皮膚
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42 巻, 6 号
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  • 東田 敏明, 西嶋 攝子, 山本 真由美, 大島 茂, 是枝 敬
    2000 年 42 巻 6 号 p. 549-550
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 山崎 文恵, 松倉 正治, 矢島 あゆみ, 弓立 達夫, 手塚 正, 山田 秀和
    2000 年 42 巻 6 号 p. 551-556
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成人型アトピー性皮膚炎患者より末梢血を採取後, 塩酸エピナスチン (アレジオン®), フマル酸ケトチフェン (ザジテン®), 塩酸アゼラスチン (アゼプチン®), フマル酸エメダスチン (レミカット®) 添加による好酸球接着分子の変化について検討した.アトピー性皮膚炎患者の末梢血に塩酸エピナスチンを投与した場合には接着分子の変化を認めなかったが, 患者末梢血を予めIL-5で前刺激した場合にのみ, 塩酸エピナスチンによるCDIlb発現の抑制が認められた.その他の抗アレルギー剤については, L-5非存在下, 存在下とも有意な差は認められなかった.このことより塩酸エピナスチンは単に末梢I 血好酸球に働くわけではなく, 炎症組織に遊走していく活性化した好酸球に対し特異的に働くことが明らかとなった.またこの接着分子への変化は他の抗アレルギー剤では影響なく塩酸エピナスチンにのみ特異的であった.以上より塩酸エピナスチンは強力な抗ヒスタミン作用, 抗メディエ-タ-作用, 好酸球遊走抑制作用を有する他, 好酸球遊走に関与する接着分子, 特にCD11bを抑制することによって炎症部位への好酸球遊走を抑制し, アレルギー性炎症を抑制すると考えられた.
  • 西嶋 攝子, 東田 敏明, 大島 茂, 中矢 秀雄
    2000 年 42 巻 6 号 p. 557-561
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    最近1年間 (1998-1999) に皮膚感染病巣から分離した黄色ブドウ球菌130株について, 薬剤感受性を病巣を4群に分けて ((1) 膿痂疹群 (2) 毛包炎群 (3) アトピー性皮膚炎・湿疹群 (4) 潰瘍・褥瘡群) 検討した。今回使用した11種類の薬剤のうちvancomycin除くすべての薬剤に耐性株が認められ, MRSAは25株 (19.2%) であった。Fusidic acidは6.25μg/mlが1株ときわめて優れた感受性を保ち, ついでminocycline (MINO), nadifloxacinもMIC90が0.2μg/mlと良好な感受性であった。Clindamycin, erythromycin (EM) では二相性がみられた。膿痂疹群ではgentamicinとEMの感受性が悪く, 潰瘍・褥瘡群ではMINOとofloxacinの感受性が悪かった。MRSAの分離率は膿痂疹群が最も高く, 毛包炎群が株数割合ともに最も低かった。4年前と比較して膿痂疹からのMRSA分離率が上昇していたが, これらのMRSAは高度耐性でも, 多剤耐性でもなかった。
  • 山本 卓, 渡辺 元, 義澤 雄介, 鏑木 豊, 加藤 仁, 伊崎 誠一, 北村 啓次郎
    2000 年 42 巻 6 号 p. 562-566
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    アナフィラクトイド紫斑 (AP) 36例の臨床症状, 検査成績治療について調査し, 症例を20歳未満の小児ならびに若年発症例 (以下小児例と略記, 10例) と20歳以上の成人発症例 (26例) に分類し合併症の出現頻度, 予後など種々の因子につき比較検討を行なった。その結果腎症状において, その発現頻度に有意な差は見られなかったが, 成人例では小児例に較べて腎障害がより遷延重症化する傾向が認められた。腎症状を伴った成人12例のうち2例は腎不全のため長期加療を要した。また皮膚症状, 病理組織学的所見は小児例・成人例の間で特に差異は認められなかった。治療に関してはdiaminodiphenyl sulfone (DDS) を小児10例中6例, 成人26例中12例で使用した。いずれの症例においても重篤な副作用の発現はなく良好な治療成績を示し, 成人例では腎症状合併例でも使用に問題はなかった。したがってDDSは成人例のみならず, 小児例でも有用な治療法と考えられた。
