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田沢 敏男, 伊藤 雅章, 奥田 長三郎, 山口 茂光, 早川 さゆり, 佐藤 良夫
1986 年 1 巻 p.
1-3
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
77歳, 女性の右頬部に直径2.5cm, ドーム状, 暗赤色腫瘤を生じた。電顕的に腫瘍細胞には特徴的なdonse-core granuleが認められ, Merkel cell carcinomaと診断した。免疫組織化学的に生理活性ペプタイドは調べた限り見出されなかった。細胞分化の指標として有用なintermediate filamentのタイピングでは, 正常のMerkel cellに一致する単層上皮型ケラチンをもつことを確認した。
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臨床, 組織学的, 免疫組織化学的および超微構造的所見
高橋 博之, 伊東 佳子, 三浦 俊祐, 前田 和男, 嵯峨 賢次, 加藤 光子, 神保 孝一
1986 年 1 巻 p.
4-10
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
von Recklinghausen病 (R病) を基礎疾患とする3症例の神経原性悪性腫瘍について免疫組織化学的および超微構造的検索を施行した。
症例1, 2はmalignant peripheral nerve sheath tumor (P.N.S.T.) ,
症例3はneurofibroma (NF) 内に発生したrhabdomyosarcoma (malignant “Triton” tumor: M.T.T.) であった。免疫組織化学的検索ではS-100蛋白, β
2 microglobulin (β
2MG) , neuron-specific enolase (NSE) , glial fibrillary acidic protein (GFAP) およびmyoglobin染色を行った。その結果controlのNFあるいはschwannomaに比べ, 腫瘍細胞の悪性化 (未熟化あるいは分化度の低下) に伴いS-100蛋白とβ
2MGの染色性の低下もしくは陰性化, さらに腫瘍細胞の超微構造的特異性の変化 (basal laminaの断続性あるいは消失など) が認められた。
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本間 真
1986 年 1 巻 p.
11-14
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
50歳, 女。背部に指頭大の隆起性結節を中心に手掌大の皮下の硬結局面を認め, 組織学的に皮下組織にまで及ぶ, 軽度異型性のある線維芽細胞の増殖, 腫瘍細胞の典型的な車軸状配列を示すことより隆起性皮膚線維肉腫と診断したが, Schwann細胞由来の腫瘍の腫瘍マーカーであるS-100蛋白の免疫組織化学的検索の結果, 神経線維肉腫と確診した。
今後, 隆起性皮膚線維肉腫の診断に, S-100蛋白の免疫組織化学的検索を併用することの必要性を痛感した。
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百束 比古, 白井 洋司, 石井 和博, 大久保 正智, 文入 正敏, 服部 怜美
1986 年 1 巻 p.
15-19
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
われわれが最近経験した隆起性皮膚線維肉腫の3症例について供覧するとともに, それらの手術成績より得た知見より, 本腫瘍の切除範囲に関して一考察を加えた。
すなわち, 経過の長い症例では, 摘出範囲は腫瘍辺縁より5cm以上, 腫瘍下層はその解剖学的構造によっては筋や骨をも含めて摘出する必要がある。しかし, 経過の短い症例では, 発生部位, 腫瘍の大きさによって, それぞれ異なる切除範囲の設定を行うこともやむをえないことを付記した。
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澤田 裕子, 高柳 きよみ, 玉田 康彦, 羽田野 徹夫, 池谷 敏彦, 水野 栄二
1986 年 1 巻 p.
20-23
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
症例は75歳男性。幼少時に右足の腫脹があり, 60歳ごろより象皮病様外観を呈し入院後5カ月後に右下腿に淡紫色小結節出現したため生検した。HE染色, 鍍銀染色を施行し, 真皮に類円形の核をもつ細胞, クロマチンに富む濃染した核をもつ細胞の腫瘍性増殖がみられ管腔構造を呈し, 鍍銀染色にて腫瘍細胞を取り囲む好銀線維が不連続に観察された。VIII因子PAP法では腫瘍細胞は陰性であった。腫瘍細胞が管腔形成を呈し, 電顕でbasal laminaの不連続な部分と同部位にanchoring firamentが観察されたことにより, 自験例をlymph angiosarcomaと診断した。
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倉田 幸夫, 高田 実, 光戸 勇, 広根 孝衛, 鍛冶 友昭, 松本 鐐一, 仲村 洋一, 藤田 幸雄
1986 年 1 巻 p.
