社会技術研究論文集
Online ISSN : 1882-4609
Print ISSN : 1349-0184
6 巻
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研究論文
  • 鷲田 祐一, 三石 祥子, 堀井 秀之
    2009 年 6 巻 p. 1-15
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    本研究では, 8つの代表的な科学技術研究開発領域と, 「スキャニング」手法を用いて作成された近未来における社会変化シナリオとの「交差点」で発生する多様な社会技術問題を議論することを目的とした. 各専門領域における有識者が「スキャニング」データベースを用いて, 生活者視点での社会変化シナリオを構築することで, 他の技術普及予測があまり取り扱わない外部性要素をうまく取り込むことができた.
  • 土屋 智子, 谷口 武俊, 小杉 素子, 小野寺 節雄, 竹村 和久, 帯刀 治, 中村 博文, 米澤 理加, 盛岡 通
    2009 年 6 巻 p. 16-25
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    温暖化対策としての原子力の重要性が高まる中で, 信頼回復の切り札のひとつと考えられているのがリスクコミュニケーションの実施であるが, 原子力分野でこれを意図した活動が幅広く行なわれているとはいえない. 本稿では, 東海村を実験地として行われたリスクコミュニケーション活動の設計意図と実施内容を示すとともに, リスクコミュニケーションに対する住民と原子力事業者の評価を分析し, 原子力技術利用に伴うリスクに対する住民の視点を明らかにする. また, これらの住民の視点がどのように原子力施設の安全に関与するかを示し, リスクコミュニケーションにおける課題を論じる.
  • 田邉 朋行, 稲村 智昌
    2009 年 6 巻 p. 26-41
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    原子力施設に対するテロ懸念の高まりや, 再処理施設の本格稼働等プルトニウム平和利用の着実な推進の確保等を背景に, 我が国では, 原子力開発利用分野における秘密情報管理の重要性が高まりつつある. 本稿では, 2001年の9・11同時多発テロ以降その内容を強化してきた, 米国の商業用原子力発電施設における秘密情報管理の先行導入事案を, 法制面及び実務対応面の両面から調査・分析し, その特色を抽出するとともに, 同分析を通じて, 我が国における詳細制度設計や実務対応のあり方についての示唆を得た.
  • 吉澤 剛
    2009 年 6 巻 p. 42-57
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    1960年代末に民間の知識層によって日本に概念が輸入されたテクノロジーアセスメント(TA)は, トータルシステムのマネジメントとしての側面を持っており, 民間においては企業の社会的責任などのために導入されたものの問題意識が一企業の範疇を超えるため公的機関で実施されることが期待され, 一方の政府においてはプロジェクト単位での予測・評価活動を合理化・正当化することとなった.本稿ではTAという概念が産業界・科学技術庁・通商産業省・国会議員などのアクターによってそれぞれの文脈で利用され, TAの本質的な機能を発現しない形で変容していった過程を方法論的な変遷と政治的な背景の分析から追っていく.
  • 沼田 大輔, 植田 和弘
    2009 年 6 巻 p. 58-67
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    使用済み蛍光管の安全かつ有用な処理方法の一つとして, 割らずにリサイクル工場に持ち込むルートの構築がある. これに示唆を与えているものに, 大阪府豊中市においておこなわれた経済的手法を用いた使用済み蛍光管の回収実験がある. 本稿では, この回収実験の仕組みおよび結果について詳細に検討し, 次の示唆を得た. (1)この実験の仕組みは使用済み蛍光管の回収を促す. (2)この実験の仕組みにおける経済的インセンティブへの制約は, 使用済み蛍光管の回収にそれほど悪い影響はない. (3)この実験の仕組みは, 運営費用を下げられる余地があるとともに, 消費者の評価も得られ, 今後, 検討を深めていくべきである.
