新規物質である, トレチノイントコフェリル含有軟膏の皮膚潰瘍に対する有用性を検討した。症例は32例 (男女各16例) で, 平均年齢は63.0歳であった。診断は褥瘡;11例, 下腿潰瘍17例, 糖尿病性潰瘍;3例, 熱傷潰瘍;2例等であった.試験結果は, 褥瘡において著明改善;5例, 改善2例で, 改善以上の有効率は64%であった。また, 熱傷潰瘍, 糖尿病性潰瘍の有効率は, それぞれ, 100, 67%と比較的高い値を示したが, 下腿潰瘍では43%とやや低値となった。全症例での集計では, 著明改善;17例, 改善;5例, やや改善;5例, 不変;2例, 悪化;2例, 判定不能;1例, 有効率で69%という結果であった。副作用は4例に見られたが, 刺激感ないしは局所の熱感, 発赤等であった。以上の結果から, 極めて有用;18例, 有用蜀5例, 有用率;72%との評価を受け, 本薬剤は褥瘡・種々の皮膚潰瘍に極めて有用な薬剤であると結論した。
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