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山本 明史, 森 俊二
1989 年 4 巻 1 号 p.
8-12
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
悪性黒色腫新鮮例に対して, IFN-βを術前に原発巣周囲に局所投与し, そのリンパ移行性の高いことを既に見い出している。また, 所属リンパ節においてNK活性およびIFN-γ力価の上昇などの傾向が認められ,注射局所ばかりでなく, 所属リンパ節にも抗腫瘍性が誘導ならびに増強されることが示唆される。よって, 悪性黒色腫の初回治療にIFN-βの局注を併用することとし, 現在までに新分類でstage I 3例, II 7例, III 10例の計20例経験し, 予後良好な症例が多い。
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赤坂 俊英, 遠藤 直樹, 松田 真弓, 昆 宰市, 高山 和夫, 井出 千束
1989 年 4 巻 1 号 p.
13-18
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
75歳女性の肛囲Paget病の1例を報告した。下床に癌が存在し, その組織像は乳頭管状腺癌と多数の印環細胞を含む粘液細胞癌の2種類の癌組織が混在していた。また, 癌の周囲の間質の膠原線維に沿って, 主に印環細胞より成る癌細胞の多数の索状の浸潤を認めた。Paget細胞は基底層直上に散在する小型の印環細胞様細胞と, 一部に腺様構造を有する胞巣を形成する細胞とが見られ, 下床の癌の2種類の組織像を反映していた。電顕像でも明調細胞と暗調細胞の2種の細胞が観察され, これらの細胞は肛門粘膜上皮の杯細胞と円柱上皮に類似することから, 肛門粘膜由来の腺癌がPaget現象を示したものと考える。
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黒沢 伝枝, 宮本 秀明, 長谷 哲男, 中嶋 弘
1989 年 4 巻 1 号 p.
19-22
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
78歳女性の右腋窩部に生じたPaget病の1例を報告した。病変は右腋窩部に限局し, 他部位の皮疹は肉眼的には認め得なかった。腋窩に病変のみられるPaget病は, double, triple extramammary Paget's diseaseを合わせて, 従来いわれているほど稀な疾患ではないと思われるが, わが教室では第1例目であった。Paget細胞は, ほぼ表皮内に限局して認められ, diastase抵抗性PAS染色陽性, Alcian-blue染色陰性であった。免疫組織化学的にはCEA, EMA, BRST-1に強陽性を示し, EMA, BRST-1もPaget病の腫瘍マーカーの一つになり得ることが示唆された。
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川名 智子, 飯島 茂子, 星野 稔, 馬場 徹, 上野 賢一
1989 年 4 巻 1 号 p.
23-25
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
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林 庸一郎, 横川 真弓, 古川 雅祥, 濱田 稔夫, 茶之木 頼彦
1989 年 4 巻 1 号 p.
26-29
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
58歳, 男性に生じた乳房外Paget病を報告した。初診の2年前より陰嚢部から陰茎根部にかけて軽度浸潤性の紅斑性局面を生じてきた。広範囲切除術を施行したが, 術後2年で左鼠径部に再発した。再切除目的で入院後, 腎不全となり消化管出血を来して死亡した。剖検では, 左鼠径部皮膚の他, 小骨盤腔, 後腹膜脂肪織, S状結腸, 膀胱, 前立腺, 腹部大動脈, 両側尿管, 腎動脈, 腎臓, 膵尾部, 左胸膜に小型のPaget細胞が浸潤していた。自験例では, 左鼠径部からリンパの流れに沿って鼠径靱帯を通り連続性に骨盤腔に浸潤したものと考えられた。
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滝野 長平, 角田 明子
1989 年 4 巻 1 号 p.
30-33
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
小丘疹が上腹部に限局性に多発集簇した59歳男性例について報告した。初診までの経過は5～6年と長く, 当初扁平紅色苔癬を疑い副腎皮質ホルモン剤の外用をおこなった。試験切除標本の組織学的所見, 年齢, 発生部位などからBowen病と診断したが, 全摘出を施行するまでの約1ヵ月間に病巣を構成する丘疹の数の減少と充実の程度に減弱が窺われ, またその組織像にも異型性の度合に減弱がみられた。一般検査ならびに入院によるドック検査に異常なく, 発症因子として推定されるものもなかった。皮疹の形態と分布ならびに自然消退が窺える経過がみられたことから発生部位に違いはあるが, Bowenoid papulosisとの関連性について若干の検討を試みた。
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吉田 秀也, 白井 洋司, 百束 比古, 文入 正敏, 中山 恵二
1989 年 4 巻 1 号 p.
