皮膚
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40 巻, 3 号
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  • 須磨 升美, 猿喰 浩子, 井上 千津子
    1998 年 40 巻 3 号 p. 219-220
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 形浦 昭克
    1998 年 40 巻 3 号 p. 221-230
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    掌蹠膿疱症211例について, 扁桃摘出術を施行した。術後3ヵ月以上の観察を行った結果, 皮疹消失54%, 全症例88%に50%以上の改善が認められた。病因論的に教室の最近の研究から, 本症はα-溶連菌に対する過免疫反応による扁桃に関連した疾患であることが検討された。
  • アトピ-性皮膚炎を中心に
    木原 幹洋, 高橋 光雄, 山田 秀和, 森上 智恵美, 手塚 正
    1998 年 40 巻 3 号 p. 231-235
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    定量的軸索反射性発汗試験 (QSART) とアトピー性皮膚炎の交感神経機能について述べた。
    定量的軸索反射性発汗試験は節後性交感神経機能と汗腺機能を判定する方法であり, 末梢神経障害・パーキンソン病・多系統萎縮症などでその異常が報告されている。
    8名のアトピー性皮膚炎患者において定量的軸索反射性発汗試験を施行したところ, 発疹部位は非発疹部位に比べて潜時の短縮および発汗量の低下が見られた。以上の結果は, アトピー性皮膚炎患者には発汗障害があり, 節後性交感神経障害の関与が示唆された。
  • 小佐野 容子, 山田 裕道, 矢口 均, 高森 建二, 小川 秀興
    1998 年 40 巻 3 号 p. 236-239
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    新しい免疫吸着材CF-Xに対する天疱瘡抗体, 抗核抗体, リウマチ因子の吸着性能を検討した。慢性関節リウマチを合併した尋常性天疱瘡患者の血清をCF-X充填ミニカラムに通し, カラム通過前後で各自己抗体価を測定した。吸着材の容量の3倍量の血清を通過させたところ, 天疱瘡抗体は320倍から80倍へ, 抗核抗体は640倍から160倍へ減少したが, リウマチ因子の変動はわずかであった。CF-Xによる正常蛋白成分, 特にT-P, Albへの影響は少なかった。以上の結果より免疫吸着材CF-Xは天疱瘡抗体と抗核抗体に対して同程度の高い吸着性能を有する可能性が示唆された。今後, 免疫吸着材CF-Xの臨床応用への検討は試みられるべき価値のあるもとの思われる。
  • 藤本 美穂, 東 禹彦, 久米 昭廣, 上田 清隆, 日野 奈保子
    1998 年 40 巻 3 号 p. 240-244
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    62歳, 男性。1995年8月より蚊刺後に潰瘍, 痂皮を伴う紅斑, 水疱を生じるようになった。患者持参の蚊にてスクラッチパッチテストを行ったところ, 48時間後の判定で陽性となった。血液検査では, WBC, CRP, LDHの上昇と, EB virus抗体価の上昇を認めた。以上より蚊アレルギーと考えた。蚊アレルギーは小児での報告が多数みられるが, 高齢者での発症は非常に稀とされている。リンパ網内系悪性疾患を併発する例が多く, 注意深い経過観察が必要である。
  • 野口 孝子
    1998 年 40 巻 3 号 p. 245-250
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    家族性特発性皮膚紅痛症の姉妹例を報告した。患者は初診時, 18歳と16歳の姉妹である。姉妹ともに4歳頃より両下腿下部より末梢部にかけて発赤が生じた。両患者共15歳頃より発赤, 熱感が著明となり, 室温上昇, 運動, 入浴で発作性に腫脹, 疼痛を伴うようになった。姉は足趾の冷却による低体温から昏睡状態に陥ることもあった。臨床検査所見に異常なく, 特発性皮膚紅痛症の姉妹例と診断した。
  • 河野 経子, 太田 幸則, 音山 和宣, 橋本 明彦, 勝岡 憲生
    1998 年 40 巻 3 号 p. 251-255
