精神疾患と心血管疾患(脳血管障害を含む)は,現代社会において最も頻度の高い非感染性疾患の一つであり,世界的に大きな健康負担をもたらしてきた。従来,これらの疾患は臨床および研究のいずれの文脈においても,別個の疾患単位として扱われてきた。しかし近年,精神疾患と心血管疾患の関係は単なる併存にとどまらず,複雑な双方向性の病態生理学的連関を示すことが明らかになりつつある。この認識は,従来の疾患分類を超えて統合的に捉える視点の必要性を示している。
本総説では,まず近年の大規模疫学研究の知見に焦点を当て,精神疾患と心血管疾患の双方向性関連について概説した。次に,精神疾患モデル動物を用いた我々の基礎研究を紹介し,遺伝的脆弱性と環境ストレスの相互作用によって惹起される脳毛細血管病理が,両疾患を結ぶ機序的な橋渡しとなり得ることを示す新たな証拠を提示した。疫学研究と実験研究のアプローチを統合することにより,本総説は精神疾患—心血管疾患相互作用の理解を深化させ,予防的介入に向けた新たな方向性を提案することを目的とした。
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