理科教育学研究
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特集「理科教育におけるアクション・リサーチ」
巻頭言
原著論文
  • ―小学校理科「植物の成長と水の関わり」の単元を事例に―
    齊藤 徳明, 和田 一郎
    2024 年 64 巻 3 号 p. 189-202
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    近年,学習を俯瞰して次なる学習の方向性を自ら決めようとする「自己調整学習」がこれからの時代を担う子どもにより一層求められている。本研究では,理論と実践の往還の鍵となる研究手法として教室のアクション・リサーチに着目し,評価判断(Tai et al., 2018)の観点から理科における「自己調整学習」を実現する授業づくりを目指した。そこで,①評価判断を働かせる5つの視点(Fitzgerald et al., 2021)に着目し,子どもが評価判断を働かせるための手立てを考案すること,②自己調整学習に及ぼす評価判断の効果(Panadero et al., 2019)に着目し,理科における評価判断による自己調整学習への効果ついて明らかにすることをリサーチクエッションとして設定した。評価判断を働かせる視点を子どもと共有するために,「1 わかったこと・わからなかったこと,学び方」「2 友達,先生から学んだこと」「3 気づいたこと,自分で考えたこと」「4 授業前と比べて考えが変わったこと」「5 疑問,調べてみたいこと,次に向けて」という5つを含む図2を作成し,授業実践を行なった。小学校第6学年理科「植物の成長と水の関わり」の単元における事例的分析から,以下の諸点が明らかとなった。1)評価判断を働かせる視点として図2を作成して掲示することで,子どもはそれを視点としながら評価判断を働かせる。2)小学校理科授業において子どもが評価判断を働かせることで,予見段階では「自分の理解状況を整理する」,遂行段階では「実験結果を基に考える」,自己省察段階では「次の学習への見通しや疑問をもつ」などの自己調整学習への効果(表4)が生じる。3)評価判断が働くことによって,自己調整学習サイクルの予見,遂行,自己省察段階の下位過程,また段階間の関連付けが促進され,サイクル全体に効果を与えている。

  • 中込 泰規, 加藤 圭司, 小倉 康
    2024 年 64 巻 3 号 p. 203-220
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,「科学とは何か」や「科学的営為」に焦点化した,科学の認識論的知識である「科学の本質(Nature of Science;以下,NOSと示す)」の創造的な理解を促す授業デザインに関する示唆を得ることを目的とする,中学校理科の事例を対象としたアクション・リサーチである。本研究では,NOSの創造的な理解を促す手立てとして,以下の3点を設定した。1点目は,カリキュラムの中心に科学史を位置付け,先哲が行ってきた研究手法や,科学理論や原理が見出された背景について学ぶことからNOSへの意識を促す「学習文脈アプローチ」である。2点目は,先哲の見方や考え方を参考にしながら,歴史上で見出された科学理論や原理を明らかにしていく科学的な探究に取り組み,その探究プロセスと関連付けてNOSへの意識を促す「探究プロセスアプローチ」である。3点目は,NOSを捉える枠組みを教師から提示し,授業時間内でNOSについて意識したことを内省する機会の設定である。中学校第3学年における「電池とイオン」 の授業実践の結果として,2つのアプローチからNOSについて意識したことを比較し,それらを統合的に捉えながら考えを構築していく生徒の姿が確認できた。また,NOSについて意識したことを内省する機会によって,NOSを継続的に捉えようとする視点の獲得や,2つのアプローチから意識したことを比較しようとする思考が促されていた。他方,学習文脈アプローチよりも,探究プロセスアプローチから促された意識の方が,生徒にとって価値付く傾向があり,NOSに関する考えを構築していく上で,影響を与える可能性がある。

一般
原著論文
  • ―わが国の理科における問題解決の過程への示唆―
    内海 志典, 仲村 勇輝
    2024 年 64 巻 3 号 p. 221-235
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    小学校理科では,問題解決の過程において,実験の計画を検討して改善することと,考察を検討して改善することに課題が見られる。これらの指摘された課題を克服するためには,アメリカのテネシー州のSTEM教育で採用されている「エンジニアリング・デザイン・プロセス(EDP)」を,各学年において段階的に適用することがその解決策の1つとして考えられる。そこで,本研究ではテネシー州のK学年から第5学年までのSTEM教材について,各学年の違いに着目して,各学年におけるEDPの特徴について検討した。その結果,次の3点が明らかになった。(1)テネシー州のSTEM教育では,EDPの最終段階は学年が進行するに従い異なっている。(2)EDPでは,問題を特定し,観察・実験を通じて,結論を導くといった問題解決の過程が一致している。(3)EDPの「改善する(Improve)」の段階では,製作物がより適当に作動するかどうかといった実験の結果に基づいて,よりよい設計の改善を図ることが意図されている。わが国においても,小学校理科の問題解決の過程に,EDPの「改善する」の段階を各学年の進行に応じて,段階的に導入すると,問題解決の過程において,実験の方法をよりよく修正することと,自分の考えをよりよく修正することの2点を「改善する」ことができ,よりよい自分の考えをもつことにつながることが示唆される。

