Skin Cancer
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33 巻, 3 号
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第34回日本皮膚悪性腫瘍学会
教育セミナー
一般演題
  • 佐々木 優, 岸 晶子, 吉田 亜希, 大原 國章, 馬場 加那子, 岩渕 千雅子, 林 伸和
    2019 年 33 巻 3 号 p. 173-178
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    65歳,男性。かかりつけ内科医に右腰背部の先天性色素性母斑上の色調変化と隆起性病変を指摘された。14×3cm大の褐色結節が集簇する局面の辺縁に,紅褐色結節と黒褐色斑を認めた。病理組織学的に複合母斑を背景に表皮および真皮浅層に異型メラノサイトが孤立性または大小の胞巣を形成して増殖していた。Tumor thicknessは2.7 mm。PET-CTで遠隔転移なし。2 cm離して拡大切除と右腋窩・右鼠径センチネルリンパ節生検を施行し,右腋窩リンパ節廓清術を行った。悪性黒色腫の病期はpT3aN1aM0, stage IIIA。術後補助療法としてIFNβの局所注射を3クール施行し,術後1年間経過した現在,再発や転移はない。中型の先天性色素性母斑に悪性黒色腫を生じることは稀であるが,予防的切除をしない場合でも変化があれば早期に受診する指導が必要である。

  • 髙橋 沙希, 和田 秀文, 白田 阿美子, 渡邊 友也, 蒲原 毅, 向井 佑希, 小池 泉, 相原 道子
    2019 年 33 巻 3 号 p. 179-184
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    症例1:66歳,男性。26歳時に菌状息肉症と診断されるも通院を中断。65歳時より紅斑が隆起しエトレチナート内服と紫外線照射を開始したが改善乏しく当科を受診。顔面と上肢に結節,潰瘍があり閉眼困難な状態。症例2:66歳,男性。21歳時に乾癬と診断。ステロイド外用・内服治療したが,緑内障を契機に中断。61歳時に体幹の皮疹が隆起し,潰瘍を形成し当科を受診。2例とも菌状息肉症腫瘍期と診断。低用量エトポシド内服と腫瘤病変への局所電子線照射の併用で潰瘍・腫瘤は数ヵ月で上皮化・平坦化した。治療に伴う重大な副作用は認めず,比較的短期間で患者のQOL向上を得た。近年,菌状息肉症に対する複数の新規治療薬が本邦でも発売され全身療法の選択肢が広がりつつある。一方でエトポシドのような古典的な抗癌剤でも電子線との併用で本報告のように著効が期待できる症例もある。併用療法が効果を示す機序はまだ不明であり,今後,症例数を蓄積する必要があると考える。

  • 菅井 奏良, 高橋 彩, 高村 さおり, 平原 和久, 人見 勝博, 寺木 祐一, 福田 知雄
    2019 年 33 巻 3 号 p. 185-191
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    症例1は85歳,女性。5ヵ月前より左膝に腫瘤が出現し,その後顔面,四肢に丘疹,結節が多発。生検像と免疫染色の結果より芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm:BPDCN)と診断した。症例2は91歳,男性。7ヵ月前より前胸部,背部に紫紅色斑が多発。症例1と同様,生検像と免疫染色の結果よりBPDCNと診断した。症例3は67歳,男性。1ヵ月前より四肢,体幹に紅色の丘疹および結節が多発。同じく,生検像と免疫染色の結果よりBPDCNと診断した。3症例は同一疾患であるが臨床所見が異なっており,本疾患には臨床像に多様性があることが示唆された。そこで医中誌を用い過去10年間の本邦報告例を調べ,臨床像を中心に本症の特徴をまとめた。臨床像は大きく結節,腫瘤を形成する型と斑状局面を形成する型の2型に分かれ,予後は結節,腫瘤の多発する症例で悪い傾向がみられた。

