バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
25 巻, 3 号
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解説
  • 金井 一薫
    原稿種別: 本文
    2001 年 25 巻 3 号 p. 108-112
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    看護臨床と介護臨床にあっては,それぞれの援助行為の目指すところは同一であり,両者は相互に協力し合って,21世紀の日本のケアワーク実践を,形成していかなければならない関係にある.さらに,看護臨床においても,また介護臨床においても,共通に使われている技術は,「生活援助技術」であり,その技術の駆使に際しては,少なからず「介助負担」が生じている.特に負担が大きいと考えられる援助技術は,"移動""排泄""入浴""体位変換"であり,これらに関する介助負担軽減の対策は,両分野において積極的になされてきている.特に今後は,生理学的・力学的・心理学的観点からの介助負担への取り組みが期待きれている.
  • 土屋 葉
    原稿種別: 本文
    2001 年 25 巻 3 号 p. 113-117
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,障害をもつ人と親への聞きとり調査から,介助における家族の関係性及び,その際に生じる特有の問題を考察することである.聞きとり調査から次のことを明らかにした.第一に,親の感じる労力的な負担が精神的負担を生じさせ,関係性の悪化を招いていた.第二に,母親が子どもの介助をすべて担う状況において,力関係が生じていた.第三に,とりわけ異性の親と子の間で身体に関する摩擦が生じていた.第四に,親が子どもの意志に介入したり,お互いにある行為を要求しあうことによる摩擦が生じていた.考察の結果,身体に関わる問題,家族規範に関わる問題が,介助を担う存在が「親」であるからこそ生じる問題であることを示した.
  • 川口 孝泰
    原稿種別: 本文
    2001 年 25 巻 3 号 p. 118-122
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    近年,在宅療養を支える介護者に目を向けた研究が増加し,これらの成果を具体的に適用・実施する動きがみられ始められている.しかし,それらのなかには実用化には至らないものも多い.その原因として,看護・介護される側の立場からの検討が未だ十分に行われていないことが指摘される.本稿では,看護・介助される側に焦点をあて,介助行為が起因して,被介助者の負担や事故につながっていると考えられる,起立介助時の起立性低血圧(orthostatic hypotention)について,その原因と予防策を,著者のこれまでの研究成果を交えながら解説した.内容は,起立性低血圧を予防する起立介助の工夫として,介助時には,できるだけ被介助者本人が起立しようとする自発的な意志を促すこと,さらに障害の程度に配慮した「本人の自力による立ち上がり」を支援する配慮が求められることを示唆した.このことを前提に,起立介助機器などの設計においては,ボタン操作やレバー操作のような,本人の意思が介在して自律神経系の反応を促すような工夫などが求められる.
  • 井上 剛伸, 山崎 信寿
    原稿種別: 本文
    2001 年 25 巻 3 号 p. 123-129
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    身体的負担が大きいとされる移乗介助に着目し,看護婦(士)および理学療法士を対象とした腰痛および移乗介助方法,リフトの使用に関する調査を行った.その結果,腰痛経験者は非常に多いにもかかわらず,リフトは有効に使用されていないことが明らかになった.そこで,定量的なリフトの評価として,バイオメカニズム的解析手法を用いたリフト使用時の介助者の腰部負担を検討した.その結果,腰部負担は,機器を使わない介助方法に匹敵することが示唆された.また,スリングの取り付け,取り外し,リフトの移動において腰部負担が大きくかかることが示された.さらに,ベッド高や上体の姿勢,リフトの切り返し方法を注意することで負担が軽減することが示唆された.
  • 松尾 清美
    原稿種別: 本文
    2001 年 25 巻 3 号 p. 130-136
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    介助機器を用いた介助負担の軽減について,車いすや移乗補助機,つり上げ式リフトなどの例を示しなから,以下のことについて記述した.1)人と家族あるいは介助者の「身体障害や生活方法の考え方」で,自立機器になったり介助機器になったりすること.2)福祉機器の選び方や使い方を知っていると,自立できたり,介護負担の軽減につながること.3)リフトでは,目での確認やスイッチ操作など,本人ができることを見いだし作業の分担を図ることで,本人の自信にもなり,介助負担の軽減につながる.4)介助負担を軽減するためには,本人と家族の生活行為の流れを分析し,その姿勢や介助機器の種類,配置について検討し,介助負担が少ない介助方法を発見すること.
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