  • ―TIPS IIおよびT-BIPSに基づく調査問題の作成を通して―
    河本 康介, 山田 貴之
    2024 年 64 巻 3 号 p. 237-248
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,中学生の「探究の技法」の認知的側面を測定し,実態を明らかにすることを目的とした。そこで,TIPS IIおよびT-BIPSを修正・再構成した調査問題を作成して調査・分析した。その結果,主に以下の2点が明らかになった。1)技能間の相関分析より,「仮説」と「変数の制御」が最も高い相関を示し,次いで,「実験」と「仮説」,「データ解釈」と「実験」,「実験」と「変数の制御」,「データ解釈」と「仮説」の順で中程度の相関を示し,統合的技能間における相関の強さが明らかになった。2)クラスター分析によって,異なる特徴を有する5群により,生徒の回答傾向を類型化した。第1クラスターを「『観察』・『グラフ化』不足中位群」,第2クラスターを「全技能上位群」,第3クラスターを「全技能下位群」,第4クラスターを「『予測』充足中位群」,第5クラスターを「『予測』不足中位群」とそれぞれ命名した。さらに,各群の「探究の技法」の傾向を解釈するとともに,各群の実態に即した指導の在り方について検討を加えた。

  • 北村 一浩, 小池 守, 倉山 智春, 山際 清史
    2024 年 64 巻 3 号 p. 249-263
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,金属の結晶構造を理解するため,形状記憶合金が形状変化する原因を結晶構造の変化で説明する教材の開発を行うとともに,開発した教材を用いた検証授業を行うことにより,教材の有用性を検討したものである。その結果,以下の3点が明らかになった。1)生徒は,格子模型を手に取り,様々な角度から観察することにより,結晶構造についての理解を深めることができた。2)生徒は,新たな事物・現象と出会い,考えるきっかけや視点が得られたことから,形状記憶合金を教材として有用であると考えていた。3)生徒は,格子模型を用いた学習を通して,結晶構造が化学の基本原理を学ぶ上で重要であることに気付いた。以上のことから,本研究で開発した形状記憶合金が形状変化する原因を結晶構造の変化で説明する教材は,結晶構造の理解を促すために有用であることが示唆された。

  • ―コア試料か部分ペネ試料か,それが問題だ―
    高橋 唯, 植木 岳雪
    2024 年 64 巻 3 号 p. 265-274
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    街中に位置する学校はコンクリートやアスファルトに囲まれ,そもそも露頭などの材料が乏しく地層の観察が困難であることに加え,野外観察のための移動時間確保の問題もあり,地層の観察を行うこと自体が難しい。そのため,本研究ではまずボーリングコア(オールコア試料+部分ペネ試料)という着眼点で学校の中で学校地下の地層を観察する手法を試み,街中の学校に通う児童にもその生活圏にある学校の土地の成り立ちを学ぶことができる授業法を提供する。さらに本研究では,その効果を検証するためボーリング試料をオールコア試料(コア試料)と部分ペネ試料(ペネ試料)に分けて授業法を実践した。ペネ試料はコア試料に比して,堆積物が抜き出されているため,堆積物を見分けるのには活用しやすい反面,ペネ試料では地層とそれを構成する堆積粒子との違いが児童にとって不明瞭となりうることも分かった。そのため,コア試料が持つ地層としての性質は教材として重要ではあることが明瞭になったが,扱う際には物理的な欠点も多い。本論は,学習効果・教材としての扱いやすさなどを両試料について比較した初めとの報告である。

  • ―批判的思考力の明示と「CT活用シート」を用いた問題解決学習を通して―
    中山 貴司, 山中 真悟, 古石 卓也, 木下 博義, 川崎 弘作
    2024 年 64 巻 3 号 p. 275-285
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    批判的思考力は学校教育で指導されるべき重要な思考法であるが,小学校教員を志望する大学生が受講する理科指導法において批判的思考力の育成は十分に行われていないことが指摘されている。そこで本研究では,小学校教員志望の大学生の理科における批判的思考力を育成するための指導法を考案して実践した。具体的には,中山・木下(2022)による指導法を援用し,理科における批判的思考力について明示して説明した後,批判的な思考の方法が記された「CT(Critical Thinking)活用シート」を用いて,自己評価させながら問題解決学習を3回行わせた。そして,授業実践前後の質問紙への回答結果や授業中に用いた「CT活用シート」への記述内容を分析して検討した結果,本指導法は「反省的な思考」「健全な懐疑心」といった批判的思考力の育成に効果があることが明らかになった。

