Skin Cancer
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20 巻, 3 号
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  • 石原 和之
    2005 年 20 巻 3 号 p. 234-248
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    日本皮膚悪性腫瘍学会・皮膚悪性腫瘍予後統計調査委員会, 厚生労働省がん研究助成金による悪性黒色腫研究班, 皮膚がん予後統計調査研究所により皮膚悪性腫瘍の統計調査が系統的に施行されている。統計調査の目的は本邦における皮膚悪性腫瘍の発生数について全国アンケートを行い, 経時的に増減の有無を検討することと, 施設を選んで各腫瘍の詳細なるケースカードを記入し, 疫学と予後因子ならびに生存率を経時的に検討することである。対象とした腫瘍はほぼ全域に及んでいるが, 主な癌前駆症も検討に加えている。以上により, 本邦の皮膚悪性腫瘍の現状を, 経時的に把握出来るだけでなく, 予後因子や治療の改善の有無も検討可能である。統計調査は診断と治療の向上についても役立つ事と考えられる。また今回は特に悪性黒色腫について, 詳細に検討を行った。
  • 米良 ゆかり, 中村 郁代, 寺崎 健治朗, 川畑 久, 金蔵 拓郎, 神崎 保
    2005 年 20 巻 3 号 p. 249-253
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    症例は78歳男性。7年前より慢性湿疹として近医皮膚科で加療されていたが, 2002年4月より紅皮症化すると共に前胸部・頸部・背部・頭部に脂漏性角化症が多発してきた。入院精査の結果, 多発大腸癌とlymphomatoid papulosisの合併が認められた。
  • 松永 亜紀子, 尾藤 利憲, 神田 えり子, 平岡 三奈, 正木 太朗, 福永 瑞穂, 岡 昌宏, 市橋 正光, 錦織 千佳子
    2005 年 20 巻 3 号 p. 254-258
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    菌状息肉症は一般に緩やかな経過をたどるとされているが, 臨床・組織学的に多くの亜型の存在が報告されている。今回, 潰瘍を伴う紅皮症を呈し, 急速に病状が進行した59歳, 女性の皮膚T細胞リンパ腫の1例を経験した。経過中に, 自然消退する小結節の多発もみられ, 病理組織学的にリンパ腫様丘疹症の合併と診断した。PUVA療法やIFN-γ投与により, 症状は一時寛解しかけたが, 再び増悪, 化学療法を施行する間もなく, 初診より7ヵ月で死に至った。診断・治療に苦慮したが, 最終的に菌状息肉症の予後不良な型, もしくは従来の皮膚リンパ腫分類の範疇にない多発潰瘍と紅皮症を呈する皮膚T細胞リンパ腫の可能性を考えた。
  • 中尾 由絵, 森山 ゆうき, 河原 亜紀子, 伊藤 正俊, 大西 泰彦, 荻原 朝彦, 吉田 正己
    2005 年 20 巻 3 号 p. 259-263
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    症例は75歳, 女性。腹部の皮下腫瘤と上口唇の潰瘍を主訴に受診した。既往歴として, 10年前に胃B細胞リンパ腫があり, 胃亜全摘術および化学療法を施行され, 以後, 寛解していた。腹部皮下腫瘤の組織学的所見は真皮内に異型なB細胞が増殖しており, diffuse large Bcell lymphomaと考えられた。Tunnel法では一部の腫瘍細胞にアポトーシスを認めた。NestedPCR法では, 皮膚と胃の両者とも免疫グロブリンH鎖再構成を認めなかった。自験例は胃B細胞リンパ腫が皮膚に転移した可能性とB細胞リンパ腫が胃と皮膚に時間を経て生じた可能性を考えた。しかし, 胃の手術痕近くに皮膚リンパ腫を生じたこと, 皮膚ではB細胞リンパ腫が少ないことから前者が強く疑われた。なお, 口唇の組織学的所見は有棘細胞癌であった。
  • センチネルリンパ節転移陽性例の郭清はどこまですべきか?
