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浜田 忠弥, 渋谷 悦子, 芦田 雅彦, 田中 憲一
1991 年 6 巻 1 号 p.
8-19
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
Ad12・トランスフォームド・マウス細胞とその腫瘍系により腫瘍免疫成立機序をMHCクラスI抗原 (H-2) 抗原との関わりにおいて解析, H-2抗原保有細胞により誘発される腫瘍免疫がH-2抗原欠落細胞に対して発効することを認めた。この場合, H-2抗原活性に優れる細胞が個体における免疫原活性, 並びに試験管内マクロファージ (Mφ) 感作活性に優れる。H-2抗原は当該細胞のMφ感作活性を左右することによりその免疫原活性を規定するものと考える。
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小野 友道, 吉村 浩二, 江川 清文
1991 年 6 巻 1 号 p.
20-24
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
ThymidineのanalogueであるBrdUはS期細胞に取り込まれる。抗BrdUモノクローナル抗体を用いて免疫組織学的にこのS期細胞を検出できる。基底細胞癌をモデルに
in vitro法により, このBrdU法でその増殖様式を検討した。その結果, BCCはBrdU陽性細胞率が4.0%~13.0%を示した。またBCCの増殖においては, 最外層細胞が主としてその役割を担うが, 裂隙を生じた胞巣では, その役割は減少・消失することが明らかとなった。
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伊藤 薫
1991 年 6 巻 1 号 p.
25-30
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
抗増殖細胞モノクローナル抗体Ki-67, 抗DNA polymerase αモノクローナル抗体および抗bromodeoxyuridineモノクローナル抗体を用いて, ボーエン病, 基底細胞上皮腫, 有棘細胞癌, 悪性黒色腫における腫瘍細胞の増殖動態を免疫組織学的に検出し, 比較検討を行った。本方法は有用であるが, 組織材料の採取部位により差が出たり, 必ずしも臨床的悪性度とは一致しないことに注意が必要と考えられる。
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大塚 藤男, 池 亨仁, 上田 純嗣, 石橋 康正, 大原 国章
1991 年 6 巻 1 号 p.
31-35
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
DAPI-DNA顕微蛍光測光法により細胞核DNA量を測定した。細胞核DNA量が腫瘍の生物学的態度を鋭敏に反映しており, 悪性腫瘍の発達過程, 診断, 予後の推測に同法が有用であることを明らかにした。即ち, 汗孔角化症の腫瘍としての性格とともに, ボーエン病, 有棘細胞癌に至る過程の検索に, また悪性黒色腫とSpitz nevusの鑑別, 悪性黒色腫患者の予後推測に上記方法による細胞核DNA量測定が有用であった。
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衛藤 光, 舩渡 忠男, 太田 幸則, 刀祢 毅, 汪 南平, 西岡 清, 西山 茂夫, 神崎 保
1991 年 6 巻 1 号 p.
36-40
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
皮膚腫瘍細胞の増殖と分化について, 外毛根鞘腫由来の細胞株K-TL-1を中心に検討した。K-TL-1は,
in vitroで, 毛包, 汗器官, および, 脂腺細胞の性格を示し, 分化およびtransdifferentiationを起こす能力を示した。Cytokineとの関係では, interferon-γとTGF-βは増殖抑制作用を示し, IL-1α, IL-6, IL-8についてはK-TL-1細胞が産生していることが明らかとなった。また活性型vitamin D
3は増殖の抑制と分化の誘導に働いた。
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風間 隆
1991 年 6 巻 1 号 p.
41-46
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
有棘細胞癌および悪性黒色腫における基底膜成分について免疫組織化学的に検討した。有棘細胞癌では基底膜成分は分化度が高いほど, 浸潤度が低いほど連続性が保たれている傾向があった。悪性黒色腫では活発な基底膜成分の産生が示唆され, 真皮深層の腫瘍巣および皮膚転移巣の基底膜成分の分布パターンは2種類存在した。これらの所見を, 最近の生化学的および実験病理学的研究により得られた癌の浸潤, 転移の知見による解釈を試みた。
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高森 建二, 坪井 良二, 栗田 依幸, 小川 秀興
1991 年 6 巻 1 号 p.