  • ―第5学年における「ふりこの運動」を事例に―
    林 康成, 島田 英昭
    2024 年 64 巻 3 号 p. 287-299
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,小学校理科第5学年「ふりこの運動」を事例に,考察の説明活動における全体的協働が小規模協働と比較して考察の記述力の向上に寄与することを明らかにすることを目的とした。各クラス30人からなる2クラスを対象に,1クラスは考察の説明活動時に自由に立ち歩きクラス内全体での協働を許された全体的協働条件,別の1クラスは説明の範囲をグループ内に限定された小規模協働条件に割り当て,同一教師により7単位時間の実践を実施した。考察の記述力を測定する事前・事後テストの得点を分析した結果,全体的協働条件の得点の上昇が小規模協働条件に比べて大きかった。また,事後テストにおいて,全体的協働条件の「仮説についての記述」「仮説の妥当性を判断する記述」の正答者数が小規模協働条件に比べて多かった。さらに,授業中の発話内容とその回数を分析した結果,全体的協働条件では「仮説についての発話」「仮説の妥当性を判断する発話」に分類される発話が多く現れた。加えて,事後の意識アンケートを分析した結果,全体的協働条件の方が振り返る意識が高かった。これらの結果から,考察の説明活動における全体的協働が小規模協働と比較して,「仮説」「仮説の妥当性の判断」に関する議論の機会を増加させ,これらの観点の考察の記述力の向上を通して,総合的な考察の記述力の向上に寄与することが示唆された。

  • ―探究の過程を見通す力と振り返り評価改善する力に着目して―
    本庄 秀行, 小倉 康
    2024 年 64 巻 3 号 p. 301-311
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,中学校理科において,ものづくりを通して探究の過程を見通す力と振り返って評価・改善する科学的な探究力を高める指導法を開発することを目的とした。生徒達で課題に対して仮説を立て,(1)合い言葉を基に検証方法の立案をする,(2)立案した計画を基にものづくりする,(3)ものづくりの結果を記録し他の班と合い言葉に基づき話し合い,振り返り評価・改善しより良くなる方法を考える。(1)~(3)を繰り返すことで生徒の探究の過程を見通す力と振り返り評価・改善する力の育成を図る授業モデルを設計した。設計した指導法を用いて中学校で検証授業を実施した結果,生徒の検証方法の立案力と振り返り評価・改善する力が有意に高まった。

  • ―観察と推論の区別という観点より―
    桃原 研也, 内ノ倉 真吾
    2024 年 64 巻 3 号 p. 313-327
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,小学生192名を対象として,観察・実験活動における「結果」と「考察」に関する理解の特徴を質問紙調査及びインタビュー調査を通じて探った。その結果,次の点を指摘した。第一に,小学生は,「結果(観察したこと・調べたこと)」と「考察(結果に基づいて考えたこと)」については,「結果」は,観察・実験を通して見たことや事実である,「考察」は,結果に基づいて作り上げた考えや意見である,とおおよそ区別して理解できていた。第二に,小学生は,自然の事物・現象に関する記述が提示された場合,「結果」と「考察」を区別できるが,「結果」に比べて「考察」であることを認識するのが難しい傾向が見られた。第三に,観察・実験活動における観察行為や測定行為との関連から,「結果」と「考察」を区別しようとする児童がいる一方で,特徴的な文末表現という言語的な側面から,「結果」と「考察」を区別しようとする児童も見られた。また,関連の科学的な知識を保持している場合,行為的な側面からではなく,内容的な側面から,客観的な事実として認識されうる可能性も示唆された。第四に,「結果」「考察」の誤謬性・再現性・客観性に関係して,一部の児童は,「結果」「考察」のどちらにも誤謬性があり,「結果」には再現性が求められ,「結果」「考察」のどちらも客観性が大切だと理解していた。第五に,「結果」に基づいて「考察」を構成できていた場合でも,「結果」と「考察」を結びつけた一連の記述を構成することは難しく,必ずしも「結果」が明示されていない「考察」を記述する傾向が確認された。これらを踏まえて,理科指導への示唆として,観察・実験における「結果」や「考察」の性質について,明示的に教授することや「結果」と「考察」を結びつけた一連の記述を構成する機会を設定することを指摘した。

  • 森川 大地, 中村 大輝
    2024 年 64 巻 3 号 p. 329-339
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,問いの設定場面における変数を見いだす力を育成する指導法の開発を目的とした。研究の目的を達成するために,複数事象の比較と変数間の因果関係の整理を中心とした指導法を構想し,2群事前・事後デザインによる効果検証を実施した。小学校第3学年の児童74名を対象とした半年間の介入を行った結果,実験群では変数を見いだす力の得点が有意に向上し,介入の効果が認められた。質的分析の結果からは,変数を見いだすための明示的な手立てと児童の躓きに応じた支援を提供し,原因と結果を分離した形で変数を表現させたことが実験群の能力の相対的な高さに貢献していたことが示唆された。

