関西地方における白癬菌相の調査は昭和15年安藤によりはじめて行なわれ, その後第2次世界大戦前では安藤, 池田らの調査およびそれらをまとめた谷村の報告があり, 戦後では昭和33年頃から渡辺ら, 大桑らら, 二宮ら, 上田ら, 鍋倉らの成績が相次いで報告されている。昭和44年渡辺はこれらの文献的集録と自己の培養成績を総括し, 関西地方の白癬菌相として報告した。しかしこれらの報告はいずれも大阪, 京都, 奈良地方における成績であり, 兵庫県下での調査はいまだ行なわれていない。
われわれは昭和44年から46年に亘る3年間にわれわれの外来を訪れた白癬菌症の大部分に培養を試みたので, その結果を報告するとともに, 昭和46年末から漸増の兆候のみられるMicrosporum canis (以下M. canisと略す) 感染症について報告する。
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