皮膚
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20 巻, 2 号
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  • 早川 律子, 小林 美恵, 田中 隆義
    1978 年 20 巻 2 号 p. 229-234
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    75例の外来患者について, Patch test除去後24時間 (貼布後72時間) で陰性ないしは弱陽性と判定したものが除去後5日 (貼布後1週間) に陽性化した割合を観察し, 疾患別アレルゲン別に検討しその機序について考察を加えた.
    疾患別では一番多く差の認められたのは女子顔面黒皮症の患者で14例中8例 (57.1%) に認められた. 肝斑兼接触皮膚炎では6例中3例に, 肝斑では31例中3例 (9.7%) に, 接触皮膚炎では16例中1例 (6.3%) に認められ, その他の疾患では8例中5例に認められた. 全体では75例中20例 (26.7%) に認められた. アレルゲン別では香料が56例中13例 (23.2%) に差が認められ, 次いでその他のアレルゲン (殺菌防腐剤, PPDA, 金属等) が, 64例中3例 (5.1%) に認められた. このような “反応の差” の起こる機序は, (1) 感作があって反応が遅れて起る.(2) パッチテストによって感作された.(3) パッチテスト中に他の部位で感作が成立し, テスト部にflare upが起った. の3つの場合があると考えた.
  • 藤本 圭一, 橋本 誠一, 中村 由美, 小塚 雄民, 田代 実, 奥村 雄司
    1978 年 20 巻 2 号 p. 235-238
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    化粧品皮膚炎の再発を防ぐために, 貼布試験陽性化粧品の全ての構成成分を一種類つつ貼布して, 原因物質を追及した. 同時に化粧品貼布試験反応の再現性も検討した. その結果, 構成成分貼布試験における陽性物質は主に色素 (特にR-219号) で, その他に香料, ラノリンなどを認めた. 化粧品貼布試験の再現性は約5割であった. 再貼布陰性化の原因は今後検討すべき課題である.
  • 須貝 哲郎, 高木 喬, 山本 幸代
    1978 年 20 巻 2 号 p. 239-244
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    ラノリンは天然の複合物で, その感作物質はいまだに不明であり, パッチテスト用アレルゲンとして国際接触皮膚炎研究班 (ICDRG) の推薦している30%wool alcohols黄色ワセリンの使用だけでは, すべてのラノリン感作を発見できない. 単純ラノリン (局方精製ラノリン) および粗製還元ラノリン (水添ラノリン) を併用して, はじめてラノリン感作を完全にチエックしうる. ラノリン製剤中の感作物質は微量と推定されるので, 本邦判定基準の72時間後+でも感作の可能性を否定できず, 疑陽性として処理する必要があろう. 上記3種試料によるパッチテストの結果, 明らかな感作は1974~76年の3年間で単純ラノリン13/638 (2.0%), 還元ラノリン16/413 (3.9%) およびwool aleohols 11/348 (3.2%) であった. 水添ラノリン感作の著増した, 1972および1973年の感作頻度は単純ラノリン21/754 (2.8%) 水添ラノリン38/756 (5.0%) だったので, 有意の低下をみている.