  • 谷本 圭志, 川村 周平
    2009 年 6 巻 p. 68-76
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    無人で車両が走行する技術が確立されれば,車両を共同利用することによって様々な人々の移動の機会を確保しうるシステムを構築しうる.しかし,このようなシステムの実現を検討するためには,その導入が社会にどれだけの影響を与えるのかの把握が必要である.そのための基礎情報を得ることを目的として,本研究では資源・エネルギーという環境的な側面に焦点を当て,システムのもとで所与のトリップ需要に対してどれだけの資源,すなわち車両の投入が必要か,また,車両の走行にどれだけのエネルギーを要するかについて定量的に評価するモデルを数理計画法を用いて構築する.その上で,ある地区を対象にいくつかのモデルを想定して実証的に検討する.
  • 馬場 健司, 田頭 直人
    2009 年 6 巻 p. 77-92
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    再生可能エネルギー技術の導入に係る社会的意思決定プロセスのデザインについて参考となる知見を得るため,風力発電の立地を題材として,全国的な環境論争とそれに対する地方自治体の環境規制の動向と立地地域住民の態度形成を分析した.その結果,第1に,自治体が第三者としてどのように調整介入するかは意思決定プロセス全体に及ぼす影響が大きい可能性があり,調整介入の1つの形態として,環境規制の上乗せ・横出し規制のボトムアップ的な中央地方関係と政策波及が観察された.第2に,意思決定プロセスにおいて約40%を占める観察層(総論としては関与意向を持つにも拘らず各論としては関与意向を持たない)は,地域環境に配慮しない技術導入に反対する傾向があり,論点設定などに留意する必要がある.
  • 白井 清兼, 西村 崇, 山本 淳子, 伊藤 興一, 加藤 浩徳, 城山 英明
    2009 年 6 巻 p. 93-106
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    本論文は,地域のアイデンティティ確立を目指すまちづくりに成功した事例として,千葉県香取市(旧佐原市) の先進的な取組を取り上げ,過去の取組経緯をインタビューによって丹念に調査するとともに,関係主体の問題構造認識を分析することによって,成功の要因を抽出することを目的とする.情報収集のため,佐原の観光政策に関係する主要主体に対するインタビュー調査を実施し,また,分析に当たっては,問題構造化手法を適用した.分析の結果,「町並み保存関係者」と「佐原の大祭関係者」による独自活動がもたらした意図せざる相乗効果,市民団体による巧みな行政の活用および行政の巧妙な戦略的なプロセスマネジメントが,佐原の持続的な観光政策ならびにまちづくり型観光地形成を成立させるための成功要因であったことを明らかにした.
  • 加藤 亮行, 新藤 稔之, 竹山 栄太郎, 城山 英明
    2009 年 6 巻 p. 107-123
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    千葉県香取市の農業政策に関して,問題構造化手法を援用して関係者の問題構造認識に関する分析を行い,課題の全体像,課題への関係者への態度の差異や相互期待を明らかにした上で,課題への対応方策としての実行可能な政策課題の抽出を行った.問題構造認識分析を通して,多くのステークホルダーは,農家の経営改善を中心課題として認識していることが分かった.その上で,行政が関与することが可能な対象者として中小規模農家を選択し,「流通網の再編」,「交通網の整備」および「農地・農業機械の集積」に関する地域に即した行政にとっての政策課題を抽出した.
  • 元田 結花, 工藤 康彦, 城山 英明, 加藤 浩徳, 辻 宣行
    2009 年 6 巻 p. 124-146
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    本研究は,北海道富良野市を事例として,複数のセクターを対象に,関係アクターがサステイナビリティに関して抱える諸問題の構造に対する認識を包括的に調査し,今後解決すべき課題やその合意形成の可能性を検討することを目的とするものである.検討に際しては,農業,観光業,商業,ゴミ・リサイクル,社会福祉,メディアに関係する地元関係者に対して個別インタビューを実施し.各アクターの認識する問題とその問題構造を把握した.また,明らかとなった問題構造認識をもとに,今後富良野市が検討すべき課題の抽出,ならびに関係者間の相互期待分析を行った.その結果,農業および観光業の個別活動の強化に加えて,異セクター間の連携促進,財政収入の強化,「文化」の育成・活用,連携実現のための機能・人材の育成が重要な課題となること等を示した.