  • 服部 有希, 松山 かなこ, 高橋 智子, 周 円, 清島 真理子
    2019 年 33 巻 3 号 p. 192-195
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    42歳,男性。背部の褐色斑が隆起してきたため2013年9月当科紹介受診。全摘切除を行ったところ,tumor thickness 2.0 mmの悪性黒色腫で全身の単純CTで遠隔転移はなく,pT2aN0M0 Stage IBと診断した。11月拡大切除術を行い,センチネルリンパ節生検は陰性。術後はダカルバジン投与とIFN-β局注を行っていたが,2015年5月胸部CTで肺転移を認め,ニボルマブ2 mg/kgを3週間隔で投与開始した。2016年1月肝門部リンパ節転移,6月右腎門部リンパ節転移が出現。11月よりニボルマブは3 mg/kgの3週間隔に増量したが,肝門部と腎門部リンパ節転移巣は増大傾向であった。2017年11月両下肢の著明な浮腫が突然出現し,当科受診。造影CT所見から腎門部リンパ節転移巣の下大静脈浸潤による腫瘍栓とその尾側に生じた血栓により両下肢の浮腫を生じたと考えた。悪性黒色腫の遠隔転移巣による静脈への直接浸潤は稀であり,文献的考察を加え報告する。

  • 中村 謙太, 芦田 敦子, 中村 麗那, 木庭 幸子, 奥山 隆平
    2019 年 33 巻 3 号 p. 196-200
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    BRAF変異陰性の切除不能メラノーマの治療として,免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1/PD-L1抗体や抗CTLA-4抗体が選択されるが,それぞれの奏効率は30%と10%程度であり,過剰な自己免疫による副作用で治療継続が困難になる症例もある。今回,私たちは,そのような症例で,第三選択としてダカルバジンを使用したメラノーマの3症例を報告する。治療効果は,部分奏功1例,不変1例,進行1例であった。また,これらの3症例では,ダカルバジンの治療効果と血中のLDHや5-S-CDの値の変動が相関した。今後,症例を集積し,第三選択としてのダカルバジンの奏効率を報告し,治療効果を判定するマーカーとしてLDHや5-S-CDが有用であるか検討することが,メラノーマの治療選択に重要であると考える。

  • 小野田 慶子, 大橋 洋之, 下坂 玲郁子, 松岡 摩耶, 川上 民裕, 相馬 良直, 門野 岳史, 小竹 徹, 寺下 真帆
    2019 年 33 巻 3 号 p. 201-205
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    83歳,女性。既往に関節リウマチがある。2015年より左踵に黒色結節を自覚した。2017年5月頃より同部位に疼痛が出現し,同年7月に当科を受診した。左踵内側に22×19×7mmの広基有茎性の黒色結節を認め,左鼠径リンパ節を触知した。PET-CTでは左鼠径リンパ節3個に集積がみられ,腫瘍全切除術と左鼠径リンパ節郭清術を施行し,悪性黒色腫と診断した。左鼠径リンパ節は12個中5個で陽性であり,病期はpT4bN3M0,stage IIICであった。同年11月のCT検査で多発リンパ節転移,肝転移,肺転移が出現し,ペンブロリズマブを導入した。導入から3週間後にCr 5.06 mg/dLと上昇あり,ペンブロリズマブによるGrade 4の自己免疫関連疾患副作用と診断した。Prednisolone 30 mg/day(0.8 mg/kg/day)投与開始し,腎機能は徐々に改善した。自験例はペンブロリズマブ投与1回のみで急速に重度の腎機能障害が出現した点が特徴的と考えた。

  • 三浦 慎平, 大西 正純, 中川 倫代, 角田 加奈子, 佐藤 隆亮, 馬場 俊右, 前田 文彦, 天野 博雄
    2019 年 33 巻 3 号 p. 206-210
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    17歳,女性。頭部悪性黒色腫Stage IIIC(pT4aN3M0)の診断で術後に化学療法およびインターフェロンβによる維持療法を行っていた。しかし,下垂体転移,乳房内転移が出現し,外科的に切除を行った。BRAF変異は陽性であった。術後に確認した頭部MRIで下垂体転移が残存していた。BRAF変異が陽性であり,ダブラフェニブ/トラメチニブの投与を開始した。

     投与後,早期に下垂体転移は縮小したが,投与10ヵ月を経過した時点で転移の増大があったため無効と判断し投与を中止した。放射線定位照射後にペンズロリズマブを開始するも転移が拡大したため,ダブラフェニブ/トラメチニブの再投与を行った。しかし,効果はみられず術後34ヵ月で永眠された。

