Skin Cancer
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27 巻 , 1 号
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第27回日本皮膚悪性腫瘍学会
CPC
  • 平野 宏文, 峯村 徳哉, 長谷 哲男, 菅又 章, 芹澤 博美
    2012 年 27 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     80歳代,男性。初診1ヵ月前から,左上腕に皮下腫瘤を自覚し,増大してきたため当科受診した。初診時左上腕伸側に鶏卵大の弾性硬の皮下腫瘤あり。病理組織では境界明瞭な結節性病変で,紡錘形細胞の束状増殖と多形性増殖が認められた。免疫組織化学ではvimentin,CD10,CD31,VEGFR-1陽性,von Willebrand factor,CD34,EMA,D2-40,desmin,SMA,S-100蛋白,CD3,CD79a,CD68,MNF116陰性であった。病理組織像と免疫組織化学よりspindle cell angiosarcomaと診断した。
一般演題
  • 宿輪 哲生, 三根 義和, 田中 藤信, 伊東 正博
    2012 年 27 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     81歳,男性。2008年12月右こめかみに腫瘤が出現,増大,当科を受診した。2009年5月11日当科初診時,前額右に12×10 mmの紅色腫瘤を認めた。皮膚生検で組織学的に紡錘形または明るい胞体と核の異型性を伴う腫瘍細胞が真皮内に増殖し,多核細胞や壊死もみられた。免疫組織化学で腫瘍細胞はCD68陽性,CD34,AE1/AE3,s-100,α-SMA陰性,Ki67陽性率は24.6%であった。Atypical fibroxanthomaと診断し,6月23日に拡大切除を施行した。2010年2月より右耳前部の皮下硬結が出現し増大,3月18日のMRIで皮下深部に20×16 mmの硬結を指摘された。3月30日に右耳下腺切除を施行,組織学的に耳下腺内リンパ節に右こめかみの腫瘤と類似の組織所見を示す腫瘍巣を認めた。
  • 柳沢 曜, 黒川 正人, 川崎 雅人, 岩山 隆憲, 長谷川 弘毅, 古倉 浩次, 東郷 容和, 塚本 吉胤
    2012 年 27 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     75歳,男性。1年前より自覚した右腋窩皮膚腫瘍に対して近医で生検術を施行され,腎細胞癌皮膚転移の診断で加療目的に当院紹介受診した。精査により原発巣と考えられた右腎摘出術および,右腋窩皮膚腫瘍切除術を施行した。病理組織検査により腎細胞癌および,皮膚転移と診断した。術後1ヵ月頃より右耳後部の腫脹に気付き,精査によりワルチン腫瘍を疑われた。初回手術の6ヵ月後に右耳下腺腫瘍核出術を実施し,腎細胞癌耳下腺内リンパ節転移と診断した。腫瘍の残存が疑われた部位があり,耳下腺浅葉摘出術を追加した。初回手術の9ヵ月後に左腎および左副腎への多発転移を認め,分子標的薬治療を開始した。初回術後1年9ヵ月の時点で,分子標的薬治療を継続しているが,腋窩皮膚および耳下腺に再発は認めない。腎細胞癌の皮膚転移の頻度は比較的少なく,皮膚および耳下腺内リンパ節への多発転移の報告はなく,稀な症例と考えられる。
  • 越田 冴野, 藤原 美智子, 黒川 晃夫, 森脇 真一
    2012 年 27 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     58歳,女性。20代の頃よりWerner症候群と診断されていた。2005年頃から右足底に黒色斑を自覚し2006年8月当院を受診した。初診時右踵部に直径8×5 mm大の潰瘍を認め,その周辺に黒色から淡褐色の色素斑が存在した。RI検査では右踵骨,左大腿骨に腫瘍の浸潤像を認め,右踵部原発皮膚腫瘍の骨転移を疑った。MRIによる深達度は6 mmであり,臨床所見,画像所見から病理学的検査はしていないが悪性黒色腫と判断した。TNM分類PT4bN0M1a,Stage IVと診断した。Werner症候群により足底の皮膚萎縮が著明であったことより,切除術は行わず,インターフェロン(IFN)局注療法にて経過をみることとなった。以後週に1回IFN300万単位の局注を行っている。初診より4年半が経過した現在血中5SCDが10.4~16.6 nmol/lの間で高値を示してはいるが安定した推移を示しており,画像上新たな遠隔転移はみられてない。