34-36
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
82歳, 女性の有棘細胞癌を合併した多発性ボーエン病の1例を報告した。また多発性ボーエン病の発生頻度と他の皮膚悪性腫瘍の合併についても検討した。多発性ボーエン病はボーエン病の7～9%程度とみられる。本邦報告例においては有棘細胞癌を合併したボーエン病の症例は16例であり, 1例を除き多発性ボーエン病に合併したものであった。
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岡部 好位, 宇原 久, 斎田 俊明
1989 年 4 巻 1 号 p.
37-39
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
75歳, 女性。初診の約5年前, 左手首に紅斑性皮疹が出現し, 半年前よりその一部が隆起してきた。初診時, 左手首屈側に20×25mmの紅斑落屑性局面が存在し, その局面内に直径4mmの丘疹が認められた。諸検査にて他臓器の悪性腫瘍は見出されない。病理組織学的には局面部の表皮は棍棒状に肥厚し, ほぼ典型的なBowen病の所見を示す。丘疹部では真皮内にbowenoid cellが充実性に増殖し, その一部に汗腺様の腺腔構造が顕著に認められた。腺腔様構造の腫瘍巣はCEA強陽性, 充実性胞巣の一部はS-100蛋白強陽性であった。DBAはいずれも陰性。以上より, 真皮内侵入巣の一部が汗腺分化傾向を示した特異なBowen癌と診断した。
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北村 啓次郎, 鈴木 明宏, 斉藤 浩
1989 年 4 巻 1 号 p.
40-43
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
6歳男子。左母指側爪廓部に灰黒色疣状扁平隆起性皮疹が1年前より発生し, 組織像ではボーエン病類似の所見を示した。本例はボーエン病としては若年過ぎるし組織像でも異型性の程度が軽く, また尋常性疣贅としても組織での異型性が強く, 空胞化細胞少なく, ヒト乳頭腫ウイルス抗原も証明されていない。一方Bowenoid papulosisとしても発生部位が外陰以外の手指で, 単発である点問題がある。しかし稲本らは足趾間に単発した例をSolitary extragenital bowenoid papulosisとして記載しており, 本例も現在のところ, この稲本らの報告例に極めて類似したものと考える。
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北川 伸子, 山本 康生, 荒田 次郎
1989 年 4 巻 1 号 p.
44-47
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
85歳, 男。眉間部の腫瘤, 疼痛あり。組織学的所見はケラトアカントーマ。滑車上神経周膜への浸潤あり。2回全摘するも眼窩内にまで浸潤しており約5ヵ月の間に3回も再発を繰り返した。ケラトアカントーマでの神経周膜への浸潤はよく知られているが, 短期間での再発, 眼窩内までの浸潤をしている症例の報告はまだ見られていない。自験例では高K血症, 腎機能の異常があり全身麻酔は困難なため, 全摘出来なかったが治療についても考察する。今回我々は腫瘍で疼痛を訴える場合には, 神経周膜への浸潤の可能性を考えて慎重な対応が必要である事を痛切に感じた。
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江良 幸三, 菊池 一郎
1989 年 4 巻 1 号 p.
48-51
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
55歳男性の右肩背面に生じた巨大粉瘤腫壁の一部に悪性変化が認められた。
病理組織学的には, 異形性のないepidermal keratinizationを示す薄い嚢腫壁に連続して, 一部に内腔への乳頭状増殖が認められた。この部分に一致して有棘細胞癌が存在し,表皮嚢腫壁の癌化と推察した。
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久本 和夫, 山田 健一, 金子 信幸, 麻上 千鳥
1989 年 4 巻 1 号 p.
52-55
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
91歳女子の左足背に生じたtrichilemmal carcinomaについて報告した。病理組織学的に狭義のclear cell, すりガラス様細胞, trichilemmal keratinizationおよびsquamous eddiesが認められ, 多彩な組識像を呈した。
いわゆる明調な細胞のうち, すりガラス様細胞が主体を占めたので, 主に毛包峡部, 一部毛包下部への分化を示し, 真皮内浸潤を認めたtrichilemmal carcinomaであった。
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本間 眞
1989 年 4 巻 1 号 p.
56-59
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
82歳, 女子。3年前より左頬に角化性丘疹が数個出現し, 放置していた所, 半年前から潮紅したびらん局面を形成し, 局面内に紅色腫瘍が出現して来た。組織学的に老人性角化症ならびに悪性外毛根鞘腫であった。長期日光被曝により老人性角化症とともに悪性外毛根鞘腫が発生したもので, 悪性外毛根鞘腫は老人性角化症の1型とも考えられる。
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川村 邦子, 三浦 貴子, 上田 宏一, 伊東 佳子, 松田 三千雄, 佐々木 絹子, 杉山 貞夫, 高橋 誠
1989 年 4 巻 1 号 p.
