皮膚の科学
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11 巻, 2 号
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症例
  • 高橋 三起子, 池川 歩美, 曽我 富士子, 山田 康子, 池田 佳弘
    2012 年 11 巻 2 号 p. 160-164
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル 認証あり
    54歳,男性。2型糖尿病に対してシタグリプチン(グラクティブ®)の内服をはじめた。開始後72日目より,体幹四肢に浮腫性紅斑と強いそう痒感が出現した。プレドニゾロンの内服を開始したが皮膚症状の改善を認めなかった。シタグリプチンによる薬疹の可能性を疑って内服を中止したところ,症状は軽快した。シタグリプチンにつき薬剤リンパ球刺激試験 (drug-induced lymphocyte stimulation test: DLST) とパッチテストをおこなったが両者とも陰性であった。内服テストでは皮膚症状の再燃を認め,中止後はすみやかに消失した。シタグリプチンによる紅斑丘疹型薬疹と診断した。シタグリプチンは市販後調査において皮膚・皮下組織障害が167件報告されており,うち2件は Stevens-Johnson 症候群であった。シタグリプチンの薬疹で論文として発表されているものは,現段階で調べ得た限りでは国内外合わせて3件1~3)と少ないため報告する。(皮膚の科学,11: 160-164, 2012)
  • 喜多川 千恵, 山本 真有子, 佐野 栄紀
    2012 年 11 巻 2 号 p. 165-169
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル 認証あり
    76歳,男性。膵嚢胞の経過観察のために非イオン性ヨード造影剤であるイオヘキソールを用いた造影 CT 検査を受けたところ,その10時間後より全身の紅斑とともに 38°C 台の発熱が出現し,2日後には背部や側腹部,腋窩の紅斑上に毛包に一致しない小膿疱が多発した。病理組織検査で好中球性の角層下膿疱を認め,イオヘキソールのスクラッチパッチテストおよび薬剤誘発性リンパ球刺激試験 (drug-induced lymphocyte stimulation test: DLST) の結果より,イオヘキソールによる急性汎発性発疹性膿疱症 (acute generalized exanthematous pustulosis: AGEP) と診断した。稀ではあるが非イオン性ヨード造影剤も AGEP を起こしうるということを認識する必要がある。また先行する上気道感染症や抗 SS-A 抗体が陽性であった点も AGEP の発症に何らかの関与をした可能性がある。(皮膚の科学,11: 165-169, 2012)
  • 角村 由紀子, 今井 奈穂, 赤松 佳奈, 日野上 はるな, 大畑 千佳
    2012 年 11 巻 2 号 p. 170-172
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル 認証あり
    77歳,女性。2005年頃より左足底に結節が生じ,徐々に増大してきた。2009年10月の初診時,左足底に 10×8mm 大の黒色結節と径 3mm 大の小結節を認めた。ダーモスコピー像では基底細胞癌を示唆する典型的所見はなく,blue-whitish veil が見られたため,当初は悪性黒色腫を疑った。生検により結節型の基底細胞癌と診断した。2009年11月に腫瘍を全切除した。足底に基底細胞癌が発生することはまれであり,文献的考察をくわえて報告した。(皮膚の科学,11: 170-172, 2012)
  • 辻本 昌理子, 清水 秀樹, 辻 剛, 錦織 千佳子
    2012 年 11 巻 2 号 p. 173-178
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル 認証あり
    53歳,男性。46歳頃より体幹に軽度の浸潤を触れる茶褐色の皮膚病変が多発し,52歳より頸部,腋窩リンパ節の腫脹および微熱や嘔気,下痢,めまいを生じるようになった。皮膚病変の生検にて真皮浅層から中層に島状の多クローン性の形質細胞の増殖とリンパ節ではおもに被膜直下の形質細胞の浸潤を認めた。また高 γ グロブリン血症を認めたが,炎症反応は軽度で IL-6 は 3.4pg/ml であった。全身性形質細胞増多症と診断しベタメタゾン 6mg/日の内服をはじめたが皮膚症状は残存した。ステロイド剤の投与によると考えられる副作用のためベタメタゾンを 1mg/日に減量し,ミゾリビン 300mg/日の投与を追加したところ,症状の軽快を認めた。(皮膚の科学,11: 173-178, 2012)
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