ビラスチンは抗ヒスタミン薬としては馴染みのない空腹時投与が用法で規定された薬剤である。治験時には空腹時を食前 1 時間以上かつ食後 2 時間以上の間隔として規定していた。本研究では,ビラスチンの有効性を食事摂取量(多い順に食べ過ぎ,普通,腹八分,少し食べたと規定)と食事と服薬の時間差に注目して検討を行った。食事摂取量が普通群と腹八分群において日中・夜間の痒み VAS が有意に改善した。食べ過ぎ群と少し食べた群においても,ほぼ全例痒み VAS の改善を認めた。食べ過ぎ群では全例,食事摂取から服薬までの時間差が150分以上であった。患者は食事量が増えるとビラスチン内服までのタイミングが食後から長くなる傾向にあった。患者は食事摂取量に応じて適切にビラスチンを空腹時に投与したことが,痒み VAS の改善に繋がった可能性がある。普通群では食事摂取から服薬までの時間差が長いほど,痒み VAS が改善した。一方,腹八分群では食事摂取から服薬までの時間差にかかわらず,痒み VAS が改善した。食事摂取量が多い場合,ビラスチンの効果は食事の影響をより強く受ける可能性があり,食事摂取から服薬までの時間差を患者に提示した方がよいと考える。食事摂取量が少ない時は,患者の空腹感に合わせてビラスチンを内服しても治療効果を認める可能性がある。ビラスチンの有効性を上げるには食事摂取量に応じて食事と服用の時間差を適切に決定することが重要であると考える。 (皮膚の科学,19 : 97-105, 2020)
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