アトピー性皮膚炎 (AD) 患者195名 (肘窩に皮疹のあるもの114名, ないもの81名), 健常人89名の肘窩の細菌数をWilliamsonらのスクラブ法を簡易化した方法で測定した。平均細菌数は, 患者全体で10
2.9/cm
2, 肘窩に皮疹のある患者で10
4.0/cm
2, 皮疹のない患者で10
1.4/cm
2, 健常人で10
0.7/cm
2であった。黄色ブドウ球菌の検出率は, 肘窩に皮疹のある患者で86.8%, 皮疹のない患者で18.5%, 健常人で4.5%であり,
Staphylococcus coagulase negative (SCN) はそれぞれ20.2%, 40.7%, 23.6%であった。AD患者は, 健常人に比して黄色ブドウ球菌が有意に多く, また皮疹が悪化すると, 黄色ブドウ球菌が有意に増加していたが, SCN数には有意差はなかった。皮疹が改善すると, 黄色ブドウ球菌数は減少するが, SCNの検出率はむしろ増加していた。なお, 細菌数に季節差はなかった。
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