社会技術研究論文集
Online ISSN : 1882-4609
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研究論文
  • 竹内 啓
    2 巻 (2004) p. 1-11
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    リスク管理の問題と社会技術の観点から考えるとき, 「不運」にも「確率の小さい」災厄が生じてしまったときの「事後処理」の問題も重要である. それは「不運」である限り, 完全に「合理的な」解決は存在しない. それは「不運の納得できる分配」と考えることに帰着し, 「責任」や「賠償」の問題もその程度から考えられる. そこでは社会的倫理観や, 関係者の関与の性格等を詳しく評価することが必要であるが, 結局「感情問題」を避けることはできない.
    同時に「不幸」な事件から, 有益な「教訓」を引き出すことも大切であり, そのためにも「感情問題」を含め適切な「事後処理」の方法が確立されなければならない.
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  • 竹村 和久, 吉川 肇子, 藤井 聡
    2 巻 (2004) p. 12-20
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    本論文では, 種々の社会的リスクについて議論するための意思決定論的枠組を提供する. 筆者らには, これまでの伝統的リスク解析研究者, リスク社会学者, 予防原則を擁護する人々の間では, 社会的リスクに関連する環境の不確実性をどのように把握して, 考察するかということに関して, 共通の認識枠組がないように思われる. 本論文では, 不確実性を, 意思決定主体の環境の構造によって分類して, これらの社会的リスクに関わる問題がどのようなものであるかを, 不確実性下の意思決定問題として検討する. また, 本論文で提案する理論枠組が, 今後の社会的安全のための技術の一過程としてのリスク評価にどのような応用的含意があり得るのか考察を行う.
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  • 三宅 苞
    2 巻 (2004) p. 21-29
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    J. ザイマンは、1960年代より金属物理学の研究を進める傍ら、科学者共同体による知識生産という視点から数多くの科学論の書を著し、この分野でも注目されてきた。しかし、日本においては、これまで幾つかの訳書はあったものの、その科学論についての詳細な検討はなされてこなかった。本論は、『パブリック・ノレッジ』から最近の『リアル・サイエンス』までの主要著書を採り上げ、比較検討し、ザイマンの思考の変遷を明かにする。特に、ザイマン科学論の特徴であるアカデミック科学のモデル化とポスト・アカデミック科学批判について考察する。さらに、ザイマンの欧米での最近の論評に注目し、日本の科学論の中での展開可能性を探る。
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  • 岩渕 秀樹
    2 巻 (2004) p. 30-38
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    研究コミュニティの内外を結ぶ媒介組織「サイエンスショップ」は, 市民・企業・行政セクター等が現実の社会問題を解決するために必要とする方策に適用できる技術 (社会技術) を推進する上で有効な制度的装置である. 本稿では, 産学連携を指向した新たなサイエンスショップの登場等デンマークにおけるサイエンスショップの近年の事例を紹介し, その機能を再整理する. その上で, サイエンスショップの意義を社会技術の観点から再考し, 社会技術構築, 社会技術人材育成の二つの意義を同定するとともに, 我が国におけるサイエンスショップ導入のための戦略等社会技術推進上の政策的含意を導く.
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  • 鎗目 雅
    2 巻 (2004) p. 39-48
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    社会技術を実践する方法論として、公的セクターの介入が、規制によって市場を代替するのではなく、むしろ市場機能をサポートすることによって新技術の導入を促進することが有望と考えられる。本研究では、東京におけるディーゼル車から低公害自動車への転換に関して、ユーザー・自動車メーカー・燃料提供者の間のコーディネーションの失敗を解消することを目指し、公的な場における各関係者間での情報交換・意思疎通を通じた相互の行動・期待のすり合わせによって新しい技術の市場を創造しようとする試みを取り上げ、その成果と課題を分析した。
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  • 柳下 正治, 石川 雅紀, 廣瀬 幸雄, 杉浦 淳吉, 西村 一彦, 涌田 幸宏, 岡山 朋子, 水野 洋子, 前田 洋枝, 松野 正太郎
    2 巻 (2004) p. 49-58
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    本稿では, 科学技術振興機構の社会技術研究プログラム「循環型社会」において採択された「市民参加による循環型社会の創生に関する研究 (2002~05年) 」として2002~03年度に実施した「ステークホルダー会議」を報告し, その結果の評価を試みる. 本研究では, 市民参加プロセスとして参加型会議「ハイブリッド型会議」を採用した. ハイブリッド型会議はステークホルダー会議と市民パネル会議から構成される. ステークホルダー会議では, 名古屋のごみ減量化取組に係わった多くのセクターの代表者の参加の下, 目指すべき循環型社会を考えるための多様な論点を検討し, それを評価軸に用いて名古屋のごみ減量化取組の評価を行うとともに, 更に名古屋が目指すべき循環型社会を具体的に検討するための要件を抽出した.
