66歳,女性。約1年前に肛囲に瘙痒と疼痛を伴う紅斑が出現し,徐々に拡大した。初診時,外陰部から肛門周囲に紅斑,色素脱失斑あり。リンパ節腫脹や隣接臓器に病変はなく,遠隔転移はなし。皮膚生検にて乳房外Paget病と診断した。2000年,広範切除術,分層植皮術を施行した。真皮内への浸潤はなし。外側の一部と肛門側断端は陽性だったが,追加手術は拒否された。2004年,前回の植皮部に再発病変が確認され,拡大切除術,直腸切除術,人工肛門造設術を施行した。組織学的には
in situ病変のみで,断端は陰性だった。2012年,植皮部の境界部に紅斑が出現した。植皮部,外側ともに表皮内のみにPaget細胞を認めた。センチネルリンパ節は陰性だった。現在のところ再発,転移はない。植皮部に局所再発した乳房外Paget病の報告は自験例を含めて7例の報告があり,
in situ病変のみからの再発は4例あり,植皮との境界に生じた例は自験例のみだった。
抄録全体を表示