飯の物理的性状の違いによるでんぷんの消化・吸収速度の違いを検討することを目的に, まず咀嚼による飯でんぷんの消化に関与する要因の分析を行った. invivoでの咀嚼実験とinvitroでの咀嚼モデル実験によって以下の結果を得た.
1) 咀嚼時における唾液の流出量は, 咀嚼時の咀嚼筋活動電位に伴い大きくなり, 咀嚼時間と比例した.
2) 咀嚼による飯の粉砕レベルは, 咀嚼回数と比例関係をもって, 2.8mm<区分は減少し, 1.0mm-2.0mm区分・1.0mm≧ 区分は増加した. invitroでの実験より, 粉砕に起因する糖の生成量の増加は咀嚼回数に比例することが示された.
3) α-アミラーゼ活性の増加に伴う糖の生成量の増加は, α-アミラーゼ活性の対数と相関した.
4) 実際の咀嚼において, 咀嚼回数の増加に伴う糖生成量の増加量は, 飯の細分化による増加量と唾液分泌 (α-アミラーゼ分泌) による増加量との和で説明することができ, 両者の寄与はほぼ同等であった.
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