Skin Cancer
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28 巻, 3 号
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第29回日本皮膚悪性腫瘍学会
シンポジウム2 皮膚リンパ腫の進展
一般演題
第29回日本皮膚悪性腫瘍学会
  • 宮川 史, 福本 隆也, 飯岡 弘至, 小川 浩平, 榎本 泰典, 浅田 秀夫
    2014 年 28 巻 3 号 p. 259-263
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    CD99は古典的にはEwing肉腫の特異的なマーカーであり,Ewing肉腫,未分化神経外胚葉性腫瘍(PNET)に特異的に反応するため診断に有用なマーカーとされていた。最近白血病,リンパ腫,滑膜肉腫,上衣腫など他の腫瘍でも陽性になることが分かってきた。我々は前腕の皮下腫瘤として生じた,CD99陽性の原発性皮膚未分化大細胞性リンパ腫の1例を経験した。組織学的に小円形細胞腫瘍の形態を示し,かつCD99陽性であったため末梢神経未分化神経外胚葉性腫瘍(pPNET)として前医より紹介されたが,免疫組織学的に検索し診断を確定できた。PNET,Ewing肉腫,リンパ腫などの小円形細胞腫瘍群は時に鑑別が難しく,本例のようにCD99も陽性の場合,間違った診断名に至る可能性がある。免疫組織学的に慎重に鑑別していく必要がある。
  • 占部 和敬, 加来 裕美子, 大野 文嵩, 和田 尚子, 原田 佳代, 中山 吉福, 桐生 美麿
    2014 年 28 巻 3 号 p. 264-267
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    22歳,女性。生下時より左肩から背部にかけて広範な色素性母斑あり。左肩の色素斑の中に小学生の頃に皮下結節出現。徐々に増大してきたため紹介受診。現症:左肩の色素斑の中に1.5 cm大の皮下結節あり。局所麻酔下に皮下結節を摘出した。病理組織学的に結節を作る細胞と周囲の母斑細胞との間に移行像がみられること,細胞の異型性は高度ではないこと,分裂像は少なく,異常核分裂像がみられないこと,壊死像がみられないこと,Ki-67陽性細胞が7%と高くないことが観察された。以上より先天性巨大色素性母斑に生じたproliferative noduleと診断した。術後1年6ヵ月経つが,再発,転移は認められていない。
  • 中川 浩一, 岡林 綾, 田口 麻莉, 大霜 智子, 清水 奈美, 木村 友香, 岸田 大, 下村 裕
    2014 年 28 巻 3 号 p. 268-273
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    家族性悪性黒色腫(FMM)の2家系を報告した。症例1:34歳,男性。父に眼球結膜の悪性黒色腫の既往がある。小学生時より,躯幹・四肢に大小の色素斑が多発した。最近,胸部の色素斑が拡大したため受診した。初診時,胸部に辺縁不整な15×18 mmの黒色斑を認めた。組織学的に胸部は悪性黒色腫(SSM),背部の色素斑の一部はdysplastic nevusと診断した(dysplastic nevus症候群)。症例2:63歳,女性。姉に足関節部の悪性黒色腫の既往がある。患者自身にも59歳時に左上腕の悪性黒色腫(SSM)の既往がある。下腹部に直径15 mmの黒色ドーム状の腫瘤を認めた。組織学的に悪性黒色腫(SSM)と診断した。本邦でのFMMの報告例とあわせて7家系を集計し文献的考察を加えた。また,第1例ではCDKN2A遺伝子とCDK4遺伝子を解析したが,どちらのgermline変異も同定されなかった。他の遺伝子異常によって悪性黒色腫が発生した可能性が示唆された。
  • 平林 恵, 帆足 俊彦, 中島 広子, 五十棲 健
    2014 年 28 巻 3 号 p. 274-278