24-28
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
頭部に生じた皮膚血管肉腫の5例を報告し, 本症の治療法について若干の考察を加えた。4例は死亡例で, 治療開始から死亡までの期間は, 外科療法+化学療法+免疫療法を併用した1例では1年5カ月, 外科療法+放射線療法免+疫療法を併用した1例では5カ月, 外科療法+放射線療法+化学療法+免疫療法を併用した2例では2年1カ月と1年5ヵ月であった。他の1例は生存例で, 放射線療法+免疫療法を併用し, 再発や転移を起こすことなく1年6カ月経過した。
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上里 博, 宮里 肇, 照屋 智, 新里 脩, 荒木 弘一, 名嘉真 武男
1986 年 1 巻 p.
29-33
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
Ig A, κ-typeの多発性骨髄腫治療中にKaposi肉腫を発症した61歳男子例を報告した。皮疹はほぼ全身に散布性に分布し, 黒褐色ないし暗紫紅色丘疹からなり, 紫斑様局面内に結節を認めた。一般検査ではPPD皮内テスト陰性, 抗HTLV-III抗体/抗LAV抗体陰性, 末梢血では白血球数5,000/mm
3, OKT 4/OKT8比は正常範囲内であった。病理組織像は真皮に楕円形・紡錘形の核を有し, 裂隙状管腔を形成する腫瘍細胞と, 1ないし数個の三か月状・紡錘形の核を有し, 蜂巣状管腔を形成する腫瘍細胞の増生から構成されていた。免疫組織学的には裂隙状管腔を構成する腫瘍細胞は第VIII因子関連抗原が陰性であったが, 蜂巣状管腔を構成する腫瘍細胞は陽性であった。
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石原 和之, 長谷川 文雄, 池川 修一, 早坂 健一
1986 年 1 巻 p.
34-40
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
インターフェロン (IFN) は種特異性がありヒトINFはα, β, γの3種がある。この3種を天然型とすれば遺伝子組換えにより製作したINFがαで3種(α
2a,
2b,
2c), β, γで各1種がある。このうち, αとβの大部分が治験を終了し, γはなお治験中である。本論文はαとβ型の皮膚悪性腫瘍に対する有効性と病理学的所見ならびに作用機序に関して検討を加えた。
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橋爪 鈴男
1986 年 1 巻 p.
41-46
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
悪性黒色腫に対するインターフェロン (IFN) の抗腫瘍効果を検討するため, ヌードマウス可移植性ヒト悪性黒色腫 (SK-14) に, ヒトインターフェロンおよびDTICを投与する実験を行った。その結果, IFN単独投与では, 腫瘍内投与による効果が大で, また, β型IFNのほうが, α型よりもその効果が大であった。α型IFNでは, 天然型と遺伝子組み換え型の効果は, ほぼ同等であった。DTICとβ型IFNの併用投与では, 各単独投与に比較し, 効果の増強が認められた。すなわち, IFNは悪性黒色腫の治療に有効であり, DTICとの併用において, その効果の増強が示された。
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山本 明史, 鷲見 烈, 加藤 優, 浦田 裕次, 遠藤 信夫, 森 俊二, 美濃輪 昇
1986 年 1 巻 p.