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  • 水野 洋子, 柳下 正治, 涌田 幸宏, 前田 洋枝, 図師田 聡子
    2 巻 (2004) p. 59-67
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    1992年の「環境と開発に関するリオ宣言」第10原則により, 環境問題における「参加」 (participation) の重要性が国際的に認められた. しかしその必要性について, 積極的に認識している主体ばかりではない.
    このような認識の下, 2004年2月にデンマークにおいてヒアリング調査を行った. デンマークでは, 約20年にわたり, 環境問題に限らない, 特に個々のライフスタイルへ深く影響を及ぼす事案に関し, 議会や政策決定者による最終意思決定の前に, 国民による議論の場を設けてきた. 本稿は, ヒアリング調査の結果を踏まえ, 我が国において参加を実現するにあたり, 参考とすべき重要な知見を提示するものである.
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  • 馬場 健司, 木村 宰, 鈴木 達治郎
    2 巻 (2004) p. 68-77
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    近年急速に導入が拡大している風力発電の立地, 大規模ウィンドファームの開発については, いくつかの公益を巡ってコンフリクトが発生するケースがしばしばみられる. 立地プロセスにおけるアクターの参加の場や意思決定手続きについて, 文献調査とヒアリング調査により日米のケースを比較した結果, 以下が明らかとなった. 日本では自然公園での立地ケースについては公式プロセスの中で景観に限定したアジェンダが設定されるのみであるのに対して, 制度要求に基づく環境影響評価が適用された米国の洋上立地ケースでは, 第三者的専門家による非公式プロセスが補完しながら, そこで得たインプットが公式プロセスへとフィードバックされるなど, 事業の早い段階から幅広い参加の場とアジェンダが設定されている.
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  • 米澤 明男, 堀田 昌英
    2 巻 (2004) p. 78-88
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    国際開発プロジェクトの実施にあたっては、利益集団間の利害衝突がしばしば深刻な問題となる。本研究では、そのような状況での交渉を支援するための手法を考案した。本手法の特徴は、それぞれの当事者が争点や相手の発言・行動に対してどのような認識を持っているのかという情報を、仲介者に提供することにある。考案した手法は過去の開発事例に適用された。事例分析では、議論ツリーと意思決定マトリックスを用いて争点の全体像を明らかにした。さらに、認識表とハイパーゲーム理論を用いて当事者の選好と戦略を分析することで、各プレーヤーの協力行動を阻む「認識の齟齬」を発見した。本事例研究により、構築された手法が実際の交渉支援に適用可能であることが示された。
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  • 上野 貴弘, 木村 宰, 城山 英明
    2 巻 (2004) p. 89-99
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    既存技術にはない社会的価値を有する代替技術は, どのようにすれば社会に導入されるのだろうか. この問いに答えるために, ガソリン自動車という圧倒的な支配技術が存在する交通部門における代替技術の導入事例を分析した. カーシェアリング, バイオ燃料, 路面電車についての地域的な取り組みを分析した結果, 事例間に共通する傾向として, ニッチ創造, ニッチ管理, ニッチ拡大の3段階からなるニッチ戦略が採用されていることが明らかになった.
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  • 安田 聡子
    2 巻 (2004) p. 100-111
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    生残りに成功している中小企業5社の事例を分析し、次の4つの点を指摘した : (1) 市場により付加価値の源泉はそれぞれ違う、(2) 付加価値の源泉の違いは、各社における情報の在り方 (デジタル情報か、非デジタル情報か) に影響を及ぼしている、(3) 情報をデジタル化している企業は、非デジタルの企業に比べて、より自由に生産地を選ぶことが出来ている、(4) デジタル化情報を扱う企業の中でも、高度な人的資源管理を持つ企業は、さらに自由に生産地を選択することが出来ている。こうした分析から、労働集約的部門に属している企業であっても途上国生産が生残りの万能薬ではないこと、むしろ、市場の要求、生産資源の特徴、生産地の3つを慎重に適合させる優れた技術経営が生残りにとって重要であるという結論に至った。
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  • 古場 裕司, 白戸 智, 山口 健太郎, 堀井 秀之
    2 巻 (2004) p. 112-122
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    社会問題の解決を図る際, 立案された解決策を社会に導入した場合の影響をあらかじめ把握することは, 解決策の実現可能性や有効性を評価し, 社会への実装に際しての課題を検討するために有効である. また, 解決策の立案から導入までの合意形成を支援したり, 複数の解決策の候補を評価するためにも有効に活用できる.
    このような観点から, 本研究では社会問題の解決策に関する社会への影響を分析するための手法について現実の問題への適用を試みた. 社会問題の解決策の例として, 既存不適格住宅の耐震性向上に関する新制度の提案を取り上げ, 制度導入時に予想される効果と限界を把握した. この結果を踏まえ, 社会問題の解決策に関する影響分析手法の有効性について検証し, 本手法の可能性と今後の課題について示した.