60-63
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
84歳男性の左大腿外側に発生し, 左鼠径リンパ節に転移を生じたmalignant trichilemmomaの1例を報告した。組織学上, 腫瘤辺縁の局面部ではtrichilemmoma様の構築を示していたが, 原発巣腫瘤部や転移巣では大小の分葉状構造や嚢腫形成傾向を示し, malignant proliferating trichilemmal cystの構築に類似していた。光顕的に, 中心部の角化様構造を思わせた好酸性物質は, 電顕的にtrichilemmal keratinizationによるものではなく,壊死の所見であった。
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一山 伸一, 長谷 哲男, 中嶋 弘
1989 年 4 巻 1 号 p.
64-67
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
65歳, 男性のclear cell hidradenomaから発生したmalignant clear cell hidradenomaの1例を報告した。組織学的には腫瘍の主体は, 境界明瞭であり, 比較的均一で胞体の明るい細胞より成り, 異型性も乏しく, 良性のclear cell hidradenomaの像に一致した。しかし, 腫瘍底では間質への浸潤傾向が認められ, リンパ球などの反応もあり, この部の細胞は異型性, 核分裂像にも富んでいて, 悪性像に一致していた。
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竹松 英明, 薄場 泰子, 加藤 泰三, 田上 八朗
1989 年 4 巻 1 号 p.
68-71
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
42歳, 男性。右踵を釘で刺し, 皮下出血を生じた後, 褐色調の色素斑が徐々に拡大し, 約30年の経過で, 右踵全体に及ぶ大きさになった。色素斑内には淡褐色から暗褐色の色調が混在し, 悪性黒色腫が強く疑われた。しかし, 色素斑の辺縁は比較的整で, 色素斑内に腫瘤あるいは潰瘍形成を認めなかった。組織学的には, 長い樹枝状突起を伸ばしたメラノサイト内, および角層を含む表皮全層に及ぶメラニンが目立ったが, メラノサイトの増殖は認められなかった。本症例の組織所見は, volar melanotic maculeに相当することから, その大型のものとしてgiant volar melanotic maculeとして報告した。
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熊坂 中, 加藤 泰三, 橋本 久美子, 谷田 泰男, 田上 八朗
1989 年 4 巻 1 号 p.
72-74
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
爪甲下悪性黒色腫は日本人ならびに黒人にはしばしば認められものである。その発生年齢の平均は50歳代であり, 幼児例は極めて少ない。今回, 色素線条で始まり, 色素斑の拡大が認められたSubungual melanoma in situと考えられる4歳男児例を経験した。その診断, 特に境界型色素性母斑との鑑別ついて考察し, 併せて骨膜上の深さでのシェービングによる腫瘍切除術の有用性についても言及したい。
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西川 勝司, 深谷 徹, 小林 仁, 大河原 章, 吉田 哲憲, 杉原 平樹
1989 年 4 巻 1 号 p.
75-77
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
60歳男。幼児期から左腰背部に黒い色素斑が存在し, 昭和61年春から同色素斑は隆起し始め, 1年後急速に増大した。昭和62年7月28日初診時, 腫瘤は直径3cm高さ1cmであった。8月17日, 広範囲切除および左腋窩, 左鼡径リンパ節廓清術施行。腫瘤は広基有茎性であり, 基部では表皮collarette形成していた。腫瘍細胞は基部collaretteの上方に増殖し, 色素顆粒を含む異型性の強い細胞が主体を成していた。深さは12.5mm, 左腋窩の廓清リンパ節では, 11/19に転移を認めた。有茎性悪性黒色腫の1例を紹介し, その特徴にっき考察を加えた。
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長浜 由香, 伊木 まり子
1989 年 4 巻 1 号 p.
78-80
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
39歳女性の右大腿に生じたballoom cell melamomaの1例を報告した。腫瘍は, 病理組織学的にballoon cellよりなる腫瘍巣に加えて, 通常見られる悪性黒色腫の組織像が存在した。いずれの腫瘍細胞も抗S-100蛋白により陽性所見を得た。電顕所見においては, balloon cellは大小の空胞で満たされた特異な細胞質を有していた。
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坂 昌範, 加藤 司津子, 山本 明史, 鷲見 烈, 森 俊二
1989 年 4 巻 1 号 p.
81-83
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
64歳, 女性の右踵部のamelanotic melanornaの症例について報告した。広範切除, 植皮後DAV療法1クール施行, IFN-β300万単位×5植皮部に局注。ALM type, level 5, 新分類stage IIIであった。
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中山 恵二, 今井 俊哉, 三神 寛, 星 健二, 中村 進一
1989 年 4 巻 1 号 p.
