バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
40 巻, 3 号
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解説
  • 山本 澄子
    2016 年 40 巻 3 号 p. 146
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
  • 持丸 正明
    2016 年 40 巻 3 号 p. 147-151
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    近年,歩行データベースが,ウェアラブルセンサと連携したITサービスとして健康維持や転倒予防に役立てられつつ ある.このようなビッグデータ時代の歩行データベースについて「少数でも,高精度・多項目のディープデータ」が持つ価値 と意義を述べる.
  • 江原 義弘
    2016 年 40 巻 3 号 p. 153-156
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    歩行データ・ベースが構築されるにはデータの提供が必要である.データの提供は労多くして益少ない地道な作業であ る.データの内容,データ提供にあたってのファイルフォーマットなど事前にデータ・ベース管理者と綿密な打ち合わせが必 要である.これらについてはまだ十分な検討がされていない.加えて精度の高い信頼性のあるデータを提供することが求めら れている.どのような方法で精度を確認していくのか今後の検討が必要である.データの提供を持続させるには何らかの形で データ提供者に利益をもたらす工夫が必要である.提供者の所属や氏名を公開して労に報いるだけでなく,データ提供者はデー タ計測にあたって技術的な支援が得られるなどの方策が必要であろう.願わくば,バイオメカニズム会員全員の歩行データが データ・ベースに登録できるようになってほしい.
  • 堀川 悦夫
    2016 年 40 巻 3 号 p. 157-161
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    整形外科疾患を有する患者,神経内科や脳神経外科の患者,及び脳卒中後遺症などのリハビリテーション患者の歩 行測定を行い,手術前後の比較や患者への経過報告の為に歩行データベースを構築してきた.臨床現場での3次元動作解析 には多くの制約があり,当データベースでは迅速測定と結果報告のためにシステムを改良して今に至っている.歩行測定は, 患者においても医療者においても重要なアウトカムであり,その評価のエビデンスとして健常者の歩行の基準値を求めてきた が,日本人の評価に適した歩行の基準値は,未だ見当たらないように思われる.本稿においては,我々のこれまでの歩行計測 の手法とデータベースについて概括し,今後の歩行データベースについて,医療及び測定を行う立場から検討を行う.
  • 山内 繁
    2016 年 40 巻 3 号 p. 163-166
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    様々な研究や診療目的で取得された歩行データをデータベース化し,有効に役立たせるためには,データの取得からデー タベース管理に至るまで倫理面からも妥当な取り扱いが求められる.2015年の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」 には,データの取得段階からデータの収集・分譲業務に至るまでの倫理指針が定められている.本稿では,倫理面の要因とし てインフォームド・コンセントおよび個人情報について解説する.これに基づいて,研究目的でのデータの取得,診療目的で 取得したデータの取り扱いについての研究者の責務,次いでデータベース管理者の責務について,指針の関連項目から留意す べきポイントについて解説する.
  • 槇原 靖, 大倉 史生, 満上 育久, 丹羽 真隆, 村松 大吾, 八木 康史
    2016 年 40 巻 3 号 p. 167-171
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    歩行映像解析は,歩き方の個性に基づく個人認証による科学捜査への応用など,様々な利用が期待される技術であり, その基盤として,大量の歩行映像データを収集することが重要となる.一般的に歩行映像データベースは,募集した被験者の 歩行映像を,収集者が撮影することで構築される.この場合,被験者募集の手間や収集者の作業量が大きいことから,データ ベースの大規模化が困難であった.そこで我々は,大規模歩行データベース構築に向けて,体験型の自動歩行計測・データ撮 影システムを開発した.開発したシステムは,歩行映像解析の体験型デモを楽しむ傍らで,研究目的データ利用に関する同意 を参加者から電子的に取りつつ,15度刻みの14方向からの歩行データを撮影することができ,1年弱の展示期間で数万人規 模のデータが収集可能であると予測される.
  • 河内 まき子
    2016 年 40 巻 3 号 p. 173-178
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    人体寸法データは多くの人に利用されているが,人体形状データはそれほどには利用されてはいない.これらのデータ が集められ,利用されている状況から,なぜ人体寸法についてはデータベースが成り立ち,利用が進んでいるのかについて考 察した.