47-53
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
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山本 信二, 中嶋 邦之, 佐々木 道生, 高岩 尭
1991 年 6 巻 1 号 p.
54-58
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
38歳, 男性の左第2指に生じたBowen病の1例を報告した。臨床的には爪甲黒色線条として認められた。組織学的には爪母より爪床にかけての黒色線条に一致したBowen病であった。あわせて, 本邦報告例の統計的検討を試み, 爪部Bowen癌は, 決して稀でないが, 爪甲黒色線条を呈することは比較的稀であること, 発症因子として外傷の重要性などを述べた。
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柳川 茂, 大隅 正義
1991 年 6 巻 1 号 p.
59-62
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
リンパ節腫脹を主訴とし, 原発不明癌 (扁平上皮癌) として診断された後にボーエン癌病巣が発見された2例につき報告した。71歳, 女。右鼠径部手拳大リンパ節腫大, 右脛骨転移。右膝内側に15年来の角化性浸潤局面あり。組織はボーエン病様で早期浸潤像を示す。P-CAV化学療法にてリンパ節は縮小するも, 脳転移にて死亡。60歳, 男。右腋窩リンパ節腫大。右側胸部の小結節を伴う浸潤性紅斑あり。組織は浸潤癌とボーエン病が併存した。化学療法無効にて死亡。2例とも臨床像は非定型的で小型でありながら転移能力が強く,ボーエン癌の臨床上注意すべきだと思われた。
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河内 繁雄, 佐久間 正寛, 岡部 好位, 池川 修一, 斎田 俊明, 山田 佳也
1991 年 6 巻 1 号 p.
63-66
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
皮疹出現後1年で, 原発巣部に真皮内浸潤と著明なリンパ管内侵入を呈し, 所属リンパ節転移を来したBowen癌の1例を報告した。病理組織学的にエックリン汗腺癌や表皮向性転移性腫瘍との鑑別が問題となったが, 諸検査にて他臓器の悪性腫瘍は検出されず, 免疫組織化学でCEA, S-100蛋白, PAS染色, alcian-blue染色は陰性であることからBowen癌と診断した。Bowen病の中にも急激な進展をとる病型があり注意を要すると思われた。
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金子 健彦, 安部 正瑞, 相馬 良直, 皆見 春夫, 古江 増隆, 中川 秀己, 大塚 藤男, 石橋 康正
1991 年 6 巻 1 号 p.
67-69
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
手指爪囲に発症した疣贅様病変の一部に, Bowen病を示唆する組織学的所見を示した1例を経験した。本症例について, 酵素抗体法, Southern blot hybridization法を用いて, Human papilloma virus (HPV) との関与につき検討したところ, 病巣よりHPV抗原ならびにHPV16型DNAが検出された。この結果は, 本症例の組織学的なBowen病様変化の発現に, HPV16型の感染が関与している可能性を示唆していると考えられた。
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寺師 浩人, 佐藤 政子, 倉田 荘太郎, 本多 朋仁, 高安 進, 柴田 興彦
1991 年 6 巻 1 号 p.
70-73
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
69歳男性の肛門部基底細胞上皮腫の1例を報告した。肛門部7°~11°の方向に45mm×25mm, 高さ10mmの黒色腫瘤があり, 一部線状に肛門管へ浸潤し, 歯状線直上まで存在していた。生検にて基底細胞上皮腫の診断を得, 辺縁5mm離し, 脂肪織と外肛門括約筋を一部含めて切除後, V-Y advancement subcutaneous flapにて創を一期的に閉鎖した。術後排便良好。鑑別診断として, cloacogenic zone (移行帯) 由来の類基底細胞癌があげられる。
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中山 恵二, 今井 俊哉, 内田 陽子, 相良 宗徳, 中村 進一, 林 厚生
1991 年 6 巻 1 号 p.
