皮膚
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37 巻, 5 号
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  • 伊東 香代子, 瀬口 得二, 山田 秀和, 手塚 正
    1995 年 37 巻 5 号 p. 501-502
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 森田 和政, 吉永 花子, 早川 實
    1995 年 37 巻 5 号 p. 503-504
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 竹原 和彦
    1995 年 37 巻 5 号 p. 505-509
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    汎発性強皮症における特異抗核抗体の臨床的意義について述べた。本症において検出される主要な抗核抗体は, 抗セントロメア抗体, 抗トポイソメラーゼI抗体 (抗Scl-70抗体), 抗u1-RNP抗体の3つである。抗トポイソメラーゼI抗体は, びまん性皮膚硬化および肺線維症と正の相関を有し, 抗セントロメア抗体は両者と負の相関を持つ。抗u1-RNP抗体陽性例では浮腫性硬化と炎症所見を伴うことが多い。特異抗核抗体の検出は, 重症度の決定, 早期診断, 治療方針の決定に際しても重要である。
  • 夏秋 優, 阿部 佳容子, 喜多野 征夫
    1995 年 37 巻 5 号 p. 510-516
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    アトピ一性皮膚炎患者30例の皮疹部より分離された黄色ブドウ球菌について, スーパ方抗原性外毒素の産生を検索した。その結果, 14例において黄色ブドウ球菌に毒素産生が認められ, そのうち9例でstaphylococcal enterotoxin Bが産生されていた。毒素産生群と非産生群で, 皮疹の重症度や総IgE値, 自己抗体の陽性率などに差はなかった。しかし, 毒素産生群の患者においては, 毒素を産生する菌株が長期間定着していることが示唆された。一方, 伝染性膿痂疹患者12例より分離された黄色ブドウ球菌からは毒素産生が認められなかった。これらのことから, アトピー性皮膚炎の病態とスーパ一抗原性外毒素を産生する黄色ブドウ球菌との間に関連性が考えられた。
  • 松岡 縁, 矢敷 敦, 調 裕次, 高木 圭一, 川津 智是
    1995 年 37 巻 5 号 p. 517-526
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    平成4年1月から平成5年12月までの2年間に, 当科で診断したアナフィラキシー様紫斑10例のうち, 5例に紫斑病性腎炎を合併した。患者背景と皮疹の状態, 臨床検査成績および皮膚生検像を調べ, 腎炎群と非腎炎群に分類して, 発症の危機因子を検討した。その結果, 皮疹が広範囲かつ長期間持続し, 熱発, 腹痛, 関節痛を伴ったり, 便潜血強陽性, IgA高値, 血液凝固第XII因子活性の低下, 皮膚生検像で高度の細胞浸潤および核破壊を認めた場合, 腎炎を合併することが多かった。過去の統計的な報告と比較したところ, 合致する点としない点があった。また皮膚生検像も, 腎炎合併を含めた本疾患の予後判定に有用であると考えた。
  • 柴垣 亮, 奥田 良治
    1995 年 37 巻 5 号 p. 527-533
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    手指に生じたacquired fibrokeratoma (AF) の2例を報告した。2例とも臨床的, 組織学的にAFの典型例と思われ, 症例1はKint分類のII型, 症例2はI型に相当すると考えられた。AFは爪囲に生じたacquired perinngual fibrokeratoma (APF) を含めて, 過去に本邦で127例報告されており, AFとAPFの両者につき, 統計的考察を行なった。AFは127例中92例 (72%) が指趾発症で最も多く, APF では右側第I, II趾発症例が多い。またAPFは25例中, 約半数の12例 (48%) が後爪郭腹層から生じ, 爪甲の帯状陥凹を伴っていた。
