多くの企業の成長と参入・退出についての集計的なふるまいには顕著な現象論的な性質が観測できる.これらの現象論的性質に関して,大きな企業のサイズ分布(Pareto-Zipf則)とその成長率のゆらぎ(Gibrat則)が,詳細釣り合いの条件の下で等価であることを示した.これは, Stanleyら結果と相補的なものである.一方,成長過程に必然的にともなう,死亡過程(倒産)に関しても,死亡時のサイズ分布(Zipf則)と寿命の分布(指数分布)について報告した.これらの成長と死亡過程を理解する上で,信用貸し関係にある金融と企業のバランスシートについて,簡単な競争的ダイナミックスを考えることができ現象論的な性質を説明できることを示した.
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