  • 加藤 潤史, 高田 知明, 柳澤 健二, 肥田 時征, 米田 明弘, 小野 一郎, 山下 利春
    2012 年 27 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     2003年1月~2010年12月の8年間に札幌医科大学皮膚科で診療した悪性黒色腫のうち,手術時に転移を認めず,術後経過観察中に転移が出現した56例について検討した。56例中,経過中に転移を認めた症例は7例で,リンパ節転移が4例,血行性の遠隔転移が3例であった。原発巣のTumor thickness(TT)の中央値は,リンパ行性転移が6.0 mm,直接血行性転移が2.9 mmであった。転移出現までの期間はリンパ行性転移が5~9ヵ月(平均7.5ヵ月)であったのに対し,血行性転移が11~40ヵ月(平均29ヵ月)であった。血行性転移は出現までの期間が長く,リンパ節転移の有無に関わらず,術後3年以上のフォローが必要であることが示唆される。
  • 武石 恵美子, 廣瀬 寮二
    2012 年 27 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     佐世保市立総合病院皮膚科,長崎市立市民病院皮膚科を受診した踵加重部悪性黒色腫19例と踵部を除く足底部悪性黒色腫19例を比較検討した。Patient delayはいずれも中央値36ヵ月で,踵部平均腫瘍サイズは414 mm2,足底部平均は272 mm2で踵部がより大型であった。疾患認識がある踵部症例は,腫瘍長径10 mm未満が5例中4例(80%)で全例tumor thickness(TT)1 mm未満であった。疾患認識がない場合,径10 mm未満が14例中1例(7.1%),TT 1 mm未満は4例(28.6%)のみであった。踵部は疾患認識がない場合「しみ」「よごれ」と思い放置し,隆起後に削皮等を行った症例があった。疾患認識があれば踵部・足底部とも早期に受診しているため,さらなる啓発活動を行うとともに,踵部は消えないしみ・よごれに注意し,安易な削皮・処置を避けるよう医療者を含め注意喚起する必要があると考えた。
  • 松本 玲子, 神保 晴紀, 小倉 香奈子, 池田 哲哉, 清水 秀樹, 澄川 康祐, 木村 鉄宣, 錦織 千佳子
    2012 年 27 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     50歳,女性。3年前より右後頭部に自発痛・脱毛斑を伴う小結節が出現し,増大した。病理組織学的にアポクリンへの分化を有する腺癌を認め,免疫染色ではCK7陽性かつCK20陰性,ER,PR,ARはすべて陽性,GCDFP-15陽性,p63陰性,D2-40陰性を示した。PETを含む全身検索では乳癌を含む他臓器癌を認めず,皮膚に原発したアポクリン腺癌と診断した。後頭部病変を拡大切除し1年経過したが,再発や転移は認めていない。皮膚原発アポクリン腺癌は乳癌の皮膚転移と病理組織学上鑑別困難であるため,最終的に臨床経過で診断するに至った。
  • 市之川 悠子, 比留間 翠, 町田 裕子, 舟串 直子, 貞政 裕子, 比留間 政太郎, 松本 俊治
    2012 年 27 巻 1 号 p. 48-51
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     69歳,女性,主婦。現病歴は,3ヵ月前より左第3指背側のびらんを自覚し,近医でステロイド外用,液体窒素施行するも改善乏しく,紹介受診。現症は,左第3指PIP関節背面に,10×12 mm大,淡紅色,中央がやや陥凹する小豆大の結節が塊状に癒合する腫瘤。肘窩,腋窩のリンパ節は触知せず。病理組織像は,表皮は一部腫瘍の浸潤を認め,真皮全層に索状あるいは不整な腺腔を形成する細胞の浸潤像を認めた。細胞は異型が強く,異常核分裂像や微小な壊死が散見された。以上よりsyringomatous carcinomaと診断,5 mm離し全切除,植皮術を施行。1990年,AbenozaとAckermanは,汗管,汗腔構造を呈する皮膚悪性腫瘍をsyringomatous carcinomaとして一括することを提唱した。本邦では17例目で,本症の特徴は,比較的緩徐な増殖傾向があり,局所破壊的に浸潤するといわれている。
  • 小原 勇気, 水谷 建太郎, 秋田 洋一, 玉田 康彦, 渡辺 大輔
    2012 年 27 巻 1 号 p. 52-55