  • 小林 吉之
    2016 年 40 巻 3 号 p. 179-182
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    これまで国立研究開発法人産業技術総合研究所人間情報研究部門デジタルヒューマン研究グループでは,モーション キャプチャシステムで計測された,主に健常成人を中心とした400名以上の歩行データを独自の歩行データベースとしてまと め,そのデータを基に簡易的なセンサから取得できる情報からユーザの歩行特徴を評価できる技術の開発を行ってきた.本稿 では歩行データベースとその応用の先行事例として,産総研の歩行データベースと,それを用いた歩行特徴評価技術について 紹介する.
研究
  • 鈴木 漠, 小林 吉之, 持丸 正明, 藤本 浩志
    2016 年 40 巻 3 号 p. 183-193
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,日常生活中の歩行動作から,ユーザがロコモティブシンドロームに該当するかを評価する技術を将来的に開発するために,まずロコモ該当者の歩行特徴を明らかにすることを目的とした.本研究では,三次元動作計測装置と床反力計を用いて高齢者54 名(うちロコモ該当者10 名)の歩行を計測した.得られたデータより1 歩行周期中の下肢3 関節3 平面の関節角度を計算し,時間正規化したうえで,各時点の5 試行分の平均値と標準偏差を算出した.更にそれらのデータを標準化したうえで,54(名)× 1818(3 関節,3 平面,101 等分された平均値と標準偏差)の入力行列に対して主成分分析を行った.分析の結果得られた各主成分の主成分得点についてはロコモ該当者とロコモ非該当者でt 検定を行い,群間の差を評価した.ここで有意差が確認された主成分についてはその主成分に関する動きを再構築し,特徴となる動きの解釈に用いた.分析の結果,第6,9,12 主成分がロコモと関連していることが明らかになった.このうち第6 主成分は,股関節角度と足関節角度の観点から,第12 主成分は歩調の観点からそれぞれ歩行速度に影響しており,ロコモ該当者は非該当者よりも歩行速度が遅いことが確認された.また第9 主成分は矢状面における関節可動域に関連が認められ,ロコモ該当者は非該当者よりも可動域が小さい傾向が確認されたが,歩行速度や歩幅などの時空間変数との関連は認められなかった.以上のことから,これらの歩行特徴をセンサシステムで計測することによって,歩行動作からロコモ該当者を発見できる可能性が考えられた.
  • 白井 祐介, 丹治 史弥, 高山 史徳, 鍋倉 賢治
    2016 年 40 巻 3 号 p. 195-203
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/15
    ジャーナル フリー
    ボート漕ぎ運動(ローイング)とは,身体を前後方向へと移動させつつ,ハンドルを後方へと牽引することによって艇 を推進させる運動である.そこで本研究では,身体そのものを前後方向へと移動させる仕事(内的仕事)に対するエネルギー代謝量を定量する方法について検討を行なった.男子大学ボート選手10 名を対象とし,異なる発揮パワー条件(LT 時の発揮パワーの90 および100%,空漕ぎの3 条件)にて,それぞれストロークレートのみを増加させ,それぞれ加速度センサによって評価した身体活動量と酸素摂取量(VO2)の関係を比較検討した.その結果,いずれの条件においても,ストロークレートの増加に伴って身体活動量および(VO2)は増加し,さらに両者の間には強い直線関係(相関係数が0.9 以上)が認められた.また,回帰直線の傾きは,空漕ぎ条件においてのみ他の2 条件と比較して有意に高い値を示した.本研究の結果から,身体活動量はローイング時の内的仕事に対するエネルギー代謝量を推定するうえで有用な指標であることが示唆された.
  • 佐久間 亨, 阿江 通良, 小林 育斗
    2016 年 40 巻 3 号 p. 205-211
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的はリュックサック型体幹装具における重り位置の違いが,変形性脊椎症患者の歩行動作における体幹に加わる外力モーメントに及ぼす影響を明らかにすることである.変形性脊椎症患者5 名と健常高齢者9 名が歩行動作を行い,3次元モーションキャプチャーシステム(VICON)を用いて動作を,フォースプラットフォーム(Kistler)を用いて床反力を計測した.実験で用いた装具は背部装具,腰部装具および骨盤装具で,それぞれの装具後面には1 kg の重りを付けた.患者群の背部装具と骨盤装具では,体幹姿勢と歩容に変化はないが,1 歩行周期における下胴下端まわりの前傾モーメントの最大値が減少した.歩行中の体幹に加わる外力モーメントを成分別にみると水平前後方向の力によるモーメントが最も大きかった.これらのことから背部装具と骨盤装具では腰背部筋群への負担を軽減させる効果があると考えられる.また,患者固有の体幹姿勢と歩行速度を考慮して装具の重り位置を調節することで,装具の適合性はより向上すると推察される.
報告
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