日本女性科学者の会学術誌
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最新号
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総説
  • 南保 明日香
    2020 年 20 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2020/03/26
    公開日: 2020/03/20
    ジャーナル フリー

    ウイルス感染は、ウイルス粒子に発現するスパイクタンパク質とこれらを特異的に認識する受容体との相互作用を介して細胞に吸着・侵入するプロセスから開始する。近年、エボラウイルスを含む種々の高病原性ウイルスが、リン脂質の1種であるホスファチジルセリンを認識する受容体を介して標的細胞に取り込まれることが明らかになりつつある。これらのウイルスは、感染細胞から子孫ウイルスを放出する際に、細胞由来の脂質二重層をエンベロープとして獲得する。すなわちこれらのウイルスがホスファチジルセリン受容体に認識されるためにはこのリン脂質がエンベロープの外膜に集積する必要がある。本項では近年明らかにされつつあるウイルスエンベロープ外膜にホスファチジルセリンが集積する分子機構について、エボラウイルスを主な例として、概説する。

  • 丸山 美帆子
    2020 年 20 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 2020/03/26
    公開日: 2020/03/20
    ジャーナル フリー

    医薬品開発において、化合物の結晶多形制御や構造解析に向けた高品質大型結晶の育成は重要課題である。著者らは従来の網羅的な条件設定後に結晶核発生を待つ方針に対して、結晶化条件を整えた後、フェムト秒レーザー照射技術、超音波印加法、ポリマー表面の官能基を利用した結晶化法等により核発生を能動的制御する技術を開発した。これらの技術によって、安定形が混在しない100%純度の準安定形が得られるようになり、極めて高い結晶安定性が実現した。フェムト秒レーザー照射によって結晶の成長機構モードを制御し、個々の結晶品質をさらに高める技術の開発にも成功しており、核形成から結晶成長まで一連の過程を制御する結晶化マニュピュレーション技術が構築された。本稿では、これらの技術の中からフェムト秒レーザーを用いた結晶多形制御、および結晶成長機構の制御について紹介する。

トピックス
  • Dilworth Machi
    2020 年 20 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2020/03/26
    公開日: 2020/03/20
    ジャーナル フリー

    Advances in science and technology drive the economic growth of a nation. In order to ensure continued economic growth, a workforce that is well-trained and highly-skilled in science, technology, engineering and mathematics (STEM) is needed. For a society like Japan where the population is decreasing and ageing at a rapid rate, securing such a workforce in sufficient numbers is a critical issue. In Japan, it is anticipated that by 2030 the working-age population (15–64 years of age) will be 63% of that of 2015. Currently, the economic participation of women in Japan is 59.5% of that for men. In the field of STEM, the ratio of women among total STEM workers is 16% in 2017, which places Japan at the bottom of 23 developed countries. Further, data show that Japanese women have the talent and qualifications to pursue STEM careers that are equal to men. It seems clear that increasing the participation of women in STEM goes a long way to mitigate the anticipated workforce shortage needed to sustain Japan’s economic growth. There are a number of factors that are preventing full participation of women in STEM. These factors include both conscious and unconscious biases toward women’s ability to pursue scientific careers, and the separate roles for men and women assigned by society. These factors existed/exist in many countries, but some countries have made efforts to increase the participation of women in STEM with success. This article introduces three such efforts: US National Science Foundation’s ADVANCE Institutional Transformation; EU Horizon2020; and UK’s AthenaSWAN. It is hoped that learning best practices from these successful approaches may provide Japan a way forward to break out of the current situation before it is too late.

随想
総説
  • 稲田 扇, 稲田 明理
    2020 年 20 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2020/05/12
    公開日: 2020/05/09
    ジャーナル フリー

    日本と米国の糖尿病を専門に扱っている一医療機関を対象に糖尿病にかかる医療費を調査し、1人あたりの年間外来医療費及び1回あたりの外来医療費を算出した。医療制度の違いにより医療費決定の仕組みが異なるため、それらが病院経営にどのように影響しているのかを考察し、その上で、日本における糖尿病医療の課題を提唱する。今回調査対象である医療機関のよこがわクリニックとジョスリン糖尿病センターの1人に対する1回あたりの自己管理教育・診療時間・労力を比較すると、ジョスリン糖尿病センターでは非常に長く多いことが特徴であるが、予想に反して医療費は高くなり過ぎていなかった。一方で、回収額が請求額を大きく下回り病院収入が不安定という問題があった。日本では、診療報酬制度を適用していることから病院の回収額は請求額とほぼ同じで安定していた。日本の課題は、患者に高度な教育を与える時間を増やすことや医師・スタッフ・経営陣の役割分担を明確化させ専門家として活躍できる環境整備を一層進めることである。

  • 栗原 晴子
    2020 年 20 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 2020/05/12
    公開日: 2020/05/09
    ジャーナル フリー

    現在人為活動に伴う大気二酸化炭素濃度の増加に伴って海では、温暖化による海水温の上昇と共に、海水のpHが低下する海洋酸性化が急速に進行している。海水のpHが低下すると、海水中の炭酸カルシウム飽和度が低下することから、特にサンゴ礁生態系は酸性化の影響を強く受けることが懸念されている。本総論では、海洋酸性化がサンゴ礁域の生物ならびに生態系に及ぼす影響について要点をまとめ、今後の研究の方向性について論じる。特に研究の発展と共に明らかにされてきたサンゴの石灰化機構への影響、さらにはサンゴ種間や種内での応答の違いについて紹介する。またサンゴに加えて、ウニ類や藻類などへの影響と共に、生物間相互作用に対する影響を述べ、酸性化によるサンゴ礁生態系への影響と今後の課題について論じる。

例会要旨
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