84-87
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
症例1. 62歳, 男. 右足腫のNodular Melanorna (以下NMと略記) 。Stage III, Level V, イントランジット転移を認め, DAV療法, COP療法, 局所的にIFN-αを使用するも, 術後8カ月で死亡。鼠径部に壊死塊を認め, 諸臓器に転移を認めた。
症例2. 72歳, 女. 右足外側のNM。StageIII, LevelV。術後1年半後に尿中5SCD値上昇。DAV療法, PAV療法実施するも皮膚への転移を認めた後, 脾臓, 骨, 肝への転移は確認できたが, 他の諸臓器への転移は理学的にとらえられなかった。術後2年7カ月で死亡。剖検により転移はほぼ全身の諸臓器にわたり認められた。2症例共, メラノーマの転移のマーカーとして, 尿中5SCD値が有用と思われた。
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原 弘之, 森嶋 隆文, 花輪 滋, 柴田 明彦, 鮫島 俊朗, 兼松 秀一
1989 年 4 巻 1 号 p.
88-94
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
47歳, 女の左腕に生じた表在拡大型黒色腫の1例を報告した。自験例で興味あることは 1) 広範囲切除術, 大腿より遊離皮膚植皮術, 腋窩リンパ節郭清術施行5ヵ月後, 上部の部位にのみ限局して転移性黒色腫が出現したこと, 2) 植皮部の黒色丘疹の病理組織学的所見が表皮向性転移性悪性黒色腫のそれに一致していたこと, 3) 病巣割面からのスタンプ螢光法は黒色腫の術中迅速診断法として役立ったこと, 4) 尿中5-S-CDの経時的測定が黒色腫の腫瘍マーカーとして極めて有用であったことなどである。
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堀越 貴志, 小野寺 英夫, 三浦 俊祐, 高橋 博之
1989 年 4 巻 1 号 p.
95-102
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
ヒト培養正常色素細胞 (以下MC) の増殖は, 発癌プロモーターであるTPA (12-O-tetradecanoyl phorbol acetate) が必須であり, 非存在下では, MCは, 死滅する。Cキナーゼの特異的阻害剤であるH: 7 (1- 〔5-Isoquinolin sulfony1〕 -2-methylpiperazine) は, 色素細胞の増殖を, 20μMで約64%, 50μMで85%抑制した。A-kinaseの刺激剤であるcholera toxinはH: 7の増殖抑制効果を, 50%回復させた。H: 7はチロジナーゼ活性に対しては, 有意な影響を与えなかった。Cキナーゼの活性化を促すOAG (oleoy1-2-acetylglycerol) は, 色素細胞の増殖を阻止した。H: 7は, OAGのMC増殖抑制効果を軽減した。Cキナーゼの活性化は, 培養MCに対し増殖抑制に働くことが示唆された。
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小林 裕美, 石井 正光, 深井 和吉, 茶之木 美也子, 濱田 稔夫, 村垣 泰光, 大島 章
1989 年 4 巻 1 号 p.
103-108
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
Basal cell epithelionla (BCE) , Bowen's disease (BD) , squamous cell carcinoma (SCC) におけるI, III, IV, V型コラーゲン, ラミニンの分布と存在形態を間接蛍光抗体法, 免疫電顕法により検索した。その結果, 抗I, III, V型コラーゲン抗体はいずれも間質の全てのコラーゲン線維に反応した。抗IV型コラーゲン抗体, 抗ラミニン抗体は, BD, common type BCEでは, 腫瘍細胞巣と間質の境界部に線状に陽性であったが, 再発例を含むfibrosing BCE, SCCでは, 断裂や欠損, 或いは肥厚や重層化等の異常な存在形態を著明に示した。断裂像は良性腫瘍でも認められ, 必ずしも悪性を意味する所見ではないが, 存在形態の異常の発現の頻度は腫瘍の悪性度に並行した。
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瀬戸山 充, 四本 信一, 浜田 哲, 笹田 奈緒美, 伊東 佐和子, 種子田 秀人, 宮内 秀明, 野元 茂, 田代 正昭, 蓮井 和久
1989 年 4 巻 1 号 p.
109-113
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
日光角化症構成細胞の核DNA量についてmicrophotometric analysisを行った。その結果, basal-suprabasal layerにおける細胞群 (BSC) とprickle layerにおける細胞群 (PC) の核DNA量においてI型とII型では異なったpatternが観察できた。すなわち, I型ではBSC領域にaneuploidな細胞の増殖がみられるが, SC領域ではaneuploidな細胞は混在するものの, もはや増殖がみられず, 一方, II型ではBSC, SCともにaneuploidな細胞の増殖が認められた。このことはI型, II型の構成細胞の生物学的差異を示すと考えた。
またSCCの腫瘍胞巣についても検討し, これは, I型と類似したpatternを保有していた。
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豊島 弘行, 堀 真, 吉田 彦太郎
1989 年 4 巻 1 号 p.