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    70歳代,男性。2,3年前左足底に黒色斑が出現した。初診時,左足底母趾基部に20×18mm大の色調不均一な黒色斑があり,その近傍に小黒色斑を二つ有し,主病変の皮表は過角化を来たしていた。左鼠径部に固い皮下腫瘤を二つ触れ,PET-CTでは左鼠径リンパ節転移が疑われた。衛星病巣,左鼠径リンパ節転移を伴う左足底悪性黒色腫と診断し,原発巣,衛星病巣をマージン1~2 cmで切除した。右足底からの植皮で再建し,同時に左鼠径リンパ節郭清を行った。原発巣は足底腱膜を含めて切除したが,足底腱膜直上に腫瘍胞巣がみられたため,後日長母趾屈筋腱の上層を追加切除した。なお,左鼠径リンパ節は5/19で陽性であった。術後はDAV-feron療法を5クール行い,経過観察中であるが,初回手術20ヵ月後の現在,局所再発および遠隔転移を認めていない。手指足趾の同症では,深部マージンが問題となるが,自験例は母趾切断を行わずに必要最小限の切除にとどめている。
  • 山口 由佳, 清原 隆宏, 飯野 志郎, 吉田 正美
    2014 年 28 巻 3 号 p. 279-282
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    57歳,男性。左足底円蓋部内側縁に,5mm大で不整形のやや濃淡差のある黒色斑がある。病理組織学的に表皮は不規則に肥厚あるいは萎縮しており,真皮浅層には軽度の炎症細胞,メラニン色素がやや不規則に分布している。軽度の異型性を有する個別性メラノサイトが基底層から表皮中層まで不均一に増殖しているが,一部の表皮突起先端には少数の境界明瞭な胞巣を形成している。HE所見からは足底母斑かメラノーマかの鑑別は困難であったが,Fontana-Masson染色で皮溝部の角質中心に比較的規則的なやや幅広のメラニン柱が明らかとなり,足底母斑と診断した。自験例は部位特異性を有する足底母斑であり,なおかつ足底無毛部と有毛部との境界部付近に位置しているため,pseudomelanomaの特徴を有したと考えられた。掌蹠母斑は病理組織学的にメラノーマに類似する所見をとることがあることを認識するとともに,鑑別にはFontana-Masson染色が極めて有用であることが確認できた。
  • 小川 昭奈, 水谷 建太郎, 松本 義也, 秋田 洋一, 渡辺 大輔
    2014 年 28 巻 3 号 p. 283-286
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    68歳,男性。約4年前より臍部に紅斑あり。近医で皮膚生検施行され,Paget病疑いのため当科紹介受診。来院時,臍部に加えて,両腋窩,外陰部に紅斑がみられ,生検でいずれの病変においても表皮内に淡明な細胞質を有する腫瘍細胞の増生がみられた。造影CTにてリンパ節転移,遠隔転移を疑う所見はなく,全身麻酔下に病変の辺縁より1cm離して腫瘍を全摘した。切除標本の病理組織像では,臍部,両腋窩,陰部の病変で表皮内に淡明な細胞質を有する腫瘍細胞が胞巣状,腺腔形成性,あるいは孤在性に増生していた。腫瘍細胞はPAS染色陽性,CK7陽性,CK20陰性であり,乳房外Paget病と診断した。臍部を含めた4ヵ所以上に発生した乳房外Paget病は稀であるため,報告する。
  • 影山 葉月, 坂本 慶子, 鈴木 潮人, 後藤 圭吾, 鈴木 綾乃
    2014 年 28 巻 3 号 p. 287-291
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は43歳,女性。2年前から,左乳頭部に黒色色素斑,痂皮を認め除々に拡大したため当科を受診。左乳頭部に色調不均一な黒色調の色素性病変がみられた。ダーモスコピーでは,irregular blotches,regression structures,blue-white structures,irregular streaksなどの所見がみられた。Bowen病や色素性Paget病のほか,ダーモスコピー所見からは特に悪性黒色腫を強く疑い乳頭部の全切除術を施行した。病理組織所見で表皮内~真皮上層および乳管内に大型で胞体の明るい腫瘍細胞が増殖しCEAやCK-7陽性を示したため,色素性乳房Paget病と診断した。乳頭部の色素性乳房Paget病のダーモスコピー所見の記載報告例はまだ少ないが,臨床所見と同様に悪性黒色腫に酷似し鑑別は難しいと考察されている。今回,我々も同様の1例を経験し,特にダーモスコピー所見と免疫組織化学的所見についての検討を加えて報告した。
