バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
29 巻, 4 号
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解説
  • 國澤 尚子
    2005 年 29 巻 4 号 p. 180
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/23
    ジャーナル フリー
  • 井上 昌次郎
    2005 年 29 巻 4 号 p. 181-184
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/23
    ジャーナル フリー
    ヒトや高等動物は連続運転に最も弱い臓器である大脳に頼って生きている.その大脳をうまく管理するための自律機能が睡眠である.つまり睡眠の役割とは大脳を守り,修復し,よりよく活動させることである.発育初期には大脳を創り育てる役割もある.それゆえ睡眠は活動を停止した状態ではなく,活動モードを能動的に切り換えた状態である.大脳を点検修理して保全するノンレム睡眠と大脳を活性化し目覚めさせるレム睡眠とが,その役割を相補的に分担している.睡眠調節の部位は脳幹であり,概日リズム機構(約1日周期の眠気リズムを発信する)とホメオスタシス機構(睡眠の過不足から眠りの質と量を決定する)とが協調している.睡眠はさまざまな体内外の要因に依存して多様に修飾され順応性が高い.
  • 久保田 富夫
    2005 年 29 巻 4 号 p. 185-188
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/23
    ジャーナル フリー
    健康なわたしたちも,昼間に耐えがたい眠気を体験することはよくある.ヒトの昼間の覚醒レベルの変動については様々な研究が行われているが,60分から3~4時間周期で眠気が出現するウルトラディアンリズムの報告があり,いくつかの要素が関連していると考えられている.さらに,約半日リズムとして,昼食後の午後1時から4時頃に眠気を感じることが多い.昼間の眠気には,生体リズムが関係していることは広く知られている.また,外的環境への適応機能として,サーカディアンリズムの補助機能としての役割などがあげられる.今回,以前われわれが大学生におこなったアンケート調査から昼間の眠気の原因と,その対応についても考えてみた.
  • 木暮 貴政
    2005 年 29 巻 4 号 p. 189-193
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/23
    ジャーナル フリー
    様々な報告から現代日本人の睡眠事情は危機的状況にあると言え,良い睡眠を確保するために正確な知識と対策が必要とされています.睡眠は様々な生命現象が同調して働く複雑系なので,寝具との関係もそのような中で捉える必要があります.そこで,まずは良い睡眠の確保に役立つ知識として生体リズム調整,覚醒時の過ごし方,入眠前の準備,快適な睡眠環境について紹介します.そして,睡眠環境の中でも特にマットレス(ベッド)や敷布団のような敷寝具に焦点をあて,良い睡眠をとるために必要と考えられる寝具の条件および寝具の選び方を考察します.
  • 北堂 真子
    2005 年 29 巻 4 号 p. 194-198
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/23
    ジャーナル フリー
    日常生活においてストレスを強く感じていたり興奮状態にある場合には,相対的に寝つきにくくなったり睡眠中に中途覚醒を生じたり,翌朝起きにくくなったりすることを誰しも経験している.また,寒暑感や騒音,明るさなどが原因となって睡眠が妨げられる場合もある.本稿では,ストレス負荷状態や興奮状態にある場合とそうでない場合についての生理反応および入眠経過の違いと,スムーズな入眠のための就寝前の準備について解説するとともに,睡眠環境因子の中でもとりわけ大きな影響を及ぼすと考えられる光・照明をとりあげて,生体への作用の解説と上手な活用方法についての紹介を行う.
  • 鈴木 博之
    2005 年 29 巻 4 号 p. 199-204
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/23
    ジャーナル フリー
    夢が睡眠中のいつ起こっているかという疑問に対し,REM睡眠中に起こるという解答が既に得られていると一般的には考えられている.しかし,NREM睡眠時の夢の存在を主張する研究者も多く,夢発生のメカニズムに関しては未だ議論が続いている.従来の夢研究には,報告された夢が目覚める以前のいつ起こった体験か確認することが出来ないという方法論的問題点があった.そのため,夢とREM・NREM睡眠の明確な対応関係は検討されてこなかった.この問題点を解決するために,我々は20分間の睡眠区間を40分間の間隔をおいて78時間連続して繰り返し,各睡眠区間後に得られた夢と20分間の睡眠状態の関係を検討した.その結果得られたREM・NREM睡眠時それぞれの夢の特徴と,今回初めて明らかになった夢発生の概日変動について解説する.
