測地学会誌
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42 巻, 3 号
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  • 佐藤 忠弘, 澁谷 和雄, 名和 一成, 松本 晃治, 田村 良明
    1996 年 42 巻 3 号 p. 145-153
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
     南極・昭和基地(69.0°S,39.6°E)の超伝導重力計で得られた約2年間のデータの解析とMatsumoto et al.(1955)による新しい海洋潮汐モデルを使った海洋潮汐の影響の計算に基づき,昭和基地における日周・半日周潮汐の潮汐ファクター(δ ファクター)について調べた.その結果,海洋潮汐を補正したO1,K1,M2,S2分潮のδ ファクターの値として,1.144,1.127,1.157,1.111を得た.これらの値とWahr(1981)の理論から求めたδ ファクターとの差は日周潮汐で約0 .5%,半日周潮で約2%である.それぞれ異なる重力計で行われた3回の観測結果(小川・他(1991);Kanaoand Sato(1995);今回)の比較,および今回の海洋潮汐効果の計算結果は.小川・他(1991)が指摘している昭和基地における半日潮汐のδ ファクターの観測値と理論値との10%を越える差の原因が主として海洋潮汐補正の誤差に起因していることを示唆している.
  • 大石 忠尚, 桜井 好正, 瀬田 勝男, 藤間 一郎, 本多 徳行, 清野 昭一
    1996 年 42 巻 3 号 p. 155-166
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
    Twelve years observation of strain changes of a concrete tunnel in the soil wascarried out using a laser extensometer at Tsukuba, in the eastern part of Japan. Theterm is from 1980 to 1992. A dominant component of the strain changes is an annualchange and its amplitude reaches to 8×10-6. Linear trends were also observed. Irregular and rapid changes were observed. A model of strain change for the effect of outdoortemperature was constructed empirically using observed strains, out door temperature and temperature on the floor of the tunnel during 1986-1992. By eliminating cornponents caused byoutdoor temperature change, it becomes more simple to recognizestrain changes of the tunnel. Linear trend of the tunnel strain looks like changedafter 1984. From 1988 to 1989 a big strain change reaching 8×10-6 was observed.
  • 楠本 成寿, 福田 洋一, 竹本 修三, 由佐 悠紀
    1996 年 42 巻 3 号 p. 167-181
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
  • 市川 隆一, 笠原 稔, 萬納寺 信崇, 内藤 勲夫
    1996 年 42 巻 3 号 p. 183-204
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     我々は,気象庁10km格子・地域モデルデータ(10kmデータ)により算出した大気伝搬遅延量(EPD)に起因するGPS測位誤差を評価した.この評価では,南北に偏り天頂付近を通過する衛星配置を使用するcase Aと,仰角30°未満の衛星を含むcase Bについて,約2時間の観測時間を想定してベクトルとして測位誤差を計算した.さらに,10kmデータ.より算出したEPDを球対称大気モデルを用いて求めたEPDと比較し,大気の方位異方性に起因する測位誤差を同様に評価した.まず,10kmデータによるwet delayに起因する測位誤差の大きさは,single differenceとdouble differenceの双方で基線長依存性を示し,基線長が長いほど増大した.基線方位が水蒸気分布の最大勾配の方向と一致する場合,固定点より約500km離れた地点における測位誤差の水平成分ベクトルの大きさと鉛直成分の絶対値はそれぞれcase Aで40cm,30cm,及びcase Bで50cm,15cmに達した.測位誤差の水平成分ベクトルの向きは最も高度の低い衛星の方位に強く依存する.また測位誤差の大きさは,基線の両観測点の高度差と強い正の相関を示す.次に,大気の方位異方性に起因する測位誤差の水平成分ベクトルの大きさは,(1)wetdelayの場合が0.54cm,(2)hydrostatic delayの場合が最大1cm,及び(3)全大気屈折率より求めたtotaldelayの場合が0.5~5cmであった.ここでi水平成分ベクトルの大きさの最大値は,基線方位が水蒸気・温度勾配の方向と一致する場合に生じる.一方,鉛直成分は,いずれの計算結果でも1cm未満であった.これらの結果は,mmの精度でEPD推定を行うためには,3次元大気構造のデータが不可欠であることを示す.我々は数値予報データに基づくEPD推定法を効果的aかつ実現可能な方法として提案する.この推定法は,GPS気象学との連携でメソスケール数値予報の画期的な精度向上にも貢献できると考えられる.
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