国際原子時(TAI)の高精度・高確度化へ寄与するため,通信総合研究所が中心となり,アジア太平洋地域の時間周波数標準に責任を有する研究機関との協力で同地域に衛星双方向時刻比較ネットワークを構築しつつある.本論文では,衛星双方向時刻比較法における正確さの評価を実施した.同方式で時刻比較に影響する事項としては,衛星の運動,大気遅延,電離層遅延や地球局内における変動などが考えられるが,検討の結果,1.5ns程度の精度で比較可能なことが解析の結果明らかになった.これは,従来のGPS common-view法に比し,短期安定度は,優れた性能を示す.ただし,20日程度以上の長期安定度は,比較対象の原子時計の安定度で限界づけられ,両方式とも同程度の安定度となっている.
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