  • 加藤 浩徳, 城山 英明, 深山 剛
    2009 年 6 巻 p. 147-158
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    本研究は,LRTの導入を10年近くの期間にわたって検討してきている,宇都宮市を事例として取り上げ,LRT導入に関わる問題の構造を,関係者へのインタビュー調査によって分析し,今後の導入に向けた検討に資することを目的とする.具体的には,まず,導入を巡る議論の経緯を整理し,関係主体に対するインタビュー調査を実施した.次に,インタビュー調査の結果から,関係主体の問題構造認識を分析し,各主体の関心の違いや問題の認識の違いを比較した.インタビュー結果から,導入に関わるファクターとドライバーを抽出し,LRT導入にかかわるイシューの整理を行った.さらに,関係主体間の相互期待表を整理することを通じて,LRT導入に向けた関係主体間の連携の可能性を検討した.
  • 岡村 健志, 那須 清吾, 熊谷 靖彦
    2009 年 6 巻 p. 159-167
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    地方部における道路基盤や公共交通などのモビリティ環境は,都市部に比較すると十分に整備されておらず,さらに事業主体の財務状況が芳しくないことなどから,インフラ整備などの抜本的な対策は満足に進まない.このようななかで地方部の道路交通問題に対して,抜本的対策に比べ低予算で実行可能なITSは,実践的な対策として注目を浴びている.本稿では,高知県下で実施された「トンネル歩行者問題」と「ノーガード電停問題」をケーススタディに,それぞれの固有の道路交通問題を構造化し,ロジックモデルによりITSの効果構造を明らかにするとともに,ITSの効果を紹介する.また,それらを踏まえ,地域固有の道路交通問題を解決する手段として,地方部におけるITSの位置づけと重要性について考察する.
  • 張 坤, 中平 勝子, 宮村 利男, 三上 喜貴
    2009 年 6 巻 p. 168-176
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    1960年以降今日まで,子供の死亡事故の第一位は,転落・転倒,火傷,溺死などの不慮の事故であり,なかでも製品起因による事故が大きな割合を占めている.しかし,この製品事故に関する情報が十分な内容と規模で収集されておらず,予防に生かされていない.本研究では,独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の事故情報データベースを利用して,「子供の為に設計された世界」と「大人のために設計された世界」の二つ製品グループに分け、事故の程度,原因区分,傷害種類などを比較・分析するとともに,現在の事故情報の問題点,事故情報システムの課題について考察した.
  • 永岑 光恵, 原 塑, 信原 幸弘
    2009 年 6 巻 p. 177-186
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    少子高齢化は将来の日本社会を大きく規定する要因であり,ここから生じる諸問題を解決する社会技術の開発は緊急の課題である.基礎科学として発展してきた神経科学も少子高齢化に対応する社会技術として活用されなければならない.そこで,神経科学の社会技術的応用可能性を検討する先駆的試みとして,神経科学的観点から高齢化社会の問題,特に振り込め詐欺の認知上の原因を分析する.振り込め詐欺のうち,オレオレ詐欺,還付金詐欺の被害が最も深刻だが,この被害者の大部分が中高齢者である.中高齢者の意思決定は加齢により自動化していくが,このことが詐欺に対する高齢者の脆弱性の原因となっている.そこで,中高齢者の意思決定上の特徴を考慮して,振り込め詐欺の防止策を提案する.
  • 内海 和夫, 乾 孝司, 橋本 泰一, 村上 浩司, 石川 正道
    2009 年 6 巻 p. 187-198
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/05/14
    ジャーナル フリー
    社会課題に関する情報を多く含む新聞記事を対象として,社会課題とそれを解決するために注目されている有用な技術的対策知識を抽出する新たなテキストマイニングの手法を開発した.この手法では,あらかじめ特定のキーワードを設定することなく,俯瞰的なアプローチによって同一課題を扱う記事クラスタを形成し,当該課題に解決をもたらす技術的な用語に対して新たに導入した課題関連度及び技術関連度によりスコアリングを行い,記事毎にキーワードを自動的に付与することを可能とした.本手法の応用として,医療課題(がん及び生活習慣病)に対して技術的対策用語を抽出し,Jaccard指標,同等性指標及び近接指標を用いた共語分析を行うことによって,本手法によって抽出された情報の意義について検証した.
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