  • 田中 将貴, 矢鳴 英子, 堀 啓一郎
    2000 年 42 巻 6 号 p. 567-570
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    7歳, 男児。1999年10月12日より上気道炎のため内服剤を5日間服用した。11月上旬に, 右前腕に水疱を伴った紫紅色の皮疹が出現し, 消退しにくいため11月29日に当科初診となった。その後1999年12月30日, 2000年1月31日にも内服薬を服用し, いずれも翌日には紫紅色斑が出現した。皮疹消失まで半月-1ヵ月を要し, 軽度色素沈着を残した。貼付試験はすべて陰性で, 塩酸シプロヘプタジンの内服試験では以前皮疹が見られた部位に紫紅色斑が出現し, これによる固定薬疹と診断した。抗ヒスタミン剤による固定薬疹は非常にまれである。また国内・海外ともに塩酸シプロヘプタジンによる固定薬疹の明らかな報告はなかった。
  • 杉原 昭, 赤松 浩彦, 堀尾 武
    2000 年 42 巻 6 号 p. 571-575
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    21歳女性, 平成10年11月下旬より両前腕に発赤, 浮腫の出現消退を繰り返し, 7kgの体重増加をきたした。血液検査所見では, 末梢血好酸球数の増多, 血漿IL-5値, 血清ECP値の上昇を認めた。また内部臓器には障害がなかった。病理組織学的には特異的所見は見られなかったが, 臨床所見, 血液検査所見より, episodic angioedema associated with eosinophiliaと診断した。ステロイド剤内服により症状は軽快し, 末梢血好酸球数の減少および血漿IL-5値は正常化したが, 血清ECP値については, 低下したものの依然として高値での持続が認められた。ステロイド剤の内服中止後, 散発的に浮腫が再発したが, その際, 好酸球数, 血清ECP値は再び上昇したが, 血漿IL-5値の再上昇はなかった。これらのことから, 本症では, 血清ECP値が好酸球数の増多, 浮腫の増悪などの病勢に比較的一致して変動する可能性がある。
  • 土井 久生, 米林 功二, 草壁 秀成, 清金 公裕
    2000 年 42 巻 6 号 p. 576-580
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    47歳, 女性の筋緊張性ジストロフィーを伴った多発性毛母腫の1例を報告した。平成4年10月頃より自覚症状のない皮下腫瘤が出現して, 徐々に増大, 増加し3年間に計8個の腫瘤の新生を認めた。病理組織学的には典型的な毛母腫の像を呈し, 多発性毛母腫と診断した。また, 平成8年頃より筋緊張性ジストロフィーの発症を認めた。近年, 筋緊張性ジストロフィーと毛母腫との関係が注目されている。筋緊張性ジストロフィーを合併する毛母腫では多発例が多く, 主に頭部に認められるといわれており, 本症例もそれに合致していた。
  • 藤井 紀和, 出口 英樹, 尾本 光祥, 杉浦 久嗣, 上原 正巳, 加地 明
    2000 年 42 巻 6 号 p. 581-585
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    71歳, 男性。初診の約10年前より右足底に黒色斑があったが放置していた。黒色斑はしだいに増大してきた。初診の半年前より黒色斑の一部にびらんを生じた。前医にて悪性黒色腫と診断されDAV療法3クール, インターフェロン-β局注 (IFN-β局注) 施行された。濃淡の見られた黒色斑は青色斑となりびらんも瘢痕を残さず消失した。当科へは集学的治療目的で紹介されたが手術治療を希望しなかったためIFN-β局注を施行した。退院後のIFN-β局注での経過観察中に青色斑は消失した。現在は濃淡のある黒色斑が再燃してきている。自験例は黒色斑, 青色斑, 青色斑の消失, 黒色斑の再燃という経過を示した。悪性黒色腫の色調や性状を経過を通じて観察することができたので報告する。