74-76
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
72歳男性の左腋窩部に発生した基底細胞上皮腫について報告した。5年前から左腋窩部に癌痒感を伴う丘疹が生じ, 次第に腫瘤状に増大してきた。初診時3×2.5cmの境界明瞭な, だ円形紅褐色局面を認め, 辺縁の一部に放射状に延びる黒褐色色素斑も認めた。組織学的にはbasaloid cellが充実性から索状に増殖し, 真皮内に腫瘍細胞が胞巣を形成する部分も認め, いわゆる充実型と表在型の像を呈していた。
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竹内 吉男, 清水 文子, 鶴岡 利樹, 露木 重明
1991 年 6 巻 1 号 p.
77-81
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
当教室10年間のBCE (Basal Cell Epithelioma) 35例36個につき検討した。男18例, 女17例で, 60歳代に多い。2年以内に半数以上が受診したが, 10年以上の経過も4例みられた。鼻, 眼囲, 頬, 頭に多く発生し, 大きさは径1cm以下が半数を占めた。主病変の組織型は, Solid type 25, Superficial type 5, Sclerosing type 4, Adenoid type 2の順であったが, 副病変として以上の他にCystic type 2, Keratotic type 1, Adamantinoid type 3がみられた。
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紀平 知香, 橋本 健治, 谷口 芳記, 清水 正之
1991 年 6 巻 1 号 p.
82-85
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
61歳, 女性。左頬部の器官母斑に続発したと考えられる顔面の腫瘤にて来院。臨床像は母指頭大の紅色腫瘤と, これに連続し淡褐色の散在性丘疹を伴う隆起性局面であった。組織学的には, 腫瘍はsquamoid, basaloid, clear cellの腫瘍巣からなり, squamoid cellの一部には, 明らかな悪性変化を認めた。腫瘍をPAS染色, 脂肪染色, 免疫組織学的所見でみると, 汗腺系, 脂腺系の変化を示さず, 毛組織, 特に外毛根鞘の性質を有していると考えられた。
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栗栖 幸恵, 熊切 正信, 古屋 和彦, 大河原 章
1991 年 6 巻 1 号 p.
86-89
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
高齢者の顔面に生じた毛包癌の2例を報告した。症例1: 92歳, 男。右側頭部の45×35mmの表面顆粒状腫瘤。症例2: 97歳, 女。左前額部の26×22mmの広基性腫瘤。病理組織像: 腫瘍巣の辺縁の細胞は比較的小型であるが, 中心に向かうに従い大型の異型性の強い細胞となり明調細胞となる。中心は角質塊あるいは嚢腫状である。2例とも腫瘍の主たる増殖は真皮内で, malignant proliferating trichilemmal tumorに相当すると考えられた。
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長尾 洋, 荒川 謙三, 荒田 次郎
1991 年 6 巻 1 号 p.
90-94
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
前癌性, 癌性変化を生じた全身性白皮症の2例 (73歳男, 60歳女) を報告した。73歳男性例では計42病変を病理組織学的に検討した結果, 日光角化症30, 有棘細胞癌10, 基底細胞癌2病変を認めた。有棘細胞癌はすべて日光角化症を発生母地としており, 7病変にacantholyticな変化を認めた。全身性白皮症に生じる日光角化症では, 棘融解型のものが癌化しやすい, 癌化に際してacantholyticな変化を呈することが示唆された。
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徳橋 至, 鯵坂 義之, 下田 祥由, 関 建次郎, 高桑 俊文
1991 年 6 巻 1 号 p.
