皮膚
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40 巻, 1 号
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  • 松村 明子, 赤井 育子, 曽和 順子, 石井 正光
    1998 年 40 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 鶴尾 隆
    1998 年 40 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ある種の癌細胞は抗癌剤で処理するとアポトーシスを起こして死滅する。この抗癌剤によるアポト-シスのメカニズムは未知の部分が多い。我々は抗癌剤によるアポトーシスにICEファミリーのプロテア-ゼ, アクチン等が関与している知見を得ている。また最近蛇毒からapoxinと名づけたアポトーシス誘導蛋白質を分離した。アポトーシスの研究は癌化学療法の分野に重要な研究であり, 新しいタイプの抗癌剤開発に有用な情報を与えるものと思われる。
  • 遠藤 薫, 檜沢 孝之, 吹角 隆之, 片岡 葉子, 青木 敏之
    1998 年 40 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎 (AD) 患者195名 (肘窩に皮疹のあるもの114名, ないもの81名), 健常人89名の肘窩の細菌数をWilliamsonらのスクラブ法を簡易化した方法で測定した。平均細菌数は, 患者全体で102.9/cm2, 肘窩に皮疹のある患者で104.0/cm2, 皮疹のない患者で101.4/cm2, 健常人で100.7/cm2であった。黄色ブドウ球菌の検出率は, 肘窩に皮疹のある患者で86.8%, 皮疹のない患者で18.5%, 健常人で4.5%であり, Staphylococcus coagulase negative (SCN) はそれぞれ20.2%, 40.7%, 23.6%であった。AD患者は, 健常人に比して黄色ブドウ球菌が有意に多く, また皮疹が悪化すると, 黄色ブドウ球菌が有意に増加していたが, SCN数には有意差はなかった。皮疹が改善すると, 黄色ブドウ球菌数は減少するが, SCNの検出率はむしろ増加していた。なお, 細菌数に季節差はなかった。
  • 名村 章子, 西嶋 攝子, 鈴木 健司, 中川 光子, 螺良 愛郎, 高石 公子
    1998 年 40 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    慢性膿皮症 (化膿性汗腺炎, 臀部慢性膿皮症) の典型例において, 臨床的, 組織学的, 内分泌学的な検討を行なった。化膿性汗腺炎は両腋窩に腫脹と排膿を繰り返す有痛性皮疹を多数有し, 組織所見では広範囲な炎症性肉芽腫変化と多数の付属器 (毛包, 脂腺, アポクリン腺, エクリン腺) を認めた。臀部慢性膿皮症は, 臀部に排膿を繰り返す膿瘍を多数有し, 組織所見では表皮内瘻孔, 膿瘍, 瘢痕様変化を認めた。血中ホルモン値の中で, LH, FSH, DHEA-S, 11-OHCS, テストステロンは両者とも正常, アンドロステンジオンは両者とも若干の高値, 11-DOCは後者のみ若干の高値を示した。免疫組織染色によるアンドロゲン・レセプターの局在は, 共に明らかな陽性部位を認め得なかった。
  • 血管腫, リンパ管腫57例の検討から
    南 祥一郎, 喜多野 征夫
    1998 年 40 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1987年から1996年の10年間に当科において病理組織学的に血管腫あるいはリンパ管腫と診断された57例についてエックリン汗腺の増生について検討した。その結果, 57例中14例 (24.6%) と高率にエックリン汗腺の増生を伴っていた。性別では男性に多く, 年齢別では若年者に高率にエックリン汗腺の増生を認めた。また, 病理組織学的には血管腫45例中7例 (15.6%), リンパ管腫12例中7例 (58.3%) とリンパ管腫に高率にエックリン汗腺の増生を認めた。これらの結果から血管腫, リンパ管腫の一部は, エックリン汗腺の増生を伴う潜在能力を持った母斑であろうと考えた。
  • 速水 誠
    1998 年 40 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    PTCA (percutaneous translucent coronary augioplasty) は3大死因の一つである虚血性心疾患に対する治療法で, 透視下に動脈を通じてguide-wireの先に取り付けたバルーンなどを冠動脈へ送り込み, 病変部を拡張して血行の改善を図る手段である。患者への侵襲も少ない進歩した方法であるが, 時として透視のためのX線量が多量になる傾向がある。血管形成術に続発した慢性放射線皮膚炎の発生の報告は, 昨年と本年の2回, イスラエルとフランスからなされただけで, 合計症例数も10例に止まる。筆者は最近, 数回のPTCAを受けた患者に発生した慢性放射線皮膚炎を2例経験した。我が国の本症に関する報告は, 調べ得た範囲内には見られない。