114-117
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
Trypsinで処理し, 単離した有棘細胞癌細胞をpercoll (コロイド状シリカ) を用いた密度勾配遠沈法により, high density fraction (比重1.088以上) , intermediate density fraction (比重1.050-1.088) , low density fraction (比重1.050以下) の3分画に分離した。各分画の腫瘍細胞にGiemsa染色を施し, 核面積, 細胞質面積, 核・細胞質比, 核切れ込み指数などを測定し, 比重との相関を検討した。
その結果, 核・細胞質比は高比重分画の細胞ほど高い値を示したが, 核面積, 細胞質面積, 核切れ込み指数などと比重との間には一定の関係がみられなかった。
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寄藤 和彦, 永井 秀史, 小林 まさ子, 藤田 優, 岡本 昭二, 伊藤 達也
1989 年 4 巻 1 号 p.
118-122
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
有棘細胞癌8例, 基底細胞癌4例の計12例の皮膚悪性腫瘍において, 術前CTと術後組織像を比較することにより, CTが腫瘍深達度の判定に, どの程度有用か検討した。その結果, 腫瘍の下床に正常皮下脂肪織が存在すれば, 基底細胞癌のような比較的小型の腫瘍でも, ある程度判定可能であった。一方, 腫瘍の下床が線維組織や筋組織の場合は, 判定が困難であった。しかし, このような場合でも, CTを生検組織所見と考え合わせながら見ていくと, 腫瘍深達度を判定する上で有用な手段と考えられた。
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小林 まさ子, 藤田 優, 岡本 昭二, 蓑島 聡, 宇野 公一, 門沢 秀一, 有水 昇
1989 年 4 巻 1 号 p.
123-127
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
皮膚原発悪性黒色腫の原発巣および転移巣31病巣について, I-123IMPシンチグラフィを施行し, Ga-67citrate, Tc-99mMDPによるシンチグラフィと比較検討を行った。I-123IMPでは31病巣中27病巣, 87.1%の検出率であった。原発巣, 皮膚転移, 表在性リンパ節転移でほぼ全例描出され, Ga-67citrateより良好な結果であった。また骨の転移巣においても明瞭な集積像が得られた。
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中村 聡, 能川 昭夫, 広根 孝衛, 小泉 潔, 久田 欣一, 光戸 勇
1989 年 4 巻 1 号 p.
128-132
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
61歳, 女性のステージIV悪性黒色腫の転移を検索するためIn-111標識抗ヒトメラノーマモノクローナル抗体 (ZME-018) によるシンチグラフィーを行なった。その結果, Ga-67シンチグラフィーで描画されなかった脳転移がこの方法で描出された。さらに, 本法施行例5例における陽性病巣について考察を加えた。
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柴田 明彦, 鈴木 公明, 原 弘之, 花輪 滋, 森嶋 隆文
1989 年 4 巻 1 号 p.
133-137
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
悪性黒色腫の術前診断法として病巣表面からのスタンプ螢光法が唯一のものと思われるが, 適用は湿潤性・隆起性病変に限られる。今回, われわれは黒色腫の非潰瘍性病変の術前診断法として穿刺吸引螢光法を開発した。黒色腫原発例1例, 皮膚転移例4例と黒色腫と鑑別を要する, 主として色素性腫瘍21例を被検材料とし, 23あるいは27Gの注射針をもって穿刺吸引標本を作製し, これにformaldehyde gas処理を行い, 螢光顕微鏡下に観察した。黒色腫全例で多数の螢光性腫瘍細胞が確認されたが, 非黒色腫例では陰性の成績であった。以上の結果から, 本法は原発巣であれ, 転移巣であれ, 黒色腫の術前診断法として有用な方法であると考えられた。
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山崎 直也, 清原 祥夫, 早坂 健一, 石原 和之, 佐藤 雄一, 向井 清
1989 年 4 巻 1 号 p.
138-142
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
悪性リンパ腫の概念は, 近年の酵素組織化学や免疫学の発展の結果, 一新された。現在その分類については, なおいくつかのものが併用されており, 統一には至っていない。
我々は国立がんセンターにおける皮膚悪性リンパ腫症例のうち主にmycosis fungoidesについて臨床的にまた免疫組織学的に検討を加えた。
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藤田 真由美, 宮地 良樹, 堂阪 直子, 高橋 健造, 澤見 万里, 堀口 裕治, 今村 貞夫
1989 年 4 巻 1 号 p.
