根拠判断」及び「未解決判断」において過程を追究する「どのように型」は,現象の観察や実証性が困難な問いであった場合,学習者は科学的探究が可能な問いではないと判断したり,未解決で話し合いを終えたりする実態があることの示唆を得た。

  • ―中学校理科の第2学年「動物の仲間」において―
    佐伯 英人, 水野 晃秀, 松永 武
    2023 年63 巻3 号 p. 563-571
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,イカの解剖実習とプラスティネーション標本の観察(以下,標本観察と称する)を中学校の理科の授業で実践し,部位・器官に対する生徒の観察の状況,解剖実習と標本観察に対する生徒の意識について調査し,分析した。本研究の目的は,上記の2つの視点をもとに,両者を比較することを通して,標本観察の有効性について議論することであった。研究の結果,明らかになったことは次の2点である。①解剖実習と標本観察において,部位・器官に対する生徒の観察の状況については,えら心臓を除き,明瞭な違いはみられなかった。②解剖実習と標本観察に対する生徒の意識については,明瞭な違いはみられず,ともに概ね良好であった。上記のことは,標本観察を導入して授業を実践する有効性を示唆している。

  • ―大雨をもたらす水蒸気の起源と輸送に着目して―
    瀧本 家康, 川村 教一, 田口 瑞穂, 吉本 直弘
    2023 年63 巻3 号 p. 573-587
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    日本の梅雨季から夏季にかけて大雨をもたらす水蒸気が地球規模の大気の運動によって日本付近へ輸送されていることに着目して,WEB気象マップを活用した探究教材を開発し,実践を行った。本実践では3種類のWEB気象マップを活用し,個々の生徒がマップから読み取れる雲,雨,風の情報を複合的に整理し,水蒸気の起源を探究することを授業の軸とした。中学校3年生を対象として,2021年8月の大雨を事例とした実践を行った結果,水蒸気の起源について,複数の異なる情報源を総合的に考察して71%の生徒が少なくとも太平洋やインド洋の遠方から水蒸気が輸送されていた可能性を見いだして表現することができた。本教材の有用性を検討した結果,77%の生徒は複数の情報を複合的に捉えて考察を行うことができたとともに,それを通して日本の気象と地球規模で生じている大気大循環のつながりを考えるきっかけとなった。さらに,37%の生徒はWEB気象マップの利用を通じて気象への興味関心が喚起され,20%の生徒は今後も活用したいと感じており,本稿が開発したWEB気象マップを利用した探究教材の有用性は一定程度示されたと考えられる。

  • ―旧制中学校博物(鉱物)教科書の分析を中心に―
    中西 裕也, 磯﨑 哲夫, 林 武広
    2023 年63 巻3 号 p. 589-602
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,人間生活と自然環境との関わりについて学習することのうち,資源に関する学習に焦点をあて,どのような目的や内容で扱うことが必要であるか歴史的視座からの検討を試みた。資源の言葉の登場や資源の概念が成立した時期である1886年から1941年の旧制中学校の博物(鉱物)教科書を対象に,記載されている資源の種類や量と教科書執筆者達の意図を分析した。その際,磯﨑(2017)の所論を援用し,当時の社会的状況の変化と合わせ資源に関する学習の意義を考察した。その結果,資源開発に関する法令等の変化や言葉の意味の変化,エネルギー源の変化などの社会的状況の変化を受け,記載されていた資源の種類と数は時期によって変化していたにも関わらず,資源が有する文化的・教養的価値が一貫して重視され続けていたことが確認された。一方,資源が有する実用的・功利的価値や経済的・国家的価値などは,社会的状況の変化に合わせ,重視されていた時期が異なっており,その学習内容を集約すると,資源の地域固有性や希少性,成因,社会や技術との関わりを学習することが導出された。また,資源に関する学習が確立された経緯とその変遷から,資源に関する学習は,学習者の人生に関わる基盤となり人格形成に寄与する点で重要であったことが確認された。人間生活と自然環境が深く関わっていることを考えるうえで,特に資源が有する文化的・教養的価値が重要であることを指摘した。

  • ―中学校における理科と総合的な学習の時間との共同―
    長谷川 隼也, 小倉 康
    2023 年63 巻3 号 p. 603-612
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,中学校における理科と総合的な学習の時間との共同により,理科や科学技術と職業との関係を認識させる指導法を開発した。その方法は,理科の学習内容と様々な職業との関連づけを行い(手立てⅠ),その後,総合的な学習の時間で様々な職種の企業による理科や科学技術を活用した取組について生徒が調べたり発表したりする活動を行う(手立てⅡ)ものである。この方法により,理科や科学技術に関係する職業 1)の認識を深めさせることができるとの仮説を設定した。中学校第1学年で検証授業を行った結果,この仮説が支持された。これにより,本研究は,理科や科学技術に関係する職業の認識を深めさせるための指導法として有効であることが示唆された。