  • 小林 美恵, 滋野 広, 福田 金寿, 早川 律子
    1978 年 20 巻 2 号 p. 245-251
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    頻用されている20種23ケのタール系色素のパッチテストを行い, 正常群と患者群 (黒皮症, 肝斑, 皮膚炎) での各色素の陽性率を算出して検討した。 正常群・患者群共に, Y-204 (R) に高値を示し, 正常群でも20%近い陽性率を呈した。 R-225 (R) は, 黒皮症に特異的に高率を呈し, R-219と交叉感作が認められた。 以上より, 使用を避けるべき色素として, 今年度は, R-225, Y-204をあげる。
  • 山本 幸代, 須貝 哲郎, 高橋 洋子
    1978 年 20 巻 2 号 p. 252-259
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    リール黒皮症およびその類似疾患93例を対象とし, 患者持参の香粧品製剤, 当科常備の標準アレルゲン52種, すなわち, タール系色素22種, 香料系16種, 香料保留剤3種, ラノリン系3種, 防腐剤パラベン5種mixおよび殺菌剤3種でパッチテストおよび光パッチテストを施行し, 主たる発症原因物質を決定した。その内訳はタール系色素29例 (うち赤色219号19例), メーカップ製品5例, 香料系14例, パラベン2例, ラノリン系2例, cloflucarban1例, 不明27例, 未定12例で, 他に慢性肝炎1例がある。リール黒皮症は表皮基底層を炎症反応の主たる場とする特異な接触皮膚炎で, 紫外線の関与することは稀である。本症の大部分はPPD系化合物で発症するカラー・フィルム現像者の扁平苔癬様皮疹と同群に包括されるアレルギー性接触皮膚炎の第3型といえよう。
  • 扇間 昌規, 藤原 昇, 佐々木 雅英(宗一郎), 北村 院司, 松山 秀樹, 高岡 郁生
    1978 年 20 巻 2 号 p. 260-265
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    油性染料で化粧品色素のひとつである赤色-223号 (R-223) は, アミノ酸やタンパ質により, 水溶性の構造, エオシン型のイオンに変えられ, タンパクの塩基性アミノ酸残基との間に主として結合を形成しメタクロマジーを起こす。この結合様式は弱酸性で強固になる。そのp H 領域は皮表面のそれに一致するものである。これらの実験成績から, 化粧品の色素成分であるR-223のもつ接触アレルギー性, 光毒性, 光感作性などについて論議を加えた。
  • 扇間 昌規, 藤原 昇, 津田 道夫, 佐々木 雅英 (宗一郎), 外山 孟生, 高岡 郁生
    1978 年 20 巻 2 号 p. 266-269
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
  • 東 禹彦
    1978 年 20 巻 2 号 p. 270-272
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    1.皮膚刺激反応に及ぼす基剤の影響を検計した。ヒビテン, TCC, TBS+DBS, ビオゾール, イルガサンDP-300ではワセリンおよびPEGを基剤とするときに皮膚刺激反応の出現率は低かったがセトリミドではワセリンを基剤とするときに皮膚刺激反応が最も高率に出現した。すなわち, ワセリンを基剤とすれば, 刺激反応の出現率が常に低いとはいえないことが判明した。2.接触皮膚炎患者を対象として7種の殺菌, 防腐剤による貼布試験を行ったが, 48時間ではParabensが7.9%の陽性率を示した以外は3.3%以下の陽性率であった。72時間ではヒビテン, Parabens, イルガサンDP-300の陽性率は0%であった。近年繁用されているParabens, ヒビテンは今回の成績では比較的安全な殺菌防腐剤といえる。3.TCC, TBS+DBS, ヘキサクロロフエンの陽性率は使用頻度の低下につれて, 低下した。
  • TCC, IrgCF3, BT, MPの4種について
    滋野 広, 松永 佳世子, 森田 茂, 米田 正弘, 小林 美恵, 早川 律子
    1978 年 20 巻 2 号 p. 273-278
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    TCC, IrgCF3, BT, MPの4種につきscreening patch testを行った。対象は接触皮膚炎, 女子顔面黒皮症, 肝斑, および健常人の合計115例で, 疾患別にも比較検討を行った。その結果, 女子顔面黒皮症ではIrgCF3の陽性率が高く, 両者の因果関係が浮かび上ってきた。また, 両者の間には光の関与も考えられたので, その陽性者にphotopatch testを行った。
  • 大野 盛秀, 高橋 朱美, 杉浦 啓子, 酒井 美葉子, 加藤 武嗣, 水野 信行
    1978 年 20 巻 2 号 p. 279-286