  • 佐藤 誠紀, 喜多野 征夫, 杉本 直
    2000 年 42 巻 6 号 p. 586-590
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    65歳, 男性。平成2年8月, 吸引肝生検にて肝細胞癌と診断された。約3年後の平成5年7月頃より, 吸引肝生検時の穿刺部皮膚に暗紅色の結節が出現した。皮膚生検にてαフェトプロテイン染色が陽性であり, 肝細胞癌の皮膚転移と考えられたが, 下床の筋組織には異型細胞は認められず, 吸引肝生検により生じた, 肝細胞癌のneedle tract implantation (以下NTlと略す) と考えた。皮膚腫瘍は全摘したが, その半年後, 切除部より同様の結節が再発した。肝癌とその他の腫瘍によるNTIについて若干の考察を加え報告する。
  • 阿部 真也, 藤井 俊樹, 望月 隆, 石崎 宏
    2000 年 42 巻 6 号 p. 591-594
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    水痘の83歳, 男性例を報告した。全身症状は軽微で合併症はなく, 13日で略治した。水痘・帯状疱疹ウイルスの抗体価 (CF) は初診時16倍, 2週間後64倍であった。感染経路は不明であった。金沢医科大学皮膚科で1990年~1998年の9年間に経験した15歳以上の成人水痘35例のうち症状, 経過の詳細な記載のあった24例について高齢者群50歳以上 (8例) と50歳未満 (16例) の2群に分け, 各群の重症度スコアを算出した。高齢者群のスコア (4.7) は若年者群のスコア (9.8) に比べて有意に低く, この結果は一般に高齢者の水痘では全身症状が軽微であるとのこれまでの報告に合致した。
  • 湊 恵美, 草壁 秀成, 清金 公裕
    2000 年 42 巻 6 号 p. 595-599
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    49歳男性。3歳時に交通事故にて左足関節および足部を開放骨折し, 治療をうけたが炎症を繰り返し時に排膿を認めていた。約10年前より患部の清拭を一切行わずにいた。初診時左足部全体が腫脹し足背には皮膚色から紅色, 一部白色の硬い疣贅状の大小の腫瘤が存在し, 表面は緑色の厚い痂皮に被われていた。皮膚生検像では著明な過角化, 表皮突起の延長, 膠原線維の増殖と間質浮腫を認め, 真皮上層では毛細血管及びリンパ管の拡張を認めた。以上より本症を幼少時の外傷を起因とする慢性リンパ浮腫に続発した象皮病と診断し, 長年に渡る不潔状態のためアカツキ状態になったと考えた。
  • 池野 宏
    2000 年 42 巻 6 号 p. 600-605
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    肝斑, 日光黒子等の色素沈着症患者に対し, コウジ酸1%及び油溶性甘草エキス0.1%を含有したエッセンスの使用試験を行なった。評価にあたり, 医師による皮膚所見観察と併せて色彩色差計による皮膚明度を測定した。その結果, 有効性は「やや有効」以上で, 日光黒子で20例/22例, 肝斑で8例/8例となり, 特に症状の程度が悪かった患者に対し著しい効果が認められた。さらに本使用試験において10週未満でかなり改善している例が認められた。有効性, 患者自身の評価, 副作用の有無を総合的に考慮した有用性も, 「やや有用」以上で, 日光黒子では20例/22例, 肝斑では8例/8例となり, 非常に高いものであった。明度測定の結果においても, 「極めて有用」 群において使用前後の明度差が最も高かったことから, 本試験薬剤の色素沈着改善に対する有用性が客観的にも示された。
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