47-53
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
Stage I
b~II悪性黒色腫3例に対し, 術前療法としてインターフェロン-β (IFN-β) をおのおの3, 6, 12×10
6IU, 原発巣周辺に局注し, 切除した腫瘍および周辺組織・所属リンパ節ならびに血中におけるIFN力価を検討した。その結果, 血中力価は12×10
6IU投与例でわずかに検出されただけで, リンパ節内には6×10
6IU以上投与例で投与4時間後310~4,012IU/g検出された。すなわち, 局注したIFN-βは血中への移行が少なく, リンパ移行性が高かった。よって, 悪性黒色腫に対する術前療法としてIFN-β局注が, 原発巣のみならず, リンパ節に対する抗腫瘍効果も期待できるものと考えられる。
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鈴木 正, 江角 浩安, 田嶋 公子, 池田 重雄, 石原 和之
1986 年 1 巻 p.
54-59
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
新しい多剤併用療法として悪性黒色腫患者69例に対し, PAV療法を施行した。Stage I
bおよびstage IIの症例において5年生存率は67%であり, 過去の手術単独群より優れた成績をおさめ, また従来より本症によく用いられているDAV療法と比してほぼ同程度の成績を得た。Stage IVの転移巣に対する奏効率は20例中PR 6例で30%であった。皮膚および皮下組織転移巣にとくに高い奏効率を得た。重篤な副作用も認められず, 悪性黒色腫に対する有用な治療法の1つと考えている。
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前田 和男, 阿久津 裕, 山名 香折, 神保 孝一
1986 年 1 巻 p.
60-65
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
転移性人悪性黒色腫からmelanosomeを分離し, melanosome関連蛋白に対するマウスmonoclonal antibody (MoAb) を作製した。今回は, そのうちの1つであるMoAb HMSA-2に関し, その特徴および組織特異性を報告した。本抗体は, 多くの非色素産生腫瘍とは無反応であり, 正常メラノサイトとも反応しない。母斑, 黒色腫の両者と特異的に反応するが, その反応性には相異があり, 免疫組織化学的に両者の鑑別に有用であった。
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市橋 正光, 三島 豊, 八田 晋, 上田 正登, 林部 一人, 船坂 陽子, 藤原 寛
1986 年 1 巻 p.
66-70
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
10B
1-paraboronophenylalanine (
10B
1-BPA) はdopa analogとして黒色腫細胞に取り込まれ, 黒色腫の熱中性子捕捉療法 (TNCT) に有用なことが
in vitro培養細胞および
in vivo黒色腫担癌動物で証明されている。
今回は,
10B
1-BPAをヒト黒色腫治療に適応するため, 本化合物がさらに特異的に黒色腫細胞に取り込まれる至適条件を追求した。
Tyrosineとphenylalanine不含MEM (D-MEM) に
10B
1-BPAを添加して黒色腫細胞をpre-incubationするとTNCTは通常MEMに
10B
1-BPAを加えてpre-incubationした場合に比較し, 著しい致死増強がみられた。また, ヒト黒色腫細胞もB-16 melanoma cellsと同様に,
10B
1-BPAを用いたTNCTで致死増強を示した。
これらの結果は, ヒト黒色腫のTNCTにおいては, 血中tyrosineとphenylalanineを低下させた条件で
10B
1-BPAを投与すると一層致死効果が亢まることを示唆する。
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中岡 啓喜, 安藤 泰, 大塚 壽, 三木 吉治
1986 年 1 巻 p.
71-74
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
昭和51年10月の教室開設以来, 8年半の間に14例の悪性黒色腫を経験した。発生部位は手指, 足底13例で四肢末端に集中していた。
男性8例, 女性6例で, レベルIII6例, レベルIV3例, レベルV5例であった。治療は外科療法を主体とし, 化学療法を補助的に追加した。5年生存率は, レベルIII100%, レベルIV0%, レベルV33%(3年)であった。
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杉原 平樹, 大浦 武彦, 吉田 哲憲, 石川 隆夫, 菅野 弘之, 浅見 謙二
1986 年 1 巻 p.
