バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
40 巻, 4 号
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解説
  • 今泉 一哉
    2016 年 40 巻 4 号 p. 228
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
  • 井上 誠
    2016 年 40 巻 4 号 p. 229-234
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    人口の高齢化や疾患の多様化が進んだことにより,「食べる・飲む」ことの機能障害である摂食嚥下障害に注目が集まっ ている.これまでの医療は,摂食嚥下機能障害に対して,主として経管栄養などの代替栄養を用いることを選択してきた.近年, 高齢者の増加に伴い,人間らしく生きることを追求すれば食物の経口摂取は当然の権利であると見直されてきたこと,また国 民医療費の負担増などの社会的問題の顕在化,などをきっかけとして摂食嚥下リハビリテーションが広まりつつあるが,摂食 嚥下機能の評価,エビデンスを伴う治療的アプローチに関しては,未だ多くの課題が残されている.本稿では,摂食嚥下障害 の背景にある日本の超高齢社会の実態を踏まえて,今後の医療発展のためにどのような臨床技術・研究が望まれているかにつ いて解説する.
  • 平田 文
    2016 年 40 巻 4 号 p. 235-240
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    摂食嚥下障害の評価には,スクリーニング検査と精密検査がある.一般的には,改訂水飲みテストやフードテストなど のスクリーニング検査で陽性と判定された場合,嚥下造影検査などの精密検査を行ない,その結果を統合してリハビリテーショ ンを実施する.筆者らは,嚥下反射時の動態を詳細に計測する目的で,嚥下反射にともなう舌骨上筋群筋活動と喉頭運動を計 測する嚥下動態計測システムを作成し,時間的解析パラメータを考案した.本評価手法を用いて食物の違いが嚥下反射に与え る影響を検討し,一口量や味が嚥下反射時の動態に影響を与えること示した.今後,摂食嚥下障害の評価では,誤嚥の有無の みに着目するのではなく,「どうすれば,安全においしく食べられるのか」というリハビリテーション的視点で評価手法や評価・ 訓練機器の開発を行なうことが必要である.
  • 小城 明子
    2016 年 40 巻 4 号 p. 241-247
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    摂食嚥下障害の内容・程度をふまえ,残存する摂食能力を活かして摂取できるよう調整した食事が,嚥下調整食である. 嚥下調整食の摂取は,摂食嚥下機能の改善だけでなく,医学的安定やQOLの向上に,直接または間接的に役立つ.すなわち 摂食嚥下リハビリテーションを支えている.機能評価などにより,個々の摂食嚥下障害に対し適切な嚥下調整食を把握できた としても,それを安定的に調理あるいは入手できなければ,安全で効果的なリハビリテーションを継続することはできない. 嚥下調整食の質を担保するための試みとして,物性評価が行われているが,現状はさまざまな課題が残る.
  • 河合 恒
    2016 年 40 巻 4 号 p. 249-253
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    高齢者が要介護となる原因の多くは,明確な疾病とは言えない加齢による生活機能低下「老年症候群」である.噛む・ 飲み込むなどの口腔機能の低下は老年症候群の一つであり,足腰の虚弱化や栄養状態悪化などにも関係する.すなわち,高齢 者の介護予防のためには口腔機能評価がきわめて重要である.本稿では,地域高齢者における口腔機能と運動機能や栄養状態 との関係をコホート研究のデータに基づき解説する.また,現在介護予防サービスなどで導入されている口腔機能評価指標に ついて説明し,地域高齢者における口腔機能低下者の出現状況,口腔機能向上プログラムによる改善例を紹介する.
  • 松村 雅史, 辻村 肇
    2016 年 40 巻 4 号 p. 255-260
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    高齢者の嚥下機能の評価法を確立し,口腔機能の維持および改善策を見出すために,頸部に装着したマイクロフォン(本 稿では咽喉マイクロフォンという)を用いた嚥下回数の長時間モニタリングについて述べる.まず,口腔咽喉音の処理と嚥下 音の特徴抽出について述べ,口腔咽喉音の長時間モニタリングの結果より,嚥下時間間隔が食事,安静,睡眠時で異なること を示す.この嚥下回数検出システムを用いて健常者群と要介護度高齢者の嚥下時間間隔を計測した結果,要介護度の高い被験 者ほど嚥下時間間隔が延長するということを示す.さらに,新たな口腔機能改善プログラムの取り組みのひとつとして,能動 的な笑いが嚥下機能にどのように効果があるかを調べた研究を紹介する.この研究では,能動的な笑いの介入前・後の嚥下時 間間隔を比較し,介入後では,平均嚥下時間間隔が短くなり嚥下回数が増加する傾向が認められ,笑うことが嚥下機能を向上 させることが示唆された.本稿で紹介する嚥下回数計測システムは簡便な方法で長時間モニタリングが可能であり,これらの 研究をさらに発展させ,笑いの効果を介護現場に広めることで,高齢者の健康づくりに貢献したい.
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