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    57歳, 男性。1992年7月, 下肢の浸潤ある有痛性紅斑, 出血斑および血疱を主訴として当科を受診した。発熱, 喘息, 関節痛, 末梢神経障害, 被害妄想などの症状を伴っていた。主な異常検査所見として白血球・好酸球・血小板数の増多, 血沈亢進, CRP強陽性, 血清lgEの上昇をみた。紅斑の病理組織像では, 血管壁の破壊とフィブリノイド変性に加えて, 好酸球と核破壊を伴う好中球の密な浸潤を認めた。以上の臨床および検査所見から, 自験例をアレルギー性肉芽腫性血管炎と診断した。自験例の病理組織学的所見および精神症状との関連などについて若干の考察を加え, 報告する。
  • 西尾 和倫, 安木 良博
    1998 年 40 巻 3 号 p. 256-259
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    39歳, 男性。初診3ヵ月前頃より左腰部の単発性の結節が出現し, 1ヵ月前より急速に増大した。現症: 左腰部に小豆大の半球状に隆起する暗紅褐色の弾性軟な小結節が存在する。表面は光沢を有し, 一部陥凹を認めた。自覚症状はなかった。組織所見: 淡明な胞体を示す泡沫細胞が増生し, Touton型巨細胞は表皮直下にのみ存在し, 病変の構成要素は一様でなく, 偏在する傾向がみられた。これらの細胞は免疫組織学的にはリゾチーム染色陽性で, S-100, desmin, vimentin染色は陰性であった。
  • 新たに見出した毛包性のcornoid lamellaについて
    小山 晶子, 松中 成浩
    1998 年 40 巻 3 号 p. 260-264
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    80歳男。主訴は左下腿後面の小手拳大びらん化した腫瘤である。娘にもミベリ汗孔角化症がある。50歳頃より左耳介後部に茶褐色色素斑が出現し, その後同様の皮疹が顔面・躯幹・四肢に融合性に拡大してきた。平成6年6月頃左下腿にびらん性紅斑が出現した。平成7年1月頃腫瘤状に隆起し, 近医加療で改善せず平成7年8月当科を受診した。顔面を含め殆ど全身 (体表面積の約85%) に融合性環状・連圏状皮疹があり, これらの局面上にほぼ20箇所の拇指球大までの紅斑やびらん面が多発 (全身17箇所以上の大小ボーエン病) する。ビデオマクロスコープで局面環状皮疹内に毛孔性に棘状ぜい毛様突起を認めた。本構造につき光顕及び電顕的に検索し毛包漏斗部由来の毛包性の不全角化円柱である事を示した。
  • 中村 透子, 安陵 成浩, 坂上 美和子
    1998 年 40 巻 3 号 p. 265-268
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    76歳, 男性。四肢のしびれ, 腰痛, 慢性の下痢を主訴として内科入院中に, 顔面を中心とする上半身に多発性の紫斑が出現した。血液凝固系に異常なく, 外傷の既往もなかった。紫斑部の生検で血管壁や皮膚付属器周囲にアミロイドの沈着を認め, 免疫電気泳動では尿中にBence-Jones蛋白, 血清中にM蛋白を認めた。しかし, 多発性骨髄腫の診断基準を満たさず, 他の原疾患も確認されなかったため, 原発性全身性アミロイドーシスと診断した。同疾患としての他の特徴的症状に乏しく, 上眼瞼を中心とした紫斑が診断の助けとなった。
  • 安東 侑美, 西田 健樹, 土居 敏明, 板見 智, 吉川 邦彦, 田中 真也, 原 純一
    1998 年 40 巻 3 号 p. 269-273
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は3ヵ月, 女児。生下時より左足底に小丘疹が数個みられ, 漸増しほぼ全身に拡大した。入院時には頚部リンパ節腫脹, 肝脾腫, 肺野の異常影, 貧血及び白血球数減少を認めた。皮疹部の病理所見, 電顕所見と併せて先天性Letterer-Siwe病と診断した。先天性Letterer-Siwe病は稀であり, 本邦の報告例としてはこれが3例目である。先天性Letterer-Siwe病の予後は悪いとされるが, 自験例は化学療法にて皮疹消失, 頚部リンパ節腫脹, 肝脾腫は縮小し, 現在までのところ良好な経過を辿っている。
  • 西尾 和倫, 永田 茂樹, 末木 博彦, 飯島 正文
    1998 年 40 巻 3 号 p. 274-277