  • 渋井 佳代
    2005 年 29 巻 4 号 p. 205-209
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/23
    ジャーナル フリー
    女性は,月経,妊娠・出産,閉経を通して,視床下部-下垂体-卵巣系の内分泌環境が大きく変動する.それに伴い,気分の変調や睡眠が変化することはよく知られている.月経前には,いらいら,抑うつ感を伴った日中の眠気の増加が特徴的である.妊娠中に関しては,妊娠前期に過眠がみられるが,妊娠中期には比較的安定し,妊娠後期に夜間不眠が多く経験される.睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群が発症する場合もある.産褥期には夜間睡眠の分断化が余儀なくされる.更年期には,ほてりやのぼせなど自律神経症状がきっかけとなる夜間不眠がみられる.それぞれのライフステージにおけるホルモン動態を正しく理解し,適切な対処をする必要がある.
研究
  • 酒井 利奈, 糸満 盛憲, 根武谷 吾, 馬渕 清資
    2005 年 29 巻 4 号 p. 210-218
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/23
    ジャーナル フリー
    セメントレス人工股関節の初期固定においては,広範囲・低応力接触が重要と考えられている.一方,工学分野においては,力学的安定状態は三点固定に代表される接触部の制限が望ましいと考えられている.これは相反する理念であり,人工関節の強固な固定を実現するためには,ステム上の適切な部位に制限した接触を目指すべきである.広範囲接触を求めた場合,固定部位が流動的に動く危険性があるからである.本研究においては,対象として固定法の概念が特徴的である既存の3種類の人工股関節PerFix SVR(JMM, JPN), IMCR(JMM, JPN), VerSysR(Zimmer, USA)を用い応力解析と応力測定を行い固定法の評価を行った.生物学的な固定に到達する以前の初期段階においては,近位部に流動的でない応力分布を有することが望ましい.従来一般に信じられている低応力という基準は改めるべきである.
  • 酒井 利奈, 金井 伸枝, 糸満 盛憲, 根武谷 吾, 馬渕 清資
    2005 年 29 巻 4 号 p. 219-226
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/23
    ジャーナル フリー
    人工関節全置換術後,初期固定が得られない場合,数年で緩みをきたす.初期固定は力学的な固定であり,それなしでは術後の骨組織の再生促進は期待できず,長期固定もありえない.現在,多様なデザインの人工関節が次々と開発され臨床応用されているが,新規開発された人工関節の固定法を力学的に評価する指針は確立されていない.そこで本研究においては人工股関節ステム形状の特徴的な固定部位が初期固定に機能するか否かを検討するため,人工股関節と骨組織の三次元有限要素解析を行った.固定部周囲の固定性の優劣を判断するために変位量を指標とし,現在臨床で用いられている代表的な人工関節3タイプについて制動能評価を行った.
  • 佐崎 祥子, 廣川 俊二
    2005 年 29 巻 4 号 p. 227-234
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/10/23
    ジャーナル フリー
    工業用複合材料が主要強度材である繊維と母材の中間的強度を示すのに対し,生体複合材である腱・靭帯では主要強度材である線維束よりも靭帯複合体の力学強度が高くなり,工業材料とは逆の現象を示す.本研究では,生体軟組織の階層構造を考慮しつつ,靭帯を線維束の集合体とみなした二種類の靭帯力学モデルを構築し,上記逆転現象のメカニズムの解明を試みた.モデルには,実験結果を基に線維束の力学的不均一性や線維束・間質物質間の干渉力を表す要素を含めた.最初のモデルは線維束と靭帯の伸びだけを扱った一次元離散モデルであり,靭帯の応力-ひずみ特性に見られるつま先領域,線形領域,破断領域を区別しつつモデルを構成した.第二のモデルは超弾性体の二次元連続体モデルであり,靭帯固有の特性である有限変形,非圧縮性の条件を導入した.シミュレーション解析の結果,両モデル共に,上記逆転現象を再現し得ることを確認した.
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