75-80
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
昭和59年までの8年間における悪性黒色腫49例に対する治療経験より, 原発巣のLevelとthicknessおよび所属リンパ節転移との関連, stage別生存率ならびにstage I
bとIIにおける免疫療法群と非免疫療法群における生存率について検討した。原発巣ではLevel IV, Vが72.9%, 3.01mm以上が58.3%とpoor risk症例が多く, stage I
bとIIが79.6%を占めた。原発巣3.00mm以上で51.7%に所属リンパ節転移が認められた。また, stage I
bとIIに対する根治的外科治療に併用した免疫療法は無病率, 生存率をともに上昇させた。
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加藤 泰三, 富田 靖, 竹松 英明, 高橋 正昭, 阿部 力哉
1986 年 1 巻 p.
81-85
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
1967年より1984年の18年間における悪性黒色腫の症例は103例である。このなかの皮膚悪性黒色腫82例を中心に統計的観察を行った。72%が手・足に出現したものであり, その男女比は1.80:1であった。stage IにおいてはClarkのlevel, 腫瘍の厚さ, 潰瘍の有無が予後に相関した。stage II以上については転移そのものがprognostic factorであることを再確認した。Acral melanomaがnodular melanomaに比して予後のよいことが示唆された。原発巣広範囲切除およびリンパ節郭清とDTIC, vincristine, ACNUによる化学療法の組合わせが本症に有効であることもあわせ示唆した。
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富田 敏夫, 江角 浩安, 池田 重雄
1986 年 1 巻 p.
86-90
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
厚生省メラノーム斑を中心にした全国各施設より悪性黒色腫715例の症例を集積した。とくにこのなかで, 皮膚原発であるPPSMとextra PPSMの両型につき解析を試みた。Stage I
bにおいてPPSMは, extra PPSMに比べ有意に予後不良という結果を得た。また, PPSMのstage I
b 68例において, 予防的リンパ節郭清の有無と予後についても検討し, 予防的リンパ節郭清の必要性を明らかにした。
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日野 治子, 松岡 芳隆, 西脇 宗一, 北島 拓弥, 漆畑 修
1986 年 1 巻 p.
91-95
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
当院22年間で切除した母斑ないし小色素斑438個を臨床像と組織像で検討した結果, ElderらおよびNIHの設けた定義に相当するdysplastic nevusは4個あった。これらの組織所見では, 表皮真皮境界部にmelanocyteの胞巣形成が顕著であった。悪性黒色腫の前駆症状といわれるdysplastic nevusであるが, これを臨床形態のみで診断がつくか試みたが, 困難であった。
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長野 博章, 影下 登志郎, 小野 友道, 荒尾 龍喜
1986 年 1 巻 p.
96-99
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
49歳女性の右下腿と39歳男性の陰嚢に生じた悪性黒色腫を報告。病理組織学的に通常の悪性黒色腫においてみられる紡錘型, 類上皮型の腫瘍細胞の他にballoon cell様の大型, 類円形で胞体が明るく, きわめて異型性に富む細胞の増殖がみられた。両症例ともリンパ節転移が認められ, 症例2では転移巣のほとんどがballoon cellで占められていた。この細胞は抗S-100蛋白抗体で陽性であり, 電顕にてメラノソーム, ミトコンドリアなどの変性像が著明で, 大小の空胞多数が認められた。
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三毛 紀夫, 吉川 邦彦, 相馬 照代, 久志本 東, 中室 誠, 角村 純一, 宮田 正彦, 中尾 量保
1986 年 1 巻 p.
100-102
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
症例は29歳女性。昭和59年2月右鎖骨部皮膚に常色の米粒大結節に気づく。昭和60年2月大阪警察病院皮膚科形成外科を受診し摘出を受け, 組織診により, 1) malignant melanoma, 2) clear cell sarcomaが疑われたため, 3月当科に紹介され, 精査の結果同部位原発の悪性腫瘍と考え, 4月拡大根治術を行った。腫瘤は腱および胸鎖関節とは隣接せず鎖骨下静脈下に存在した。組織学的にmalignant melanomaと診断し, DAV療法BCG療法を施行した。
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深田 栄俊, 鈴木 秀明, 柴田 明彦, 兼松 秀一, 花輪 滋, 長島 典安, 森嶋 隆文, 森岡 貞雄
1986 年 1 巻 p.
