バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
37 巻, 1 号
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解説
  • 原 良昭
    2013 年 37 巻 1 号 p. 2
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
  • 三田 勝己
    2013 年 37 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    筋音図は筋収縮にともなって体表面上に発生する微細振動を記録した信号である.この信号は筋の電気的な活動を示す筋電図と割符の関係にあり,筋の機械的活動を反映する.本稿「筋音図の概要」ではまず本特集の全体の流れを紹介し,次に, Grimaldi による筋音図の発見とその後の研究小史,筋音図に関する用語の歴史的変遷と現在の用語「筋音図,Mechanomyogram (MMG)」,筋音図の発生機序に関する2 説について紹介した.また,筋音図を理解するうえで最も重要な基本特性である運動単位の動員数,タイプ,発火頻度と筋音図との関わりを解説した.
  • 渡壁 誠, 伊東 保志
    2013 年 37 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    筋音図は筋収縮にともなって体表面上に発生する微細振動を導出記録した信号である.本稿「筋音図の計測と処理」では,これまでに筋音図の導出記録に使用されてきたトランスデューサを取り上げその特徴について述べた.特に,対応する物理量の明らかな加速度計やレーザー変位計を基準として行われた接触型センサやマイクロフォンによる記録の比較検討を取り上げた.こうした結果から,接触型センサやマイクロフォンが体表面の変位を反映すると考えられることを示した.次いで,筋音図の導出の基本的な要件である導出方法と処理について概説した.トランスデューサの設置方法や筋音図に基本的に施される信号処理についてまとめた.また,導出記録された筋音図の信頼性に関する知見をまとめ,筋音図導出に関わる問題点を指摘した.
  • 三田 勝己, 赤滝 久美
    2013 年 37 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    本稿「随意収縮時の筋音図特性」では随意に力を発揮した際の筋音図の時間領域特性および周波数領域特性について述べた.時間領域特性では,主として上腕二頭筋や大腿四頭筋を対象として,収縮強度にともなう筋音図の振幅が①直線的に増大する,②曲線的あるいは指数関数的に増大する,③ 70 ~ 80[% MVC] まで増大した後に平坦化あるいは減少することを述べた.周波数領域特性では,筋音図の周波数スペクトルの決定因子,および運動単位発火頻度・力関係と筋音図について解説した.また,上腕二頭筋を中心に筋音図の周波数パラメータ特性に関する従来の報告を概観した.さらに,筋音図が運動単位の活動様式を反映する様相を紹介し,筋音図がもつ魅力的な特性を示した.
  • 岡 久雄
    2013 年 37 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    骨格筋を電気刺激することによって得られる誘発筋音図は,筋線維あるいは運動単位のタイプによって単収縮波形の振幅や収縮時間,弛緩時間などが異なる.また,電気刺激の刺激周波数を増加させると動員される運動単位が増え,筋張力の場合と同様に,筋音図においても筋音波形の融合,強縮状態をモニターすることが可能である.さらに,筋音の発生機序としての側方拡大説に基づく力学モデルを紹介する.誘発筋音図の臨床応用としては,呼吸の評価,筋弛緩のモニター,下肢のむくみ評価,賦活後増強を用いた筋線維組成分析などを解説する.
  • 伊東 保志, 渡壁 誠
    2013 年 37 巻 1 号 p. 32-39
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    筋疲労は,筋持久力の反対の意味を持つものであり,筋力と並び筋機能を特徴づける重要な特性の一つである.筋音図は,本特集の他稿で述べられた基本的な特性に加え,筋疲労および疲労に至るプロセスにおいて特徴的な挙動を示すことから,筋疲労研究における有効な手段として期待される.本稿「筋疲労評価への筋音図の応用」では,まず,筋疲労の定義と筋音図の関係を述べ,次いで,筋疲労に伴う誘発筋音図の変化と疲労困憊に至る随意収縮時の筋音図について解説した.
