バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
35 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
解説
  • 大森 繁
    2011 年 35 巻 4 号 p. 223
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
  • 奈良 敏文, 田母神 淳, 加茂 直樹
    2011 年 35 巻 4 号 p. 224-232
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    桿状の形をとる古細菌Halobacterium salinarum は,両極にある鞭毛(極毛)の運動を調節して直進運動とスイッチバックを繰り返す.光に対しては,赤色系の光に近づき,青色系の光から逃げる走光性を示す.80 年代前半に単離されたその光センサーはロドプシン様のレチナールタンパク質であり,隣接するトランスデューサータンパク質が細胞内にシグナルを伝える.数々の分光学的測定が行われて多くのことが分かってきたが,光センサー/トランスデューサー間のシグナル伝達は,その分子機構の一部がようやく見えて来た段階である.この解析に少なからず関与した我々の成果も交え,現状を解説する.
  • 本多 健一郎
    2011 年 35 巻 4 号 p. 233-236
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    昆虫類は紫外線を見ることができる.夜行性の昆虫は紫外線を多く出す光源に良く誘引され,この性質を利用した害虫 の発生予察灯や電撃殺虫機などが開発されている.昼行性の昆虫は黄色の色彩板に誘引されることが多く,発生調査用の黄色水盤や防除用の黄色粘着板などが利用されている.黄色照明の点灯は夜行性蛾類の活動を抑制し,果樹や野菜花きの被害を減らす効果がある.近紫外線を透過させないフィルムを展張した栽培施設では,コナジラミやアザミウマなどの害虫が侵入しにくくなり,被害が減少する.光を反射する資材を圃場に設置すると,アブラムシなどの飛来を抑制できる.今後はLED など新しい光源の開発と利用が期待される.
  • 山本 興太朗
    2011 年 35 巻 4 号 p. 237-244
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    植物の地上部器官は光の方向に屈曲する屈光性を示す.屈光性の機構としては古くから青色光受容体と植物ホルモンであるオーキシンの重要性が指摘されてきたが,その具体的な分子機構は不明であった.最近,モデル植物シロイヌナズナを利用した分子遺伝学的研究によって,光受容体はフラビンモノヌクレオチドを発色団とするフォトトロピンで,オーキシン極性輸送に関わり深いキナーゼ活性を持っていることと,オーキシン作用にはオーキシン極性輸送を担う排出担体PIN タンパク質の細胞内局在調節が重要であることが明らかになり,フォトトロピンによるオーキシン極性輸送調節機構が明らかになりつつある.
  • 門田 明雄
    2011 年 35 巻 4 号 p. 245-250
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    植物は効率的に光合成を行うため,光センサーを使って周囲の光環境をモニターし,光合成器官である葉緑体の細胞内 分布を変えている.弱光下で葉緑体は光の当たる場所に集合し,強光下ではダメージを避けるために光から逃避する.この葉緑体光定位運動は古くから知られ,光センサー色素を中心に研究が行われてきたが,運動機構については未知であった.筆者らはライブセルイメージングにより光定位運動時のアクチンフィラメントの動態を解析した結果,葉緑体には「葉緑体アクチンフィラメント」を使った独自の運動メカニズムが存在することが明らかとなった.面白いことに,このメカニズムは動くためだけでなく,動かなくするためにも働く.
  • 太田 航, 吉村 崇
    2011 年 35 巻 4 号 p. 251-257
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    四季の存在する地域に棲む動物は,季節の変化に応じて行動や生理機能を変えることで環境の変化に適応している.このとき動物たちは日照時間(光周期)を季節の指標としているため,このような性質は光周性と呼ばれる.ウズラやマウスを用いた最近の研究により,脊椎動物における光周性の制御機構が徐々に明らかとなりつつある.本稿では光周性研究の歴史から,我々の研究によって明らかとなった動物が「春」を感じるしくみ,及び光周性制御に重要な光情報を感知している「脳深部光受容器」の発見までを概説し,光情報をもとに引き起こされる動物の巧みな生存戦略を紹介する.
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