皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
20 巻, 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
研究
  • 小原(近藤) 由季 , 豊島 美咲, 仲尾次 浩一 , 濱田 和彦 , 神人 正寿
    2021 年 20 巻 3 号 p. 174-178
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    高齢者女性の全身にわたる皮膚状態を明らかにするために,頭頸部,体幹,四肢の機器測定を実施した。角層水分含有量および経表皮水分蒸散量は,多くの部位で若年者よりも低かった。皮表脂質も若年者よりも分泌量は少なく,頸部より下ではほとんど分泌されていなかった。角層 pH も若年者と比較すると低い傾向であった。これらの結果から,高齢者の皮膚は乾燥しており,特に,体幹や四肢はドライスキンを生じやすい部位であることが明らかとなった。また,高齢者に対して,頸部よりも下部が乾燥していることを認知させ,保湿剤の使用を推奨することが重要であると考えられた。 (皮膚の科学,20 : 174-178, 2021)

症例
  • 上田 佳奈 , 横山 大輔 , 八尋 知里, 川田 裕味子 , 高井 利浩 , 河 良崇
    2021 年 20 巻 3 号 p. 179-186
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    78歳,男性。非小細胞性肺癌,胸膜播種に対し,化学療法を施行。当初部分奏功であったがその後病勢進行となり,2nd line PD-L1 抗体のアテゾリズマブが開始された。 7 回目前後から躯幹中心に瘙痒を伴う浮腫性紅斑が出現。その後,眼瞼の紫紅色浮腫性紅斑,手関節背面の扁平隆起性丘疹などが出現した。筋原性酵素の上昇,近位筋優位の筋力低下,抗 TIF1-γ 抗体陽性も伴ったことから皮膚筋炎と診断し,アテゾリズマブを中止し,ステロイド全身投与を行った。一度は寛解に至るも,その後の肺癌の進行とともに症状が再燃し,コントロール不良のまま原病により永眠された。近年,免疫チェックポイント阻害剤の使用増加に伴い免疫関連有害事象が注目されている。報告数は少ないが,自験例も免疫関連有害事象としての皮膚筋炎の可能性を考えたが,腫瘍随伴皮膚筋炎との鑑別が困難であった。今後の病態解明のためにも同様の症例の集積が待たれる。 (皮膚の科学,20 : 179-186, 2021)

  • 植木 結香里 , 鷲尾 健, 桑原 咲 , 丹羽 享子 , 錦織 千佳子
    2021 年 20 巻 3 号 p. 187-191
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    27歳,女性。15歳時に膠原病内科にてシェーグレン症候群との診断を受けていたがその後受診は中断となっていた。10日ほど前からの発熱を主訴に前医内科を受診,膿尿より尿路感染症と考えられたため,抗菌薬で加療されるも発熱が持続した。経過中,四肢の浮腫が出現し結節性紅斑様皮疹も認めたため当科に転院となった。非ステロイド系消炎鎮痛剤内服で 1 週間様子をみたが改善せず,発熱が持続し四肢浮腫と結節性紅斑様皮疹が増悪した。眼科的所見や血液検査所見より再度シェーグレン症候群との診断に至ったため,プレドニゾロン 30 mg/日の内服を開始し,臨床症状の改善を認め退院となった。シェーグレン症候群は経過中様々な皮膚症状を呈することが知られており,その頻度は稀ながら結節性紅斑ないし結節性紅斑様皮疹を伴った報告も散見される。自験例は著明な四肢浮腫を伴っていた点が特徴的であったが,過去の文献を踏まえて考察を加えた。 (皮膚の科学,20 : 187-191, 2021)

  • 横山 恵里奈 , 兪 明寿 , 黒川 晃夫 , 森脇 真一
    2021 年 20 巻 3 号 p. 192-196
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    33歳,男性。 4 ヶ月前より左右上肢にピリピリとした違和感を伴う皮疹が出現したため当科を受診した。同部位に外傷,皮膚疾患の既往はない。初診時,両上肢に数 mm 大までの軽度隆起した瘢痕様の白色斑が多発していた。病理組織学的には真皮上層の膠原線維は細く断裂状であり,真皮中下層の膠原線維の一部はやや太くみられた。血管周囲の炎症細胞浸潤はみられなかった。Elastica van GiesonEVG)染色では,膠原線維が断裂状にみえた部分に一致して弾性線維の断裂化と数の減少がみられた。以上の臨床所見,病理組織学所見より本症を Schweninger-Buzzi 型斑状皮膚萎縮症と診断した。本症発症後に自己免疫疾患を合併した報告もあるため,今後も継続的な経過観察が必要であると考えた。 (皮膚の科学,20 : 192-196, 2021)