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     83歳,男性。数年前より背部に黒色腫瘤があり徐々に拡大した。腫瘍の中央にはびらんを伴い辺縁には一部しみだし様の褐色斑がみられた。またダーモスコピー所見では腫瘍に不規則な黒色色素沈着やblue-whitish veil,不規則な血管を認めたため,悪性黒色腫を疑って全摘した。病理組織像はBasaloid cellの胞巣状の増生がみられ,また腫瘍胞巣の辺縁にはpalisadingを認め基底細胞癌の像であった。腫瘍の辺縁ではBasaloid cellの腫瘍性増殖に伴ってメラノサイトも増加しており,メラニン産生像もみられた。術前の血清5-S-CD値は44.3 nmol/lと高値であったが,切除後2週間後に半減し2ヵ月後には16.7 nmol/lと減少した。5-S-CD高値をきたすその他の原因となる要素も認められなかったため,5-S-CD値の上昇は背部基底細胞癌でのメラニン産生によるものと考えた。
  • 中村 裕之, 泉 健太郎, 八百坂 遵
    2012 年 27 巻 1 号 p. 56-59
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     症例1:82歳,女性。初診の2年前から痛痒い感覚が持続していた。初診時肛門左側に40×25 mm大のやや紅い黒色調局面が存在した。症例2:63歳,女性。項部の基底細胞癌加療後,肛囲の皮疹について診察依頼があった。発症時期は不明だが,2,3ヵ月前から排便時出血を認めるようになった。肛門左側に10×8 mm大の蝋様光沢を有する黒色局面が存在した。いずれの症例も病理組織学的に基底細胞癌と診断し,単純切除・縫縮を行った。肛囲は基底細胞癌発生部位としては比較的稀なのでその特徴について文献的考察を行った。
  • 中村 元樹, 加藤 裕史, 渡辺 正一, 森田 明理
    2012 年 27 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     55歳,男性。45歳時より統合失調症にて他院精神科通院加療中。20年程前より上口唇に常色の結節を自覚。放置していたが徐々に増大するため他院皮膚科を受診し,皮膚生検にてmucoepidermoid carcinomaと診断されたため当科紹介受診となった。当院初診時には上口唇ほぼ中央に20×17 mm大,常色の硬い結節を認めた。画像検査にて明らかな転移を認めなかった。5 mmマージンで上口唇を全層性に切除し,左右からのdouble advancement flapで再建を行った。術後9ヵ月経た現在まで腫瘍の再発・転移は認めていない。
  • 山尾 健, 古川 洋志, 林 利彦, 小浦場 祥夫, 本田 耕一, 山本 有平
    2012 年 27 巻 1 号 p. 64-66
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     72歳,男性。30歳頃から両下腿静脈うっ滞性潰瘍に対し,他院循環器外科にて加療されていた。1年前頃より左下腿潰瘍部が隆起し,剥削術を施行したが再度隆起してきたため,前医形成外科を受診。生検にて悪性腫瘍を疑い当科紹介。初診日の夜に自宅で動脈性出血による出血性ショックとなり救急車で近医に搬送。全身状態改善後,当科へ転院搬送となった。入院時,左下腿2/3周を占拠する25×15 cmの腫瘤,同側鼠径リンパ節の腫脹を認めた。入院後も腫瘍より動脈性出血を認めた。腫瘍の切除と出血の制御目的で大腿切断を行った。有棘細胞癌の病理診断であった。Foot careに携わる診療科の中で,皮膚悪性腫瘍の診断・治療も行うことのできる形成外科・皮膚科は,慢性創傷が悪性腫瘍の発生母地となる点や生検の重要性を啓蒙していく立場にあると考えられる。
  • 宮野 恭平, 難波 純英, 新井 康介, 田嶋 沙織, 土屋 沙緒, 新井 栄一, 中村 晃一郎, 倉持 朗, 市岡 滋, 土田 哲也
    2012 年 27 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     61歳,男性。30歳時に高所落下にて脊髄損傷(Th10),両股関節は拘縮し,寝たきりの状態となった。38歳時,左大転子部に褥瘡・皮下膿瘍を形成,その後も繰り返していた。60歳時に再び同部位に皮下膿瘍を形成したため,皮膚生検施行,有棘細胞癌と診断した。画像検査にて多臓器浸潤はみられず左股関節離断術を施行した。腫瘍は寛骨臼まで浸潤していた。腫瘍は残存したが,創部落ち着いたため退院した。術後5ヵ月にL4骨転移に対し疼痛緩和目的に放射線30 Gy照射施行した。術後10ヵ月,血尿と意識障害が出現。尿路浸潤による急性腎不全にて永眠された。