  • ―コンセンサスとアコモデーションを考慮した合意形成場面を通して―
    古石 卓也, 山中 真悟, 木下 博義
    2023 年63 巻3 号 p. 613-627
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,小学校理科授業において,合意形成能力のうち「科学的根拠を基に相互の考えの妥当性を吟味する力」を育成する指導法を考案し,授業実践を通してその効果を検証することを目的とした。この目的を達成するために,まずは,学習場面による合意形成の違いを整理した(仮説設定場面:多様な意見の一時的な共存並列状態である「アコモデーション」,考察場面:意見の一致である「コンセンサス」)。次に,学習場面による合意形成の違いを考慮して,仮説設定場面,考察場面それぞれの指導法を考案した。仮説設定場面では,目指す合意形成であるアコモデーションを考慮して,他者の考えを受容する場面を設定した後,妥当性の吟味を行わせる指導法を考案した。考察場面では,目指す合意形成であるコンセンサスを考慮して,アーギュメント構造に基づいた考察の妥当性を吟味する場面を設定した後,グループで1つの考察を決定させる指導法を考案した。考案した指導法の効果を検証するため,小学校5年生59名を対象に,塩化カリウムを用いた「ものの溶け方」に関する授業を行った。質問紙と評価問題による分析の結果,考案した指導法は「科学的根拠を基に相互の考えの妥当性を吟味する力」の育成に寄与することが示唆された。

  • 俣野 源晃, 山口 悦司, 山本 智一, 神山 真一, 坂本 美紀
    2023 年63 巻3 号 p. 629-644
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,既存の授業デザインをベースとし,「アーギュメントにおける証拠の認識的理解の支援」に着目することで,適切かつ十分な証拠を利用するアーギュメント構成能力の育成を既存の授業デザインよりもさらに支援できるような新たな授業デザインの開発と評価を行うことであった。新たな授業デザインは,次の2点から構成された。(1)我が国の小学生がアーギュメント構成において適切かつ十分な証拠を利用できるようになるために,どのような内容の認識的理解の支援を目指せばよいのかという「学習目標」に関するデザイン,(2)学習目標を達成するために,小学校の理科授業にいかなる学習活動を導入すればよいのかという「学習活動」に関するデザイン。これらの授業デザインを小学校第4学年「金属,水,空気と温度」に適用し,66名の学習者を対象に計17時間の授業を実施した。授業デザインを評価するために,アーギュメント課題と証拠の認識的理解に関する課題を単元前後に実施した。その結果,アーギュメント構成における証拠の適切性と十分性はそれぞれ向上したが,証拠の十分性において十全なレベルに至らなかった学習者が一定数見られた。これらの結果から,本授業デザインは,既存の授業デザインと同程度の有効性に留まることが明らかとなった。その一方で,アーギュメント課題と証拠の認識的理解に関する課題の関連を検討したところ,証拠の認識的理解の「アーギュメントにおける主張と証拠の関係性」はアーギュメント構成における証拠の十分性と有意な正の相関が見られるという結果なども得られた。これらの結果から,証拠の十分性に関する認識的理解をより強力に支援する授業デザインとして改善されることにより,本授業デザインは,適切かつ十分な証拠を利用するアーギュメント構成能力の育成を既存の授業デザインよりもさらに支援できる可能性を有していることが示唆された。

  • ―擬人化の使用に着目して―
    宮城 利佳子
    2023 年63 巻3 号 p. 645-656
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,植物栽培に関する保育者と子どものやり取りを6ヶ月観察し,子どもが他者との関わりの中で,植物に親しみ,植物に関する知識を学習する中で,擬人化がどのように機能しているかを明らかにすることを目的とした。その結果,年長児と保育者の使用する擬人化の機能は4つあり,①植物に対して,感情移入的な親しみや思いやりを持つ事を促す機能,②人間についての知識を類推する事を促す機能,③他の植物の知識を類推する事を促す機能,④植物の状態を説明する機能がある事が明らかになった。このような擬人化を用いたやり取りの中で,子どもは,栽培対象の植物に親しみ,栽培方法を類推する事を学習すると考えられる。また,保育者の信念や経験による影響で,保育者により擬人化の使用する機能が異なる可能性がある。

  • 薮 哲郎
    2023 年63 巻3 号 p. 657-668
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    東京書籍の高校教科書「改訂物理」の探究12はRLC回路に関する探究課題である。教科書には共振周波数のとき「L1消灯,L2,L3点灯」と書いてある。しかし,LCの値を任意にとるのでは,共振周波数のとき「L1消灯,L2,L3点灯」とはならない。L/Cの値を特定の値に設定したときのみ上記の現象が実現できる。この条件を見いだすには,電気回路のベクトル図を描いて考察する必要がある。筆者は複素記号法を用いてRLC回路のベクトル図を描くアプリを開発し,それを用いることにより,条件を見いだすことができた。また,豆電球の代わりに電流計を用いる方法についても検討した。本論文ではこの探究課題を高校生に指導する場合の方法,注意点などについて述べる。

資料論文
  • ―玉川学園高等部における探究活動の取り組みを事例として―
    矢崎 貴紀, 小林 慎一, 後藤 芳文, 森 研堂, 今井 航, 渡辺 康孝, 中村 大輝
    2023 年63 巻3 号 p. 669-675
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    平成14年度より文部科学省が推進しているスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業では,学習者が主体的に探究活動に取り組むことが期待されている。本研究では,SSHにおける主体的な探究活動に影響する要因を明らかにすることを目的とした調査を実施した。中学3年生と高校生の計714名を対象とした質問紙調査を分析した結果,SSHにおける主体的な探究活動に影響する要因として「他者からの受容」「達成経験」「自己効力感」の3点が明らかになった。本研究の結果を踏まえれば,受容的な他者に支えられて達成経験を重ねる中で自己効力感を高めていくことが,SSHにおける生徒の主体的な探究活動の生起につながると考えられる。

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