  • 藤本 真由 , 永井 諒 , 今井 康友 , 夏秋 優 , 金澤 伸雄
    2021 年 20 巻 3 号 p. 197-202
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    91歳,男性。初診の 4 ヶ月前から両眼瞼に浮腫が出現した。慢性心不全のため通院中の当院循環器内科にて,心不全の増悪や循環障害を疑われ精査されたが異常なく,薬剤性血管性浮腫の鑑別のため内服薬を中止されたが症状は改善しなかった。その後浮腫が顔面全体に拡大したため,当科を紹介受診した。受診時,両眼瞼を中心とした顔面全体の強い浮腫の他に,前頭部左側の被髪部にドーム状に隆起した腫瘤性病変を認めた。腫瘤の病理組織検査では,真皮から脂肪織にかけて,異型が強く大小不同の核を有する腫瘍細胞が充実性に増殖し,管腔形成の乏しい像であった。免疫組織化学染色にて腫瘍細胞は CD31D2-40Factor VIII 陽性であり,血管肉腫と診断した。血管肉腫は紫斑を主訴に受診することが多いが,自験例では顔面浮腫を主訴とし,腫瘤性病変に紫斑を伴わなかったため診断が困難であった。稀な臨床像を呈した血管肉腫の 1 例を経験したため,文献的考察を加え報告する。 (皮膚の科学,20 : 197-202, 2021)

  • 横山 大輔 , 八尋 知里, 川田 裕味子 , 高井 利浩
    2021 年 20 巻 3 号 p. 203-207
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    89歳,男性。約20年前から右下腹部に結節を自覚し,徐々に増大した。35×26×8mm大,表面は一部びらんし,乳頭状から顆粒状,粗造な有茎性の結節で,淡紅色∼紅褐色,黒褐色が混じていた。 ダーモスコピー所見では脂漏性角化症の所見が優位であったが,部分的に milky red areas を背景とした不整な血管所見が見られたので同部から皮膚生検を施行し,悪性黒色腫の診断となった。切除標本の病理組織学的所見では脂漏性角化症および悪性黒色腫が隣接し,中央で入り混じるように増殖していた。以上から脂漏性角化症と悪性黒色腫の collision tumor と診断した。大部分を良性成分で構成された腫瘍内に悪性腫瘍を疑う所見があった場合は皮膚生検を積極的に行うことは重要と考える。 (皮膚の科学,20 : 203-207, 2021)

  • 益田 知可子 , 小林 佑佳 , 吉田 裕梨 , 池田 彩 , 原田 潤 , 小澤 健太郎 , 森 宏美
    2021 年 20 巻 3 号 p. 208-211
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    17歳女性。チアリーディング部に所属し,約 1 年前より部活動などの運動時に増強する両下腿の浮腫および灼熱感を伴う紅斑を自覚するようになった。初診時,両下腿に対称性に境界やや不明瞭なびまん性紅斑を認めた。臨床経過,皮膚所見から皮膚紅痛症と診断した。アセトアミノフェンやアスピリンは無効であったが,プレガバリンを開始後に疼痛は改善し,部活動により症状は誘発されなくなった。入浴後の下肢痛が残存したため増量したところ,疼痛はまったくなくなり発症前と同様に生活できるようになった。本症例では,運動や温熱刺激が誘発因子と推測されるが,部活動を継続したままプレガバリンによって症状を完全にコントロールし得た。皮膚紅痛症に確立された治療法はないが,プレガバリンは他にも有効例が報告されており,試みてもよい治療法と考える。 (皮膚の科学,20 : 208-211, 2021)

  • 西崎 絵理奈 , 大原 裕士郎 , 細本 宜志 , 吉岡 希, 山本 容子 , 磯貝 理恵子 , 山田 秀和 , 椋棒 圭子
    2021 年 20 巻 3 号 p. 212-215
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    精神遅滞のある65歳男性。約 2 年前より後頭部に約 12cm大の腫瘤が出現し,出血を認めていたが,放置していた。徐々に腫瘤が拡大し,排膿を認め,当院に紹介受診となった。初診時,4×6 cm 大の悪臭を伴う出血性の腫瘤を認め,生検を施行して,基底細胞癌と診断された。本人,家族が入院手術を拒否しており,腫瘍の大きさ,患者の状況から外科的切除は困難と判断し,通院にて放射線治療を開始し,計 69 Gy を照射した。腫瘍は徐々に縮小し,残部位に液体窒素療法を追加したところ,さらに縮小した。瘢痕部位に対して皮膚生検を施行したが,病理組織では,基底細胞癌の残存はなく瘢痕のみであった。切除困難な巨大基底細胞癌に対して,放射線治療も選択肢の 1 つになると思われる。 (皮膚の科学,20 : 212-215, 2021)