  • 長谷川 佳恵, 横田 憲二, 河野 通浩, 澤田 昌樹, 松本 高明, 秋山 真志
    2014 年 28 巻 3 号 p. 292-296
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    75歳,男性。約10年前より右臀部に皮下腫瘤を自覚。徐々に増大傾向であったため,近医形成外科を受診。受診時,9×8cm大の皮下腫瘤あり。その後,感染を併発したため切開排膿と生検が施行され,病理検査にて粉瘤癌と診断,当院紹介受診となった。当院初診時,右臀部に6×4cm大の皮下腫瘤と右鼠径部にリンパ節腫脹を認めた。画像検査でも右鼠径リンパ節転移が疑われたため,原発巣切除,右鼠径部,骨盤内リンパ節郭清を施行した。原発巣の病理組織所見では過角化を示し,顆粒層を有する重層扁平上皮からなる囊胞壁がみられ,それと連続して,角化傾向を有する異型細胞がシート状,胞巣状あるいは網目状に浸潤,増殖している高分化型の有棘細胞癌の像が認められた。腫瘍の浸潤は皮下脂肪組織まで及んでいた。また,鼠径リンパ節の1個に転移を認めた。
  • 宿輪 哲生, 石川 博士, 渡海 由貴子, 前田 茂人
    2014 年 28 巻 3 号 p. 297-301
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    75歳,女性。2007年12月左腋窩に皮下硬結が出現,徐々に増大し,当科を受診した。2012年2月29日当科初診時,左腋窩に3×2mmの淡褐色有茎性腫瘤,直下に12×7mmの皮下硬結を認めた。2012年3月6日に全摘生検し,組織学的に真皮から皮下に管腔構造・断頭分泌を伴う好酸性の腫瘍細胞が胞巣を形成して増殖し,深部では膠原線維束間に小胞巣の浸潤を認めた。正常の乳腺や乳管組織はみられなかった。免疫組織化学で腫瘍細胞はEMA,CK7,GCDFP-15陽性,CEA,S-100,ER,PR,HER-2陰性であった。上記所見より本症例をアポクリン腺癌と診断,4月6日に拡大切除および左腋窩リンパ節郭清を施行した。術後15ヵ月まで再発や転移はみられていない。
  • 井上 卓也, 三砂 範幸, 木村 裕美, 白井 礼子, 米倉 直美, 成澤 寛
    2014 年 28 巻 3 号 p. 302-305
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    51歳,女性。神経線維腫症1型(NF1)の診断で経過観察されていた。初診の2年前から右足内側縁の以前からあった結節が次第に増大してきたため,当院を受診した。直径3.5cm大で境界明瞭な表在性腫瘍であり,神経線維腫として切除した。病理組織学的所見にて,腫瘍は真皮から皮下脂肪織に存在し,異型な紡錘形細胞の増殖が認められた。悪性末梢神経鞘腫瘍と診断し,術創から2cm離し,筋膜を含めた拡大切除を行った。術後2年間の経過観察中に再発や転移は認めていない。悪性末梢神経鞘腫瘍はほとんどが深部の太い神経から生じ,表在性のものは稀である。今回我々は,真皮から皮下脂肪織に生じた,皮膚悪性末梢神経鞘腫瘍の1例を経験したので報告する。
  • 稲葉 豊, 三木田 直哉, 古川 福実, 中村 靖司, 山本 有紀
    2014 年 28 巻 3 号 p. 306-309
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    50歳,神経線維腫症1型の男性。既往歴に小脳梗塞,虫垂炎,家族歴に同症なし。1999年より右腰背部に胡桃大の皮下腫瘍が出現した。当科において神経線維腫として,経過観察を行っていたが,2009年から受診を自己中断していた。2012年6月頃より同部位が増大し,発赤,熱感を生じたために来院した。7月当科受診時20×16cm大の皮下腫瘤を認め,MRIにて左腰部から臀部にかけて径12cm大の辺縁整で内部にT1high,T2lowを示す多房性の腫瘤を認めた。急速な拡大と貧血の進行を認めたため,悪性末梢神経鞘腫瘍の腫瘍内出血と診断し,緊急に塞栓術と切除術を施行した。切除標本では紡錘形の密に増生した腫瘍細胞を認め,免疫染色では,S100少数陽性,p53陽性,EMA,デスミン陰性で,悪性末梢神経鞘腫瘍であった。後日,皮膚欠損部に植皮術を行い,欠損部は上皮化した。遠隔転移は認めず,術後補助療法は施行しなかった。術後9ヵ月,再発や転移はない。