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  • 八巻 心太郎, 山口 健太郎, 白戸 智, 堀井 秀之
    2 巻 (2004) p. 123-131
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    本研究では, 今後社会への導入が予想される新たな社会問題解決策の一例として診療ナビゲーションシステムを取り上げ, それを導入した際の社会的影響を分析した. 分析にあたっては, 影響が予測される8つの医療関連領域を選定し, 領域毎に診療ナビゲーションシステム導入が当該領域に与える影響シナリオと, 影響の連鎖を示した因果ネットワーク図を作成し, 専門家へのインタビュー等より, その妥当性, 実現可能性を評価した. その結果, 作成したシナリオ, 因果ネットワーク図については概ねその妥当性が確認されたが, 同時にシナリオ実現における課題も幾つか明確化された. また, 実現可能性を評価する際の回答バイアスの存在等, 影響分析手法に関する幾つかの課題が明らかになった.
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  • 山口 健太郎, 八巻 心太郎, 白戸 智, 堀井 秀之
    2 巻 (2004) p. 132-139
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    ある社会問題の解決策を, 全てのステイクホルダーにとってより望ましい形で設計・実装するためには, その解決策がもたらす社会状況の変化に対する「多様なステイクホルダーによる, 多様な論点に対する, 多様な評価」を明示化し, 評価の対立関係やその根拠となる判断基準・価値基準を的確に把握する「多元的評価」手法の開発が必要である. 本検討では, 「多元的評価」を支援する技術として, T. Kohonenが開発した自己組織化マップに着目し, 「診療ナビゲーションシステム」を題材としたケーススタディを通じ, 同マップの有用性を確認した. さらに, 「多元的評価」により把握された評価の対立やその根拠に基づき, 診療ナビゲーションシステムの開発の方向性や実装の方針について, 提案を試みた.
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  • 西田 豊明
    2 巻 (2004) p. 140-150
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    社会技術の核心となる情報過程は, 複雑で動的な社会におけるプロセス中心型知識創造過程として特徴づけられる. 会話型知識プロセス支援技術研究は, 会話という, 人間にとって最も自然なコミュニケーション手段を中心にしたコミュニティにおけるプロセス中心型知識創造過程支援システムの実現をめざした取り組みである. 本論文では, これまでの会話型知識プロセス支援技術研究を会話量子化に基づく会話コンテンツ流通システムを実現する試みであると特徴づける. 次に, このアプローチを有効に機能させるためには, 大量の会話コンテンツの理解の支援, コンテンツ供給のボトルネックの解消, コンテンツのリアリティの確保, 評価手法の確立が必要であることを指摘する. その上で, 没入型会話環境, 時空記憶外化システム, 会話コンテンツ獲得支援, 会話コンテンツ高次利用支援, 社会知評価パッケージからなる会話型知識プロセス支援技術確立のための研究方略を提案し, 長期的な研究を展望する.
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  • 久保田 秀和, 西田 豊明
    2 巻 (2004) p. 151-158
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    本論文は, リスクコミュニケーション支援システムの要件としてコミュニケーションを持続可能とするフォールトトレランスの向上が必要であることを論じ, その実現手法と実証実験について述べる. 社会問題に関する議論は異なる価値観の共有や相互信頼の構築過程において相容れない点があることを許しながらも持続可能なものでなければ成功しないと考えられる. 本論文ではこれをリスクコミュニケーションにおけるフォールトトレランスと名付け, その向上のための技術について会話の持続可能化技術, 機会の多重化技術, 文脈のコントロール技術の三つの観点から論じる. また, 知識チャンネルと呼ばれるエージェントに仲介されたコンテンツマネジメントシステムのモデルについて述べ, 知識チャンネルを用いたリスクコミュニケーション支援手法を提案する. 最後に, 社会技術研究コミュニティを対象とした実証実験の経過について考察する.
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  • 中野 有紀子, 村山 敏泰, 西田 豊明
    2 巻 (2004) p. 159-166
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    共通認識を確立するための情報提供は安心・安全な社会作りには不可欠である. 本論文では, 社会への情報提供をより円滑に行うことを目指し, 自然な動作, 特に適切にジェスチャーを行う会話エージェントの提案とその情報提供システムへの統合について述べる. まず, 実際のプレゼンテーションのビデオデータを分析し, 分析結果に基づき人間のジェスチャー使用についてのモデルを確立する. さらに, このモデルをエージェントによるプレゼンテーション自動生成システムに統合し, その有効性について情報工学, 社会技術の両側面から議論する.
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  • 星野 准一, 張 磊, 中野 敦
    2 巻 (2004) p. 167-172
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    本稿では, パノラマ画像による高精細な没入環境において, 仮想人物と利用者が移動しながら身体的なインタラクションを行うことで, 事故や災害時の知識を体験的に得られる没入型会話環境を提案する. 本システムでは, パノラマ画像上に簡易に歩行領域や指示物体をアノテーションすることで, 仮想人物がパノラマ環境中を移動や指示動作を行いながら事故や災害時の状況を説明できる. また, 利用者からの働きかけに対して, 仮想人物が身体動作を利用して答えるとともに, 利用者の視野が適切に移動することができる.