    堤田 新, 山本 有平, 古川 洋志, 杉原 平樹, 吉田 哲憲
    2005 年 20 巻 3 号 p. 264-267
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    メラノーマにおけるセンチネルリンパ節転移陽性例ではリンパ節郭清を行うことが一般的である。しかし鼠径リンパ節転移の場合, 鼠径リンパ節と骨盤内リンパ節郭清radical groin dissection (RGD) を行うか, 鼠径リンパ節郭清のみsuperficial groin dissection (SGD) を行うかは施設により意見が分かれていると思われる。当科における予防的リンパ節郭清でのリンパ節転移陽性例あるいはセンチネルリンパ節転移陽性例, すなわちリンパ節微小転移例で, RGD施行群とSGD施行群の生存率を比較したところ有意差は認めなかった。従って, センチネルリンパ節転移陽性例ではSGDにとどめてよいと考えたが, 1施設では症例数が少なく全国規模で検討すべきと思われた。
  • 河田 守弘, 渡辺 大輔, 玉田 康彦, 松本 義也, 住田 秀介, 佐藤 啓二, 横尾 和久, 小沢 広明, 原 一夫
    2005 年 20 巻 3 号 p. 268-272
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    66歳男性。約5~6年前より右前胸部に皮下腫瘤が存在するも放置していた。約1年半前より腫瘤が増大したため近医受診し, 精査加療目的に平成15年8月当科紹介受診した。初診時, 右肩前面から前胸部にかけて大きさ17×10×7cmの境界明瞭で比較的可動性良好な皮下腫瘤を認め,腫瘤外側にカリフラワー状に突出する15×13×7cmの潰瘍を伴う腫瘤がみられた。腫瘍辺縁より2cm離して広範切除術, 肩甲皮弁術, 遊離植皮術を施行した。全摘標本にて比較的一様な紡錐形細胞がcart-wheel patternを呈して増生する隆起性皮膚線維肉腫の部分とherringbone patternを示す線維肉腫様の部分を認めた。免疫組織染色ではDFSP部では強くCD34陽性であったが, 線維肉腫様病変部では弱く染色された。細胞遺伝学的検索でCOL1A1-PDGFB融合遺伝子が確認されたことから線維肉腫様病変を伴う隆起性皮膚線維肉腫と診断した。
  • 皿山 泰子, 清水 秀樹, 足立 厚子, 長江 利幸, 林 一弘, 村尾 聡美, 村田 洋三, 熊野 公子, 安尾 健作, 小川 豊
    2005 年 20 巻 3 号 p. 273-277
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    60歳, 男性。初診の約1年前より右踵部の灰褐色調色素斑に気付くも放置していたところ, びらんと腫瘤が出現し, 2003年3月紹介受診。悪性黒色腫と診断し, 同年5月原発巣切除術, 6月右鼠径部リンパ節郭清を施行したが, 所属リンパ節に転移は認めずpT4bN0M0, stage II Cと診断した。しかし郭清術後不穏状態が出現したため, 頭部MRI施行したところ脳内に多数の転移巣を認めた。7月脳転移巣に対し30Gyの全脳照射を施行後, 転移巣は著明に縮小傾向を示し, 残存する病巣に対し8月, 最大線量50Gy・辺縁線量25Gyにてガンマナイフ治療を追加した。さらにDAC-Tam療法3クール終了後の2004年12月現在, 頭部MRI像で明らかな病巣を認めない。悪性黒色腫の多発脳転移は従来治療抵抗性とされていたが, 自験例では全脳照射とガンマナイフの併用が奏効したため, 放射線照射は試みるべき治療法の一つであると考えた。
  • 小西 研史, 薄木 晶子, 藤井 公男, 大郷 典子, 小林 裕之, 白根 博文
    2005 年 20 巻 3 号 p. 278-281
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    64歳男性。8ヵ月前から肛門周囲の皮疹に気付き, 徐々に増大するため当科受診。肛門周囲に全周性に表面疵贅状の不整形紅色局面を認めた。生検の結果, 表皮内に胞体の明るい大型の異型細胞が腺様構造をとって増殖していた。全身精査で, 肛門管部に小ポリープを認め生検の結果高分化型腺癌であった。この時点では, 臨床所見等より皮膚原発Paget病と肛門管癌との重複癌と判断し, それぞれ皮膚悪性腫瘍切除術および肛門管ポリープ切除術を施行した。 約1年後肛門管癌の局所再発と右鼠径リンパ節転移を来したため, 直腸離断術, 人工肛門造設術, 所属リンパ節郭清術, 放射線療法を施行した。病理組織学的に腫瘍細胞は粘膜から皮膚側へ連続して浸潤していた。又, 免疫組織化学染色にて腫瘍細胞はCK20陽性, GCDFP15陰性であった。以上からPaget現象を伴った肛門管癌と最終的に診断し, 皮膚原発Paget病と鑑別した。