143-147
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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皮膚有棘細胞癌を初めとする表皮系の腫瘍に対して抗EGFリセプター抗体と抗基底細胞抗体3B4-6 (当教室にて作製したマウスモノクローナル抗体) とKi-67抗体を用いて免疫組織学的に検討した。皮膚有棘細胞癌は, 他の腫瘍と比べてEGFリセプターが特異的に増加しており, その先行病変である熱傷後瘢痕や放射線皮膚炎においても表皮構築の乱れや分裂増殖層の増加は無いにもかかわらず, EGFリセプターが既に増加していた。皮膚有棘細胞癌において, その発症や増殖のメカニズムにEGFリセプターが関与していることが示唆された。
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米田 和史, 兼松 勲, 坂 昌範, 山本 明史, 森 俊二
1989 年 4 巻 1 号 p.
148-151
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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3種類の抗ケラチン抗体を用い, 8例の乳房パージェット病および18例の乳房外パージェット病の染色性について, パラフィン切片によるABC酵素抗体法で検討した。抗ケラチン抗体MAK-6 (52.5kd, 50kd, 48kd, 45kdおよび40kdのケラチンペプチドと反応) は, 乳房および乳房外パージェット病のパージェット細胞と反応を示したが, EAB-903およびEAB-904 (共に66kdと57kdのケラチンペプチドと反応) はパージェット細胞と反応を示さなかった。MAK-6はパージェット病の診断およびパージェット細胞の浸潤の範囲の判定に有用と考えられた。
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田沢 敏男, 藤原 浩, 伊藤 雅章, 佐藤 良夫
1989 年 4 巻 1 号 p.
152-156
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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有棘細胞癌 (SCC) , ケラトアカントーマ (KA) , ボーエン病 (BD) , 基底細胞上皮腫 (BCE) を抗ケラチン単クローン抗体で免疫組織化学的に検討。何れも重層上皮型ケラチンを認識するHKN-2で全体に陽性, ハードケラチンを認識するHKN-6とHKN-7および単層上皮型ケラチンを認識するRGE53で陰性。SCC, KAは表皮ケラチンを認識するRKSE60, ハードケラチン, 外毛根鞘最内層ケラチンを認識するHKN-5の何れでも部分的に陽性。BDはRKSE60で陽性, HKN-5で陰性。BCEはRKSE60で陰性, HKN-5で部分的に陽性。SCC, KAは表皮, 外毛根鞘最内層の両方のケラチンを, また, BDは表皮, BCEは外毛根鞘最内層と同様のケラチンを発現する。
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山口 潤, 近藤 靖児, 川田 暁, 佐藤 吉昭
1989 年 4 巻 1 号 p.
157-160
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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昭和34年より62年までの29年間に経験した老人性角化症59例, 69個の臨床的・病理組織学的観察を行った。男33, 女26例と男子にやや多く, その年齢分布は40歳から97歳にわたり, 平均年齢は65.8歳で60歳以上が約75%を占めた。発生部位では顔面が43個62%と最多で, これを含む露光部発生例は全体の90% (62個) であった。組織型別では類ボーエン型28個, 肥大型23個, 萎縮型12個, 棘融解型4個, 類苔癬型2個の順で, 個数の多かった前3者の平均年齢を比較すると肥大型が58歳, 類ボーエン型が67歳, 萎縮型が74歳であった。
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橋本 裕之, 松永 悦治, 倉田 荘太郎, 高崎 修旨, 寺師 浩人, 市川 弘城, 黒田 真臣, 藤原 作平, 板見 智, 新海 浤, 高 ...
1989 年 4 巻 1 号 p.
161-165
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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我々は, Aggressive BCE (Basal Cell Epitheliolna) を (1) 臨床的に再発例, (2) 組織学的に筋層, 軟骨あるいは骨へ達する例のうちいずれかを満たすものと定義づけし, 大分医大皮膚科における59例のBCEをAggressive BCE (14例) とNon-Aggressive BCE (45例) の2群に分け組織学的に比較検討した。その結果, Aggressive BCEではirregular spiky pattern, micronodular nest, peripheral palisading irregularityが組織学的特徴として認められた。炎症細胞浸潤の程度, 潰瘍形成は二つのグループの間に差を認めなかった。これらの結果にもとづき, 当科ではAggressive BCEに対して通常のBCEに対する切除範囲では不十分と考え, SCCに準じた皮膚広範囲切除を行っている。
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荻野 泰子, 細川 かをり, 鈴木 真理, 松永 佳世子, 早川 律子, 福田 金壽
1989 年 4 巻 1 号 p.
166-171
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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昭和58年～62年の5年間に, 名大分院皮膚科を受診した表皮内癌を含む皮膚悪性腫瘍患者35例について臨床所見, 術後の経過をまとめ考察した。対象とした疾患はボーエン病9例, 日光角化症7例, 乳房外パジェット病1例, 基底細胞上皮腫9例, 有棘細胞癌5例, 悪性黒色腫2例, 皮膚付属器癌1例, 隆起性皮膚線維肉腫1例である。治療は全例に根治的摘出術を行った。63年4月現在4例が死亡した。死因の内訳は老衰2例, 胃癌1例, 原疾患1例で, 原病死は皮膚付属器癌の1例であった。31例は生存しており, そのうち有棘細胞癌の1例に転移を認めたが, その他の症例は全例が再発, 転移無く健在である。
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倉本 賢, 石原 佳代子, 南 祥一郎, 伊藤 孝明, 夏秋 優, 宮崎 孝夫, 相模 成一郎
1989 年 4 巻 1 号 p.