  • 赤滝 久美, 野中 壽子
    2013 年 37 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    本稿「臨床医学への筋音図の応用」ではこれまでに蓄積された筋音図の知識,およびそこで明らかにされた筋音図の特性を生かし,臨床での診断や機能評価に対する筋音図の応用について紹介した.ここでは神経筋疾患を対象とした臨床応用として,随意収縮時の筋音図特性の利用と,誘発収縮時の筋音図特性の利用に大別して概説した.なお,神経筋疾患の診断・評価に際しては,筋音図と筋電図の同時計測が非常に有効的である.本稿でも筋電図と筋音図の関係から神経筋疾患を特徴づける報告が大半であることから,その機構についても併せて概説した.
  • 野中 壽子, 赤滝 久美
    2013 年 37 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    筋音図が運動単位の活動様式を反映することを利用して,筋の特性が異なる被験者を対象に収縮機能を検討している研究を概説した.思春期前児童は速筋線維の未成熟と関連した筋の収縮特性がみられた.高齢者は速筋線維の支配する運動単位の機能低下により遅筋線維の役割が優勢となることが示唆された.女性は男性よりも速筋線維の発達が顕著ではないことから収縮強度にともなう筋音図の変化も緩やかであった.運動種目の違い(たとえば長距離走者と短距離走者)では筋音図の振幅や平均周波数に差がみられ,トレーニング前後では筋音図のパワースペクトル密度のピーク値のシフトがみられ運動単位の動員様式,発火頻度の改善を反映した.
研究
  • 竹内 弥彦, 大谷 拓哉, 三和 真人
    2013 年 37 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,後方へのステッピング反応の足部着地時における身体重心の動揺特性と下肢関節モーメントとの関係,およびその加齢変化を明らかにすることである.対象は健常高齢者17 名と若年者11 名とした.3 次元動作解析装置と床反力計を用いて,外乱刺激後の後方ステップ着地時における全身,胸郭部・骨盤部の重心動揺特性と下肢荷重関節のモーメントを計測し,それらの関係を高齢群と若年群で比較した.結果,高齢群において身体重心の側方動揺量と足関節底屈・外がえしモーメントの間に有意な負の相関関係を認めた.後方へのステップ着地時に発揮される下肢モーメントの加齢変化は主に足関節の底屈モーメントにあらわれ,高齢群の身体動揺特性には,足関節の底屈・外返しモーメントが関与していることが示唆された.
  • 石渡 利奈, 井上 剛伸, 鎌田 実, 小竹 元基, 矢尾板 仁, 成田 拓也
    2013 年 37 巻 1 号 p. 58-65
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    情報を視覚的に呈示することで認知症者の情報の把握を支援する機器(以下,情報呈示機器)が開発されているが,従来の評価は主観評価などに限られ,認知症者が機器の使用を学習する過程や日常生活での有効性が充分に明らかになっていなかった.本研究では,情報呈示機器の有効性を,認知症者が機器の使用に慣れ,活用できるようになるまでの過程を含めてより詳細に明かにすることを目的とし,1 日の予定を呈示する機器について,現場密着型方針による4 ヶ月間の臨床評価を行った.ユーザーの発話と行動を分析した結果,情報を把握できる割合は,導入前の50% から導入6 週間で97% まで向上し,最終的に100% に達した.人に聞かず機器を見て情報を把握できた割合も,時間経過とともに増加し,導入前の0% から最終的に57% まで向上した.なお,機器の使用を促す方策として,目立つ配色を用いることが有用であった.
報告
  • 力石 直也, 菅原 学, 大御堂 尊, 兵頭 和幸, 三上 貞芳
    2013 年 37 巻 1 号 p. 66-69
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    Passive dynamic walking is one of the walking modes for a biped robot. In this mode, each leg is driven by gravitational force and the walk continues as a series of inverted pendulums. Although it is an energy efficient walk mode, it is known as a highly conditionsensitive method. For this, we proposed a sole shape design that achieves stability of walking over a wide range of conditions such as inclination and surface of a road. This sole shape is designed to provide a recovery force by pressing onto a floor in cases where the body inclines too much. The stabilization effect is easily applicable to human shoes by simple attachments onto soles. By using this stabilization effect shoes, walking support, especially for elder persons not to turn over, is expected to be achieved naturally without any external power. We conducted preliminary experiments with elder persons using the shoes. As the result, it was shown that the most users felt ease to walk on flat floor and slight slopes.
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