95-97
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
66歳, 男性の左下口唇に生じたmicrocystic adnexal carcinomaを報告した。本邦報告例は自験例を含め12例と稀であり, 中年から高齢者の顔面に好発する腫瘍である。組織学的には角質嚢腫様構造と腫瘍の索状増殖を認め深部へ浸潤する傾向を示す。転移なく予後は良好であるが基底細胞上皮腫と同様に不十分な切除では再発することが多く, 手術範囲の決定には十分な注意が必要である。
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高橋 一夫, 吉田 貞夫, 一山 伸一, 高橋 泰英, 長谷 哲男, 中嶋 弘, 宮川 加奈太, 黒沢 伝枝, 平井 義雄
1991 年 6 巻 1 号 p.
98-103
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
乳房, 乳房外パージェット病をはじめ, エクリン系・アポクリン系腫瘍について免疫組織学的に検討した。その結果, CEA, EMAは乳房パージェット病, 乳房外パージェット病ともに腫瘍細胞中に高頻度に検出された。BRST-1により認識される抗原は乳房パージェット病で高頻度に認められた。PKK-1により認識される抗原は乳房外パージェット病の多くに認められた。また, BRST-2抗体はアポクリン系皮膚腫瘍の良いマーカーになることが期待され, 乳癌皮膚転移例ではBRST-1が高率に陽性であった。
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宿輪 哲生, 堀 真
1991 年 6 巻 1 号 p.
104-108
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
53歳男性の食道癌から左母指および右小指に転移を認めた症例を報告した。初診時, 左母指爪下および右小指末節に碗豆大の肉芽腫様腫瘤を認めた。また内視鏡および上部消化管造影で食道中間部に潰瘍を認め, 骨シンチグラムで右肩肝骨や寛骨臼等に異常集積像がみられた。組織学的には左母指, 右小指とも表皮と連続のない, 好酸性に染まる腫瘍細胞の増殖とhorn pearlを認め, 食道では粘膜上皮の欠損と扁平上皮癌を思わせる所見がみられた。
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山岡 淳一, 藤田 真由美, 堂阪 直子, 立花 隆夫, 古川 福実, 今村 貞夫, 山邉 博彦
1991 年 6 巻 1 号 p.
109-114
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
47歳, 男。16年前より四肢, 臀部, 体幹を中心に紅斑性小丘疹の出現と自然消褪を繰り返していた。1989年11月, 皮疹が増悪し当科に入院した。血液一般検査, 腹部CTスキャン,
67Gaシンチグラフィー等の検索に加え, 皮疹部皮膚を用いたサザンプロット法による遺伝子検索, 電顕的および免疫組織学的検索を試みlymphomatoid papulosisと診断した。当初PUVA療法とエトレチナート内服の併用療法を行い, 以後エトレチナート内服単独療法を行ったところ, 皮疹は消褪しエトレチナート内服が有効と思われた。経過中, 左足蹠部に小指頭大の暗赤色腫瘤が出現し, 悪性リンパ腫への移行も疑われたが, この腫瘤も1~2ヵ月の経過で消褪傾向を示し瘢痕様の小丘疹となった。
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新屋 明美, 宇谷 厚志, 大野 佐代子, 段野 貴一郎, 中村 道三
1991 年 6 巻 1 号 p.
115-118
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
69歳, 男性。皮膚紅斑の発現後より約1年を経過して外転神経障害, 四肢知覚神経障害および運動神経障害などの末梢神経浸潤を示した皮膚T細胞リンパ腫 (CTCL) の1例を報告し, 悪性腫瘍の神経浸潤の発現機序について, 若干の文献的考察を行った。
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中村 聡, 今井 敏雄, 服部 邦之, 高田 実, 広根 孝衛, 神永 時雄
1991 年 6 巻 1 号 p.
119-121
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
経過が比較的短かった菌状息肉症 (T
3N
3M
0B
0, stage IV A) の58歳女性例を報告した。VEPA (木村らの方式およびLSG方式) 7クールおよび4.3MeV電子線の全身照射 (総照射量19.5Gy) がかなり有効であったが, 長期の完全寛解は得られず, 紅皮症状態になり, 発症の1年8ヵ月後に敗血症で死亡した。剖検でリンパ節・肺・肝・脾・甲状腺・骨髄に腫瘍細胞の浸潤が認められた。
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正木 貞男, 宮 一郎, 平岩 厚郎
1991 年 6 巻 1 号 p.
