コンピュータシミュレーションを用いて術前に初期安定性を評価する目的でAI-Hip cementless stemの有限要素モデルを構築した.
初期条件として(i)大腿骨遠位端を完全拘束,(ii)股関節周囲部における関節合力としてステム近位端に1800Nのステップ荷重を負荷,(iii)大転筋力として大転子より1440Nの荷重を牽引,(iv)捻転を想定し18.9Nmのモーメントを負荷した.
結果として,AI-Hip cementless stemのマイクロモーションは比較対照ステムのマイクロモーションと同等の低値を示した.AI-Hip cementless stemの応力値は疲労破壊を起こす限界点よりも低値を認めた.
相対的マイクロモーションと応力値に基づいて判断するとAI-Hip cementless stemは初期安定性が得られている.しかしながら,ステムの安定性の評価を有限要素解析結果のみで判断するのは危険であるので短期の臨床報告を待ち,今後,耐久性試験等の実験結果と併せて比較を行うべきである.
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