103-106
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
45歳, 女の左踵に生じたacral lentiginous melanomaの1例を報告した。自験例で得られた興味ある知見は臨床的には単一病巣内に多中心性に黒色腫病巣が出現したことであり, 病理組織学的には黒色腫細胞の真皮深層への浸潤がエックリン汗管中心に生じたことである。
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八木 晴夫, 太田 敬治, 堀口 裕治, 古川 福実, 段野 貴一郎, 今村 貞夫, 黒川 正人, 石川 浩三
1986 年 1 巻 p.
107-111
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
60歳, 男。昭和48年, 左踵に小結節が生じ翌年49, 近医で単純切除術を受けた。組織学的には, 悪性黒色腫 (結節型) と考えられた。10年間再発もなく経過したが, 59年夏より同部に赤色小結節を生じたため, 紹介により60年2月8日当科へ入院した。病理組織学的検査により悪性黒色腫の局所再発 (amelanotic type) と診断したが, 転移は発見されず, 3月13日, 左下腿切断左ソケイリンパ節郭清術を施行した。免疫療法および化学療法を併用し, 術後半年後の現在,再発転移はみられない。
不十分な単純切除にもかかわらず, 10年後に局所再発をきたし, しかも転移が発見されないなど興味深く思われたので, 本症例を紹介し併せて若干の考察を加えた。
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滝野 長平, 車地 祐子
1986 年 1 巻 p.
112-115
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
85歳女子の下腿に生じたmalignant trichilemmomaの1例を報告した。病理組織学的に外毛根鞘腫様変化が先行し, この部の一部にボーエン病様変化が生じたものと推測された。またこの変化の波及が階段的に進行することが窺われる所見も得られた。臨床的に下腿発生の点について日皮会誌により本邦例で検討したが, 下腿発生例は28例中1例と少く性別は男性であった。また先行が疑われる外毛根鞘腫の発生部位についても同様に検討したが, 19例中2例でともに男性であった。女性における下腿発生はきわめてまれといえるが, いまだ報告例は少く, 今後の課題として検討すべきことを述べた。
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中山 英俊, 三原 基之, 布 清文, 島雄 周平
1986 年 1 巻 p.
116-118
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
67歳, 男子に生じた外毛根鞘性腫瘍の1例を報告した。臨床的には左耳介部に15×12mmの半球状腫瘤として認められた。組織学的には表皮より連続する分葉状構造を示し, 内腔に向かいPAS陽性のclear cellが認められ, 外毛根鞘類似の角化を示した。また細胞の配列の乱れ, 核分裂像, clumping cellも存在した。以上の所見から自験例をmalignant trichilemmomaと診断した。
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北出 勘治, 中村 保夫, 水谷 智子, 水谷 仁, 清水 正之
1986 年 1 巻 p.
119-122
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
13歳女性の頭部に生じ, 頸部リンパ節転移をきたした内毛根鞘由来と思われる毛包癌の1例を報告した。原発巣の腫瘍塊の一部にProliferating trichilemmal cyst構造を認めたが, 腫瘍塊の主体をなす細胞はPAS染色・抗CEA染色・抗S-100蛋白染色陰性を示し, 細胞質内に好酸性に染まる大型円形顆粒を認めた。この顆粒は電顕所見と合わせ, トリコピアリン顆粒と考えた。トリコビアリン顆粒は内毛根鞘あるいは毛髄に認められるもので, 自験例は内毛根鞘あるいは毛髄由来の悪性腫瘍の可能性を有すると推定した。
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小林 まさ子, 長谷川 隆, 伊藤 達也, 藤田 優, 岡本 昭二
1986 年 1 巻 p.
123-126
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
外陰部の萎縮性硬化性苔癬 (LSA) に有棘細胞癌 (SCC) を合併した, 64歳, 53歳女の2症例を報告した。最近10年間に当科で外陰部LSAと診断された14例のうち4例にSCCを合併, 同期間に外陰部SCCと診断されたのは9例であった。長期にわたる外陰部LSAはSCCの発生母地として注意を要すると考えた。
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足立 功一, 国分 一郎, 小林 仁, 月永 一郎, 熊切 正信, 青柳 俊, 三浦 祐晶, 中村 準之助
1986 年 1 巻 p.