    BRAF阻害剤のリチャレンジを行い,良好な経過を得たとの報告もあるが,自験例では効果はみられなかった。BRAF阻害剤のリチャレンジを行う際の効果良好因子として,①LDHが正常,②転移巣が3個以内,③リチャレンジ時にダブラフェニブ/トラメチニブの併用などが示唆されており,リチャレンジの際には適応を十分に検討した上で使用することが重要である。

  • 日高 太陽, 長谷川 道子, 清水 晶, 栗山 裕子, 田村 敦志
    2019 年 33 巻 3 号 p. 211-214
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    50歳,男性。初診の半年前に右第4指の爪甲側縁基部の欠損と色素沈着および側爪郭の疣贅様病変に気付いた。近医を受診し,悪性黒色腫やウイルス性疣贅を疑われ当科に紹介された。初診時,右第4指橈側の側爪郭に幅3 mmの凹凸のある疣状局面があり,これに接する爪甲側縁部にわずかな欠損と淡褐色色素線条がみられた。疣状局面の生検組織像よりボーエン病と診断し,楔状切除した。切除標本の組織像では爪母の近位部には腫瘍細胞はみられず,爪甲辺縁部直下の爪床上皮と隣接する爪郭上皮が腫瘍細胞に置換される像がみられた。パラフィンブロックを用いたウイルス学的検索ではHPV 34型を検出した。爪部ボーエン病ではHPV感染の関与が指摘されているが,34型の報告は少ない。また,疣贅様の臨床像を呈する爪囲ボーエン病では,ウイルス性疣贅との鑑別が問題となるが,爪甲色素線条の存在がボーエン病を疑う手がかりになると考えた。

  • 高藤 円香, 種村 篤, 青山 礼華, 林 美沙, 片山 一朗, 中澤 哲郎, 東原 大樹, 大須賀 慶悟, 冨山 憲幸
    2019 年 33 巻 3 号 p. 215-220
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    56歳,女性。X-8年より両側頬粘膜,舌にびらんが出現し,X-6年からX-1年までに舌と上下口唇・粘膜病変を口腔外科にて4度生検されるも特異的所見を認めず,当科へ紹介受診となった。当科での頬粘膜部の生検で扁平苔癬と診断し,プレドニゾロン,エトレチナート,ミゾリビン等で加療されていた。X-1年1月頃より上口唇に疣状角化性局面が出現,生検で有棘細胞癌と診断し高線量組織内照射療法を施行した。治療後一旦縮小したが7ヵ月後のX年9月より再度増大した。上口唇の再発性有棘細胞癌および硬口蓋の白色隆起局面に対し,顎動脈および顔面動脈へ硫酸ペプレオマイシンの選択的持続動注療法を施行し,投与数日後より著明に平坦化した。現在再発を認めていない。口唇および口腔内に多発する疣贅疾患としてOFPと最終診断した。OFPとは疣状癌の臨床病理学的な一亜型であり,外科治療に加えレーザー焼灼,レチノイドなどで治療されるが再発を繰り返すことも多い。

    口唇有棘細胞癌に対する選択的動注化学療法は,外科治療困難例に根治も期待できる治療方法の一つである。自験例のような口唇および口腔内に病変が拡がる症例に対しても有効と思われ,今後の治療症例の蓄積が必要である。

  • 宿輪 哲生, 清原 龍士, 池永 まり, 隈上 秀高
    2019 年 33 巻 3 号 p. 221-225
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    76歳,男性。初診の1年前より右耳前部に腫瘤が出現,徐々に増大した。初診時,25×20 mmの角化性紅色腫瘤を認め,一部生検で組織学的に高分化SCCと診断された。頸部CTで腫瘤の耳下腺浸潤が疑われ,MRIで腫瘤は耳下腺浅葉に隣接,耳下腺内外に結節を認め,PET-CTでは耳下腺下端表層の結節に強い集積がみられ,リンパ節転移が疑われた。顔面神経の損傷を防ぐため,神経刺激装置Nerve Integrity Monitor(NIM)System使用下に皮膚腫瘤と耳下腺浅葉を一塊として拡大切除およびリンパ節生検を施行した。組織学的に,表皮より連続性に核異形のある好酸性の腫瘍細胞が皮下中層まで増殖し,腫瘍巣内にhorn pearl,周囲にリンパ球の密な浸潤と線維化を認め,腫瘍厚は8.7 mmであったが,耳下腺やリンパ節に腫瘍細胞はみられなかった。術後1年3ヵ月まで再発転移および顔面神経麻痺を認めない。