  • 福井 佳子, 徐 信夫, 前島 精治, 酒谷 省子, 草壁 秀成, 清金 公裕
    1995 年 37 巻 5 号 p. 534-543
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    昭和52年4月から平成7年3月までの18年間の転移性皮膚癌32症例を集計した。同期間内に当科外来を受診した新患総数に対する転移性皮膚癌患者の頻度は0.04%であった。年齢構成は平均58.9歳 (男: 59.2, 女: 58.6), 原発巣分類では胃癌 (9例)・乳癌 (8例)・肺癌 (7例) が多く, 全体の75%を占めていた。転移部位は胸腹部に多くみられ, 多発型が多かった。臨床像は結節型, 組織像は腺癌が圧倒的に多かった。原発巣発見後皮膚転移までの平均期間は36カ月で, 乳癌は長い傾向にあった。皮膚転移後死亡までの平均期間は5カ月で, 6カ月以内に死亡する例が全体の75%を占めていた。
  • 金 梨花, 山田 秀和, 手塚 正
    1995 年 37 巻 5 号 p. 544-548
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    β-プロッカー点眼液であるベントス®0.5%による右眼瞼のみの接触皮膚炎の1例を報告した。症例は60歳男性で, 生下時から両眼の緑内障があり左眼は義眼で右眼のみ点眼していた。パッチテストではベントスの主成分である塩酸ベフノロールに陽性を示した。点眼液中の防腐剤である塩化ベンザルコニウムに関しては0.1%pet. に陽性, 0.01%pet. に陰性であった。日本接触皮膚炎学会のアレルゲン0.02%Benzalkonium chlorideで再度パッチテストを施行したところ陰性であったので今回の陽性所見は刺激によるものと考えた。さらに, 他のβ-プロッカ-点眼液であるミケラン®, チモプトール®に関してはパッチテスト陰性であったのでβ-プロッカ-どうしの交差反応はなかったと考えられた。
  • 桑野 敦子, 庄司 昭伸, 須貝 哲郎
    1995 年 37 巻 5 号 p. 549-557
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ロメフロキサシン (LFLX) による日光蕁麻疹および光線過敏症の合併例を経験した。皮疹は裸露部より出現, びまん性紅斑を呈していた。LFLX 100mg内服照射試験でUVA照射直後および48時間後に紅斑を認め, MEDは0.375J/cm2と低下していた。乱切光パッチテストにてLFLX10%petに陽性。内服時の患者血清in vitro照射試験における皮内テストで膨疹を確認した。外来性化学物質による日光蕁麻疹は大変まれとされており, 報告した。
    他のニューキノロンでは内服照射試験, パッチテスト陰性。ナリジクス酸以外の5種の内服テストで裸露部にのみ蕁麻疹型薬疹が生じ, photo recall様現象と考えられた。
  • 藤田 弘, 小楠 浩二, 今泉 俊資, 奥 知三
    1995 年 37 巻 5 号 p. 558-562
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    75歳, 女性。当院内科入院中に腎孟炎の治療のために投与されたトシル酸トスフロキサシン (オゼックス®) 450mg/日の内服4日目より四肢を中心に点状紫斑が出現し, ほぼ全身に拡大した。皮膚生検にて真皮上層の血管周囲に好中球とリンパ球を主体とする細胞浸潤と出血を認めた。血小板数, 出血・凝固系検査は正常であった。貼布試験, 単刺試験はともに陰性であったが, 内服試験は陽性であった。トスフロキサシンによる紫斑型薬疹は検索し得た限り本邦での報告例は見当たらないが, 今後ニューキノロン系抗菌剤の使用量とともに増加する可能性があり, 注意を要すると考えられた。
  • 松倉 正治, 山田 秀和, 山下 裕嗣, 手塚 正, 椿 和央
    1995 年 37 巻 5 号 p. 563-569
