皮膚
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40 巻, 4 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 多田 百合恵, 山本 純照, 宮川 幸子, 白井 利彦
    1998 年 40 巻 4 号 p. 329-330
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • lymphoaggressive disorder
    菅井 進
    1998 年 40 巻 4 号 p. 331-337
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    シェーグレン症候群は主に中年女性に発症する口腔乾燥, 眼乾燥を主徴とする自己免疫疾患である。しかし, シェーグレン症候群患者の約半数は口と目の症状にとどまらず, 多彩な全身性の臓器症状を呈し, 一部に悪性リンパ腫等のリンパ増殖性病変を発症する。種々の異なった方法で見ると, 原発性シェーグレン症候群患者の約25%に単クローン性ないし, オリゴクローン性のリンパ増殖性病変が認められた。特に病期IIの120例中49例 (40.8%) に悪性でないリンパ増殖性病変が認められた。病期IIIの悪性例は11例 (4.7%) に認められた。このことは病期IIの中には悪性リンパ増殖性病変の前段階といえる状態にある患者が少なからず存在することを示唆するものである。シェーグレン症候群がlymphoaggressive disorderとされる所以である。
  • 生命科学の新手法・質量分析の紹介
    清水 章, 中西 豊文, 岸川 匡彦, 宮崎 彩子, 小山 郁夫
    1998 年 40 巻 4 号 p. 338-344
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    エレクトロスプレー質量分析法 (ESI/MS) は, 全分子のままで異常蛋白質を検出し, またアミノ酸変異決定に応用する事ができる。標準的分析機器の分解能 (10Da) より大きい質量数差があれば, 溶血液を直接分析する事によって変異ヘモグロビン (Hb) を迅速に検出できる。Hb以外の変異蛋白質を検出する目的には, 免疫沈降法が適しており, 血漿中, 赤血球中, 組織中の蛋白質に簡単に, 正確に応用できる。ESI/MSにより, 糖化Hbの再現性の良い測定をする事ができ, 他の手法によるHbA1c測定の精度管理に有用であろう。また悪性黒色腫特異抗原ペプチドの構造決定への, MSの応用について付け加えた。
  • 荻堂 優子, 山田 徹太郎
    1998 年 40 巻 4 号 p. 345-350
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    消炎鎮痛外用剤中に含まれるクロタミトンによるアレルギー性接触皮膚炎の3例を報告した。症例1は79歳の男性で, モーラス®を貼付し紅斑が出現した。48時間貼布試験でクロタミトンを含んだ経皮消炎鎮痛剤と10%クロタミトンに陽性だった。症例2は48歳の女性で, 経皮消炎鎮痛剤を貼付し, 紅斑が出現した。24時間貼布試験でクロタミトンを含んだ経皮消炎鎮痛剤と0.5%クロタミトンに陽性を示した。症例3は39歳の女性で, セルタッチ®を貼付し, 紅斑が出現した。24時間貼布試験でクロタミトンを含んだ経皮消炎鎮痛剤と0.5%クロタミトンに陽性を示した。3症例ともクロタミトンを含んでいない経皮消炎鎮痛剤では貼布試験は全て陰性だった。
  • 中東 祐子, 橋本 洋子, 前川 典子, 堀尾 武
    1998 年 40 巻 4 号 p. 351-354
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本邦では比較的まれな領域に作用波長を有する日光蕁麻疹の2例を報告した。症例1: 55歳, 女性。平成元年頃より春になると露光部に痒みを伴う皮疹が出現し, 秋になると軽快していた。光線テスト, およびin vitro血清照射試験で作用波長はUVBであった。増強波長, 抑制波長は確認できなかった。症例2: 56歳, 女性。25年前に海水浴後に露光部に一致して痒みを伴う膨疹を生じ, 2時間程で消失していた。4-5年前より同様の症状が季節を問わず出現するようになった。光線テストではUVB, UVA, 可視光線に反応を生じた。in vitro血清照射試験ではUVB照射血清の皮内注射に陽性を示した。可視光線はUVBによる反応を抑制し, 抑制波長と考えられた。