  • 新保 有佳里, 東 耕一郎, 池田 大助, 草壁 秀成, 清金 公裕
    2005 年 20 巻 3 号 p. 282-285
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Bowen病は1912年, Bowenが表皮内限局型有棘細胞増殖を示す例を前癌病変として発表したことに端を発するが, 本体は表皮内有棘細胞癌である。成長速度は緩徐で稀に自然消退を示すことがある。
    予後は悪くないが時に浸潤転移を来す。今回我々は30年来の病変に自然消退傾向を認めたBowen病の1例を経験したので, 若干の考察を加えて報告する。
  • 石川 博士, 宿輪 哲生
    2005 年 20 巻 3 号 p. 286-290
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    77歳女性。平成15年8月末より左頬に紅色腫瘤が出現し急速に増大, 3ヵ月後に来院した。初診時, 有茎性のドーム状に隆起する20×15mmの肉芽腫様紅色腫瘤を認めた。一部を生検し, 組織学的に好酸性の細胞質を有する大型のclear cellが増殖し, ジアスターゼ消化性PAS陽性で, 腫瘍辺縁には日光角化症の所見がみられた。皮膚生検より1ヵ月後, 腫瘤は30×25mmに増大し, 拡大手術時の標本で組織学的にclear cellは消失し, 好酸性の腫瘍細胞が増殖して, PAS染色は陰性で, 高分化型の有棘細胞癌の像を呈していた。本症例は日光角化症を発生母地とし, 生検時にはmalignant trichilemmoma, 手術時には高分化型squamous cell carcinoma (SCC) の組織像を呈しており, 日光角化症を母地として経過中に外毛根鞘癌の組織像を呈したSCCと考えた。
  • 武石 恵美子, 土居 剛士, 佐藤 伸一, 廣瀬 寮二
    2005 年 20 巻 3 号 p. 291-295
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    基底細胞癌 (BCC) の術後フオローアップ期間に関して統一された見解はない。
    長崎大学皮膚科ではBCC症例全例に術後3ヵ月毎2年間のフォローアップを施行している。2000年7月~2003年5月までの全BCC症例74例中, フォローアップ完了症例は40例 (54.9%) , 中断症例は18例 (24.3%) であった。フォローアップ中断例の方が平均年齢が高く (65.8歳対71.7歳) , 女性が多く, 居住地から当院まで遠距離 (10km圏外) のものが多い傾向にあった。2例 (2.7%) に再発を認め, 再発までの期間は術後8ヵ月と3年9ヵ月であった。自験再発例と海外文献に基づき検討した結果, ハイリスク症例 ((1) 再発症例 (2) 組織型はinfiltrative type, morpheic type, micronodular type (3) 臨床境界不明瞭のいずれかに該当する症例) では術後5年間のフオローアップが望ましいと考えた。
  • 中川 雄仁, 猪口 奈緒子, 松村 由美, 是枝 哲, 宮地 良樹
    2005 年 20 巻 3 号 p. 296-300
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    49歳, 男性。以前より左前腕の黒色斑に気付いていたが, 隆起してきたため当科受診。13×10mmの境界明瞭・色調均一な黒色結節。表面は疵贅様・角化性で, 鱗屑・痂皮を伴った。腫瘍辺縁から5mm離して切除生検を施行。病理組織では, 表皮は乳頭状に過形成が顕著で, 角質増生も認めた。表皮~真皮網状層には類上皮細胞様の異型メラノサイトが胞巣を形成して不規則に増殖していた。以上の臨床所見・病理所見より, verrucous-keratotic malignant melanoma (nodular type) と診断。左腋窩sentinel node biopsyおよび全身検索を行い, pT3aN0(sn)M0, Stage IIAであった。腫瘍切除部から2cm離して筋膜を含めた拡大切除を施行後, DAV-Feron療法3クール終了し, 外来にて経過観察中である。
