子どもが自己の科学的説明をよりよいものとしていくためには,子どもが自己の考えの課題点を的確に把握しなければならない。そのために必要な力として,「自分自身や他者の作品(work)のクオリティを判断する能力」である評価判断力(evaluative judgement)の働きが重要であると考えられる。評価判断力は,自己の考えを客観的に捉えることが重要であり,メタ認知との関連性が強く指摘されている(Lodge et al., 2018)。特に,評価活動においてはメタ認知的知識が重要な機能を有する(Issacson & Fujita, 2006)。以上のことから,本研究では,「科学的説明の構築に関わる評価判断力において,子どもはどのようなメタ認知的知識を働かせているか」をリサーチ・クエスチョンとし,小学校理科授業の事例的分析を通して明らかにすることを目的とした。事例的分析の結果,以下の諸点が明らかとなった。第一に,科学的説明の構築における評価判断力を機能させる際に子どもが働かせる条件的知識は多様に出現した。それらを分類すると,「理科の問題解決活動に関する理解」,「理科学習における他者の納得や合意形成の重要性」,「知識や情報の関連性への気付き」,「人の認知特性や情意的傾向への理解」の4つに整理できた。第二に,その際に子どもが働かせる宣言的知識,手続き的知識も多様に出現した。それらを分類すると,「内容的知識」,「問題設定」,「科学的説明の構造」,「理科の見方・考え方」,「表現」の5つに整理することができた。第三に,科学的説明の構築における評価判断力の構成要素,特に「クオリティとスタンダード」と「評価規準」におけるメタ認知的知識の関係性が示唆された。
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