  • 新田 政博, 柳原 誠, 石崎 宏, 西尾 賢昭
    1998 年 40 巻 4 号 p. 355-358
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Alopecia neoplasticaの69歳, 女性例を報告した。組織学的には豊富な結合組織の増生を伴った腺癌が認められ, 腫瘍細胞はCEAおよびCA19-9染色陽性であった。胃にBorrmann3型の進行癌が発見され, 生検で中分化型乳頭腺癌と診断された。胃癌による本症は稀で, 自験例は本邦2例目である。
  • 梅田 二郎, 東山 真里, 櫻根 純子, 板見 智, 吉川 邦彦
    1998 年 40 巻 4 号 p. 359-364
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    54歳, 男性。47歳時に肝機能異常を指摘される。52歳時より肘頭, 下腿, 臀部に痒を伴う落屑性紅斑が出現した。紅斑辺縁には糜爛, 痂皮が環状に配列し, 中心治癒傾向を示した。皮疹は色素沈着を残して治癒後再出現を繰り返した。53歳時, 慢性C型肝炎, 肝硬変, 糖尿病の診断を受けた。紅斑部の生検組織は表皮上層の細胞内浮腫と好酸性壊死を示した。血中グルカゴン高値, 血清亜鉛低下, 必須アミノ酸低下を認めた。画像検査では典型的な肝硬変の所見のみで膵腫瘍は認めなかった。グルカゴノーマを伴わない, 肝硬変に基づく複合的栄養障害による壊死性遊走性紅斑と診断した。亜鉛の投与により皮疹は著明な改善を示した。本邦報告例について文献的に考察した。
  • 松井 裕, 望月 隆, 柳原 誠, 石崎 宏
    1998 年 40 巻 4 号 p. 365-368
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    汗孔角化症は紫外線療法を長期間受けた尋常性乾癬患者にまれに発症する。我々は汗孔角化症を合併した57歳男性の尋常性乾癬患者を経験した。尋常性乾癬の皮疹は全身に認めたが, 上肢および下肢では乾癬の皮疹は汗孔角化症の皮疹に一致していた。患者は今までに紫外線療法は受けていなかった。上肢および下肢の乾癬皮疹はKoebner現象として汗孔角化症の皮疹の上に生じたものと考えた。
  • その発症背景に関する一考察
    堀木 聡, 堀尾 武
    1998 年 40 巻 4 号 p. 369-373
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    多発性皮膚線維腫について当科で経験した3例と, 過去の報告例からその発症機序について考察した。症例1, 43歳女性。SLEに合併して5個発症。症例2, 51歳女性。SLEに合併。背部, 四肢に20個以上の腫瘍が発症。症例3, 48歳女性。20個以上の腫瘍をみるが合併症は見い出されていない。文献的にも5個以上多発した皮膚線維腫には自己免疫疾患, とくにSLEの合併がきわめて高率である。
    また, 自己免疫疾患以外に結合組織異常を合併した例や家族内発症例が報告されており, これらの因子の関与についても検討されるべきと考えた。
  • 永田 誠, 河 京美, 加賀美 潔, 岸本 三郎
    1998 年 40 巻 4 号 p. 374-378
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    51歳, 女性。生下時より頭頂部に爪甲大の脱毛斑が存在した。10数年前より一部が隆起し, 3年前頃より急速に増大して腫瘤を形成した。初診時頭頂部に脱毛斑, およびその辺縁部に黄色の隆起性腫瘤を認めた。腫瘤の表面は顆粒状で一部糜爛を呈していた。組織学的に脱毛斑部では, 真皮上層に低形成毛包, 未熟脂腺, 小嚢腫が, 真皮中下層にはアポクリン腺が多数認められた。腫瘤部では, 索状配列をともなわない腫瘍胞巣が真皮深層まで不規則な増殖を示し, 異型腫瘍細胞は種々の程度に脂腺へ分化していた。類器官母斑上に発生した脂腺癌はきわめてまれで, 自験例は本邦で4例目である。