  • 藤沢 智美, 山中 新也, 清島 真理子, 小田 真喜子
    2005 年 20 巻 3 号 p. 301-305
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    62歳, 2002年3月肛門部左側の紅色易出血性腫瘤に気づいた。その後徐々に増大。2003年1月当科初診。肛門部3時の部位の皮膚に4×3×2cmの弾性硬の腫瘤があり, 左鼠径部リンパ節を2個触知した。自発痛, 圧痛は無かった。皮膚生検, 左鼠径リンパ節生検よりeccrine porocarcinomaと診断し, 腫瘍切除術および左鼠径部リンパ節郭清術を行い, その後FECOM (CBDCA, EPIR, MMC, 5-FU, VCR) を3クール行った。その時点では画像所見, ガリウムシンチで遠隔転移巣は検出されなかった。しかし, 3ヵ月後に胸部CTで肺に多発性の腫瘤影が見つかったため, さらにFECOMを3クール追加し計6クール行った。肺転移の腫瘍はno change (NC) であった。しかし手術より1年後右鼠径部に直径3cmのリンパ節転移がみられたためドセタキセルweekly療法に変更した。肺転移の増加, 増大は抑えられているが, 左恥骨転移が新たに検出された。その後もドセタキセルweekly療法を続行している。
  • 土屋 和夫, 竹之内 辰也
    2005 年 20 巻 3 号 p. 306-310
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    リンパ節転移を認めたeccrine porocarcinoma (EPC) 3例について検討した。症例1:86歳, 女性。1年前に出現した左下腿の径25mmの腫瘤を全切除。術後1年で左鼠径~総腸骨リンパ節に転移が出現。放射線療法で奏効が得られ, 現在経過観察中。症例2:83歳, 男性。近医で右胸部の径16mmの腫瘤を切除され, その4年後に右腋窩リンパ節, 右腋窩~胸部皮膚転移が出現し当科受診。放射線療法を開始したが, 約1ヵ月後に癌性胸膜炎で死亡。症例3:78歳, 男性。10年来の右腰部の径25mmの腫瘤と右鼠径部リンパ節腫大を主訴に当科受診。腫瘤全切除, 右鼠径郭清術を施行。現在経過観察中。1999~2004年までに当科で経験したEPCは前述の3例を含め8例であり, 高率にリンパ節転移が認められた。一般的に化学療法の有効性が乏しく, 高齢の患者が多いことを考慮すると, 放射線療法は有力な治療の選択肢になりうると思われた。
  • 山田 瑞貴, 藤本 晃英, 竹原 和彦, 八田 尚人
    2005 年 20 巻 3 号 p. 311-317
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    最近16年間に当科で治療した乳房外Paget病55例について, 臨床的統計および予後の検討を行った。平均年齢は70.8歳, 男女比は2.9対1, 発生部位は外陰部が50例, 肛囲が3例, 下腹部1例, 腋窩4例であった。他臓器癌を合併したものは12.7%で, 表皮内癌は49%であった。リンパ節転移は18%に認められた。局所再発は7%に生じた。原病死は7例, 13%であった。原発巣に結節があるもの, 組織学的にT3以上のものは予後が不良であった。
  • 前田 学, 永井 美貴, 藤沢 智美, 日置 加奈, 山崎 隆治, 岩田 仁
    2005 年 20 巻 3 号 p. 318-322
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    症例は39歳主婦, 3~4年前より下腹部 (右) に皮下硬結の存在に気づいたが, 何ら自覚症状のないために放置していた。最近, 除々に増大し, 3ヵ月前より自発痛を来したので, 2003年7月17日に当科受診した。既往歴には特記すべきことなく, 家族歴では母が58歳時に脳出血で死亡している。初診時に右下腹部に径8cmと径5cmの2個のドーム状隆起性腫瘤を認め, 表面は淡紅褐色調を呈していたが, 波動は触れなかった。2個の病変部から各々皮膚生検を施行したが, 両者共真皮深層から皮下組織にかけてstoriform patternを示すspindle cellの増殖を認め, 核分裂像も散見され, 特殊染色ではビメンチン, CD34陽性で, C-kit, S-100やNSEは陰性であったことより隆起性皮膚線維肉腫 (DFSP) を考えた。同年8月1日MRIにて子宮部に多発性腫瘍巣が認められたために9月11日に子宮全摘出術を施行, 病理組織学的に子宮筋腫と診断された。9月30日2個の腫瘍部を5cm離して一塊に全摘出し, 下部は筋膜を含めて切除後, メッシュ植皮を行った。その後, イフォオマイドとアドリアマイシンによる化学療法を3クール施行後, 10ヵ月を経過するが, 現在再発はない。