  • 勝見 祥子, 小林 信彦, 宮川 幸子, 白井 利彦
    1998 年 40 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ブシラミン (リマチルR) は, 我が国で開発された新しい抗リウマチ薬である。構造式上SH基を2つ持ち, ほかのSH基製剤と比べて比較的副作用が軽度といわれ, 最近は頻用されつつある。我々は慢性関節リウマチ (RA) 治療中に中毒性表皮壊死融解型薬疹 (toxic epidermal necrolysis; TEN) を発症し, その原因が, 臨床経過と皮膚貼布試験によりブシラミンと同定し得た1例を報告する。
  • 山本 純照, 岡崎 愛子, 山科 幸夫, 宮川 幸子, 白井 利彦
    1998 年 40 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    56歳, 男性。平成8年10月16日初診。初診の約1ヵ月前から下腿を中心に有痛性潰瘍が多発し, 急速に拡大したため, 同10月18日当科入院した。入院時検査ではHCV抗体60倍以上, HCV-RNA (+), クリオグロブリン陽性 (lgG-lgM混合型) であり, CH50が3U/mlと異常低値を示した。37℃の条件で血清を分離し再検したところCH50が33U/mlであったため, 補体のcold activationが生じていたと思われる。組織学的には, 内腔の閉塞した小血管を散見し, 血管炎の像は認めなかった。入院後, 精査により多発性胃潰瘍と肝細胞癌を認めた。皮疹には局所外用療法とpatch graftを施行し上皮化を認めた。
  • 東 順子, 富井 由文, 桝田 充彦, 甲谷 芳郎, 石原 重彦, 沖永 剛志
    1998 年 40 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    出生直後の女児。Apgar score 10。出生時すでに体幹, 四肢に紅斑をともなう小水疱, びらんを認めた。3日後皮疹は顔面を除き全身に拡大した。眼底検査では, 左眼に血管の蛇行を認めた。抗生剤投与と抗生剤添加ステロイド軟膏外用にて観察していたが, 生後45日目感冒様症状とともに痙攣重積を認めた。眼底病変も進行していた。出生時健康な女児であり, 眼底所見も血管蛇行のみであったことより, 生後1ヵ月間続く好酸球の著しい増多による組織障害による可能性が考えられる。
  • 五十嵐 泰子, 池田 美智子, 南光 弘子, 増田 幸蔵
    1998 年 40 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    患者は55歳, 女性。1995年12月6日, 頚部に蚤痒性紅斑が出現し, 全身に拡大してきた。水疱形成, Gottron sign, 筋力低下も伴ってきたため, 皮膚筋炎を疑い精査したところ, 左乳癌を合併した皮膚筋炎と診断された。水疱部の組織では, 基底層の液状変性, 表皮下水疱を認めた。水疱を伴った皮膚筋炎の悪性腫瘍の合併について, 統計的考察を行った。
  • 福田 均, 千原 俊也, 芝田 孝一
    1998 年 40 巻 1 号 p. 48-51
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    52歳, 男性。左足底の腫瘤の増大, 疼痛の出現にて受診した。55mm×40mm×10mmの可動性のある表面平滑な扁平隆起性腫瘤で, 中央部に表皮欠損を認めた。組織学的には, 真皮内に, 密に集束する膠原線維および線維芽細胞からなる被膜を有しない腫瘍塊がみられ, collagenomaと考えられた。真皮結合組織の増殖を示す疾患は, 結合組織母斑と総称されており, 遺伝的素因や基礎疾患を有しないものは, connective tissue nevi of collagen typeやathlete's noduleの名称で5例の報告があったが, 本症例は, 表面平滑なドーム状の外観を示し, 腫瘍の厚さが18mmと非常に厚いという点で, 報告例とは異なっており, 独立した疾患の可能性が示唆された。
  • 西谷 知子, 為政 大幾, 原田 暁, 久徳 茂雄, 堀尾 武
    1998 年 40 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    72歳, 男性。頭頂部に11×9×4cm大のターバン状の隆起性腫瘤を認めた。病理組織検査にてcylindromaを否定され基底細胞癌と診断した。前立腺癌との重複癌であったため, 患者のQOLを考え, 術前に左外頚動脈より動注化学療法を施行した。しかし, 手術範囲をやや縮小したにすぎなかったため全摘出術を行った。転移, 再発は見られなかったが, 術後半年で前立腺癌のため死亡した。
  • 山下 裕嗣, 泉谷 敦子, 手塚 正, 瀬口 得二
    1998 年 40 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    乳幼児の色素性蕁麻疹3例を報告した。症例1は生後3ヵ月の女児, 症例2は4ヵ月の女児, 症例3は2歳7ヵ月の女児。症例1・2は共に生後1ヵ月以内に色素斑が出現し症例3は生後7ヵ月の時に色素斑が出現するようになった。3例とも同部位におけるDarier徴候は陽性であり, 組織学的には肥満細胞が真皮に密に浸潤していた。年齢及び組織所見より3例ともUnna型色素性蕁麻疹と診断した。治療はステロイド外用剤の局所外用療法が有効であった。
