バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
30 巻, 4 号
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解説
  • 内藤 尚
    2006 年 30 巻 4 号 p. 179
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
  • 榊 泰輔, 蜂須賀 研二
    2006 年 30 巻 4 号 p. 180-183
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    急激なテンポで社会の高齢化が進む中,医療・介護の現場でロボット技術への期待が膨らんでいる.高齢者に発症が多い脳卒中では片麻痺により歩行が困難になる例が多く,自立支援・社会復帰をめざすリハビリテーションが施されるが,長時間・頻回の訓練を実現するにはロボット等の活用が考えられる.理学療法士が担当する運動療法において,特に歩行機能の回復を支援するロボットの課題について述べる.
  • 小林 宏
    2006 年 30 巻 4 号 p. 184-188
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    20世紀は,機械システムにより人間が肉体的負担から解放された世紀であった.21世紀は,機械システムが人間の動作を直接支援し,自立をサポートすることで,介護されるという精神的な負担から人間を解放する世紀であると著者は考えている.人間を直接動かすシステムは,倫理的な問題,安全の問題,被験者を捜す問題などの様々なハードルがあり,開発例は少ない.著者は積極的にその開発を行っており,本稿では上半身の動作を補助するマッスルスーツと,全く筋力が無くても歩行が可能となるアクティブ歩行器についてその概要を述べる.
  • 遠山 茂樹, 米竹 淳一郎
    2006 年 30 巻 4 号 p. 189-193
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    日本の高齢化社会への推移に伴い,福祉活動や福祉事業への需要が高まりそれらの充実が叫ばれる中,我々は人間の力をサポートするパワーアシストスーツを提案し,介護福祉施設における介護者の身体的負担を軽減させるための研究開発を行ってきた.人が装着した状態で違和感なく動作できるスーツの構造,滑らかに動作を補助する力を出力するアクチュエータの開発が最も重要な課題である.これらを解決する手段として選択した,外骨格構造とフレーム材料,具体的には動作自由度を確保するための関節部構成,アクチュエータとして選択した超音波モータの人間の動作に対する適応性についての解説を行う.
  • 井野 秀一, 佐藤 満, 伊福部 達
    2006 年 30 巻 4 号 p. 194-199
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    水素吸蔵合金は,水素を大量に貯蔵する機能をもっているだけでなく,水素化反応によるエネルギー変換機能をもっている.この特殊な物性に着目したアクチュエータが水素吸蔵合金アクチュエータである.合金に与えられる熱エネルギーを水素ガスの圧力という機械エネルギーに変換し,出力として利用する.シンプルな構造ながら,高出力重量比・柔軟性・静音性などのユニークな特性がある.これらの性質は,ヒトとの直接的な接触動作が求められる機械システムのヒューマン・マシン・インタフェースに対して特に有用である.本稿では,水素吸蔵合金の性質,それを利用したアクチュエータの動作原理と特徴について概説し,動作支援システムへの応用の試み(座面昇降型車いす・移乗介助装置・起立動作支援クッション・関節リハビリ装置・パワーアシスト装置)を紹介し,将来展望と今後の課題について述べる.
  • 森田 寿郎
    2006 年 30 巻 4 号 p. 200-204
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    空間内で姿勢変化する多関節リンク機構について,関節の自重トルクを完全に補償する機構の設計原理および動作支援技術への応用方法を解説した.その要点は,平行リンクを用いた姿勢変化と自重トルクの非干渉化,ばねを用いた正確な自重補償トルクの発生,3軸が直交する関節モジュールの設計方法から成っている.機構の応用事例として,4自由度垂直多関節マニピュレータとトルク補償型肩装具の構成方法と評価結果を紹介した.自重補償を備えたマニピュレータが先端リンク姿勢に依存せずに正確な補償トルクを発生できること,従来型マニピュレータと比較して,可搬重量,最大速度,最大加速度の全てにおいて高い性能が得られることを示した.装具については,日常生活動作に必要な可動域を満たしていること,挙上動作時の三頭筋・僧帽筋の活動が有意に減少すること,肘の自由な運動を損なわずに食事動作を補助できることを示した.
研究
  • 平田 亮吉, 中元 善太, 蜂須賀 研二, 和田 太, 牧野 健一郎
    2006 年 30 巻 4 号 p. 205-210
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    高齢化社会の到来に伴い,ロボットやメカトロニクス技術などの先端技術を医療・介護・健康分野に応用することが社会的に期待されている.一方,3大成人病の一つである脳卒中は,とりわけ高齢者に発症することの多い病気であり,その数は全国で147万人と推計されている.そこで,我々は,長年培ってきたロボット技術の医療福祉分野への展開を目指し,脳卒中患者用リハビリ装置の研究の一環として,1999~2003年度に下肢機能回復支援システムの研究を実施した.本稿では,下肢機能回復支援システム,人間と装置が触れる部分の装着性,歩容,および下肢筋力と足底反力の回復を目的に実施した患者による臨床試用結果について述べる.臨床試用の結果,患者の平地歩行の速度,歩数,歩調,下肢筋力,および足底反力に回復傾向が見られた.