  • ―コンデンサーの接続実験を取り入れた授業実践を通して―
    山中 真悟, 古石 卓也, 中山 貴司, 木下 博義
    2024 年 64 巻 3 号 p. 341-352
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では小学校理科において,教材の特性を生かして批判的思考力を育成するための授業を開発するとともに,その効果を検証することを目的とした。この目的を達成するため,批判的思考を促す題材としてのコンデンサーの接続課題を考案するとともに児童の批判的思考を促すためのワークシートを位置づけた授業を開発した。開発した授業の効果を検証するため,小学校第6学年「電気の利用」の単元で授業実践を行った。質問紙およびワークシートの分析の結果,開発した授業は小学校理科における批判的思考のうち,よりよい解を追究しようとする態度および反省的に思考しようとする態度の育成に有効であったといえる。

資料論文
  • ―エステルのかおりを比較する化学実験授業プログラムの開発―
    陣内 大地, 松岡 雅忠
    2024 年 64 巻 3 号 p. 353-364
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    化学教育の分野では,試薬類の使用量の少量化を意識した「マイクロスケール実験」が教材開発の重要な柱の一つとなっている。マイクロスケール実験は,人と環境にやさしく,持続可能な社会の発展を化学の面から追求するグリーン・サスティナブルケミストリー(GSC)の考え方に立脚している。そこで筆者らは,かおりをテーマにした実験授業プログラム開発のため,芳香を有する有機化合物の代表例であるエステルを,固体酸触媒を用いて合成する際の反応条件を検討した。実験授業ではまず,固体酸触媒を用いてエステルを安全に合成させた。続いて,日常生活で使用される種々の香料のかおりを文章で表現させ,比較しあうとともに,香料の多くが環境負荷の少ない化学合成により供給されていることに触れた。模擬授業の結果からは,実験への満足度が高いことや,同じかおりでも表現が異なることへの理解,香気成分への意識の高まりなど,有機化合物や自然環境への興味関心の向上につながることが示唆された。

  • 中田 聖月, 多賀 優
    2024 年 64 巻 3 号 p. 365-373
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    長石は珪酸塩鉱物(類)・テクト珪酸塩鉱物(科)の複数の固溶体系列を含む族名(アルミノケイ酸塩)である。カリ長石-ナトリウム長石(-カルシウム長石)間の固溶体系列名がアルカリ長石であり,基本的に「カリ長石」はこの固溶体系列の端成分を意味する。国際地質科学連合(IUGS)が提唱する火成岩分類においては,アルカリ長石のみが使用されており,「カリ長石」は使用されていない。しかし,日本では現行の高等学校用地学教科書において,カリ長石-曹長石の固溶体名が「カリ長石」であるかのような誤解を与えており,これらの用語について現今の知見を踏まえた十分な検討がなされていない。今回,そのような現状を明らかにする基礎的な作業の一つとして,明治から平成時代の教科書を対象に「カリ長石(または正長石)」の用語の扱いの変遷を明らかにすることを試みた。その結果,「カリ長石(または正長石)」は,明治時代の前期から現在まで変遷を経ながらも絶えず用いられ続けており,平成時代(1989年)以降に「カリ長石」がほぼ単独で用いられていることが判明した。高等学校用地学教科書においては,平成初期以降に固溶体の概念が記述されているにもかかわらず,固溶体の端成分を示す「カリ長石」が固溶体系列名「アルカリ長石」の代名詞であるかのような誤解を与える使われ方が続いていることや,固溶体系列名である斜長石と同等の扱いでアルカリ長石ではなく「カリ長石」と記述されていることが明らかになった。教科書における「カリ長石」に代わる「アルカリ長石」用語の使用の検討が迫られている。

  • ―STEAM教育を通した「よりよい解の追究」の育成に着目して―
    山中 真悟, 古石 卓也, 中山 貴司, 木下 博義
    2024 年 64 巻 3 号 p. 375-383
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,小学校理科において,よりよい解を追究させることを意図して行った授業が,批判的思考力の育成に及ぼす効果を検証することを目的とした。具体的には,STEAM教育の要素を持つ活動である「自動ブレーキの車を製作する活動」を位置づけた活動を設定するとともに,小学校第6学年「電気の利用」の単元で授業実践を行った。質問紙およびワークシートの分析の結果,選定した授業内容は小学校理科における批判的思考のうち,よりよい解を追究しようとする態度の育成に有効であったといえる。

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