122-125
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
60歳, 女性。発症7年半前の子宮癌手術, 放射線治療後の両下肢の浮腫に続発した, 下半身のStewart-Treves症候群の1例を報告した。腫瘍は, 左下肢, 右下肢, 下腹壁の順に出現し最終的には下半身全体に拡大した。広範囲切除と植皮, 電子線照射,化学療法を併用し加療したが, 効果は一時的で, 腫瘍の増殖著しく死亡した。転移は認めなかった。
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春木 智江, 丸山 友裕, 高橋 省三, 篭浦 正順, 諸橋 正昭, 松本 鐐一
1991 年 6 巻 1 号 p.
126-129
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
59歳男性の頭部に原発した悪性血管内皮細胞腫の一例を報告した。rIL-2の全身投与に対して反応せず, 早期から肺転移による血気胸が出現した。消化管や腹膜への転移による消化管穿孔のため, 全経過6ヵ月で死亡した。本症は非常に速く全身的に拡大侵襲する悪性腫瘍であり, その治療の問題点について検討した。
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田中 武司, 森 俊典, 高田 実, 広根 孝衞
1991 年 6 巻 1 号 p.
130-132
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
1980年から1989年までの10年間に金沢大学皮膚科で治療したBowen病23例およびBowen癌2例について発生部位, 他臓器癌の合併, HPV抗原の免疫染色結果などを検討した。露光部と非露光部の間で発生率に差異は認められなかった。他臓器癌の合併は2例にみられたが, いずれもBowen病の発症以前に罹患したものであった。抗HPV抗体を用いた免疫染色を行ったが, 全例が陰性であった。
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小林 まさ子, 寄藤 和彦, 永井 秀史, 斉藤 次郎, 山崎 直久, 藤田 優, 岡本 昭二
1991 年 6 巻 1 号 p.
133-136
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
最近10年間に当科で治療したSCC159例, 166病巣について発生母地別に転移率, 予後について検討した。日光角化症由来, 搬痕由来, 先行皮疹なしの群の比較で移転率, 腫瘍死率に有意差はなく, 当科受診前に不完全な治療を受けた例が, 日光角化症由来群に有意に多かった。日光角化症由来のSCCでは原発巣が小さいのに急速な転移をおこす例が多くみられ, 不完全な前治療がこのような転移を助長していると考えられた。
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米田 和史, 兼松 勲
1991 年 6 巻 1 号 p.
137-140
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
皮膚症状を主訴として来院した転移性皮膚癌を3例経験したので報告した。症例1は55歳男性, 右上腹部と左背部に生じた結節型の転移性皮膚癌で, 原発は胃癌 (Borrmann 3型)。症例2は88歳男性, 右上腕に生じた結節型の転移性皮膚癌で, 肺が原発と考えられた。症例3は73歳男性, 左頬部に生じた丹毒様の転移性皮膚癌で, 原発は早期胃癌(IIa型)の非常に稀な症例であった。
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西村 友宏, 中川 浩一, 小林 裕美, 濱田 稔夫
1991 年 6 巻 1 号 p.
141-144
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
43歳, 男性。平成元年7月頃より四肢に無症候性の皮疹が出現し, 次第に全身に拡大した。約1ヵ月後に当科を受診したが, 末梢血検査にて異型リンパ球が11%に見られ, HTLV-1抗体は256倍を示した。皮疹部組織を用いたDNA assayにてHTLV-1 proviral DNAを証明し, ATLと診断した。ステロイド剤外用のみにて皮疹の出没を繰り返していたが, 突然, 急性転化し, 化学療法にも反応せず死亡した。
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青木 見佳子, 佐藤 元泰, 服部 怜美, 本田 光芳, 勝部 康弘, 浅野 健, 山本 正生, 植田 穣, 福田 悠
1991 年 6 巻 1 号 p.
