症例は21歳, 女性。平成8年11月頃に, 上背部に皮下結節が生じ, 徐々に増大し, 平成9年2月には鶏卵大となった。胸部CTおよびMRI検査にて, 上背部の中央に7cm×3cm×3cmの皮下腫瘤を認めた。同年3月6日に, 拡大切除術を施行し, 術後に放射線照射および化学療法を行った。組織学的には, 皮下に異型性, 大小不同を示す核を有する紡錘形の細胞からなる腫瘍巣を認め, 核分裂像も散見された。鍍銀染色では`箱入り像'様の所見が得られ, 酵素抗体法では抗vimentin, および抗actin抗体に対して陽性所見を示した。また電顕でも, dense patchを有するactin様filamentを認め, 腫瘍細胞が筋原性であることが示唆された。術後約1年を経過した現在, 再発および転移を見ていない。平滑筋肉腫の本邦既報告例について, その臨床的特徴, 腫瘍細胞の起源, 鑑別診断, および治療について若干の考察を行った。
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