  • 黒川 正人, 柳沢 曜, 川崎 雅人, 岩山 隆憲, 長谷川 弘毅
    2012 年 27 巻 1 号 p. 72-77
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     良性皮膚腫瘍と診断して,切除後の病理組織学的検査にて悪性と診断された場合や,悪性腫瘍切除後に断端が陽性であった場合には再切除が必要となる。初期治療で単純縫縮を行った場合は,一般的にその縫合線から水平方向に安全域と考えられる距離を離して再切除が行われているのではなかろうか。しかし,この方法では垂直方向の安全域は確保できているのかが問題である。我々は縫合部瘢痕を一旦哆開させて,初回手術の腫瘍切除時と同じ状態に戻した後,腫瘍が存在した部位から水平方向に安全域を離して皮膚切開を加える。垂直方向は皮膚切開線から垂直に安全と考えられる深さまで切開する。そこで,皮膚および皮下脂肪織や筋膜も一塊として切除する。この方法では深部の取り残しが少なく有効と考えられる。
  • 丸山 陽子, 元村 尚嗣
    2012 年 27 巻 1 号 p. 78-82
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     鼠径リンパ節郭清手術は,下肢や臍の高さ以下の躯幹に発生した皮膚悪性腫瘍のリンパ行性の腫瘍転移ならびに予防的な治療を目的として行われている。鼠径部のリンパ節の解剖が明らかになり,郭清範囲は標準化されたが,皮膚切開デザインや挙上layerについては,いまだ確立されていない。
     我々は鼠径部リンパ節郭清を要した皮膚悪性腫瘍3例に対してICG蛍光ガイド下に皮弁挙上を行い,より確実なリンパ節郭清を試みた。しかし,術後合併症として全例で皮弁壊死を認めた。ICG蛍光ガイド下鼠径部リンパ節郭清は,腫瘍学的には確実な方法であるが,創傷治癒の観点からは皮膚切開デザインの検討が必要であると考える。
  • 持田 耕介, 天野 正宏, 堀川 永子, 石井 千寸, 瀬戸山 充
    2012 年 27 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     43歳,女性。2008年8月から左肘部外側に紅色結節を自覚。直近の約1ヵ月間で増大あるため,当科初診。左肘部外側に2×3 cmで広基性の紅色腫瘤を認め,生検にてメルケル細胞癌の診断。FDG-PETで明らかな遠隔転移を認めず,MRIにて病変は皮膚から脂肪組織までの浸潤を認めた。治療は腫瘍辺縁から2 cm離し,下床は固有筋膜をつけて切除,分層植皮術を行った。左腋窩センチネルリンパ節への転移はなく,病期分類はT2N0M0 Stage IIA。メルケル細胞癌ではセンチネルリンパ節転移陰性でも他の所属リンパ節への転移を生じる例があるとの報告もあり,また腫瘍の大きさが2 cm超であった事も考慮し,術後補助療法として左前腕原発巣から腋窩へX線4MV 2.2Gy 合計48.4Gyを照射し,化学療法として,CBDCA+VP-16 療法を施行した。術後2年8ヵ月経過するも局所再発および遠隔転移を認めていない。メルケル細胞癌の術後補助治療に対して文献的考察を加え報告する。
  • 松田 洋昌, 栗本 貴弘, 吉田 益喜, 川原 繁, 川田 暁
    2012 年 27 巻 1 号 p. 88-92
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     症例は72歳,男性。1年前から右下腹部に紅褐色局面が出現し,徐々に増大したため近医を受診し外用治療していたが改善しないため,同医から紹介され当科を受診した。初診時右下腹部に,自覚症状を伴なわない34×65 mm大の,境界明瞭な紅褐色局面を認めた。一部に鱗屑・痂皮を伴なっていた。臨床的にBowen病を疑って生検した結果,表皮内に胞体の明るい大型の異型細胞が孤立性または胞巣を形成し増殖していた。Pagetoid Bowen病や乳房外Paget病,表在拡大型悪性黒色腫などを考え,免疫染色を行なった。胞体の明るい異型細胞はCEA染色,GCDFP-15染色が陽性で,S-100蛋白染色,HMG-45染色が陰性であったため自験例を乳房外Paget病と診断した。一般に乳房外Paget病は外陰部や腋窩に好発する。今回,比較的稀な部位である下腹部に孤立性に発生し,臨床的にBowen病と鑑別を要した1例を経験したので報告した。
  • 大橋 苑子, 爲政 大幾, 豊永 三恵子, 太田 安紀, 太田 馨, 上尾 礼子, 是枝 哲, 岡本 祐之
    2012 年 27 巻 1 号 p. 93-97