  • 杉浦 啓二, 陳 友一, 鈴木 加余子, 梅村 芳樹, 上田 宏, 星長 清隆
    1998 年 40 巻 4 号 p. 379-383
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    45歳, 男性。既往に慢性腎不全があり1984年以来腎透析中であったが1993年10月に死体腎移植術を受け, 以後免疫抑制療法中だった。1994年2月陰茎, 陰嚢の紅斑に気が付いた。紅斑部より皮膚生検を施行し, 病理組織学的に表皮内に胞体の明るいPaget細胞を認め, 真皮乳頭下層にPaget細胞の滴落を, 網状層には核の濃染した多核の類上皮細胞様の細胞を認め乳房外Paget病と診断した。本例の乳房外Paget病の進行に免疫抑制剤の関与を考えた。
  • 椿本 章子, 波床 光男, 村松 勉, 白井 利彦
    1998 年 40 巻 4 号 p. 384-387
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Premalignant fibroepithelial tumor of Pinkusの1例を報告した。患者は81歳女性。5年前より認められた左下眼瞼の丘疹は, 転倒による同部の打撲を契機に漸次増大し, 30mm×25mm×25mmの有茎性,-部黒褐色の腫瘍となった。切除後, 病理組織学的に, 基底細胞上皮腫のPinkus型腫瘍と診断したが, 腫瘍巣には大きな嚢腫構造を伴っており, 被覆表皮との連続性を欠いていた。日本における24の既報告例にもこの様な組織像を呈した症例は無く, 大変まれな症例と考えられた。
  • 山本 純照, 樋口 昌則, 岡崎 愛子, 朴木 久美子, 岡崎 正, 波床 光男, 山科 幸夫, 村松 勉, 白井 利彦, 小西 登
    1998 年 40 巻 4 号 p. 388-393
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は21歳, 女性。平成8年11月頃に, 上背部に皮下結節が生じ, 徐々に増大し, 平成9年2月には鶏卵大となった。胸部CTおよびMRI検査にて, 上背部の中央に7cm×3cm×3cmの皮下腫瘤を認めた。同年3月6日に, 拡大切除術を施行し, 術後に放射線照射および化学療法を行った。組織学的には, 皮下に異型性, 大小不同を示す核を有する紡錘形の細胞からなる腫瘍巣を認め, 核分裂像も散見された。鍍銀染色では`箱入り像'様の所見が得られ, 酵素抗体法では抗vimentin, および抗actin抗体に対して陽性所見を示した。また電顕でも, dense patchを有するactin様filamentを認め, 腫瘍細胞が筋原性であることが示唆された。術後約1年を経過した現在, 再発および転移を見ていない。平滑筋肉腫の本邦既報告例について, その臨床的特徴, 腫瘍細胞の起源, 鑑別診断, および治療について若干の考察を行った。
  • 米林 功二, 安田 恵美, 酒谷 省子, 草壁 秀成, 清金 公裕
    1998 年 40 巻 4 号 p. 394-398
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    52歳, 女性。昭和59年よりrelapsing polychondritisのためにステロイドの全身投与を受けていたが, 平成5年の初め頃より躯幹, 四肢に落屑を伴う紅斑が出現してきた。鱗屑のKOH標本の直接鏡検により菌要素を確認し, グリセオフルビン内服とビフォナゾールクリーム外用により約7週後に皮疹の消退をみたため内服を中止したところ, 2ヵ月後に左前腕伸側に小結節が数個生じてきた。病理組織学的に真皮内に境界明瞭な肉芽腫が存在し, その中央部では膿瘍を形成しPAS染色に淡染する菌要素が認められ, 白癬菌性肉芽腫と診断した。relapsing polychondritisという基礎疾患に加え, 長期にわたるステロイド投与が本症発症の誘因と考えられた。
  • 矢島 あゆみ, 野田 剛弘, 森 有紀, 杉原 和子, 荒金 兆典, 山田 秀和, 手塚 正, 矢野 泰弘, 高田 伸弘, 増澤 俊幸, 西 ...
