Skin Cancer
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35 巻, 3 号
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第36回日本皮膚悪性腫瘍学会
特別講演3
教育講演2
シンポジウム2
一般演題
  • 金子 ゆき, 塚田 鏡寿, 森 智史, 金井 美馬, 鈴木 利宏, 濱﨑 洋一郎, 水沼 有威子, 田中 精一, 中里 宜正, 井川 健
    2020 年 35 巻 3 号 p. 105-111
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル 認証あり

    Humoral hypercalcemia of malignancy(HHM)を生じた皮膚有棘細胞癌の1例を経験したため報告する。症例は50歳,男性。右大転子部褥瘡を発生母地とした有棘細胞癌。化学放射線治療を行うも腫瘍の増大・骨破壊は進行し,経過中に意識障害を生じた。意識障害の原因となる器質的疾患は認められず,補正Ca値19.8 mg/dLと高値であったことから腫瘍随伴性高Ca血症(malignancy associated hypercalcemia:MAH)による意識障害と診断。高Ca血症の原因として腫瘍浸潤・骨破壊に伴うlocal osteolytic hypercalcemia(LOH),腫瘍細胞より産生される液性因子によるHHMを鑑別とし,副甲状腺ホルモン関連蛋白(parathyloid hormone related protein:PTHrP)10.1 pmol/Lと高値であったことからHHMと診断した。進行期悪性腫瘍患者が意識障害を来した場合,LOHやHHMによる高Ca血症の関与を考える必要がある。

  • 奥村 慶之, 髙橋 夏子
    2020 年 35 巻 3 号 p. 112-117
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル 認証あり

    日本赤十字社和歌山医療センター形成外科・皮膚科において2008年1月から2019年12月までの12年の間に治療した乳房外Paget病25例について,臨床的統計および予後の検討を行った。経過観察期間は2~115ヵ月(平均観察期間は51.5ヵ月),初診時年齢は47~93歳(平均年齢は74.2歳),男女比は2.6:1であった。病期分類は皮膚悪性腫瘍取扱い規約(第2版)に準じて行った。病期IA 17例(68%),病期IB 5例(20%),病期II 0例(0%),病期III 1例(4%),病期IV 2例(8%)であった。5年生存率は病期Iが100%,病期IIIが100%,病期IVが0%であった。

  • 西 純平, 米倉 直美, 田中 絵理子, 村中 友加里, 永瀬 浩太郎, 井上 卓也, 成澤 寛
    2020 年 35 巻 3 号 p. 118-124
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル 認証あり

    85歳,女性。左側頭部の紅色結節および左耳前部リンパ節腫脹が出現した。病理組織学的所見にて,真皮内に不規則な管腔を形成し増殖する異型細胞がみられ,免疫染色ではCD31陽性,CD34陽性であり,血管肉腫と診断した。タキサン系抗癌剤による化学放射線治療やエリブリン投与を行うも局所再発を繰り返した。多発肺転移が出現したため,4th lineとしてパゾパニブ投与を開始した。経過中に血小板減少などの副作用が出現したが減量することで投与継続可能だった。パゾパニブにより部分奏効を9ヵ月間維持したが,その後に十二指腸転移を来し,同部位の穿孔により永眠した。高齢者に多い頭部血管肉腫において,経口投与であるパゾパニブは有用な治療であると考える。また症状が出現することは少ないが消化管転移は決して稀ではなく,貧血や腹部症状があれば消化管転移の鑑別が必要である。

  • 黒川 正人, 安田 聖人, 長峯 理子
    2020 年 35 巻 3 号 p. 125-130
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は68歳,男性で1年前より左前腕から肘窩に腫瘍が出現し,徐々に増大してきた。初診時は皮膚との癒着はなく,隆起した弾性軟で比較的境界明瞭な12 cm×5cmの皮下腫瘤を認めた。手術時の所見では,皮下組織内に存在し,薄い被膜に覆われて,分葉状の柔らかい腫瘍であったが,中枢側では索状物が腋窩方向に伸展していた。術後の病理組織学的検査では,low-gradeの粘液線維肉腫の診断で,中枢側の索状物は結合組織で,その中にも腫瘍細胞が認められた。そのため再手術を行った。前回の手術瘢痕から各1 cm離して皮膚は切除し,腫瘍の存在した部分より1 cm離して,皮下組織,皮神経,皮静脈を深筋膜とともに腋窩近傍まで追い一塊として摘出した。術中迅速病理組織学的検査を行い,残存していた索状物の中枢側断端の陰性を確認した。術後放射線治療を行って4年間経過しているが,再発や転移は認めていない。

