バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
44 巻, 4 号
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解説
  • 山中 紀明
    2020 年 44 巻 4 号 p. 202
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/11/01
    ジャーナル フリー
  • 野中 哲士
    2020 年 44 巻 4 号 p. 203-210
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/11/01
    ジャーナル フリー
    書字技能の習得は,他の多くの道具使用と同様に,手持ち操作の習熟を要するものである.と同時に,書字の技能とその習得の過程においては,他の道具使用とは異なる,固有の事情や制約もまた存在する.たとえばそのひとつとして,書字動作およびその習熟が,他者による識別を可能にする機会を外部の環境内にもたらすことに向けられているという,書字の機能がそもそも社会的なものであるという事情が挙げられる.本稿ではこうした書字技能特有の事情を考慮しつつ,字を書く身体動作において冗長な自由度がどのように組織化されているのか,また字を書くことを学ぶ中で子どもの動作がどのように変化するのかという点について,周囲の環境とのあいだの関係形成という視点から事例とともに考察する.
  • Atsuo Murata
    2020 年 44 巻 4 号 p. 211-216
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/11/01
    ジャーナル フリー
    The aim of this study was to explore eye-hand coordination skill necessary for enhancing performance from the perspective of simultaneous measurement of eye-gaze and pen tip locations during a calligraphy task. The developed simultaneous measurement system of pen tip and eye-gaze location succeeded in extracting eye-hand coordination ability necessary for acquiring a higher skill in calligraphy. Experts tended to execute eye movements preceding brush tip. The x- and y directional differences between brush tip and eye-gaze point were larger for experts. Moreover, the fluctuation of pen pressure of experts tended to be larger than that of novices.
  • 藤井 進也
    2020 年 44 巻 4 号 p. 217-223
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/11/01
    ジャーナル フリー
    ヒトが音を奏で,聴き,楽しむ行為の中には,ヒトという生物の巧みさを理解するための鍵がたくさん潜んでいる.例えば熟練したプロドラマーは,巧みに身体運動を制御し,独特の時間ゆらぎ構造を持ったリズムを奏でることができる.また音を聴くヒトの脳は,音楽家が生み出した独特の時間ゆらぎ構造を巧みに知覚し,感情の豊かさや好ましさを感じることができる.近年の音楽神経科学研究では,脳の予測的符号化理論の観点から,音を聴いて喜び,身体を動かしたくなる感覚(=グルーヴ感)が生じる脳の計算原理についても理解が進んでいる.本稿では,巧みな音楽家の演奏にみられる時間のゆらぎとグルーヴについて解説し,音を奏で聴き楽しむヒトの脳の不思議さに迫る.
  • 伊藤 万利子, 三嶋 博之
    2020 年 44 巻 4 号 p. 223-228
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/11/01
    ジャーナル フリー
    けん玉は,日本で広く知られたあそびであり,世界的にも愛好家が存在する.けん玉では,膝の運動が大事であると言われている.しかしながら,けん玉を操作するのは手であり,膝ではないにもかかわらず,なぜ膝の運動が大事だと言われるのだろうか?この問いに対して,本稿では,著者たちがこれまでに行ってきたけん玉研究の成果にもとづき,1 つの解答を提案する.けん玉の「ふりけん」動作を分析した研究から,けん玉の熟練者たちは膝の運動を積極的に利用しつつ自身の頭部を玉の動きに持続的に定位させることで,揺れの少ない安定した視野像を得ていることが明らかになった.膝の運動は,動く対象物を見るときに視覚的な安定性を得るための基盤となっていることが示された.
  • 由良 亮, 藤岡 美香, 山本 麻衣, 萩原 勇人, 楠瀬 千春
    2020 年 44 巻 4 号 p. 229-235
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/11/01
    ジャーナル フリー
    包丁技術は反復練習によって,いわゆる熟練に至る技術である.そのため,習熟者本人であっても,初学者に対して明確な指摘をすることが難しいと考えられる.本研究は,このような熟練の技術と初学者の違いを明確に捉えるために,モーションセンサーを用いて,両者の包丁操作を比較した.その結果,両者の違いは大きく分けて 2つの特徴があることが見出された. 1つは,包丁の安定性である.初学者は包丁を的確な力・向きで保持することが難しく,持ち手が大きくブレるが,習熟者では接触による抵抗を受けてもブレることなく状態回復を行なっている様子が見られた.もう1つは,習熟者はピッチ軸の回転 運動が大きく,包丁を前方に送り出すが,初学者はそれが小さい傾向が確認された.そして,その原因が,「切る操作への意識」の違いにあることが,予想された.
  • 安藤 英由樹
    2020 年 44 巻 4 号 p. 236-241
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/11/01
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡手術は切開手術に比べて低侵襲なため負担がかからないことから普及が広がっている.一方で,手術に必要とするスキルは切開手術に比べて高いため,熟練医の育成が課題となっている.このような状況下,トレーニングのための手法は様々提案されているものの,同じ組織の熟練医のスキルを修練医に伝達することが時間的成約から困難な場合が多い.この問題に際し,当該研究では追体験システム「追いトレ」を提案してきた.この手法は熟練医の手術動画に重ね合わせるように追従して,スムーズな鉗子の動きなどの非言語的なスキルが伝達される.本解説論文では,これまでに開発してきた「追いトレ」シリーズについてその思想や設計,実践的利用について解説する.
研究
  • 前田 雄, 林 豊彦, 須田 裕紀, 髙橋 素彦, 郷 貴博, 東江 由起夫, 相馬 俊雄
    2020 年 44 巻 4 号 p. 242-251
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/11
    ジャーナル フリー
    下腿義足ソケットのインタフェース機能には,断端の収納,体重支持,下肢から義肢に伝わる力の効率的な伝達などがある.本研究では,ソケットの接触圧力,下肢のキネマティクス,筋活動を同時計測することにより,下腿義足ソケットのパラメータのひとつ「後壁面高さ」が上記の機能に与える影響について調査した.後壁面高さは,標準高,標準高-5 mm,標準高-15 mm の3 条件とし,対象は下腿切断者5 名とした.その結果,ソケットの後壁高さと,ソケットの接触圧力・下肢のキネマティクス・筋活動の各パラメータとの関係には,断端の長さおよび身長が大きく関与することが示唆された.
連載
  • タブレット・プログラミング
    増田 正, 大路 駿介
    2020 年 44 巻 4 号 p. 255-258
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/11/01
    ジャーナル フリー
    近年,スマートフォンやタブレット端末など携帯性に優れた多機能かつ高性能な情報機器が普及してきた.このような情報機器を活用することにより,リハビリテーションやスポーツ科学の分野においても手軽に利用可能な計測機器を開発できると考えられる.ここでは,タブレット端末を対象とした簡単なプログラム作成方法を紹介するとともに, Arduino マイコンと Bluetooth 無線接続を通してやりとりする方法について解説した.タブレット用のプログラムも,パソコン上で統合開発環境(IDE)を利用して作成し,これをタブレットに転送して実行する.ここでは Android 系端末を対象として, Android Studio を使ったプログラミングについて述べた.
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