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    1) ハロゲン化フェノール類 (以下HPと略す) による光接触皮膚炎患者は, 昭和49年から昭和51年まで減少傾向にあり, 昭和51年度は0であったが, 昭和52年度は3例をみた。2) Bithionol (以下BTと略す) は昭和52年度も市販されていた。3) Chlorhexidine HCI (以下CHと略す) の市場占有率は昭和48年以後急激に上昇し, 昭和52年度はPHの約半数を占めた。種々の基剤および誘導体を用いて検討したが, 光接触感作および接触感作ともにみられなかった。4) IrgasanCF3(以下IRG. CF3と略す), 3, 4, 4'-Trichlorocarbanilide (以下TCCと略す) およびPentachlorophenol (以下PCPと略す), は, それ自身光感作性は極めて低く, また光交叉反応 (以下PCRと略す) の率も低かった。5) BTおよび3' 4', 5-Tribromosalicylanilide, 3, 5-Dibromosalicylanilide, 4', 5-Dibromosalicyianilide群 (3者を一括してBSA群と略す) および3, 3', 4', 5-Tetrachlorosalicylanilide, 3, 4', 5-Trichlorosalicylanilide, 3', 4'-Dichlorosalicylanilide, 2', 5, -Dichlorosa-Iicylanilide群 (3者を一括してCSA群と略す) は他のHPとの間にPCRの率は高い。6) Hexachlomphene (以下HEXと略す), 2, 4, 6-Trichlompheno1 (以下TICPと略す) およびCSA群にはそれ自身にだけ光パッチテスト (以下PPTと略す) 陽性を示し, 他のHPと反応しなかった例がある。すなわちHEXにも光感作性がある。またCSA群は日本では使われていない物質であるので英国からか侵入していた可能性がある。TCPによる光感作もその経路が不明である。
  • 東 萬彦
    1978 年 20 巻 2 号 p. 287-295
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    エコナゾールの白癬菌およびC. albicansに対する最少発育阻止濃度を寒天平板稀釈法で検討した。サブローブドウ糖寒天培地 (SDA) では前者に対して0.025-1.6mcg/ml, 後者に対して0.8~6.2mcg/ml, Yeast Morphology Agar (YMA) では前者に対して0.05~6.2mcg/ml, 後者に対して1.6~25mcg/mlであった。エコナゾールクリームおよび液を表在質真菌症に使用した結果は足部白癬で有効率はクリームが60%, 液が83%と低かったが, 他部位の白癬, 皮膚カンジダ症, 癜風では有効率は100%であった。 エコナゾールは白癬菌. C. albicansに対して優れた抗菌力を有し, 臨床的にも使用法が妥当であれば表在性真菌症に対して, 副作用の比較的少い優れた治療薬といえる。
  • 大熊 守也, 中野 朝益, 岸本 武, 平井 玲子, 手塚 正
    1978 年 20 巻 2 号 p. 296-299
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    凍瘡21例に対し, ニンニクエキス外用・蒸タオル併用を行い満足すべき効果 (うち19例中18例に効果あり) が得られた。
  • 濱田 稔夫, 斎藤 忠夫
    1978 年 20 巻 2 号 p. 300-310
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    尋常性白斑の患者にtrimethylpsoralan (TMP) 内服とblack light照射ないし日光浴考行なって検討を加え, 併せて8-methoxypsoralen (8-MOP) の内服, 外用とも比較検討した。対象とせる尋常性白斑患者は計68例で, TMP内服とblack light照射では26例中, 著効6例, 有効11例, やや有効7例, 無効2例で, 強いsunbumをおこさずにかなりの症例に色素再生が認められ, ほぼ満足すべき成績を示した。8-MOPは15例中, 著効3例, 有効7例, やや有効4例, 無効1例で, TMP内服は8-MOPに比し, 効果の発現はやや遅れるものの治療期間とともに治療成績が改善され, 期間をかければむしろよい成績を示した。日光浴とblack Iight照射では治療効果はほぼ同等で, 8-MOPに幾分日光浴が効果的であったが, black lightは夜間自宅加療が可能で, 天候に左右されることがなく, 病巣部位による治療の困難さのないことなどより一般には推奨される。 8-MOP外用は著効率は高いが, 無効率も高くみられ, 光線照射を調節しにくい嫌いがみられた。TMP内服では37例にまったく副作用は認められなかったが, 8-MOP内服では22例中4例に胃腸障害を, 8-MOP外用では1例に強いsunbumを認めた。肝機能障害は全例に認められなかった。治療効果, 治療方法の簡便さ, 薬剤の安全性などを考慮すると, 尋常性白斑の治療にはTIMP内服とblack light照射は推奨されるべき治療法と考えられる。併せてpsoralenの色素形成などにおける作用機序について文献的考察を加えた。
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