  • 谷口 君香 , 矢嶋 萌 , 東 新 , 谷崎 英昭 , 矢村 明久
    2021 年 20 巻 3 号 p. 216-224
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    33歳,男性。幼少期から仮性包茎であったが,亀頭包皮炎を起こし排尿困難となったことから10年以上前に環状切除術を受けた。その後の詳細は明らかではないが,陰茎に乳頭状の結節を認め,拡大してきたため当院を受診した。亀頭表面全体と包皮に角化を伴う小結節を認め,包皮は硬く,冠状溝は癒着していた。病理所見から尋常性疣贅と診断した。本症例では病変の範囲が広く,奥まった部分にもあることや施術の疼痛が強いことから液体窒素療法は困難であると考え,イミキモドの外用を試みた。イミキモドは週 3 回使用し,発赤,びらん,腫脹,疼痛が生じた時は外用を一旦中止し,症状が消失するまでベタメタゾン吉草酸エステル・ゲンタマイシン硫酸塩軟膏や白色ワセリンを外用した。 7 ヶ月の外用で,一部残存したが改善し,包皮の翻転も可能になった。しかしその後一部分に有棘細胞癌を認めた。イミキモド外用治療と有棘細胞癌出現との因果関係は不明である。日光角化症に対しイミキモドを外用し,有棘細胞癌を認めた報告はあるが,尋常性疣贅に使用し,有棘細胞癌を認めた報告はない。本症例は尋常性疣贅と考えた局面の一部に有棘細胞癌が潜んでいた可能性が高いと考えた。尋常性疣贅は難治なことも多く,イミキモド外用も有効な治療法だと考えるが,外用中は注意深く観察し,悪性腫瘍の発症を疑えば早期に皮膚生検を行うことが重要と考えた。 (皮膚の科学,20 : 216-224, 2021)

  • 後藤 和哉 , 田邉 洋 , 阿部 教行
    2021 年 20 巻 3 号 p. 225-229
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    82歳,女性。 1 ヶ月前より右鼻孔周囲に紅斑を認め,近医内科でステロイド外用薬を処方されたが改善乏しく,当科紹介となった。初診時,右鼻翼から鼻柱,左鼻孔周囲にかけて周辺に膿疱を伴う円形の紅斑を認めた。形態学的,分子生物学的同定に加えてマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を用いた質量分析検査を用いて原因菌種を同定し,Nannizzia gypsea による顔面の白癬と診断した。テルビナフィン 125 mg/日を 1 ヶ月内服し,皮疹は消退した。以前は Microsporum gypseum として知られていた Nannizzia gypsea は世界中に分布する好土壌菌であり,ヒトにおいては体部白癬,頭部白癬,ケルスス禿瘡,白癬性毛瘡の起因菌となり得る。本菌による顔面の白癬は稀であるが,他の菌種による白癬と比して強い炎症反応を惹起するため炎症性皮膚疾患や感染症との鑑別が時に困難であり,ステロイド誤用による悪化には注意を払う必要がある。 (皮膚の科学,20 : 225-229, 2021)

  • 出野 りか子 , 吉田 裕梨 , 小林 佑佳 , 益田 知可子, 文 省太 , 池田 彩 , 小澤 健太郎 , 乾 重樹
    2021 年 20 巻 3 号 p. 230-234
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    52歳女性。約20年前より,四肢に多発し,数ヶ月で自然軽快する紫紅色の皮疹を複数回繰り返していた。初診の 1 ヶ月前から四肢に同様の皮疹が出現したため,当科紹介となった。初診時,両前腕,両大腿から臀部にかけて,軽度隆起した小豆大までの鱗屑を伴う暗紫色丘疹が集簇していた。皮膚生検では,真皮浅層∼中層の血管周囲を中心に核分裂像を伴う大小不同の異型リンパ球が浸潤し,血管破壊像,赤血球の血管外漏出を認めた。腫瘍細胞は CD30(+)CD4(+)を示し, T 細胞受容体 βcβ1 遺伝子の再構成を認めた。経過観察のみで 1 ヶ月で消退傾向を認め,臨床経過と合わせリンパ腫様丘疹症(LyPType E と診断した。LyP は病理組織学的に 5 つに分類されるが,Type E 2013年に提唱された血管中心性,血管侵襲性の異型細胞浸潤を示す比較的新しい亜型である。臨床的には皮疹は少数で潰瘍化する報告が多く,自験例とは合致しないが,過去にも多発例の報告もあり,臨床像の多様性が示唆される。まだ報告例が少ない稀な亜型であるため,臨床像や長期予後については今後の症例蓄積や長期観察が望まれる。 (皮膚の科学,20 : 230-234, 2021)