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  • 黒橋 禎夫, 大泉 敏貴, 柴田 知秀, 鍜治 伸裕, 河原 大輔, 岡本 雅史, 西田 豊明
    2 巻 (2004) p. 173-180
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    人間が最もうまく知識を交換・修正・創造できるのは会話の場であると考えられる. 本稿では, 会話における知識プロセスを支援するために, 自然言語処理技術によって言語情報のメディア変換を行う方法を提案する. ここでは, 会話の中でやりとりされる知識の単位を, 意味的にまとまりをもつ数文~十数文のテキストとし, これを知識カードと呼ぶ. まず, 文書を知識カードに変換する作業基準を示す. 次に, 知識カードの内容を要約してスライドとして提示し, 同時に, 書き言葉のカードを話し言葉形式に変換して音声化する方式を提案する.
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  • 松村 憲一, 西田 豊明
    2 巻 (2004) p. 181-190
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    近年, 社会運営において, さまざまな社会の主体や市民の間で交わされる社会コミュニケーションの活性化が重要であり, それを支援するツールの重要性が増してきている. 重要性の増加に伴って, このようなツールが適切に利用され, 社会にどのような影響を及ぼすのかを測定するための評価手法の構築が必要となる. Social Intelligence Quantity (SIQ) は, コミュニケーションツール評価手法として提案され, 測定対象として個人と組織やコミュニティなどの社会的枠組みの両方を含む. 個人を対象とする指標として, 情報欲求, およびコミュニティへの参加意図が測定される. コミュニティを対象として, コミュニティの活動量, 話題の拡散性, メッセージ間の関係などを測定し, 評価を行う. SIQのような標準化された評価指標を構築することによって, コミュニケーションツールが社会へもたらす影響が明らかになると期待される.
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  • 片田 敏孝, 桑沢 敬行, 金井 昌信, 児玉 真
    2 巻 (2004) p. 191-198
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    防災施設に想定外力が設定されていることからも明らかなように, 自然災害に対する「安全」は限定的なものであるにもかかわらず, 多くの住民は正常化の偏見などの様々な心理的要因により, 過大な「安心」を感じている. 本稿では, 2003年5月に発生した宮城県沖の地震を事例に, 津波襲来の危険にさらされた住民の心理と避難行動の関連について詳細に分析した結果から, 住民意識の問題点を明らかにし, そのうえで, 津波災害に対する「安心」の一概念を提案し, その視点から住民の津波避難に関わる対策や防災教育のあり方を検討するとともに, 自然災害に対する安全・安心な社会の実現のための社会技術について提言した.
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  • 片田 敏孝, 桑沢 敬行, 金井 昌信, 細井 教平
    2 巻 (2004) p. 199-208
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    津波災害による人的被害の発生は, 地震の規模や防災施設の整備状況に加えて, 住民の避難状況により非常に大きな差が生じる. したがって津波対策では, 従来のハード整備とともに, 的確な災害情報の伝達や避難誘導, そして災害教育の実施により迅速な住民避難を実現させることが重要となる. この問題に対し筆者らは, 災害情報の伝達状況や避難状況, そして津波による人的被害の状況を表現するシミュレータを開発した. このシミュレータは, 津波防災の総合戦略検討ツールとして利用できることに加えて, 災害時の状況を視覚的に分かり易く表現する防災教育ツールとしても効果的である. 本研究では, 三重県尾鷲市の住民に対して本シミュレータを用いた防災教育を実施するとともに, アンケート調査からその有効性について評価した.
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  • 矢〓 真澄, 後藤 真太郎, 濱田 誠一, 沢野 伸浩, 佐尾 邦久, 佐尾 和子
    2 巻 (2004) p. 209-217
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    日本国内で水害, 土砂災害, 火山災害, および震災等の災害危険度を想定したハザードマップの整備は, 現在, 急速に進められている. しかし, 油流出事故を想定した情報図の活用方法に関する検討は, 著しく不十分である. すでに海外では, 米国 (NOAA OR&R米国商務省大気海洋保全局修復対策部) で沿岸の脆弱性を評価したESI (Environmental Sensitivity Index) マップが作成されている.
    本研究では, ナホトカ号油流出事故の教訓から油流出事故を想定した沿岸域におけるステークホルダー間のコンフリクトの現状を整理し, その解決策としてESIマップを用いることを提案し, 北海道網走沿岸において実証的にESIマップを検証した.