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    慢性骨髄性白血病患者のIFN-α 療法中に皮膚潰瘍を形成した1例を報告した。症例は24歳男性。平成5年2月にCMLと診断され, 11月よりIFN-α1日300万国際単位を両大腿部伸側に週7回交互に皮下注開始したが, 6カ月後左大腿部に皮膚潰瘍を形成したため当科を受診した。右大腿部伸側には紅斑と色素沈着が認められた。抗生剤内服外用や抗潰瘍剤外用, デブリードメント施行するも軽快しないため, 切除縫縮した。皮膚潰瘍は, 何らかの原因による刺激が誘因となり, その部位に頻回のIFNを投与することにより, NK細胞, 単球・マクロファージなどが活性化され, IL-1やTNFなどのサイトカインを産生し, 潰瘍形成へと移行したものと考えた。
  • 岡本 英理子, 森崎 清一郎, 喜多野 征夫
    1995 年 37 巻 5 号 p. 570-572
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    インターフェロン-α投与部位に生じた難治性皮膚潰瘍の1例を報告した。症例は51歳, 男性, 慢性骨髄性白血病の診断にてインターフェロン-αの皮下注射をおこなっていたところ・潰瘍化してきた。両側腹部に板状硬, 暗赤色の局面があり, その中央部に潰瘍を認めた。組織学的には肉芽腫性変化と皮下脂肪織にいたる広範囲な壊死, 線維化であった。治癒が遷延化し難治性潰瘍になったのは, インターフェロン-αが関与したと推察される。
  • 二宮 淳也, 中林 淳浩, 中村 哲雄, 清 佳浩, 滝内 石夫, 大塚 英夫
    1995 年 37 巻 5 号 p. 573-576
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    50歳, 女性。Amyopathic dermatomyositisの1例を報告した。初診時上眼瞼の浮腫を伴う紅斑, ゴットロン徴候, 爪廓の紅斑などを認めたが, 筋力低下, 筋原性酵素の上昇を認めなかった。入院時より発熱, 呼吸困難を訴え, 胸部X-P, 胸部CTにて肺野の線維化を認めたため間質性肺炎と診断。ステロイド, シクロフォスファミド等による治療を行ったが, 肺病変は治療抵抗性で, 入院後40日目に死亡した。
  • 中川 浩一, 村津 麻紀, 玉置 昭治
    1995 年 37 巻 5 号 p. 577-580
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Acral persistent papular mucinosisの1例を報告した。患者は66歳の男性で, 約15年前より両前腕から手背にかけて無症候性丘疹が多数出現した。また病理組織学的には膠原繊維・弾性繊維の難開・断裂がみられ, 特染にてピアルロン酸を主体とするムチンの沈着を認めた。他の合併疾患はなかった。その特徴的な臨床像と併せて, 皮膚ムチン沈着症の比較的新しい概念であるAcral persistent papnlar mucinosisと診断した。
  • 藤尾 往子, 山田 徹太郎
    1995 年 37 巻 5 号 p. 581-584
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    84歳, 女性。体幹部中心に紅色丘疹が多発集簇し出現した。皮疹は融合傾向を示し, 浸潤紅斑局面を形成し拡大した。
    組織所見では真皮中層の膠原線維の変性とそれを取り囲んでリンパ球を主とした斑状の細胞浸潤を認めた。エラスチカワーンギーソン染色でelastophagiaの像を認めたため, 本症例をannular elastolytic giant cell granulomaと診断した。
    本症例は環状肉芽腫にも似た点があり, 自験例をふまえ両疾患の関連を考察した。
  • 安永 千尋, 寺嶋 亨, 本城 貴子, 新藤 季佐, 鈴木 伸典
    1995 年 37 巻 5 号 p. 585-588
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    56歳, 女性。左下腿の黒褐色斑を伴う結節に気づくも放置していたところ, 徐々に増大し当科を受診した。初診時16×17mmの黒褐色斑を伴う境界明瞭な結節を認め, 切除した。切除病理組織では, HE染色にて真皮内にporoma cellの胞巣状増殖を認めた。腫瘍細胞の一部にPAS染色EMA染色陽性を示すものを認めた。腫瘍細胞内に, Masson-Fontana染色にて黒染するメラニン顆粒を認めた。以上より, Dermal duct tumorと診断確定した。