172-174
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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1983年1月より1987年12月までの5年間に経験した皮膚癌 (ボーエン病, パジェット病, 基底細胞癌, 有棘細胞癌, 悪性黒色腫) 160例のなかの11例 (6.3%) に内臓癌の併発を認めた。このデータは, 1985年国立ガンセンターでの報告に, ほぼ一致するものであった。
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三原 一郎, 斎藤 秀剛, 矢田 義幸
1989 年 4 巻 1 号 p.
175-179
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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生下時より存在していたと思われる背部の萎縮斑上に多発性に生じたpigmented dermatofibrosarcoma protuberansの女児例を報告した。組織学的には線維芽細胞様細胞がstoriform patternを呈し密に増殖し, 処々に担色素細胞が混在した。担色素細胞は, 免疫組織学的, 電顕的所見よりメラノサイトと同定されたが, 腫瘍の主たる構成細胞は種々の抗体に反応せず, 電顕的にもその起源を支持する程の所見は得られなかった。腫瘍の母地となった, 萎縮斑部の組織像はneurofibromaに類似はしていたが, S-100蛋白陰性で, 腫瘤部との移行像からも同一腫瘍と考えるのが妥当と思われた。
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松永 佳世子, 荻野 泰子, 細川 かをり, 鈴木 真理, 早川 律子, 福田 金壽, 鳥居 修平, 内藤 和行, 大野 晶子
1989 年 4 巻 1 号 p.
180-183
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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線維肉腫に近い悪性度を示した隆起性皮膚線維肉腫の32歳女性例を報告した。腫瘍発生より5年後初診。左頬に30mm径の紅色軽度隆起性病変を認め, 皮下に下床との可動性に乏しい35×60mm大の不正形硬結を触れた。リンパ節, 全身転移は認めなかった。生検の結果線維肉腫の疑いで腫瘍辺縁より眼の下は12mmその他は15mm離し, 下床は一部骨膜を含み一塊として切除し, 皮膚欠損部には胸三角筋部皮弁を作成し移植した。術後放射線療法と化学療法を施行した。摘出標本で腫瘍は皮下組織, 筋肉内ヘレース状に深く浸潤していた。腫瘍は線維芽細胞様細胞が明瞭なstoriform patternを描き, 核の多形性は少ないが, 核分裂像を多数認めた。現在再発転移なく健在。
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伊藤 由美, 青木 見佳子, 佐々木 映子, 石永 三千, 畑 三恵子, 矢島 純, 本田 光芳, 滝沢 康, 百束 比古
1989 年 4 巻 1 号 p.
184-186
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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症例は75歳女性。左眼窩外側に中央が紅色びらん面を呈す17×20×8mmの結節を認める。組織学的には, 紡錘形の核および胞体を有する線維芽細胞様細胞と類円形の核をもつ組織球様細胞からなり, 種々の方向に錯綜して配列している。また一部に不明瞭ながらstoriform patternが認められた。酵素抗体法にてビメンチン, α1アンチトリプシンで陽性を示した。本症例はatypical fibroxanthomaとの鑑別が問題となったが, malignant fibrous histiocytomaと診断した。
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葉狩 良孝, 阿曽 三樹, 三原 基之, 島雄 周平, 浜田 陽一郎, 湯本 東吉, 清水 康之
1989 年 4 巻 1 号 p.
187-190
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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61歳, Recklinghausen病を有さない男性の頭部に生じたmalignant schwannomaの1例を報告した。腫瘍は, 病理組織学的には紡錘形細胞肉腫を呈していた。腫瘍細胞はS-100, S-100β, AHMY-1, vimentin陽性で, 電顕的には, basal lamina fibrous laminaが認められ, このことが診断に有力な根拠を与えた。また腫瘍細胞内には多数のvesicular bodyが認められたが, その意義は不明であった。
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高木 肇, 山本 明史, 市來 善郎, 野田 徳郎, 柳原 誠, 下川 邦泰, 後藤 全宏
1989 年 4 巻 1 号 p.