  • 花岡 佑真, 種村 篤, 田中 麻理, 清水 友理, 高藤 円香, 林 美沙, 金田 眞理, 片山 一朗
    2019 年 33 巻 3 号 p. 226-230
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    1997年頃よりセンチネルリンパ節生検(SLNB)が導入され,色素法,RI法,インドシアニングリーン(ICG)蛍光法などの併用により検出率は向上してきている。今回我々は悪性黒色腫(MM)2例のSLNBに対し,島津製作所の近赤外光カメラシステムLIGHTVISIONを用いたICG蛍光法を試みた。症例1:39歳,男性。右大腿の結節型MMを全摘生検後にSLNB施行,右鼠径から3個センチネルリンパ節(SLN)を同定し摘出した。症例2:74歳,女性。尿道口周囲の粘膜MMに対し拡大切除とSLNB施行,左鼠径から1個,右鼠径から1個SLNBを同定し摘出した。

    LIGHTVISIONは近赤外蛍光画像と可視画像,可視+近赤外蛍光画像が3画面同時にフルハイビジョンの画質でモニター表示され,近赤外蛍光画像の色も白のみならず緑や青に変更可能であり,自験例では容易にSLNを同定出来た。ICGの保険適応も拡大され,様々な領域への応用が期待されている。

  • 松山 かなこ, 矢島 隆宏, 清島 真理子
    2019 年 33 巻 3 号 p. 231-237
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    75歳,女性。24年前から慢性腎不全のため,左前腕のシャントを用いて血液透析中。13年前両側乳癌に対し乳房全摘術と両側腋窩リンパ節廓清術および放射線治療施行。2年前から左上腕に紫斑が出現,次第に上腕全周性に易出血性の紅色結節が多発。生検で血管肉腫の像。乳がん術後のリンパ浮腫を伴う上肢に発症したStewart-Treves症候群と診断。当初,出血コントロールのための緩和的治療を希望,左上腕と腋窩リンパ節に放射線60 Gyを照射。一旦腫瘍は縮小したが,照射2ヵ月半後,局所再発が多発,さらに肺転移も出現。そこでパゾパニブを開始。内服3ヵ月で再発病変および肺転移とも消失。Grade 1の肝機能異常と血小板低下が出現したが,パゾパニブ減量により検査値は改善。11ヵ月後に局所再発が出現したが進行は緩徐で,13ヵ月経過した現在も内服継続中。パゾパニブは血液透析中の慢性腎不全患者に発症した血管肉腫に対する治療法になりうると考えた。

  • 保延 亜希子, 大沼 毅紘, 猪爪 隆史, 島田 眞路, 川村 龍吉
    2019 年 33 巻 3 号 p. 238-243
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    77歳,男性。初診の半年前より肛門周囲に紅斑が出現し,徐々にびらんや結節を伴うようになった。近医皮膚科を受診し皮膚生検にて乳房外Paget病の診断となり,精査加療目的に当科へ紹介となった。初診時,肛門周囲にびらん,結節,脱色素斑を伴う紅斑局面があり,パンツ型の浮腫と左鼠径部に多発小結節を認めた。造影CT検査では両側鼠径,腹部大動脈・下大静脈域リンパ節転移,および肝転移を認めた。下部内視鏡検査や肛門鏡検査では腫瘤や粘膜異常を認めなかった。病理所見ではPaget細胞が表皮から真皮下層にかけて浸潤し,免疫染色でCK20陽性,GCDFP15陽性であったため進行期乳房外Paget病と診断した。Paget細胞はHER2強陽性であったため,トラスツズマブとパクリタキセルによる治療を開始した。原発巣は消失,転移病変は著明に縮小し,16ヵ月間PRを維持している。