  • 荒川 亜矢, 八代 浩, 長谷川 義典, 清原 隆宏
    2014 年 28 巻 3 号 p. 310-314
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    88歳,女性。初診2週間前に下腹部の結節を指摘された。初診時,下腹部に40×40mm大の広基性に隆起する淡褐色結節があり,多数の面皰がある。中央部には増殖性潰瘍を伴っている。ダーモスコピーでは,辺縁部に多数のcomedo-like openingsを伴うfissures and ridgesがみられる。病理組織学的に,辺縁部は偽角質囊腫を有する網状型脂漏性角化症であり,中心部は充実型基底細胞癌である。その境界部では両者が混在しており,中心部の基底細胞癌が脂漏性角化症の網目状上皮索に沿って浸潤している像である。免疫組織化学的にはBer-EP4が基底細胞癌部分のみに陽性で,それ以外のマーカーも両腫瘍にそれぞれ矛盾しない所見である。脂漏性角化症の悪性化については賛否両論があるが,本症例は臨床・病理組織・免疫組織学的に脂漏性角化症から基底細胞癌が生じたと考えられる。
  • 土井 直孝, 三木田 直哉, 増尾 修, 梅碕 有砂, 中村 靖司, 古川 福実, 山本 有紀
    2014 年 28 巻 3 号 p. 315-319
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    前頭骨を破壊し硬膜浸潤を認めたmalignant fibrous histiocytoma(MFH)の87歳,男性を報告した。右前額部に皮下腫瘤を認め,前医で切除術施行され未分化肉腫の診断であった。術後一ヵ月で再発し当院に紹介された。画像診断で腫瘍は前頭骨を破壊し,頭蓋骨内部に広がっていたため,骨・硬膜を含め切除した。病理組織学的所見では,多型で大小不同,核異型の高度な細胞よりなる腫瘍で頭蓋骨や硬膜への浸潤像も認めた。免疫組織染色ではビメンチン,CD68,HHF35が陽性を示した。 術後三ヵ月目に局所再発し,パゾパニブ塩酸塩の投与で腫瘍は縮小したが,感染を生じたため投与中止となった。今後,同剤の使用例が増えるものと思われる。
  • 水野 尚, 種子島 智彦, 鈴木 亜希, 久世 清佳
    2014 年 28 巻 3 号 p. 320-324
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    61歳,女性。2ヵ月前より右上腹部に皮疹が出現したため当科受診。初診時,右上腹部に11×9mmの暗紅色結節を認めた。全摘生検では表皮直下からほぼ真皮内に限局する境界明瞭な病変であり,grenz zoneやepidermal collaretteはみられず,病変周囲の真皮にsolar elastosisもなかった。腫瘍細胞は異型のある紡錘形の細胞が主体で,striformパターンを示して密に増殖していた。組織球様の円形細胞や,奇怪な核を持つ巨細胞もみられた。免疫組織化学的には,α-SMAとlysozymeは一部陽性。actin,myosin,desmin,S-100は陰性。MIB-1は20%の腫瘍細胞で陽性だった。以上より,悪性線維性組織球腫と診断した。さらに拡大切除術を行い,分層網状植皮術を施行した。術後6ヵ月経過するが再発なく経過良好。
  • 西岡 いずみ, 土橋 人士, 大熊 慶湖, 佐藤 恭子, 長谷川 敏男, 池田 志斈
    2014 年 28 巻 3 号 p. 325-328
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    65歳,女性。数年前より右腰部に自覚症状を欠く皮下腫瘤があり,徐々に増大したため来院した。初診時,右腰部皮下に軽度熱感を伴う弾性硬で可動性不良,多結節に分葉する腫瘤が触知された。単純MRIを施行したところ,周囲との境界は比較的明瞭で,T1強調画像で骨格筋と等信号,T2強調画像で淡い高信号を呈する分葉状腫瘤であった。診断目的に局所麻酔下で皮下腫瘤の一部を生検した。病理組織では,摘出腫瘤は境界明瞭で,核異型の少ない線維芽細胞様の紡錘形細胞が花筵状の増生を示し,腫瘍細胞間にリンパ球,形質細胞,好酸球などを主体とした炎症細胞浸潤が高度にみられた。免疫細胞ではα-SMA,CD68が陽性,CD34,ALK,IgG4が陰性,MIB-1indexが10%であった。以上の所見より皮膚型inflammatory myofibroblastic tumor(IMT)と診断した。IMTは肺,消化管に多く発症するが,皮膚に発症する例は非常に稀である。文献学的考察を加えて報告する。