  • 北見 周, 秋山 正基, 藤澤 龍一, 飯島 正文
    1995 年 37 巻 5 号 p. 589-594
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    32歳男。頭頂部に径6mmの表面平滑な淡紅色, 半球状隆起性, 弾性硬の結節を認め, 軽度の毛細血管拡張を伴っていた。組織学的には線維性被膜に覆われた充実性腫瘍塊が表皮直下から皮下脂肪織内に存在し, 腫瘍塊はPAS陽性ジアスターゼ抵抗性の硝子様線維性結合組織によりさらに小さい腫瘍巣に細分化されており, ジゲソーパズル様に密に配列していた。個々の腫瘍細胞は比較的大型で淡染する核をもつ細胞と小型で濃染する細胞とに大別され, 腫瘍巣の一部には管腔様構造を有することから, 皮膚円柱腫と診断した。
    1970年以降の過去23年間の本邦既報告例では頭部に70%が好発し, 単発型は14例, 多発型は6例であった。
  • 荻堂 優子, 片岡 葉子, 山村 弟一
    1995 年 37 巻 5 号 p. 595-599
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    66歳, 男性の右側頭部に急速に増大する皮下腫瘤を認めた。腫瘤は骨周囲との癒着はなく, 被覆部は淡紅色を呈した。病理組織学的に比較的境界明瞭な結節状に増殖する腫瘍塊は, 皮下脂肪織へ浸潤し, その周囲には数個の小結節が衛星状に認められた。構成する腫瘍細胞は異型性に富むbasaloid cellからなり, 核分裂像が多数認められた。一部では角化真珠を伴う扁平上皮癌様の組織像も見られた。腫瘍結節中心部の角質にはshadow cellが認められた。以上よりmalignant pilomatricomaと診断した。治療は腫瘍辺縁より1cm離し, 骨膜を含めた拡大切除を行い, 回転皮弁形成術での再建を行った。
  • 櫻根 幹久, 松中 成浩, 南 好美, 吉益 哲
    1995 年 37 巻 5 号 p. 600-605
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    74歳, 女。1980年に右第4指基節部掌側の小豆大腫瘤を他院で切除。2年後再発し増大, 放置。1994年1月にCCUに心筋梗塞で入院中に示指頭大結節状腫瘍で当科に紹介された。1989年に他院の胸部レ線上, 約10個のmultiple coinlesionを指摘された。切除皮膚腫瘍の病理組織所見では多房性に粘液様物質中に浮遊する腫瘍塊を認め, 右第4指の再発性腫瘍をmncinous carcinomaと診断した。肺病変の精査が重症心疾患のため施行できず肺との関連は確定不能ではあるが, 約6年間全く呼吸器症状を欠如し, 胸部レ線像から肺原発の腫瘍とする所見はなく肺から皮膚への転移は否定的でmucinous carcinoma of the skinの稀な肺転移例の15年長期生存例と推定した
  • 前川 直輝, 古川 雅祥, 中川 浩一, 石井 正光, 濱田 稔夫
    1995 年 37 巻 5 号 p. 606-610
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    67歳, 男性。平成元年10月ごろより下口唇に無症候性の皮疹が出現し, 徐々に拡大し, 平成2年2月に近医にて切除されたが, 同部に再発をきたした。再切除を受けるも急速に増大してきたため, 当科紹介となった。下口唇全体に大きさ8×3×2cmのカリフラワー状腫瘤を認め, 粘膜にも浸潤していた。病理組織学的所見では, 錯角化, 角質増生を伴った, 乳頭腫状の表皮肥厚が観察され, 一部で癌真珠, 個細胞角化が認められ, 配列の乱れも認めた。腫瘍辺縁より約5mm離して切除し, 鼻唇溝部よりの局所皮弁にて再建した。以後再発もなく, 機能的にも特に問題を認めていない。
  • 森田 和政, 吉永 花子, 早川 實
    1995 年 37 巻 5 号 p. 611-618