145-148
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
出生時より存在した鼻部腫瘤で発症した先天性白血病の1例を報告した。初診時 (生後4ヵ月) には頭部・背部・大腿部にも腫瘤をみとめ, 血液学的に急性単球性白血病であった。単球性白血病では皮膚浸潤が比較的多いことが知られており, 特に先天性白血病では皮膚結節が初発症状として重要である。近年, 化学療法剤の開発や治療技術の進歩により長期生存例も報告されるようになった。
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鳥山 史
1991 年 6 巻 1 号 p.
149-152
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
32歳, 女性の悪性黒色腫の1例を報告した。発生部位は趾間というまれな部位であり, 長径は5mmと小型ではあったが組織学的には表在拡大型悪性黒色腫で, 真皮乳頭層への浸潤を伴っていた。また, 郭清したソケイ部リンパ節内に顕微鏡的転移と思われる所見も認められた。
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阪口 英, 多田 茂, 高崎 直哉, 天野 正宏, 江良 幸三, 井上 勝平
1991 年 6 巻 1 号 p.
153-156
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
1) 当教室開設以来12年間に6例 (男5例, 女1例) の爪部悪性黒色腫を経験した。初発部位は爪母2例, 爪囲皮膚2例, 爪甲下1例, 不明1例と推察された。
2) 病悩期間をみると, 平均6ヵ月という短期型が3例, 平均6年という長期型3例であった。
3) 爪変形, 破壊を伴うものの腫瘍浸潤深度はlevel 4またはlevel 5であった。
4) 爪母は末節骨に近接して存在するという解剖学的特異性があることから, 爪母初発例にはthickness分類, level分類を準用しがたい。
5) 爪部悪性黒色腫ungual malignant melanomaという病名の妥当性に賛成した。
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石原 和之
1991 年 6 巻 1 号 p.
157-161
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
悪性黒色腫の皮膚転移に対して有効な治療法は少ない。化学療法や放射線療法に対しても抵抗性であり, これを消失せしめることは困難である。外科治療も広範切除が必要で, かかることは転移の多発症例には適切ではなく, また予後の改善には効果を発揮しない。かかることよりインターフェロン-β (IFN-β) の腫瘍内投与はかなりの感受性を有し奏功率も高い。しかも, 予後の改善が見られた症例を観察している。しかし, IFN-βの適用にもいつかの条件があり, かかる条件にあった症例や投与法が必要である。これらの内容についてIFN-βの有用性について記載すると同時に, 現在のインターフェロン (IFN) の状況についても言及した。
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石原 和之, 小出 勉, 小松 輝夫
1991 年 6 巻 1 号 p.
162-169
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
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フリー
BRMと他の治療との併用による相乗効果については従来より多くの報告がある。我々は天然型インターフェロン-β (IFN-β) と悪性黒色腫の第一選択の化学療法剤であるDAV療法 (dacarbazine, ACNU, vincrisine) との併用およびそれぞれの単独投与により, 相乗効果の有無について検討した。
相乗効果をより観察する為にIFN-βの濃度を従来の投与量より低濃度とし, ついで段階的に中等度まで増量したODAVについては特に濃度を変化させなかった。実験に用いた悪性黒色腫はヒト悪性黒色腫より継代移植したSK-14株で, 動物はヌードマウス (BALB/cAnNCRJ-nu) である。
実験の結果はIFN-βの濃度依存性に著明な腫瘍増殖抑制効果が観察された。また, 病理組織学検索においても腫瘍細胞の変性が強く, マクロファージなどの細胞の出現が見られた。悪性黒色腫の治療におけるIFN-βと化学療法の併用の有効性が示唆された。
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田中 冨子, 石原 和之
1991 年 6 巻 1 号 p.