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  • 大林 厚臣
    2 巻 (2004) p. 218-227
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    管理者がもっぱら報告によってリスクを把握せざるを得ない状況では, 報告されるトラブルを減らそうとする管理者の行動が, 逆にトラブル隠しによる事故確率の上昇を招く危険がある. また, 一定期間トラブルが報告されないと, そのことが人々のリスク認識に影響を与えて, トラブルを隠すインセンティブを作る可能性がある. トラブル隠しの可能性を考慮すれば, 報告されるトラブルへのペナルティや, 前例や他者との比較による作業者へのインセンティブは弱めに設定する方が良い. そして, 低頻度かつ大規模なタイプの事故を予防するには, 最適なペナルティはさらに弱いものになる. このようなインセンティブの限界は, 作業者の内発的な動機付けや防災行動の習慣付けの重要性を示唆している.
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  • 土屋 哲, 多々納 裕一
    2 巻 (2004) p. 228-237
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    本論文では, 空間的応用一般均衡モデルを用いて地域間の物資・旅客流動や産業連関を考慮した地域経済のモデル化を行い, 交通施設の機能損傷に起因する経済被害の空間的帰着構造を分析する枠組みについて述べる. 次いで, この枠組みを用いて, 東海地震の警戒宣言発令時や東海地震発生時における基幹交通網の機能低下の影響や, ネットワーク整備などの被害軽減施策の効果を定量的に評価する. また, 構築したモデルをベースとした巨大地震リスクのマネジメントのあり方について検討する.
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  • 阿部 敦壽, 堀井 秀之
    2 巻 (2004) p. 238-250
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    本研究では, 安全・安心社会の構築に向け, 合理的根拠に基づいた科学技術政策の立案を支援するための方法論の構築を試みた. まず, 電子化された百科事典や新聞に対して自然言語処理, 自己組織化マップ分析を行い, タイプの異なる代表的な21のリスクを選び出した. そして, リスクを特性によって分類したカテゴリーと対策によって分類したカテゴリーとを比較することによって, 特性と対策の連関を把握し, どのような特性を持つリスクならどのような対策が重要であるかという情報を提供する手法を提示した.
    本研究の成果は, 例えば新興感染症やテロのような新たなリスクが生じた際に, その対策立案を支援し, 同時に立案の根拠を明示化するという点で有用であると考えられる.
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  • 田邉 朋行, 中込 良廣, 神田 啓治
    2 巻 (2004) p. 251-274
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    原子炉等規制法における縦割り型の事業規制枠組みを通じた原子力規制は、その制度的硬直性によって、原子力を取り巻く新しい課題に十分に対応できなくなりつつある。本論文では、具体的な案件等をもとに、現行原子炉等規制法が抱える問題点について、(1) 効率的な規制の実現、及び (2) 規制の実効性確保の二つの視点から分析を加えた。そして、これらの問題点が、原子炉等規制法の規制構造における事業許可制の硬直性と使用許可制の下での各物質利用規制の不徹底に起因することを示し、それを克服するための立法的解決試案を示した。立法的解決試案においては、その基本となる考え方として (1) 包括的な施設許可制及び (2) 物質許可制の導入の必要性を示し、複数の解決試案を示しながらその長短について論じた。
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  • 鈴木 達治郎, 武井 摂夫, 城山 英明
    2 巻 (2004) p. 275-284
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    昨今の原子力に係る不適切な取扱い等に鑑み、国内の原子力安全規制においては電気事業法の改正、国の業務の一部を担う機関である「独立行政法人原子力安全基盤機構」の発足など、新しい規制制度が運用され始め、施設の検査等において民間の第三者機関による規格設定制度や認証・認定制度が着目されている。米国、仏国等においては既に原子炉の供用期間中検査や溶接検査等において当該制度の導入が異なった方式で図られており、一定の実績を上げている。本研究においては、原子力関連施設の安全規制における第三者機関の役割に関して日仏米の比較分析を行い、日本における今後の制度設計に関する示唆を得る。
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  • 古場 裕司, 畑中 綾子, 横山 織江, 村山 明生, 城山 英明
    2 巻 (2004) p. 285-292
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    医療における安全・質の向上は, ここ数年世界的に重要なテーマとして認識されつつある. 本研究では, 日本における医療の安全・質向上のための法制度設計の参考とするため, 米国の医療制度に関して, 特に安全・質向上に関する法システムの検討を行った. 国内文献調査及び現地ヒアリング調査を通じて, 政府機関, 病院団体, 質改善機関, 消費者団体など連邦及び州 (ニューヨーク州) レベルで活動する様々な関連機関の安全・質向上活動に関して, システムとしての全体像を把握し, その上で, 日本との比較整理を行い, 日本における今後の制度設計における示唆を得た. 具体的には, 事故報告制度と情報開示からの保護, 医師の資格管理制度, 医療の質評価と情報公開などに関する制度のあり方について焦点を当てた.
