測地学会誌
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38 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • Ichiro NAKAGAWA
    1992 年 38 巻 4 号 p. 315-316
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
  • 萩原 幸男
    1992 年 38 巻 4 号 p. 317-328
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
     GPSは測地科学に大きいインパクトを与えた.従来のジオイド面に立脚した重力異常は楕円体高を用いて新たに定義しなおさなければならない.三角測量や長距離水準測量はいずれGPS測量に置き換えられるであろう.また検潮儀による観測に代わって,GPSは地球温暖化によるグローバルな海面上昇の監視に重要な役割を果たすことになろう.このような状況を背景として,日本測地学会での研究発表数もGPS技術の導入とともに飛躍的に増加する傾向を示している.
  • 加藤 照之
    1992 年 38 巻 4 号 p. 329-348
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
     最近実施されたGPSの世界キャソペーンによる成果は,GPSがVLBIやSLRなどの他の宇宙技術と同じ程度すなわち10-9の桁の基準点決定精度を達成しつつあることを示している.経済性などを考慮すると,近い将来GPSは地球規模での測地的ならびに地球物理的観測を実施する際の標準的な観測手段となる可能性もある.また,このような世界的な規模でのGPS衛星の追跡は,衛星の精密暦を取得して地域的・局地的な観測を実施する際の支援としても重要である.こうした可能性・要求をふまえ,GPSの世界的な組識であるInternational GPS Geodynamics Service(IGS)の設立の準備がすすめられつつあり,1992年6月~9月に試験的なキャンペーンが実施された.IGSが充分に機能するにはまだいくつかの技術的な課題が残されてはいるものの,これらを解決してGPSデータ及びその成果が高精度かつ迅速に世界中に配布されるようになれば,永年海面変動の研究,地球回転の研究,準拠楕円体の高精度決定と保持などの測地学の基本的な研究は強力に推進されるであろう.一方,プレート境界域のテクトニクス,地震予知や火山噴火予知などといった,より地域的な問題においても,GPSは有効な観測手段である.地域的なGPS観測研究はすでに世界各地で実施されているが,日本においても「GPS JAPAN」と名付けられた全国共同観測が,周辺諸国の協力のもとに1990年より実施されている.このような地域的な観測を有効に実施するには,例えばIGSなどの世界的な観測網との緊密な連携と国際間の協力及び機関間の協力が必要不可欠であり,GPSの大規模な利用によって地域的な測地的ならびに地球物理的な観測研究は飛躍的に進展するであろうと思われる.
  • 辻 宏道, 村田 正秋
    1992 年 38 巻 4 号 p. 349-366
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     本稿は近年急激に発達したGPS衛星の軌道決定手法についての総合報告である.まず軌道決定の基本的な考え方を述べ,次に1985年から1992年までの軌道決定に関する世界の主要な業績を,解析手法と達成精度に重点をおいて要約する.当初の軌道決定精度は軌道上で10m程度であり,基線解析に用いた場合0.1ppmオーダーの再現性が得られた.最近のグローバル解析によれば,軌道上の精度50cm・基線精度0.01PPm程度の精密暦を得ることができる.この7年間で精度が20倍に向上するというめざましい進展に刺激され,日本においても独自の軌道決定の試みがある.現在の軌道決定の研究は,国際協力による精密暦のサービス機構設置に重点がおかれている.グローバルな衛星追跡網と精密暦のサービスが拡充すれば,GPSによってmm精度の測位が実現されるであろう.この精度は測地学・地球力学研究に新たな時代を切り開く.
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