127-131
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
59歳, 男性。既往歴として患者は35年前に梅毒のためアルスフェナミン (サルバルサン®) の投与を受けている。臨床的にはsquamous cell carcinoma, Bowen's diseaseを考えさせる皮疹が全身に多発, 組織学的にはmalignant trichilemmoma, eccrine poromaなど付属器腫瘍に類似した組織像であった。治療は腫瘍摘除, 右鼠径部リンパ節郭清を行ったが切除標本の組織学的検索で右浅鼠径リンパ節に転移が認められた。血中, 尿中, 頭髪, 皮膚切片での砒素の定量では異常所見はみられなかった。臨床像, 組織学的特徴からはarsenical keratosis and carcinomaと考えた。アルスフェナミンの既往のある患者に発生したという点で特徴があると思われ報告した。
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福井 良昌
1986 年 1 巻 p.
132-135
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
表皮様嚢腫より出現したS.C.C 1例とB.C.E 1例を報告した。S.C.Cは殿部皮下硬結出現後30年で, B.C.Eは頬部皮下硬結出現後4年で悪性化が診断された。B.C.Eは多分化能をもつため発生母地を決めるには慎重を要するが, その診断の要点を述べた。B.C.Eは好発部である顔面に出現したという報告が多く悪性化診断までの期間は約4年であるが, S.C.Cでは殿部に多く悪性化診断までに20年を要していた。
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高岩 堯, 松本 九子
1986 年 1 巻 p.
136-139
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
Povidone iodineを長期外用した膝窩部にみられた面疱様小陥凹の組織は, 壁細胞がグリコーゲンを含むclear cellが大部分を占め, 外毛根鞘性角化を示し, 壁より放射状に増殖突出する細胞巣は, 異型性は低いが侵襲性の強い偽癌性増殖の像を呈した。ケラトアカントーマをはじめ, 類似の構築をもつ毛包腫瘍との異同を論じ, povidone iodineの関与の可能性について言及した。
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藤田 和夫, 山城 一純, 喜々津 京子, 鳥山 史, 宿輪 哲生, 堀 真
1986 年 1 巻 p.
140-143
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
表皮のturn over rateが実験的発癌にいかなる影響を与えるかを知る目的で以下の実験を試みた。すなわちd-d系マウス背皮の角層を剥離し, 直ちに20-methylcholanthreneを塗布することを繰り返し, 発癌状態を観察した。その結果, 剥離処置を加えた群では毛包由来のケラトアカントーマ様扁平上皮癌の発生が対照群に比べて著明に抑制された。組織学的には剥離処置群の毛包は長くほぼ正常に保たれ, 成長期の像を示したが, 対照群では破壊と異型性が目立った。以上の所見から癌発生の抑制は角層剥雑処置群の毛包の成長期が長期間続くためではないかと考えた。
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成田 博実, 青木 洋子, 岡崎 美知治, 黒木 康雅, 井上 勝平
1986 年 1 巻 p.
144-149
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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当教室で昭和52年11月から昭和60年4月までに経験した有棘細胞癌80例中, 転移を示した11例 (転移率14%) について報告した。年齢は25歳から88歳, 性別は男5例, 女6例であった。原発部位は手3例, 顔面・下肢・足が各2例で, そのほか上肢・外陰が各1例であった。嚥下性の肺転移を認めた顔面発生の1例を除いて全例に所属リンパ節転移がみられた。
発生母地として, 日光角化症3例, タール角化症 (?) ・熱傷瘢痕・慢性放射線皮膚炎・巨大尖圭コンジロームが各1例であったが残りの4例は不明であった。
11例中5例が死亡し, 1例に再発をみるが, 残りの5例は現在再発を認めていない。
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大久保 正智, 百束 比古, 石井 和博, 文入 正敏, 服部 怜美
1986 年 1 巻 p.