170-173
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
メラノーマに対するIFN-βと化学療法との併用療法の有効性を基礎的に検討するため, 我々は, IFN-βの種特異性を考慮し, マウスB16メラノーマ移植C57BL/6 (CRJ) マウス系に対するマウスIFN-β (rMulFN-β) と化学療法との併用効果を検討した。
MuIFN-β+DAVの併用によりマウスB16メラノーマに対する相加的増殖抑制効果が認められ, また, MulFN-βにより, 例外なく生存日数の延長が認められた。 この効果は化学療法剤との併用により著明であることが確認された。
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田上 正, 土屋 梅佳, 曽田 忠雄
1991 年 6 巻 1 号 p.
174-179
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
60歳, 女性。口蓋粘膜の広範な悪性黒色腫に対して, DTICの動注および放射線治療の併用療法を行ったが, 明らかな効果が認められなかったため, Interferon (IFN) -βの局所投与を行った。腫瘍辺縁部では著明な退色, 縮小が, 腫瘍中央部では壊死脱落が認められ, 切除標本の病理組織学的検索では,腫瘍細胞の核は濃縮変性あるいは消失していた。
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高崎 宗太, 宮尾 源二郎, 海野 博之, 窪田 哲昭
1991 年 6 巻 1 号 p.
180-185
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
頭頸部悪性黒色腫 (MM) 4症例に対してInterferon (IFN) の局所投与を行い, 全症例にComplete Response (CR) を認めた。鼻腔症例は, DAV療法, Linac照射が奏功せず, IFN-αの局所投与のみでCRとなった。鼻中隔症例, 鼻前庭症例, 鼻背症例に対しては, 当初よりIFN-βの局所投与のみを行いCRとなった。
鼻中隔症例は, 原発巣は制御されていたが, 治療後17ヵ月後に頸部リンパ節転移を認めたため頸部郭清を行い現在経過良好である。
頭頸部領域におけるMMの治療上, 広範囲全摘が不可能であっても, IFNの局所投与が部位的に確実に行えるならば, IFNの位置付け役割は特記すべきものと思われた。
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吉井 章, 影下 登志郎, 中村 猛彦, 荒尾 龍喜
1991 年 6 巻 1 号 p.
186-191
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
症例は79歳の男性。初診時ALM
in situの診断で手術を勧めるも放置し, 4年後右鼠径リンパ節の腫脹に気づき, 右下肢が浮腫状となったため当科を再受診した。患者およびその家族は手術を拒否したためDAV+IFN-β (フェロン) 療法を施行した。CT上化学療法施行前40×20mmであった右鼠径リンパ節が1クール施行後17×13mmと約4分の1に著明に縮小し, その後も縮小傾向がみられ5クール終了後12×10mmとなり, 1年4ヵ月経った現在もリンパ節の増大傾向も新病巣の出現も認めない。本症例の免疫学的検索では, ヒトメラノーマ関連抗原であるHigh molecular weight melanoma associated antigen (HMW-MAA) に対する高い抗体価を患者血清中に証明し得た。また経過中に, 予後良好の一つの指標といわれている黒色腫関連白斑も認めた。
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石原 和之, 山崎 直也
1991 年 6 巻 1 号 p.
192-198
発行日: 1991/06/25
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
メラノーマの多発皮膚転移の2症例についてIFN-β (フエロン) の腫瘍内投与を試みた。1例はstageIIIで来院し, 原発巣の潰瘍化および所属リンパ節の転移の見られた症例で, 準治療後1年目に皮膚および皮下に多発転移が発生したものである。他臓器に転移の見られないことよりIFN-β単独で長期の腫瘍内投与によりすべての転移巣 (101個) を消失せしめ10年以上再発,転移を認めなかった。かかる症例は稀有といわざるを得ない。2例目は他施設で試験切除を施行し, 若干の期間を経て原発巣の広範切除と所属リンパ節郭清し, 10ヵ月後に同側下肢と所属リンパ節を越えた皮膚転移の多発を見た症例である。化学療法は無効であった。IFN-βの投与によりすべてを消失せしめ得た。副作用に関してはいずれの症例も問題となるものはなかった。
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