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  • 畑中 綾子
    2 巻 (2004) p. 293-302
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    2004年4月より, 国立大学病院等を中心に医療事故の報告を義務付ける制度が始まった. この事故報告は, 公正・中立な第三者機関に対してなされ, 専門家による分析がなされる. しかしながら, この第三者機関の機能を確保するには, 報告情報の利用制限が主張されるが, どのような対策が採られるべきであるかは明らかではない. 本稿では, 第三者機関を考える点で, 必要な要件について考察した. 米国の訪問調査によって, 情報の利用制限だけではなく, IT化や専門家特に看護師の活用などが, 医療事故情報収集システムが機能するための要件となっていたことが考察された.
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  • 舟木 貴久, 村山 明生
    2 巻 (2004) p. 303-312
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    大規模システムをめぐる事故への法的対応を論じるにあたっては, 原因究明に基づく適切な対策の実施と法的責任追及による制裁のバランスをどのように図っていくかが重要な論点となる.
    本論文ではフランスの航空事故調査の法システムを取り上げ, 原因究明を行うBEA, 責任追及を行うGTA, 行政処分を行うDGACの任務・権限, 組織, 調査件数, 人員, 調査の流れ等を調査整理した. フランスの航空事故調査システムはBEAにおける専門性を確保した調査体制, GTAという航空機事故に特化した警察組織の存在, GTAとBTAとの証拠の融通, 調査の連携, 証拠や調査結果の流用などの点で特徴的である.
    最後に, 日米仏の比較整理を行うことにより, 航空事故をめぐる安全確保の法システムのオプションの抽出とその選択の考え方の例を提示した.
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  • 身崎 成紀
    2 巻 (2004) p. 313-320
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    リコール隠し, 危険情報の隠匿等, 昨今製品出荷後に製造業者が危険を認知したにもかかわらず, 放置あるいは迅速に対応しなかったことによって消費者の人身事故につながる, といった事例が散見される. 現在, 様々な製品分野でリコールに関する法制度が運用されているが, 各種製品分野の制度の横断的比較や他国における取り組みとの国際比較を通して, 現状の制度の整備・改善方策の示唆を得ることができる. 具体的には, 製造業者が管理する製品の危険情報の公表等による製品事故の再発防止, リコール法制度の見直し・整備, あるいは製造業者から行政・消費者に対する情報開示・報告制度の新設などを検討する必要がある.
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  • 中島 貴子
    2 巻 (2004) p. 321-330
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    2003年7月1日, 内閣府食品安全委員会が発足し, 食品安全のリスクコミュニケーションを推進する活動が活発に展開され始めた. 本稿では, 食品安全委員会のリスクコミュニケーション活動には, 消費者と行政や専門家の間に様々のディスコミュニケーションが存在していることを指摘する. また, リスクコミュニケーション活動の重点が行政の信頼回復よりも消費者への啓蒙活動に重点が置かれていることや, 消費者の行政不信が歴史的に蓄積されていることが, 潜在的ディスコミュニケーションの要因となっていることを指摘する. 積年のディスコミュニケーションを解消し, より健全な食品安全行政を創出するためには、戦後の食品安全行政史を食品安全委員会が主導して取りまとめる必要がある.
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  • 神里 達博
    2 巻 (2004) p. 331-342
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    我が国においては2002年をピークに, 「食」が大きな社会問題となった. 本論文は, このかつてない「食品パニック」が形成されるに至ったメカニズムの解明を試みるものである. 具体的には, まず, 最大の「トリガー」となったBSEに関して, 何故ゆえにそのような社会的インパクトを持ちえたのかを, BSEの疾病としての特殊性を検討することで明らかにした. 更に, BSE問題がある程度収束した後に食品問題のピークが現れている点にも注目し, それらを構成する事例を詳細に検討した. これにより, 食品問題の増加は当該時期に新たなリスクが生じたというよりも, BSEを契機に社会的なアジェンダが「食」に誘導され, 注目が集まった結果, 古くから存在する食の問題群が掘り起こされたと見ることに妥当性があることを論じた. 最後に, これらの知見を踏まえ, 今後の類する問題解決のための一定の方向性を示した.
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  • 王 晋民, 宮本 聡介, 今野 裕之, 岡本 浩一
    2 巻 (2004) p. 343-352
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    組織における不正行為を正し, そして不正行為を抑止するために適切な内部告発が必要である. 「公益通報者保護法」の成立によって, 内部告発が行われやすくなると予測するが, 実際に内部告発行動をとるかどうかは, 内部告発に対する個人態度やその行動をとる場合予想されるさまざまな結果に基づく社会的・倫理的意思決定によって決められる. 本研究では, 内部告発者保護法に対する態度と個人特性との関係を調べ, 適切な内部告発を促進する教育の意義と方策について検討した.