  • 戸澤 麻美, 森 秀樹, 中岡 啓喜
    2014 年 28 巻 3 号 p. 329-335
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    39歳,女性。初診の3ヵ月前から左膝外側に圧痛を伴う常色のしこりに気づき,2週間前から色調変化と自発痛を生じた。初診時15mm大の表面赤色調で軽度隆起する硬結を認め,生検によりEHEと診断した。局麻下に20mm離して拡大切除,全層植皮術を施行した。2.5ヵ月後,CTで鼠径および外腸骨リンパ節の腫脹を認め,鼠径部リンパ節生検にて転移と診断した。鼠径および骨盤内リンパ節郭清術施行し,外腸骨リンパ節に転移を認めたが,総腸骨リンパ節には転移を認めなかった。摘出した転移リンパ節から薬剤感受性試験行い,Ifosfamid(IFM)の腫瘍増殖抑制率が84.4%と高感受性であったため,IFM,Doxorubicin hydrochloride(DXR)による化学療法を5クール行い,最終術後3年11ヵ月再発転移を認めていない。皮膚に生じるEHEは稀で,若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 三井田 博, 澤村 一司
    2014 年 28 巻 3 号 p. 344-348
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    42歳,女性。19歳時より統合失調症を罹患している。腹部膨満と発熱,褥瘡および下肢の皮膚炎,びらん,褥瘡が認められ近医総合病院より2012年11月,医療保護入院のため当院精神科に入院した。下肢屈側にびまん性に紅斑を認め,一部にびらんを伴い,仙骨部,右踵部には褥瘡もみられた。さらに膣口を占拠する手拳大の黒色腫瘤を認めた。同腫瘤はCT,MRIにて膣内全体を占拠する腫瘤と連続しており直腸,膀胱が圧排され,子宮が前上方に偏位していた。MRI画像上で測定したサイズは17.8×11.0×9.5 cm大であった。両側卵巣腫大,大量の腹水を伴っていた。生検にてメラニンを含有する異型メラノサイトが増殖して認められた。S100,HMB45いずれも陽性であった。巨大悪性黒色腫は非常に稀であり,宿主の生命を保ちながらも腫瘍が増殖,巨大化する機序は不明であるがコントール不良な統合失調症に罹患していたため医療機関の受診が遅れたことが巨大化に至った一因と思われた。
第25回日本皮膚悪性腫瘍学会
  • 小俣 渡, 末廣 敬祐, 佐藤 貴史, 鎌田 憲明, 神戸 直智, 松江 弘之
    2014 年 28 巻 3 号 p. 336-339
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル 認証あり
    56歳,男性。初診の2ヵ月前に腫瘤を自覚し当科受診となった。初診時後頭部に4.0×3.5cmの中央部が潰瘍化し辺縁が堤防状に隆起する腫瘤を認めた。腫瘤中央と腫瘤辺縁の2ヵ所から部分生検を施行しAdenoid typeのbasal cell carcinoma(BCC)と診断した。初診から1ヵ月後に1cmマージンで潰瘍直下は骨膜を含め全摘出生検を施行した。病理組織学的に好塩基性の基底細胞様細胞が腺様構造を呈する部位と,癌真珠を形成し角化する部位を共に認め両者は近接していた。そのため診断をbasosquamous cell carcinoma(BSCC)に変更した。全摘出生検から2ヵ月後にBSCCの後頭リンパ節転移を疑い後頭リンパ節摘出および周囲リンパ節郭清を施行した。全摘出生検から4ヵ月後に左耳後部と左後頭部皮下に転移を認め,その2ヵ月後からイリノテカン塩酸塩水和物とシスプラチンの併用化学療法を行ったが腫瘍は増大し初診から15ヵ月後に原病死した。
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