第33回日本皮膚悪性腫瘍学会
  • 江藤 博文, 持田 耕介, 林 みゆき, 渡邉 章, 天野 正宏
    2020 年 35 巻 3 号 p. 131-136
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル 認証あり

    67歳,男性。約5年前から左手背に腫瘤性病変を自覚し,出血・悪臭等あったが自己管理されていた。意識消失しているところを発見され,ショック状態であり当院へ救急搬送された。初診時,左手背に有茎性でカリフラワー様に隆起する約10×8cm大の腫瘤を認め,脆弱で易出血性であった。単純胸腹部CTで明らかな出血源を認めず,左手背病変からの出血による出血性ショックと考え当科に緊急入院とした。部分生検を施行し病理組織学的に有棘細胞癌と診断した。入院時WBC 54,800/μLと異常高値を認めていたが,骨髄穿刺では異常所見を認めなかった。術前検査として施行したFDG-PET/CTで骨髄に異常集積を認め,慢性貧血による骨髄機能亢進を反映しているものと考えた。左前腕切断術施行後の採血でWBC 9,200/μLと正常化を認め,血清G-CSF値は術前403 pg/mLと高値を示していたが術後69.5 pg/mLと著明に低下し,また抗G-CSF抗体の免疫染色で腫瘍細胞に陽性の所見を認め,G-CSF産生有棘細胞癌と診断した。

投稿論文
  • 石川 優人, 藤山 俊晴, 影山 玲子, 藤原 雅雄, 戸倉 新樹, 本田 哲也
    2020 年 35 巻 3 号 p. 137-142
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル 認証あり

    75歳,男性。初診6ヵ月前より左鼠径部に徐々に増大する皮下腫瘤を自覚した。病理組織学的に,N/C比の高い均一な小円形細胞の胞巣状増殖が認められた。腫瘍細胞は横紋筋マーカーであるmyogeninやdesmin等が陽性であり,横紋筋肉腫が鑑別にあがった。しかし腫瘍細胞は神経内分泌マーカーであるchromogranin A,synaptophysinが陽性であり,さらにCK20がドット状陽性,メルケルポリオーマウイルス(MCPyV)が陽性であった。以上より横紋筋芽腫様変化を示したメルケル細胞癌と診断した。横紋筋腫瘍は神経内分泌マーカーが陽性のことがあり,その場合メルケル細胞癌との鑑別が必要となる。両者を組織学的に鑑別する際にMCPyV,CK20染色が有用であることを再認識した。

  • 二瓶 達也, 芦田 敦子, 翠川 央高, 永井 史緒, 海野 俊徳, 久保 仁美, 住 昌彦, 木庭 幸子, 奥山 隆平
    2020 年 35 巻 3 号 p. 143-149
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル 認証あり

    症例1:68歳,男性。急性骨髄性白血病に対して臍帯血移植を受けた。肺アスペルギルス症に対して8年前よりボリコナゾールを内服していた。6年後,顔面に角化性紅斑が出現し,日光角化症と診断された。その後紅斑の数が増え,一部は有棘細胞癌に進行した。症例2:68歳,女性。急性骨髄性白血病に対して骨髄移植を受けた。肺アスペルギルス症に対して5年前よりボリコナゾールを内服していた。2年後に両手背と前腕に角化性紅斑が出現し,日光角化症と診断された。翌年有棘細胞癌に進行した。症例3:83歳,女性。肺アスペルギルス症に対して10年前よりボリコナゾールを内服していたところ,下口唇にびらんが出現した。急激に隆起し,生検で有棘細胞癌と診断された。3例とも外科的に切除したが,3例中2例は局所再発した。この3例ではボリコナゾール内服中に日光角化症が発症し,有棘細胞癌に進展した。ボリコナゾール内服中はその光発癌について患者教育を行うとともに,日光角化症や有棘細胞癌の早期発見に留意することが大切である。

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