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  • 小林 知博, 岡本 浩一
    2 巻 (2004) p. 353-361
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    一般的に, 人は自分自身の思考や行動について, 自分でモニターし, コントロールできていると考えている. しかし, 近年の認知心理学の研究結果より, 人の態度や行動には意識的な部分 (顕在的態度) と無意識的な部分 (潜在的態度) があることが明らかになってきた. GreenwaldとBanajiらによって, IAT (Implicit Association Test) という潜在的態度の測定法が提案・開発されて (Greenwald & Banaji, 1995; Greenwald, McGhee, & Schwartz, 1998) 以来, 潜在的態度を扱う研究は激増してきた. そして, 偏見, ステレオタイプ, 抑うつや社会的不安, 攻撃性など, 人間のさまざまな行動と潜在的態度との関連が指摘されつつある. 本稿では, 特に潜在的態度と実際の行動との関連に焦点をあて, それらの先行研究のレビューを行う. そして, それをもとに, 潜在的態度測定方法の応用可能性, また潜在的態度測定の社会技術への適用可能性について議論する.
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  • 石川 正純, 足立 にれか, 岡本 浩一
    2 巻 (2004) p. 362-369
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    近年、大企業による不正行為などの国民の信頼を大きく裏切る事件が多発している。これらの事件における共通点は、会議において合意を経た上で違反行為が容認されているという事実である。本研究では、会議における決定手続きに注目し、違反容認を抑制する適切な決定手続きを検討するための実験手法構築を目的としている。具体的には、コンピュータによる数値シミュレーションを用い、決定ルールに関する諸モデルを開発・検討するものである。また、いくつかのモデルを用いた予備的分析によりシミュレーションに必要なパラメータを検討し、主に方法論的な側面からその有用性等について論じる。
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  • 岡部 康成, 今野 裕之, 岡本 浩一
    2 巻 (2004) p. 370-378
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    本研究は, 企業における組織的な不正行為に関わる心理的特徴のひとつである目上迎合性に関する潜在連合テスト (Implicit Association Test; IAT) の開発を目的とした. 研究1では, 目上迎合性IATの内的一貫性の検討 (N=20) および再検査法により継時的一貫性の検討 (N=15) を行った. 研究2では, 目上迎合性IATと質問紙法との関連について検討 (N=36) を行った. その結果, 今回作成した目上迎合性IATの信頼性および妥当性が確認することができた. 最後に, 企業における組織的違反の防止策として, 目上迎合性IATの応用可能性について述べた.
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  • 山〓 瑞紀, 吉川 肇子, 堀井 秀之
    2 巻 (2004) p. 379-388
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    合理的な安心対策の実施のためには, 人々の安心を脅かす要因の全体像とその構造の把握や不安喚起過程の検討が不可欠である. 本研究では新興感染症の1つである鳥インフルエンザを取り上げ, 不安要因の整理を行うとともに不安喚起過程のモデルを構成する試みを行った. 不安要因は「有害性」「食材のコスト」「情報収集」「対応」「その他 (立場によって異なる)」の大きく5つに分類された. 不安喚起モデルは情報取得と不安喚起の関係に焦点をあてて構成されており, 「情報入力」「認知的評定」「不安喚起」「対処」の4要素から成るループを形成するものである. 不安への対処過程として「信頼できる情報を探し自分で考える」中心ルートと「信頼できる人を探し, 場の解釈を行う」周辺ルートなどが設定されている.
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  • 尾暮 拓也, 高松 悠, 古田 一雄
    2 巻 (2004) p. 389-398
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    原子力の是非について社会的に合意形成するためには社会全体によるリスク理解の醸成が必要である. 技術的な知識あるいは問題意識を技術者コミュニティと市民コミュニティで共有するためにはインターネットにおいてはディレクトリ型検索サイトの整備などが急務であると考えられるが, ここで用いられるオントロジーは十分に吟味されて設計されなければならない. 本研究ではまず市民コミュニティのオントロジーをテキストマイニングの概念マップ作成技術を応用して分析し, 原子力工学科カリキュラムから推定される技術者コミュニティのオントロジーと比較して両者の違いを明らかにする. 次にこれらの違いを踏まえて技術的な知識あるいは問題意識の共有のためのオントロジー設計方法について提案する.
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  • 藤井 聡, 吉川 肇子, 竹村 和久
    2 巻 (2004) p. 399-405
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    本論文では、東電シュラウド問題が発覚する以前と以後の首都圏に住む成人男女の意識調査の結果を報告した前報 (藤井・吉川・竹村, 2003) に続き、1年後に再度調査した結果を含めて分析し、この3時点での人びとの意識の変化を検討する. 分析の結果, 事件直後において原子力発電のリスクに対する危険意識や恐怖感が上昇し, その一方で, 原子力発電の安全管理に対する信頼が低下していること, そして, 1年の経過に伴って僅かな信頼の回復が見られたものの, 依然として低下した信頼は低下したままの水準を保っていることが明らかにされた.
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  • 我妻 静香, 藤代 一成, 堀井 秀之
    2 巻 (2004) p. 406-413
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    2002年に発覚した原子力発電所トラブル隠し問題は, さまざまな要因が複雑に関連することで生じた. このような社会問題を解析するためには, 問題の構造を可視化することが重要である. その際に, 要因間の因果関係だけでなく, 要因を分類・整理して得られる階層構造を呈示することは, 問題の解析にたいへん有効である. しかし, これまで階層的な因果関係を可視化する技法は, ほとんど研究されていなかった.