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    69歳, 女性の壊死性筋膜炎の1例。糖尿病を有し, ステロイド投与中に発症。左上肢に水疱, 靡燗, 腫脹, 疹痛がみられ, 皮膚は赤褐色から急速に黒色に変色。左前腕の打撲が契機と思われ, 広範囲デブリドメント, 抗生剤投与, DICの予防的治療の後, 左上肢切断術を施行し, 治癒。非開放部壊死組織および膿からはE.coliのみが検出された。
  • 浜中 すみ子, 氏原 真弓, 内田 良一, 三村 邦雄
    1995 年 37 巻 5 号 p. 619-625
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ガラクトシルセラミド含有クリームをアトピー性皮膚炎21例, 皮脂欠乏性湿疹28例, その他の疾患5例の乾燥皮膚に外用を試みた。アトピー性皮膚炎と皮脂欠乏性湿疹の全例, その他の疾患の4例に有用であった。アトピー性皮膚炎に対するクリームの効果はガラクトシルセラミドが有する正常な角化を促進する作用の結果と考えられる。
  • 磯ノ上 正明, 谷 守, 小塚 雄民
    1995 年 37 巻 5 号 p. 628-637
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    下肢静脈瘤硬化療法を施行するにあたり, 理解が必要な静脈解剖, 静脈疾患の最新の分類, 各種検査法, 文献, 関連学会を紹介し, 硬化療法の適応, 禁忌について述べた。
    静脈疾患はその臨床症状, 成因, 罹患静脈の解剖学的部位, 血行動態上の病態の4つの観点によって分類される。深部静脈の閉塞, 逆流を伴わない表在静脈の1次性の拡張性病変が, 硬化療法の適応となるが, 外科的結紮術を併用することでより大きな静脈瘤も治療可能となってきた。潰瘍を伴う重症例では深部静脈系の検討が必要であるが, 適応条件をみたせば, 侵襲の小さい本法で治療効果が期待できる。主な禁忌として, 凝固亢進状態および歩行不能者, 動脈閉塞性疾患患者が挙げられる。
  • 倉知 貴志郎, 井上 千津子
    1995 年 37 巻 5 号 p. 638-642
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    伏在静脈本幹の弁不全を伴う下肢静脈瘤44例49肢に対して, 伏在静脈高位結紮術を併用した硬化療法を施行し, 良好な結果を得た。
    下肢静脈瘤に対する硬化療法は, 安全かつ有効な治療法として欧米では広く行われておりその方法と治療経験を報告する。
  • 久米 昭廣, 上田 清隆, 東 禹彦, 佐野 栄紀
    1995 年 37 巻 5 号 p. 643-650
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1993年10月より1994年12月までの15カ月間に, 36歳から81歳までの男女106肢の1次性静脈瘤に対して硬化療法を施行し, 倦怠感, 浮腫, 蚤痒, 疼痛, こむらがえり等の自覚症状の改善とともに, 欝滞性皮膚炎, 色素性紫斑などの皮膚病変に対しても非常に良好な結果を得た。合併症としては5カ月以上持続する色素沈着9肢, 水疱形成8肢, 血栓性静脈炎5肢, 皮膚壊死3肢などがあり, これらは治療開始当初のものが大部分を占め, 手技上の問題と思われた。深部静脈血栓症, 肺塞栓症などの重篤なものは1例もなく, 本法は皮膚科医が外来で安全に施行可能な有効な治療方法となり得, 皮膚科的治療法としても積極的に取り入れられるべきものと考える。
  • 大熊 守也, 進藤 啓, 石田 修, 進藤 勝久, 西松 信一, 大柳 治正, 皐 弘志, 奥 秀喬, 城谷 均, 西岡 孝純
    1995 年 37 巻 5 号 p. 651-657
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    静脈瘤50症例に高張食塩水の注入による硬化療法を行い, 著効 (腫瘤が平らになったもの) 105カ所 (85%), 有効 (同様に減少したが不十分なもの) 12カ所 (10%), 無効・増悪7 (5%), 合計124カ所注入部位であった。試みに, 硬化剤5ml 注入に漢方内服, 桂枝茯苓丸を併用したものと硬化剤4-5ml注入のものと比較したところ, 前者は20症例26注入カ所中, 著効19 (73%), 有効5 (19%), 無効・増悪2 (8%) で, 後者は14症例30カ所注入中, 著効19 (63%), 有効9 (30%), 無効・増悪2 (7%) であり, 前者は, 血栓を防止すると推定される。