  • 山田 実, 平田 総一郎, 小野 玲, 安藤 啓司
    2006 年 30 巻 4 号 p. 211-215
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    健常者の歩行リズムはわずかに変動しており,高齢者や中枢神経系に異常のある疾患患者では,変動が大きくなることが報告されている.しかし,運動器疾患ではこのような検討はなされていない.本研究では片側性の変形性股関節症(hip OA)患者における立脚期時間の変動係数(coefficient of variance, CV)を測定・評価し,臨床指標との関係を検討した.その結果,健常者との比較では健側の変動に有意な差は認められなかったが(健側CV 2.7±1.9 vs 健常CV 2.8±1.8, p=0.836),患側の変動は健側より有意に大きかった(患側CV 3.3±1.7, p=0.028).また患側のCVは歩容異常の指標となる体幹動揺と有意な負の相関関係にあり(r=-0.371, p=0.001),歩容の悪化に伴い変動も減少することが示唆された.このことから,hip OA患者は罹患部位の代償を行うために歩行動作をパターン化し,一定にすることで,動作の困難さを軽減しているのではないかと考えられた.
  • 米山 啓子, 中島 求
    2006 年 30 巻 4 号 p. 216-224
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    水泳は身体機能の低下を防ぐと同時に,重力が相殺されるため,肢体不自由者にとって取り組みやすいスポーツである.しかし,肢体の不自由によりフォームやバランスが悪化することが考えられる.そこで本研究では,泳法として最も一般的なクロール,そして推進への影響が大きいと考えられる片上肢切断に着目して,まずシミュレーションにより片上肢切断がクロール泳に与える影響の解析を行った.そして最も影響が大きかった片上腕切断を対象として,その影響を軽減する補助具を最適化手法を用いて設計した.さらに最適設計結果に基づいて補助具を製作し,被験者実験により補助具の有効性を確認した.
ショートペーパー
  • 牛場 潤一, 富田 豊, 正門 由久
    2006 年 30 巻 4 号 p. 225-233
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    神経細胞はほかの神経細胞群からの電流入力を受けると,スパイクとよばれる急峻な膜電位変化を発生させ,次の神経細胞へ情報を伝達する.本研究では,単一神経細胞が高周波入力を受けた際に,低周波スパイク列に入力情報を符号化する仕組みについて議論した.はじめに,三角関数を低周波インパルス列によって標本化し,離散フーリエ変換によってパワースペクトルを推定した.このときインパルス間隔を乱数によって変動させることによって,入力周波数を同定することができた.つぎに,神経細胞膜の電気的特性を模擬した非線形四次方程式を用いて入出力特性を解析したところ,出力スパイク列が不等間隔である場合に入力信号の周波数を同定することができた.これらのことから,高周波入力を低周波スパイク列に符号化するためには,スパイク発射の揺らぎが不可欠であると考えられた.
  • 石川 大輔, 内山 孝憲
    2006 年 30 巻 4 号 p. 234-237
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    ワンチップマイコンを用いて, 簡便な計測方法で筋の硬さを評価できる小型筋硬度計の開発を目的とする.本小型筋硬度計では,圧子によって筋を押し込むときの押し込み量を直線型ポテンショメータで,反力をフォースセンサで計測し,AD変換して数学モデルによる近似を行って硬さの指標を算出する.測定者による計測値のばらつきを調べたところ,有意水準5%で有意な差は認められなかった.衣服による影響は,Tシャツの上から計測しても皮膚を直接計測する場合と比較して有意な差は認められなかった.上腕二頭筋および僧坊筋を対象として,収縮レベルと筋の硬さの指標の関係を調べたところ,収縮レベルによって筋の硬さの指標は有意に変化した.
連載
  • 阿江 通良
    2006 年 30 巻 4 号 p. 238-241
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/10
    ジャーナル フリー
    体育専攻学生には,量的動作分析よりも質的分析が重要である.しかし,VTR動作分析実習において量的分析を経験させる意義は,時間はかかるが,(1)じっくりと動きを見ることができる,(2)それにより動きの細部を頭に描くことができるようになる(mental imageが描ける),(3)動きとデータの対応ができるようになることにある.最近では,自動動作分析装置により3次元データが比較的容易に収集できるようになっている.しかし,じっくりと動きを観察しながらVTR画像をマニュアルでデジタイズしてデータを収集させ,時系列データやスティックピクチャーと実際の動きをつき合わせて考えさせることも重要であり,これがバイオメカニクスデータを正しく解釈することにつながる.
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