投稿論文
  • 山内 瑛, 塚田 鏡寿, 山口 智己, 小池 真美, 西川 聡一, 鈴木 利宏, 濱﨑 洋一郎, 井川 健
    2019 年 33 巻 3 号 p. 244-249
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    60歳,女性。2008年頃より頭部に結節が出現し,2012年に悪性腫瘍が疑われ当科紹介されるも受診せず,2015年に結節からの出血を主訴に当科初診となる。頭頂部から前額部に易出血性で悪臭を伴う不整形の結節を認めた。色調は多様で自壊性が強く,頭頂部の一部は陥凹し,拍動を触れた。病理組織は有棘細胞癌で,リンパ節,遠隔転移はなく,MRI(Magnetic resonance imaging)で頭頂骨の骨破壊および硬膜浸潤を認めStageIV(T4N0M0)と考えた。腫瘍の姑息的切除後,放射線治療とTPF療法(ドセタキセル/シスプラチン/フルオロウラシル)を施行した。5クール施行時点で,脳浸潤しPD(Progressive Disease)と判断した。ゲムシタビン/パクリタキセルに変更し,進行は止まった。5クール施行時点で,残存する潰瘍部よりランダム生検を行い,腫瘍細胞は陰性であり,デブリドマン,分層植皮術を施行した。本邦における頭蓋内浸潤を来した有棘細胞癌の症例と比較検討した。

  • 小田 陽一郎, 古川 洋志, 村尾 尚規, 高桑 恵美, 山本 有平
    2019 年 33 巻 3 号 p. 250-254
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は3ヵ月,女児。生後2ヵ月時に偶然家族が左腰部に皮下腫瘤を発見した。その後腫瘤は急速な増大を認め,悪性の可能性も懸念され生後3ヵ月時に当科紹介となった。初診時の腫瘤の大きさは30×20 mmで,弾性軟,辺縁不整な皮下腫瘤であった。CT,MRI検査でも診断がつかなかったため,部分生検を施行した結果,lipofibromatosisやfibrous hamartoma of infancyの可能性が疑われた。しかし,腫瘤は急速に増大しており,診断の確定には全体像での評価が必要であった。生後5ヵ月時に摘出術を行ったところ,lipofibromatosisの診断となった。Lipofibromatosisは稀な腫瘍であり,体幹に発生した症例は非常に珍しいため報告する。

  • 東郷 さやか, 小澤 健太郎, 川崎 紀彦, 爲政 大幾
    2019 年 33 巻 3 号 p. 255-259
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は63歳,男性。約2年前から左鼠径部に腫瘤を自覚し,約3ヵ月前より疼痛を伴ってきたため当科を紹介受診した。初診時,左鼠径部から陰股部に表面の大部分が潰瘍化して悪臭を伴う10×5×1cmの腫瘤を認め,生検で有棘細胞癌と診断した。腹部CTで左鼠径リンパ節の腫大を認め,大腿動静脈への腫瘍浸潤が疑われた。PET-CTで他臓器への転移は認められず,左鼠径部有棘細胞癌T3N2M0,stage IVAと診断した。術前化学放射線療法(低用量CDDP+5-FU療法,総線量45 Gy/25 Fr)を行い,腫瘍は縮小し,重大な合併症を生じることなく根治的手術が可能となった。術前化学放射線療法は外科手術が困難な局所進行例に対して有用な治療法であると考えられた。

  • 呉 麻以, 松田 秀則, 五十嵐 由美, 井坂 有里, 荻田 あづさ, 伊澤 有香, Keigo ITO, 佐伯 秀久, 安齋 眞一
    2019 年 33 巻 3 号 p. 260-264
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    Merkel細胞癌(MCC)は高齢者の顔面に好発する悪性度の高い腫瘍で,他の皮膚腫瘍と同一部位に合併発生する例も多く報告されている。今回,Bowen病を伴って発症し,CK20とCK7がともに陰性であった,熱傷瘢痕上に生じたMCCの1例を経験した。自験例のようにBowen病を伴うMCCでの所見を集計すると,CK20の陽性率が低い傾向があり,その診断において,chromogranin A,synaptophysin,CD56など他の免疫染色の検討が重要であると考えられた。また,他種上皮悪性腫瘍合併のMCCやCK20陰性のMCCの場合では,MCPyVの陰性例が多いとの報告があり,その発症原因として日光曝露や免疫抑制,放射線曝露,そして本症例のように熱傷等が関与している可能性がある。

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