150-153
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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肛門周囲および外陰周囲の有棘細胞癌に対して, 腹腔会陰式直腸離断術いわゆるMiles法を施行した2症例を経験したので報告する。症例1は43歳男性で肛門周囲の慢性湿疹に対し, 1,600レントゲンの超軟X線照射を施行され, 3年後に同部位が潰瘍化してきた。生検にて有棘細胞癌と診断され, 内腸骨動脈リンパ節郭清を含む腹腔会陰式直腸離断術を施行した。皮膚欠損は両側のbipedicle skin flapにて閉鎖した。症例2は64歳女性で10年前より外陰部に疣贅状皮疹が存在し, 2年前に潰瘍化してきた。有棘細胞癌の診断のもとにMiles法を施行し, 皮膚欠損部は両側Gracilis muscleによるM-C flapにて閉鎖するとともに膣壁の再建も行った。
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今山 修平, 樋口 理恵, 入来 敦, 宮岡 達也, 占部 治邦
1986 年 1 巻 p.
154-156
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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成人T細胞リンパ腫に観察されるPautrier's microabscessの表皮内における三次元分布を検討した。基底細胞層に侵入した個々のリンパ球が分裂・増殖した微小膿瘍へと移行する像は観察されず, 逆に, 膿瘍は基底の下層ですでに十分な大きさを示した。また, 乳頭がちぎれて表皮内に取り込まれるような像がしばしば観察された。
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佐井 嘉之, 大橋 勝, 名倉 宏
1986 年 1 巻 p.
157-162
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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有棘細胞癌における浸潤リンパ球について, モノクローナル抗体 (Leuシリーズ) を用いた酵素抗体間接法により, Tリンパ球のサブセットの検索を行った。腫瘍局所に浸潤する細胞はTリンパ球が主体であり, 浸潤単核細胞の半数以上を占めていた。浸潤するリンパ球のサブセットは, 腫瘍内では腫瘍内に細胞浸潤が認められた7例全例に,腫瘍周囲では9例中7例においてLeu 2a (Tc/s) 陽性細胞が優位であった。また, Leu3a/Leu2a比で検討すると, 腫瘍内では全例1未満を示し, 腫瘍周囲に比し低い値, すなわちLeu 2a (Tc/s) 陽性細胞の割合が腫瘍周囲のそれより多い傾向があった。Leu7陽性細胞の比率は, 正常人血中レベル範囲内であり, 一定の傾向は認められなかった。以上より, Leu 2a陽性細胞すなわち, cytotoxic/suppressor T-cellが腫瘍細胞の排除機構と関わりのあることが示唆された。
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越智 敬三, 久本 和夫, 原 紀正, 横田 忠明, 藤田 英輔
1986 年 1 巻 p.
163-165
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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82歳, 男子の左耳前部の再発性紅色有茎性腫瘤 (35×33×40mm) を切除し, 組織学的, 酵素および免疫組織化学的ならびに電顕的に検討した。表層より真皮深層にかけて, 分裂像および異形性に富んだ核ならびに棘突起を有する腫瘍細胞が索状, 塊状に増生し, 多数の小管腔様構造を認めた。胞体は, 一部でPAS強陽性 (ジアスターゼ活化性) , succinate dehydrogenase強陽性, 一部でacid phosphatase弱陽性, β-glucuranidase陰性でeccrine腺由来が示唆されたが, 小管腔様構造部も含めてCEAは陰性で, 電顕でも小管腔様構造の内腔に面してvilliを認めなかった。
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高橋 秀東, 大見 尚, 植田 時司, 上野 賢一
1986 年 1 巻 p.
166-169
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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60歳女性の頭部に生じ, 組織学的に強いsegregationを示した腫瘤で, 酵素組織化学的検索は行っていないが, 電顕的に核周囲の豊富なミトコンドリア, ミトコンドリア内顆粒, 特異なdense body, β型糖原などが認められたことにより, eccrine ductocarcinomaと思われた症例を報告する。
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佐野 豊, 菅原 光雄, 伊藤 泉
1986 年 1 巻 p.
