42歳, 女性, 主婦。約10年前より両側大陰唇にコンジローム様丘疹が出現し, 産婦人科にて反復治療して全治していた。昭和63年に第2子を帝切出産後再発し, 外陰部のほぼ全周から会陰部, さらに肛囲部まで連続性に拡大して, 茶褐色, 辺縁隆起性の局面となった。臨床的・組織学的にボーエン病と診断し, 平成2年11月に辺縁5-10mmを離して切除後全層植皮術を施行した。以後, 3度の膣皮膚粘膜移行部, 肛囲に再発を繰り返し, 本年9月2日4度目の切除術では直腸粘膜への浸潤を認めた。本症例は初回治療時に, より広範囲の切除を実施する必要性があったと思われた。また, 子宮頸部の生検にて上皮内癌を指摘され, 産婦人科にて平成3年3月単純子宮全摘術をうけた。切除標本から吉川らの方法によりL 1領域をPCRで増幅, 制限酵素で切断し, HPV16DNAを検出した。
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