    そこで本論文では, 階層的因果関係を可視化する手法を提案し, その手法を用いた可視化システムのプロトタイプの概要について述べる. さらに, そのプロトタイプを原子力発電所トラブル隠し問題に適用して得られた解析結果について報告する.
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  • 堀 郁夫, 川端 鋭憲
    2 巻 (2004) p. 414-424
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    2003年9月26日に北海道十勝沖でマグニチュード8の巨大地震が発生した. この地震により北海道苫小牧市にある石油精製の製油所で原油タンクおよびナフサタンクで火災が発生した. 内容物のナフサは約44時間にわたって炎上しタンクは全焼した. 地域住民は燃え盛る火炎を見て恐怖感に襲われるとともに企業に対する不信感を抱いた.
    本報では, 地震による危険物タンクの火災事故の事実関係, 耐震設計, 地震動と社会問題について技術的および社会的視点から考察し, 特殊領域の専門知識と一般住民知識の乖離が生ずる中での情報開示のあり方を社会問題として考察した.
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  • 清野 純史, 古川 愛子
    2 巻 (2004) p. 425-434
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    1995年の阪神・淡路大震災では, 震度7という激しい揺れに襲われ多くの住宅が倒壊し, 6,400人余の尊い人命が失われた. 死因の大多数を占めた窒息・圧死の場合はほぼ即死状態であったとみられており, 救出が早ければ命が助かったと思える人は極めて少数で, 住居がしっかりしているかどうかが生死を分けたと言える. このような建物倒壊による人的被害を評価するため, 筆者らは個別要素法を用いた解析手法を提案している. 本研究では, 接触ばねを材料特性に基づくヘルツの定理により算定し, ジョイント部を代表的なほぞモデルから決定することで, より現実に近いモデル化を行った. 2階建の木造骨組建物に対して手法を適用し, 挙動および建物内の人が受ける衝撃力を算出し, 地震時の建物倒壊による人的被害に対して検討を行った.
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  • 朱 平, 堀 宗朗, 清野 純史, 藤野 陽三
    2 巻 (2004) p. 435-443
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    合理的な地震防災計画の立案には, 行政官・市民と地震防災技術者との間で, 地震被害に関する共通認識を持つことが必要である. 共通認識の形成には, 個々の家屋は勿論, 都市全域の構造物に対し, 生じうる被害をシミュレートすることが有効な手段である. 計算機や解析手法の高度化により, 1つ1つの家屋やビルを含む都市全体の地震挙動を数値計算し結果を可視化することが可能となったが, 計算のためのコンピュータモデルを構築することが課題として残されている. 本研究では, 広域地理情報システム (GIS) を利用した3次元広域都市モデルの構築を検討する. これは, 都市内の数千から数万オーダーの建物・構造物群に対し, 地震応答解析が行いうる高度なコンピュータモデルを自動的に作成するものである. モデルの構築手法を開発し, 東京都文京区内の建物群に適用した例を紹介する.
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  • 堀 宗朗, 市村 強, 寺田 賢二郎
    2 巻 (2004) p. 444-454
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    地震防災担当者の技術力を向上することは地震被害の軽減に直結する. 防災対策の立案・実施に高度な被害想定が可能となるからである. 技術力の拠り所には各種構造物の耐震設計が最適であるが, さまざまな耐震設計を非専門家が理解することは容易ではない. 本研究は, 情報科学の手法を適用することで, 各種耐震設計を共通の枠組みで再構築することを試みた. オブジェクトを使ってフローチャートの記述を変えることで再構築を行い, 一般的な耐震設計や個々の耐震設計に対し, その概要・内容・計算の手順を構造的に示すことが可能となった. このような形で再構築された耐震設計は防災担当者の耐震設計の理解を支援することが期待される.
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  • 高橋 清, 加藤 浩徳, 寺部 慎太郎, 有村 幹治, 小澤 義一
    2 巻 (2004) p. 455-463
    公開日: 2007/12/21
    ジャーナル フリー
    2003年までに日本は, 交通事故死者数がピーク時の1970年と比較し, 半数以下に減少させるまでに至った. 一方, 交通事故発生数と負傷者数には, 同様の減少傾向は見られず, 今後も交通事故対策の必要性は高い. しかし, これまでの交通事故対策は, 経験に基づいて行われてきた側面が否定できない. 今後は, より客観的なデータに基づいた事故分析, 対策立案, その効果の予測, 対策実施, そして事後評価が各段階に還元されるシステムが求められている. また, 今日までに費用制約のもと, 対策効果を明示的に取り図られたモデルは多くない. そこで, 交通事故データから交通事故対策の効果分析を行う一連のプロセスからなるモデルを構築し, その基礎的パフォーマンスを評価するプロトタイプモデルの提案を行った.
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