  • 山中 新也, 藤沢 智美, 清島 真理子, 小田 真喜子
    2005 年 20 巻 3 号 p. 323-328
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    76歳女性。子宮癌のため子宮全摘術の既往あり。10年前より右下肢に浮腫が出現していた。初診の2週間前, 右下肢に直径約5mmの紫紅色小結節に気づき, その後急速に増加。右下肢全体に無数の結節がみられるようになった。病理組織では真皮内に不規則な小血管構造を有する異型性の強い腫瘍細胞巣がみられた。Stewart-Treves症候群と診断し, 放射線照射, インターロイキン2およびドセタキセルの静脈内投与を行った。放射線照射とドセタキセルの併用でpartial response (PR) の奏効度を示した。治療により一旦軽快したものの, その後, 腹部,臀部, 反対側下肢に小結節が増加し, 初診から約1年後に死亡した。Stewart-Treves症候群を含めた血管肉腫は予後が極めて不良であり, 患者のQOLを考慮した治療の選択が必要であり, 今後標準化したプロトコールの確立, 新薬の開発が望まれる。
  • 牧野 英一, 笹江 舞子, 笹岡 俊輔, 稲沖 真, 藤本 亘, 平塚 純一
    2005 年 20 巻 3 号 p. 329-333
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    症例は84歳女性。右下顎部に半球状に隆起する紅色腫瘤を認め, 病理組織では真皮上層から皮下脂肪織にかけて結節状に増殖する腫瘍細胞を認めた。腫瘍細胞は小型で細胞質に乏しくCK20染色陽性で, 電顕像にて細胞質辺縁に電子密度の高い顆粒 (dense core granule) を認めた。メルケル細胞癌と診断し, 放射線単独治療を施行した。6MeVの電子線にて総線量48Gyを照射したところ2ヵ月後には腫瘍は完全に消失した。その後明らかな再発・転移は認めていない。メルケル細胞癌は放射線感受性が高い腫瘍であり以前より放射線単独治療の有効性が指摘されている。本邦において放射線単独治療を施行された11例のメルケル細胞癌につき検討したところ, 6例に関しては観察期間中明らかな再発・転移を認めなかった。これら6症例には腫瘍長径が3センチ以下と比較的小型で, 初診時に所属リンパ節転移を認めていない, という共通した特徴があった。
  • 中尾 由絵, 大橋 則夫, 関東 裕美, 伊藤 正俊, 吉田 正己
    2005 年 20 巻 3 号 p. 334-337
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    66歳, 女性。初診の約5年前より全身に自覚症状のない赤色の丘疹を生じていた。また, 個疹は軽快増悪を繰り返すも10日間前後で自然消失していた。しかし, 次第に消失するまでの期間が延長し, 数ヵ月間かかるようになった。組織学的には真皮上層から中層にかけて稠密な細胞浸潤を認め, それらはクロマチンに富み大型の核を有する異型細胞であり, CD30染色が陽性であった。臨床経過および組織学的所見を合わせlymphomatoid papulosisと診断した。今回, 悪性進行度の指標としてfascin染色を施行したところ, 腫瘍細胞は陽性を示した。臨床経過の自然消失までの期間が延長していることもあり, 自験例は今後も注意深く経過観察する必要があると考えられた。
  • 熊切 正信, 清水 道生, 梅林 芳弘, 清原 隆宏, 山本 明美, 山元 修
    2005 年 20 巻 3 号 p. 338-341
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 2005 年 20 巻 3 号 p. 344-354
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 2005 年 20 巻 3 号 p. 355-366
    発行日: 2006/02/15
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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