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    54歳女。既往歴, 家族歴にレックリングハウゼン病はない。左足背第4趾基部に10数年前より20×15mm, 青褐色弾性軟の局面が存在する。青色母斑もしくは血管腫の疑診で生検を施行した。生検組織: 真皮から皮下にかけて波状に走行する粗な線維が叢状に増殖し, 一部は線維が密で類円形細胞が増殖する。神経線維腫を考え, 全摘, 遊離植皮術を施行した。全摘標本組織: 紡錘形細胞よりなる粗な線維の神経線維腫様構築に加え, メラニン顆粒を豊富に含有する類円形細胞が密に増殖する大小の病巣が多数混在する。S-100蛋白は陽性であった。病理組織学的に本症と診断した。
  • 平井 佐代子, 池原 龍一郎, 岡崎 愛子, 村松 勉, 白井 利彦
    1998 年 40 巻 3 号 p. 278-282
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    73歳, 男性。眼部の悪性黒色腫と食道癌 (扁平上皮癌) をほぼ同時期に発症したと考えられる症例を報告した。出生時より右眼瞼部に分離母斑があり, 皮膚の分離母斑から発生した悪性黒色腫を疑ったが, 病理解剖所見では分離母斑と悪性黒色腫との関連は認められず, 結膜由来の悪性黒色腫と最終診断した。眼部に悪性黒色腫が発生することは稀であり, さらに他の悪性腫瘍との重複例は極めて少ない。本症例は眼部の悪性黒色腫と食道癌の重複例の本邦第1例目の報告例である。
  • 泉谷 敦子, 吉田 正己, 渡邊 章子, 瀬口 得二, 手塚 正, 宮丸 英一郎, 濱田 傑, 西 耕作, 田中 順也, 原 聡
    1998 年 40 巻 3 号 p. 283-287
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    54歳, 男性で, 智歯周囲炎から続発し, 頚部から縦隔へ進展したガス壊疽の1例を報告した。既往歴にアルコール性肝炎がある。右下顎智歯周囲炎を長期間放置していたところ, 右下顎から右前胸部にかけて発赤, 腫脹を生じ, さらに開口障害をきたした。X線およびCT検査でガス像は頚部から縦隔まで達していた。細菌培養でPeptostreptococcus microsとStaphylococcus sp.が分離・同定された。開放創とし, デブリドマン, 洗浄, 抗生剤の全身投与を施行した。経過中に肺炎と縦隔洞炎を併発したが救命しえた。
  • 泉谷 敦子, 中川 眞知子, 手塚 正, 比留間 政太郎
    1998 年 40 巻 3 号 p. 288-291
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    8歳, 女児。野良仔猫を自宅の屋内で飼育し一緒に寝ていた。猫の脱毛に気付き内服治療を開始した。猫の治療中から患者の左頬部, 項部に鱗屑を伴う環状の紅斑を認めた。鱗屑の直接鏡検で菌要素を認め, Microsporum canisを分離した。家族内発症はない。塩酸テルビナフェン1日125mgの内服を開始し, 2週間後に項部の皮疹は消失した。ヘアブラシ法では, 初診後4週間時点の猫の毛からMicrosporumcanisを2コロニーしか認めなかったが, 治療中の猫から感染した体部白癬と診断した。
  • 鏑木 豊, 田辺 俊成, 義澤 雄介, 飯泉 陽子, 北村 啓次郎
    1998 年 40 巻 3 号 p. 292-295
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    42歳男性。南会津の山中を歩いた10日後より, 38℃ 台の発熱, 右鼠径リンパ節腫大と全身に多発散在する小紅斑が出現した。近医にてセファロスポリン系の抗生剤が投与されたが症状が改善しないため当科を受診した。皮疹は自覚症なく小豆大ないし爪甲大の紅斑で浸潤を触れない。右下腿に刺し口が見られた。ツツガムシ病を疑い検査を進めたところ, 免疫ペルオキシダーゼ法でKarp型リケッチア感染と診断された。ミノサイクリン経口投与により治癒せしめた。
  • 山下 裕嗣, 田村 隆弘, 遠藤 英樹, 手塚 正
    1998 年 40 巻 3 号 p. 296-300