    1998 年 40 巻 4 号 p. 399-402
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    症例は53歳, 女性で, オーストラリア旅行中に, 右頚部に虫体が付着したのに気付かず, 帰国後, 急にホクロが出来たと言って近医を受診した。ホクロ様のものは, マダニ (Ixodes holocyclus, オーストラリア種) で外科的に摘出した。その後切除部に浮腫性紅斑としびれ感が生じ, なかなか治癒しないため本院を受診した。約1ヵ月で, しびれ感は消失した。ライム病, マダニ麻痺症を疑ったが, 症状の経過や日本のライム病ボレリア株を抗原としたウエスタンブロットが陰性であったので, ライム病は否定され刺し口周囲にしびれ感を伴ったオーストラリア種Ixodes holocyclusによるマダニ刺咬症と診断した。
  • 田畑 伸子, 田上 八朗
    1998 年 40 巻 4 号 p. 403-406
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    接触皮膚炎, アトピー性皮膚炎や乾皮症などをもつ患者の皮膚, いわゆる敏感肌に対して開発されたスキンケア製品7種について, その低刺激性を確認するために, 接触皮膚炎の既往をもつ者, アトピー性皮膚炎, 乾皮症, 光線過敏症患者の計64例を対象としたパッチテストを施行した。
    本スキンケア製品は, 保湿成分や皮膚バリア機能の重要な因子とされるセラミドなどを配合し, 皮膚の保湿性やバリア機能の改善を目的として開発されたものであり, 基剤についても色素・香料やアルコールを含まない処方となっている。
    本邦基準1) に基づいて判定した結果, いずれも皮膚刺激指数2) は, 0.0から3.9という低値なものであり, 本スキンケア製品7種の低刺激性が確認された。
  • 三嶋 豊, 利谷 昭治, 中山 秀夫, 石井 明子, 河野 博明, 大久保 惇, 波多江 慎吉
    1998 年 40 巻 4 号 p. 407-414
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    0.5%CTP配合育毛剤の有効性を86例の男性ボランティアにおいて盲検試験法に従って試験した。プラセボ群に比べて, CTP群では16週後における「硬毛疎の状態」,「軟毛の状態」および「落屑」に改善例が多く見られ, しかも8週後よりも16週後の方が増加する傾向を示した。総合的な改善度は, 軽度改善がプラセボ2例に対して, CTP群12例と有意 (p<0.01) に多かった。洗髪により脱落する毛の数を太さ別に分別して測定した結果では, 16週後の脱落毛の総数, 直径40μm以上の脱落毛数がプラセボ群, CTP群両群において開始時よりも減少したが, 統計的に有意な減少はCTP群のみで認められた。総合的有効度の判定で「やや有効」以上の例は, プラセボ3例 (7%) に対しCTP群20例 (47%) と有意に高かった。副作用は両群の全例において認められなかった。
    ついで, 年令24-61歳の円形脱毛症およびビマン性脱毛症の10例に対してCTP製剤による改善効果を予備的に検討した。円形脱毛症の病巣部の「硬毛疎の状態」および「軟毛の状態」に改善が見られ, CTP製剤の発毛促進作用が認められた。効果発現までには3-5ヵ月の観察期間を要すると考えられた。悪化例および副作用発生例は全くなかった。
  • 堀川 達弥, 高島 務, 原田 晋, 千原 俊也, 市橋 正光
    1998 年 40 巻 4 号 p. 415-419
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎の特に皮膚乾燥部に対しグリコセラミド含有外用剤 (AKクリーム, AKローション) を4週間外用しその効果を検討した。やや有効以上を含め有効率は67%であった。不変20%, 増悪は13%であった。やや有用以上の有用度は67%であり軽症のアトピー性皮膚炎ではグリコセラミド含有外用剤は有用であると考えた。
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