170-174
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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男性の外陰Paget病の3例に, 切除組織全般にわたって, mappingを施行した。その結果, Paget細胞は皮膚表面で複雑な分布をしていた。この結果, 肉眼的腫瘍辺縁は切除範囲の決定にあまり参考とならないため, 肉眼的辺縁より3~5cm離して切除することが望ましいことが判明した。しかし肛門近くに浸潤がある場合には, 術前に綿密る生検を行うことで, 不必要な切除を避けることも可能であるかもしれないことが示唆された。
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赤井 昭, 佐野 宗明
1986 年 1 巻 p.
175-178
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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57歳男。30歳ころから膿瘍性穿掘性慢性膿皮症に罹患しており, 臀部広範囲に瘢痕, 瘻孔が存在する。1年来肛門の周囲が硬化し, 外方へ腫瘤を形成するとともに, 肛門は伸展性を失い, ついに腸閉塞の状態となったために来院した。この増殖性病変は病理組織学的に肛門癌, 分類上は肛門腺由来の腺癌であった。Miles氏手術に放射線ならびに化学療法を併用し1年半後の現在, 経過良好。
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浅井 ひとみ, 瀬戸山 充, 下川 優子, 田代 正昭
1986 年 1 巻 p.
179-183
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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昭和47年から昭和59年までの13年間に鹿児島大学皮膚科学教室で経験した転移性皮膚癌14症例を集計した。その原発巣, 臨床像, 組織像, 予後などを検討し, 次のような結果を得た。
1) 皮膚科外来患者に対する転移性皮膚癌の頻度は0.033%であった。2) 原発巣は肺が4例でもっとも多く, 次いで胃3例, 乳房2例の順であった。3) 臨床像は結節を呈する症例が12例で圧倒的に多く, 4) 組織像は腺癌が7例でもっとも多かった。5) 原発巣の治療後より皮膚転移までの期間は平均10.8カ月で, 1年以内が83%を占めた。6) 皮膚転移後死亡までの期間は平均4.3カ月で, 6カ月以内が78%, 1年以内が89%であった。
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鳥山 史, 藤田 和夫, 山城 一純, 宿輪 哲生, 堀 真
1986 年 1 巻 p.
184-188
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
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症例は81歳男性. くるみ大までの皮下腫瘤が急速に多発。初診時転移性皮膚腫瘍, 悪性リンパ腫などを疑がったが, 光顕, 電顕, 免疫組織学的検索の結果, B細胞性びまん性リンパ腫大細胞型と診断した。種々の治療に抵抗し, 腫瘤の巨大化, リンパ節腫大, 大腿骨転移をきたし, 全経過約3カ月で死亡した。
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玉田 伸二, 榊 哲彦, 佐野 敏明, 檜澤 一夫
1986 年 1 巻 p.
189
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
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儘田 晃, 川田 暁, 近藤 靖児
1986 年 1 巻 p.
189a
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
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三原 公彦, 古林 修一, 宮岡 達也, 磯田 美登里, 林 紀孝, 利谷 昭治
1986 年 1 巻 p.
190a
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
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相馬 良直, 染谷 通, 五十嵐 敦之, 飯島 正文, 斎田 俊明
1986 年 1 巻 p.
190
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
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天野 雅弘, 岡崎 直樹, 松中 成浩
1986 年 1 巻 p.
191a
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
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本多 朋仁, 藤井 義久, 高安 進
1986 年 1 巻 p.
191
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
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岩原 邦夫, 庄 国康, Y. HANTANYAPONG, 清原 明, 小川 秀興, 石田 康生
1986 年 1 巻 p.
192a
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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寺内 雅美, 見寺 絢子
1986 年 1 巻 p.
192
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
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稲田 修一, 功野 泰三, 浜田 光恵, 島本 順子
1986 年 1 巻 p.
193a
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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柏 尚裕, 森口 隆彦, 谷 太三郎
1986 年 1 巻 p.
193
発行日: 1986/08/31
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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