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    平成6年以来, 太田母斑患者に対しQ-スイッチ・ルビー・レーザー療法を行っているが, そのうち効果判定可能であった200例についての結果を若干の症例と共に報告する。治療結果より以下の事が判明した。(1) 治療成績はexcellent73例, good83例, fair34例, poor10例で有効率は78.0%であった。(2) 照射回数では4回以上の照射で有効率は著明に上昇した。(3) どの年齢層の太田母斑に対してもQ-スイッチ・ルビー・レーザー照射は有効であった。(4) 発症から治療開始までの期間がどれだけであっても, ほぼ同じだけの有効率が得られた。これらよりQ-スイッチ・ルビー・レーザー照射はどんな年齢の太田母斑患者の治療においても有効であると言える。
  • 山下 裕嗣, 田村 隆弘, 遠藤 英樹, 磯貝 理恵子, 手塚 正
    1998 年 40 巻 3 号 p. 301-305
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    扁平母斑患者55例についてQ-スイッチ・ルビー・レーザー及びダイ・レーザー照射と5%ハイドロキノン・モノベンジル・エーテル・クリームの外用を用いて治療を行った。著効例はダイ・レーザー照射群では29%, Qスイッチ・ルビー・レーザー照射群では27%であった。有効例はダイ・レーザー照射群では24%, Qスイッチ・ルビー・レーザー照射群では40%で, 有効率はダイ・レーザーで53%, Q-スイッチ・ルビー・レーザーで67%と満足のゆく結果が得られた。今回得られた結果より, 扁平母斑の治療法としてレーザー照射で表皮剥離を行った後, 5%ハイドロキノン・モノベンジル・エーテル・クリームでメラニン生成を抑制する方法は非常に有用である。
  • 我々の工夫
    吉龍 澄子, 高木 正, 政田 佳子, 久保 盾貴
    1998 年 40 巻 3 号 p. 306-310
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    21歳女性の前額の脂肪腫と50歳女性の上腕の脂肪腫に対し, 内視鏡下切除術を行い整容的にも良好な結果を得た。内視鏡下脂肪腫摘出術において2-3の工夫を行った。
    著者らは, 腫瘍摘出に先立ち止血及び剥離を容易にするためにエピネフリン加生理食塩水を腫瘍周辺に約50ml注入した。皮膚側より27ゲージ針を腫瘍辺縁に刺入しておき操作腔でのメルクマールとした。また前額の脂肪腫の場合, 骨膜下でなく骨膜上を剥離して腫瘍に到達する方が容易であった。切開は内視鏡用と両側からの器具挿入用の3ヵ所置くと, 両手操作が行え操作が容易であると思われた。内視鏡下皮下腫瘍摘出術は整容的にも腫瘍の完全切除と言う点からも, 優れた方法であり, 一層の普及が望まれると考えた。
  • 黒川 一郎, 西嶋 攝子
    1998 年 40 巻 3 号 p. 311-315
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Cefpodoxime proxeti (CPDX-PR) の尋常性座瘡における臨床的および細菌学的評価を検討した。43例 (男性14例, 女性29例) の尋常性座瘡患者 (重症度: Pilusbury分類の2度) を対象として, CPDX-PR200mg/日の投与を4週間行なった。臨床的効果は75%以上の改善12例, 50-74%の改善15例, 25-49%のやや改善6例, 1-25%のわずかに改善6例, 不変が4例であった。50%以上の改善の臨床的効果は62.8%であった。下痢などの副作用は全く認められなかった。座瘡病巣より培養されたPropionibacterium acnes (P. acnes) はCPDXPRに感受性を示し, そのMICは0.025-0.20μg/mlであった。以上の結果より, CPDX-PRの内服が尋常性座瘡に比較的有用な治療であることを示唆した。
  • 須貝 哲郎
    1998 年 40 巻 3 号 p. 316-320
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    C. albicans抗原 (鳥居) の皮内反応で, 強陽性を呈した患者にitraconazole, fluconazoleおよびamphotericin Bの内服療法を試み, 優れた改善効果をえた。遅延型反応強陽性を呈した掌蹠膿疱症11例および撒布疹26例 (第1群), 即時型強陽性を呈した慢性蕁麻疹14例およびアトピー性皮膚炎8例 (第2群) について行い, 各疾患の改善率は81.8%(9/11), 88.5%(23/26), 64.3%(9/14) および75.0%(6/8) を示した。なお, 副作用は1例もみられなかった。
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