  • 森田 和政, 早川 實, 林 瑞世
    1995 年 37 巻 5 号 p. 658-666
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    血管硬化剤を用いた硬化療法は, 下肢静脈瘤, 血管腫, 毛細血管拡張症, などに対して有効な治療法である。特に下肢静脈瘤に対しては, 結紮, ストリッピンゲと比べて美容的に優れており, 侵襲はより少ない。今回, 足底の血管腫に対して, 血管硬化剤を用い, 有効であった1例と, 下肢静脈瘤硬化療法後に肺塞栓症を生じた1例を経験した。血管腫に対する硬化療法と, 下肢静脈瘤硬化療法における肺塞栓症についての考察を加えて報告する。
  • 浅田 裕司, 本多 朋仁, 石井 義輝, 磯ノ上 正明
    1995 年 37 巻 5 号 p. 667-670
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    下腿潰瘍は下腿に生じる難治性の潰瘍であるが, 従来行われてきたストリッピングと, それに組み合わせた植皮や皮弁の手術にかわり, 硬化療法と局所麻酔下の静脈の結紮で, 良好な結果をあげることができたので, 2症例を供覧する。症例1では高位結紮と硬化療法により, 約2カ月半で潰瘍は消失し, 症例2では, 不全静脈の結紮のみで, 約2カ月後に潰瘍は消失した。表在静脈の還流不全による下腿潰瘍は, これらの簡単な処置により十分治療可能であると思われた。
  • 伊藤 孝明, 樋口 早和子, 南 祥一郎, 田中 靖, 倉本 賢, 佐藤 誠紀, 松本 二郎, 森田 廣明, 清水 隆弘, 田中 幸代
    1995 年 37 巻 5 号 p. 671-676
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    下肢静脈瘤12肢について, 大伏在静脈高位結紮術の前と後の, 立位静止時と足踏み運動時の下肢静脈圧を測定した。
    方法は, マノメーターを用いた水柱圧による観血的静脈圧測定を行ない, 測定値は, 右心房の高さ (第4肋間中腋窩線) をOcmとした値 (右心房基準の静脈圧) に換算し検討した。
    下肢静脈瘤肢では, 立位静止時の右心房基準の下肢静脈圧は3.6±3.6cmH2O (mean±SD) であったが, 足踏み運動時 (60秒) では-28.3±20.2cmH2Oに低下した。
    高位結紮直後下肢静脈瘤肢の足踏み運動時における右心房基準の下肢静脈圧は,-59.2±13.5cmH2Oとなり, 結紮の前後で有意な圧低下がみられた。
    また非静脈瘤肢についても, 同様の方法で測定し検討したが, 立位静止時は1.5±2.3cmH20であり, 足踏み運動時には-60.4±15.2cmH20まで低下した。
    非静脈瘤肢と高位結紮直後下肢静脈瘤肢における右心房基準の下肢静脈圧の変化を比較検討したが, この2群間には有意差は認められなかった。
  • 磯ノ上 正明, 谷 守, 撫養 宗信, 後藤 秀樹, 小塚 雄民, 浅田 裕司, 本多 朋仁
    1995 年 37 巻 5 号 p. 677-682
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    外科的結紮術併用硬化療法の治療効果を血行動態的に評価するため大伏在静脈起始部に逆流を有する1次性静脈瘤76肢に対して治療前後で反射式光電脈波 (PPG) での1/2静脈再充満時間を計測した。
    正常肢10.9±3.7秒 (Mean±SD) に比し静脈瘤肢4.4±2.7秒と有意に短縮していたが術後は10.4±4.7秒と有意に延長した。また結紮術のみでも8.6±3.6秒と延長効果がみられた。PPG上, 膝部結紮術の有無による差は認めなかったが, ドップラー法による伏在静脈本幹の逆流残存率は膝部結紮を加えた群が有意に低かった (77%対37%)。短期的な評価ではあるが, 結紮術併用硬化療法は静脈機能の改善をもたらすと言える。
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