  • 今中 洋子 , 東山 眞里 , 林 美沙, 山下 千佳紗 , 田中 久仁子 , 小瀬戸 昌博
    2021 年 20 巻 3 号 p. 235-241
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    症例は既往のない41歳男性。初診の約 1 週間前から両下腿に大小不同の小豆大程度の有痛性紅斑が多発し,近医より紹介受診した。結節性紅斑や血管炎を疑い皮膚生検を施行した。10日後の再診時に片側の大腿,下腿に緊満性腫張と疼痛を認め,深部静脈血栓症と診断した。下腿紅斑の病理組織は真皮深層∼脂肪織に血栓と炎症細胞浸潤による管腔の閉塞像を認めた。Elastica-van GiesonEVG)染色を含め検討すると標的血管は筋性静脈であり浅在性血栓性静脈炎と診断した。基礎疾患を検索したが明らかな悪性腫瘍,凝固異常は認められなかった。精査にてベーチェット病の30%に陽性となるHLA-A26 が陽性であり,自験例の原因疾患である可能性が考えられたが,診断基準は満たさなかった。原因不明の多発性浅在性血栓性静脈炎は臨床病理学的に皮膚型結節性多発動脈炎に誤診されることもあり,EVG 染色を用いて適切に診断する必要がある。さらに,背景にある基礎疾患を見極め,適切な治療を行うことも大切である。また,浅在性血栓性静脈炎の診断時は深部静脈血栓症の発症に注意が必要で,初診時には D-dimer が上昇しないことにも留意すべきであると考えられた。 (皮膚の科学,20 : 235-241, 2021)

  • 藤森 なぎさ , 坂本 幸子 , 庄田 裕紀子
    2021 年 20 巻 3 号 p. 242-246
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    48歳男性。右 1 5 趾の難治性皮膚潰瘍で当院紹介受診。動脈硬化性疾患の既往はないが, 1 40 本の喫煙歴を認めた。下肢血管造影検査にて右膝窩動脈起始部および前脛骨動脈が起始部 1/3 以遠より先で閉塞し,多数の側副血行路が発達,足背部はコークスクリュー様の側副血行路のみで栄養されていることが確認された。特徴的な血管造影所見より,Buerger 病と診断した。血液検査にて抗カルジオリピン抗体が陽性であり,抗リン脂質抗体症候群を疑い各種検査を施行したが,下腿動脈以外に血栓は認めなかった。Buerger 病および抗リン脂質抗体症候群の合併と考え治療を開始した。禁煙,抗血栓療法,PGE1 製剤,経皮的血管形成術により潰瘍は軽快した。抗カルジオリピン抗体とBuerger 病の関連について文献的考察を交え報告する。 (皮膚の科学,20 : 242-246, 2021)

  • 荒井 桜子 , 西田 麻里奈 , 天羽 清子, 岡本 駿吾 , 市場 博幸 , 深井 和吉
    2021 年 20 巻 3 号 p. 247-250
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/12
    ジャーナル 認証あり

    生後 2 週,男児。満期産,経膣出産。出生時から食道アカラシア,全身型単純ヘルペス 2 型感染症があり,抗ウイルス薬投与されるもウイルスが消退せず,長期投与が必要であった。治療中にニューモシスチス肺炎を合併した。JAK3 の遺伝子解析により,ヘテロ接合型ミスセンス変異が明らかになったが,重症複合免疫不全症(severe combined immunodeficiency disorder : SCID)の診断に確定的ではなく,遺伝子解析追加となった。生後 1 ヶ月時,両手指と足趾の DIP 関節から後爪郭にかけて茶褐色の色素沈着あり,当科を紹介受診した。Acromelanosis Spitzenpigment ; 先端色素沈着症)の診断で無治療経過観察としたところ,生後 2 歳時には色素沈着は消退した。その後,当院で 3 ヶ月間に生まれた新生児90人を観察したところ,手指,足趾に同様の色素沈着を伴う新生児が 2 人見られた。自験例の色素沈着は他症例や既報告例に比較して濃く,周産期および出生後の炎症性サイトカインやその副産物がこの患者の色素沈着を増強させた可能性があると考えた。 (皮膚の科学,20 : 247-250, 2021)

feedback
Top