  • 中野 佳津, 前島 精治, 草壁 秀成, 清金 公裕, 岩尾 憲明
    1998 年 40 巻 1 号 p. 62-66
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    25歳女性の皮膚と頚部リンパ節に限局した未分化大細胞性リンパ腫 (Ki-1 lymphoma) の1例を報告した。初診時, 右内眼角部に暗赤色の腫瘤が存在した。来院後10日目頃より頚部リンパ節の腫脹に気付いた。皮膚病理学検査にて真皮浅層から皮下にかけて, 豊富な細胞質を有する大型で辺縁不整, 単核あるいは多核の腫瘍細胞を認めた。またリンパ節にても同様の腫瘍細胞を認めた。免疫組織学的検査にて腫瘍細胞はCD30陽性。腫瘍細胞はT細胞形質を示した。染色体検査においては従来の報告とは異なった特異な染色体異常;46, XX, del (2)(p?), del (6)(p2?1),-9,-15, add (16)(9?),?add (19)(913),-20, +3marが認められた。
  • 須磨 升美, 猿喰 浩子, 井上 千津子, 石橋 治
    1998 年 40 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    45歳女性。13年前より糖尿病に罹患している。初診8ヵ月前より糖尿病の治療を放棄した。2ヵ月前より左足趾間にびらんを生じ, 17日前には左足は発赤・腫脹し発熱もみた。初診時には左足は悪臭強く, 発赤・腫脹し弛緩性の水萢とびらんを呈し, 壊死物質を付着した潰瘍を認め, 39℃ の発熱があった。X線上, 左第5趾の骨髄炎と脱臼, 皮下組織にガス像を認め, 細菌培養で膿より連鎖球菌とBacteroidesmelaninogenicus, 静脈血よりPeptostreptococcusを認めた。非クロストリジウム性ガス壊疽及び敗血症と診断。切開排膿, デブリードマン, 第5趾切断施行し, 初診より1週後に左膝下16cmで切断した。
  • 中村 透子, 加茂 統良, 村田 洋三, 熊野 公子
    1998 年 40 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    42歳, 女性。家族歴と既往歴に結核なし。5年前より下腿の硬結, 潰瘍を繰り返していた。C型肝炎のinterferon α 治療開始2カ月後, 上肢, 体幹に小丘疹が多発し, 下肢の有痛性硬結も再発した。下腿では有痛性硬結性紅斑が散在し, 上肢, 体幹では粟粒大の常色から淡紅色の硬い丘疹が多数散在もしくは集簇していた。病理組織学的には, 下腿の硬結では血管壁の変性を伴う肉芽腫と乾酪壊死を, 上肢の丘疹では表皮直下の非乾酪性小肉芽腫を認めた。ツ反は強陽性であった。全身検索するも活動性結核病巣は証明し得なかった。両組織の結核菌染色, 結核菌培養, PCR法でのDNAの検出は陰性であった。levofloxacin 300mg内服の治療で2種類共皮疹は消褪した。
  • 飯田 利博, 森 弥生, 西山 千秋
    1998 年 40 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は26歳, 男。水族館職員。右第5指基節背面に淡紅色結節 (16×14mm) が単発した。病理組織学的に真皮浅層に肉芽腫性細胞浸潤をみとめ, 病巣よりM.marcnumを分離した。オフロキサシン内服と温熱療法にて治癒し, 治療中止12カ月後も再発を見ない。感染源の検索のため水族館施設を調査したところ, 主に濾過水槽内の濾過砂から同菌を分離した。感染予防に綿製手袋の使用と, 作業後5分間の手, 前腕の温浴 (42℃-45℃) が有効と考えた。
  • 中野 敦, 瀬口 得二, 山田 秀和, 手塚 正
    1998 年 40 巻 1 号 p. 80-83
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    8歳男児の頤部に生じた面飽母斑の1例を報告した。病理組織学的には拡大した毛管部とその中の角質物質が本態であり面飽母斑と診断したが, 臨床的には黒色角栓を有する開大毛包が集簇性に生じるという典型的な面飽母斑の像ではなく, 黄色毛包一致性丘疹が集簇した局面であった。炭酸ガスレーザーのスーパーパルスを2回に分けて照射したところ, ほとんど肉眼的瘢痕等を残すことなく治癒した。1ワット1パルスのレーザー光の進達度はせいぜい表皮基底層までであるが, 本例では個々の皮疹にレーザーを穿掘するように照射したので, 毛管開口部の破壊により開口部が拡大し, 角栓内容が自然に排泄されて治癒したものか, 母斑性毛管が破壊されて正常の毛管上皮に置き換わったために治癒したものと考えられた。本例のようなタイプの面飽母斑に対しては, 炭酸ガスレーザーも治療の1つとして有効と思われた。
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