セメントレス人工股関節の初期固定においては,広範囲・低応力接触が重要と考えられている.一方,工学分野においては,力学的安定状態は三点固定に代表される接触部の制限が望ましいと考えられている.これは相反する理念であり,人工関節の強固な固定を実現するためには,ステム上の適切な部位に制限した接触を目指すべきである.広範囲接触を求めた場合,固定部位が流動的に動く危険性があるからである.本研究においては,対象として固定法の概念が特徴的である既存の3種類の人工股関節PerFix SVR(JMM, JPN), IMCR(JMM, JPN), VerSysR(Zimmer, USA)を用い応力解析と応力測定を行い固定法の評価を行った.生物学的な固定に到達する以前の初期段階においては,近位部に流動的でない応力分布を有することが望ましい.従来一般に信じられている低応力という基準は改めるべきである.
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