バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
29 巻, 3 号
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解説
  • 松丸 隆文
    2005 年 29 巻 3 号 p. 117
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • 大坊 郁夫
    2005 年 29 巻 3 号 p. 118-123
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    対人的なコミュニケーションは,相互の理解-心的な共有-を目指して行われる,時間的に連鎖をなす一連の行動過程である.それは,個人,対人関係,社会的脈絡,文化的規範などを要因として含むものであり,時間軸とともに,社会的な拡がりのあるメカニズムを持っている.コミュニケーション行動は,個別の行為が容易に独立するものではなく,高度に統合された全体性を特徴とする.個人を結ぶ親密さについての研究や抽出されている規則性は少なくない.その中で,コミュニケーションのチャネルについての相補的関係を示すモデル,規則性(ゲイン-ロス効果,親密性平衡モデルや自己開示性についての男女比較等)を主に取り上げ,そのダイナミックなメカニズムを考えることでコミュニケーション研究のスタンスを示す.
  • 柴 眞理子
    2005 年 29 巻 3 号 p. 124-128
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    現代社会における子ども達(大人にも同じことが言えるだろう)の感情表現の乏しさを象徴的に言うならば「メチャ楽しい-すぐキレル」という両極端にあり,子ども達はその間にある彩り豊かな感情に気づいていないように思われる.
    人間が本来もっている感情の豊かさを感じず表現できない子どもたちに,舞踊は,身体感覚や身体感情に気づかせ,それらを磨くという機能をもっている.とりわけ,舞踊運動の体感を原点とすることによって,踊る者は,自分の動きの感覚に鋭敏になり,ちょっとした動き方の違いが異なる感情体験をもたらすことを感じ取ることを可能にする.
    本稿では,筆者の舞踊系運動方法論実習の受講生を対象にした舞踊運動の体感に関する実験に基づいて,舞踊運動の体感の変化のプロセスは,日常気づかない感情体験の場であり,そのことによって自己理解・他者理解がもたらされ,それが豊かなコミュニケーションに繋がっていくことを解説する.
  • 長野 峻也
    2005 年 29 巻 3 号 p. 129-132
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    本論は,基本的に「武術文化に対して全般的に認識している専門家は皆無に等しい」という認識から出発し,更に武術に関して何の予備知識もない読者を対象に論じるに当たり,「武術に対して巷間に広まった誤った情報」を正し,「武術が現代武道へ統合再編される中で失われたもの」を論じ,「日本古武術の失われた理合(交叉法)」を紹介し,「武術の要である歩法」を論じています.本来,武術は身体訓練を通して意味を理解していかなければ本質的な理解は不可能であり,文章のみで身体操作のコツを書き並べても誤解されるのがオチと考え,参考として,全くの素人が身体操作のコツを知れば極意の技も容易に再現できることを実証すべく写真も添えました.
  • 藤倉 健雄
    2005 年 29 巻 3 号 p. 133-138
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    現代マイムとは,本来人間に備わっている習性である「模倣」,「模写」という行為を創造的に発展させ,観ている人々の脳に補完を喚起し「現実を再構築させる」芸術である.従って,マイム演者の作業とは,観ている脳に想像を誘発する為の「動きによるガイド」の創作,提示である.一方,実際のイメージの構築は各々の観客がその想像過程に積極的に参加することにより個人的経験として達成される.以上のイメージ再構築のメカニズムを「CD」(クリエーティブ・ディストーション=創造的な歪みを「動きのガイド」に加えて,その模写する現実のエッセンスを強調するテクニック)というキーワードを軸に考察し,マイムにおける模写的表現の妙味を探る.
  • 松丸 隆文
    2005 年 29 巻 3 号 p. 139-145
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    人工機械システムに対する恐怖感や違和感を排除するには,外見を人間型や動物型にするだけでなく,サイズと性能・機能の関係などにおいて,人間の常識,経験知・暗黙知に合致した形態・動作が必要だと考える.具体的には,移動ロボットやヒューマノイド・ロボットにおいて,その次の行動・意図が,それを見ている周囲の人間によって予測しやすい形態・動作を考えている.本稿は,まず人間機械系の情報動作学の応用展開における研究項目と手順を説明し,つぎにこれまでに入手した資料から得られている知見のいくつかを,(1)形態からの運動予測と(2)連続動作・予備動作からの運動予測に分類し,その応用・適用方法に言及しながら論じる.
研究
  • 楠本 裕亮, 中園 嘉巳, 野澤 昭雄, 井出 英人
    2005 年 29 巻 3 号 p. 146-151
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    健常被験者6名は,あるインターバルを持って呈示される2度のブザー音を片側の耳から聞き,2度目のブザー音呈示後に同じインターバルで,右手あるいは左手の示指により1度だけボタンを押すように指示された.ボタンが押された時刻と2度目のブザー音呈示時刻を測定し,その時間間隔を被験者の予測時間として求めた.インターバルに対する予測時間の当てはまり尺度(決定係数)を用いて予測精度を評価した.結果,ブザー音が呈示される側(右耳・左耳)によって予測精度に違いは認められなかった.ただし,マスキング音を片側の聴覚に与えた場合,右手ボタン押し・左の聴覚へマスキング音を与えたときのみ,常に予測精度を有意に低下させた.このことは,マスキング音がインターバルの記憶にラテラリティを持って干渉をすることを意味する.すなわち,聴覚による時間間隔の記憶,つまり時間知覚に関するワーキングメモリ,の機能局在を示唆する.
  • 大西 明宏, 江原 義弘
    2005 年 29 巻 3 号 p. 152-159
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    3段の実験用階段を製作し,若年健常男女20名を対象として室内にて歩行計測をおこなった.モーションキャプチャ装置にて踵に貼付したマーカーの軌跡を計測した.その結果,踵軌跡は緩やかな曲線を描く場合と,直線を描く場合とがあり,後者の場合にはヒールクリアランスが短くなることがわかった.本研究ではその特徴をもとにして,安全及び危険な階段寸法を算出する数式モデルを開発した.本モデルでは適切なパラメータを与えることでヒールクリアランスとよく対応する値を計算により求めることができた.この値が負であれば危険,正であれば安全と判定することで安全な階段寸法を導き出した.長寿社会対応住宅設計指針に則った階段寸法は数式モデルにより算出された安全な階段寸法を満たしており,妥当であることが明らかとなった.
  • 内藤 尚, 長谷 和徳, 井上 剛伸, 相川 孝訓, 山崎 伸也, 諏訪 基, 大日方 五郎
    2005 年 29 巻 3 号 p. 160-169
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    本研究では,股義足を使用した歩行を再現することのできるシミュレーションモデルを開発した.まず,股義足歩行の動作分析を行い,股義足歩行の特徴を調べた.その結果から,妥当な股義足歩行をシミュレーションで再現するには3次元で全身のモデルが必要であることがわかった.そこで,股義足の機械的モデルを導入した股義足・筋骨格系モデルと股離断者の神経系モデルを統合した3次元股義足歩行シミュレーションモデルを構築した.数値シミュレーションにおいて,20,000試行の神経系のパラメータ探索計算を経て,3次元,多数歩,全身動作の股義足歩行を生成した.生成された歩行は,実際の股義足歩行の特徴を定性的に再現していた.
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