191-196
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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症例: 25歳, 女性. 昭和61年3月中旬, 小指頭大. 弾性硬の皮下腫瘤を肛囲に気づいた。増大してくるため, 5月初旬に近医受診し, 右鼠径リンパ節腫脹を指摘され, リンパ節生検にてmalignant melanoma (リンパ節転移) を疑われ, 当科を紹介された。腫瘍は急速に増大し, 骨盤内を占めるようになり, 傍大動脈リンパ節, 左頸部リンパ節腫脹を認めた。
リンパ節生検組織の病理学的検討からmalignant melanornaは否定され, 原発部Biopsy施行。デスミン陽性, 電子顕微鏡所見などより, 幼若な筋肉系肉腫と診断した。
CYVADIC療法を6クール施行し, 腫瘍およびリンパ節腫脹は全く消失した。再発や転移をみとめず, 化学療法を追加し経過観察中。
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小堀 幸子, 金沢 一也, 井上 俊一郎, 北島 康雄, 矢尾板 英夫, 坂井 重信, 池田 重雄
1989 年 4 巻 1 号 p.
197-200
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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49歳, 男。昭和61年秋頃より上口唇正中部に帽針頭大の丘疹が出現。昭和62年春頃より下口唇左側に角化局面が生じ, 拡大。7月頃より下口唇右側に腫瘤が生じ次第に増大。昭和61年秋頃より両側前腕・両手背・頸部・右上眼瞼に紫紅色扁平隆起性病変が出現。組織学的にそれぞれ尋常性疣贅・日光口唇炎・有棘細胞癌・扁平苔癬と診断された。治療として有棘細胞癌に対し腫瘍広汎切除と右fan flapおよび右頸部根治郭清術を行い, 日光口唇炎に対し表皮剥離および単純縫縮を行い, 扁平苔癬にはステロイド軟膏外用を行なった。有棘細胞癌の前癌状態として日光口唇炎と扁平苔癬の可能性を考えたが, 自験例では組織学的に日光口唇炎であると思われた。
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沼原 利彦, 小路 和江, 西本 正賢, 高岩 堯
1989 年 4 巻 1 号 p.
201-203
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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50歳, 男, 初診時, 両足に多発した有棘細胞癌と四肢に多発する扁平疣贅より疣贅状表皮発育異常症を考えた症例を報告した。腫瘍発生後に疣贅皮疹が出現しており, 腫瘍・疣贅いずれからもウイルスが検出されず, 多発性有棘細胞癌に疣状結節が併発したものと考えた。
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沢田 幸正, 佐伯 英明, 佐藤 貴美子, 菅原 光雄
1989 年 4 巻 1 号 p.
204-205
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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70歳女性の右外眼角部にみられた腫瘍で通常の有棘細胞癌の所見の他に, 同一の腫瘍細胞より1層の腫瘍細胞が管腔様構造をとっている部分が認められた。その内部には, Dyskeratotic, Acantholytic cellも認められたことからPseudoglandular squamous cell carcinomaと診断した。
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仲田 龍一, 川田 暁, 比留間 政太郎, 久木田 淳
1989 年 4 巻 1 号 p.
206-209
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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当教室で経験した有棘細胞癌13例について, その病理組織像を検討し, TNM分類, Broders分類, レベル分類をおこない, さらにそれらと治療成績との関連について検討した。その結果自験例13例では, TNM分類による病期分類が進むにつれて, 再発・転移が増加した。
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今井 俊哉, 中山 恵二, 中村 進一, 後藤 正紀
1989 年 4 巻 1 号 p.
210-213
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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41歳, 男性。主訴: 頭頂部の腫瘤, 結節及び丘疹。臨床的に基底細胞上皮腫, 悪性黒色腫などを思わせた。組織学的に表皮と連続性の部位の腫瘍塊には, 若干の細胞の大小不同, 及び核の異型性を伴うPoroma様の細胞を認め, 真皮内の島状の腫瘍塊では, さらに強い悪性像を呈し, かつクチクラを持たない管腔様構造を認めた。PAS染色は, 腫瘍細胞陰性, 管腔様構造内側で陽性, CEAは, 腫瘍細胞陰性, 管腔様構造内側に陽性を呈した。電顕的にも管腔様構造を確認し得た。以上より我々は, エクリン汗管癌と診断した。
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吉龍 澄子, 生越 まち子, 市橋 正光, 三島 豊
1989 年 4 巻 1 号 p.
214-218
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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村田 実, 金森 正志, 中村 保夫, 清水 正之
1989 年 4 巻 1 号 p.
219-221
発行日: 1989/05/20
公開日: 2010/08/05
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77歳女性の下肢に出現した血管肉腫を経験した。右膝窩部に鶏卵大暗赤色結節を3個認め, Moh's療法を中心に治療を試みたが腫瘍出現から1年で死亡。腫瘍細胞は, 未分化な蜂巣状増殖を示すものから血管腔を形成するものまで多種多様の形態が見られた。電顕的にも血管肉腫と診断したが死亡時諸臓器への遠隔転移は認められなかった。
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