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     70歳,男性。当科初診の1年前より両下肢に浮腫が出現。2ヵ月前に左下肢蜂窩織炎で受診した際に,外陰部に紅斑と色素脱失斑を認めた。生検にてリンパ管の腫瘍塞栓像を伴う乳房外Paget病と診断した。初診時CEA値は23.2 ng/mlと高値であった。胸腹部CTとPET/CTでは転移を疑わせるリンパ節腫大や他臓器転移はみられなかったが,鼠径リンパ節生検で両側に転移を認めた。ドセタキセルによる化学療法にてCEA値が正常化し,腫瘍広汎切除と両鼠径リンパ節郭清を施行した。病理組織像では,腫瘍細胞が主として表皮内に胞巣を形成し,真皮への浸潤はごく一部のみであった。右鼠径部ではクロケットリンパ節まで転移を認めた。術後1年間外来通院でドセタキセルによる化学療法を継続した。術後1年の時点では再発転移を認めず,CEA値も正常範囲を維持している。本症例ではneoaduvant chemotherapyを含めたドセタキセルによる化学療法が有効であったと考えられた。
  • 水谷 建太郎, 石田 奈津子, 秋田 洋一, 渡辺 大輔
    2012 年 27 巻 1 号 p. 98-101
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     55歳,男性。右前胸部の黒色結節を主訴に受診。腫瘍の中央は潰瘍を形成し皮下に硬結を触知,辺縁には著明な黒色色素沈着がみられ臨床的に悪性黒色腫,基底細胞癌との鑑別を要した。全摘標本では腫瘍細胞が主に乳管にみられ,真皮には多数のメラノファージを認めた。表皮内には大型で胞体の明るいpaget細胞が胞巣を形成していた。腫瘍細胞はCK7,estrogen receptor,progesteron receptorが陽性,melanA,HMB45,S100は陰性であった。以上より男性に生じたPigmented mammary Paget’s diseaseと診断した。
  • 緒方 大, 吉川 周佐, 片岡 照貴, 清原 祥夫
    2012 年 27 巻 1 号 p. 102-106
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     2009年に改訂されたAJCC Melanoma Stagingでは遠隔転移の中でも肺転移はその他の臓器転移に比べ予後が良いことが示されている。今回我々は当施設で2003年3月から2010年12月までに加療した悪性黒色腫症例のうち初回遠隔転移臓器が肺単独であった11症例(3例は転移巣切除+切除後の化学療法施行,8例は化学療法のみ施行)について患者背景・DFI(disease free interval)・転移後OS(overall survival)を比較し,手術適応について考察した。結果は切除例 DFI中央値:31ヵ月,OS中央値:24ヵ月で2年全生存率:100%で,非切除例 DFI中央値:13ヵ月,OS中央値:11ヵ月,2年全生存率:0%であった。切除時の適応基準として術前のPS,DFI,転移個数,肺外転移の有無,完全切除の可否を検討し,転移巣切除を行うことで生存期間の延長が可能であると考えられた。
  • 西坂 尚大, 高田 知明, 柳澤 健二, 肥田 時征, Akihiro YONETA, 山下 利春, 坂田 耕一, 古畑 智久, 近藤 敦, ...
    2012 年 27 巻 1 号 p. 107-113
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/21
    ジャーナル 認証あり
     症例1:74歳,男性。鼻出血出現。上咽頭部に黒色腫瘍を認め,生検より悪性黒色腫と診断。手術を行わず,放射線治療を行った。その後,頸部リンパ節転移を認め,郭清術施行。化学療法を行った。郭清術後6年以上腫瘍再発や転移を認めていない。症例2:72歳,女性。直腸に悪性黒色腫出現。腹会陰式直腸離断術およびD3郭清を行うも7年後に構音障害出現。上咽頭部の転移性悪性黒色腫と診断し,放射線治療施行。速やかに病変の縮小を認めた。照射部の局所再発は認めていない。悪性黒色腫は放射線治療に抵抗性であることが知られており,放射線治療は症状緩和目的においてのみ行われている。しかし,強度変調放射線治療や陽子線治療など,近年の照射機器の向上により,正常組織を回避し,より高線量の放射線照射が可能になってきた。今後,悪性黒色腫の根治的治療の選択肢の一つとして放射線治療が用いられることが期待される。
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