日本咀嚼学会雑誌
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8 巻, 1 号
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  • 菅野 義信
    1998 年 8 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
  • CVRR, 指尖容積脈波高および血漿カテコールアミン濃度を指標として
    石山 育朗, 鈴木 政登, 松原 茂, 滝口 俊男, 工藤 照三, 鈴木 義久, 佐藤 吉永
    1998 年 8 巻 1 号 p. 42-52
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    本研究は, ガム咀嚼時の自律神経機能を調べるため, 心拍数 (HR), R-R間隔の変動係数 (CVRR), 指尖容積脈波 (PTG) の波高 (WH) と変動係数 (CVwH), 血漿カテコールアミン (pAd, pNorad) 濃度等を指標に用い, ガム咀嚼時の各指標の変化を観察した.
    被験者は健康な男性11名 (年齢24.5±4.1歳) であった. 実験は被験者を閉眼仰臥位にして行い, 硬さの異なる3種のガム (I, soft; II, semi-hard; II, super-hard) を用い, 毎秒1回のリズムでガムIから順にそれぞれ6分間咀嚼させ, 間に6分間の休息をとった. HR, PTGの記録は, 安静時, 各ガムの咀嚼開始時, 咀嚼終了2分前, 咀嚼終了直後および4分後と, ガムIII咀嚼終了10分後に記録した. 採血は留置翼状針を介し安静時, 各ガムの咀嚼直後とガムIII咀嚼終了10分後に行った. その結果, HRはガム咀嚼時に-過性に増加し, CVRRは硬いガム咀嚼時に安静値より低下, 咀嚼直後休息時に上昇した. WHはガム咀嚼時に低下し, 咀嚼後休息時も数分間低値が持続, CVWHはガム咀嚼開始時に安静値より上昇した. ガム咀嚼直後のpAd, pNorad濃度は上昇し, pNorad濃度はガム咀嚼実験終了10分後も高値を示した.以上の結果から, ガム咀嚼時には交感神経活動の亢進, 末梢血管の収縮が起こり, 全身運動時とは異なる調節機序が推察された. ガム咀嚼終了後の休息時と回復期には副交感神経活動が亢進するが, 末梢血管系等への交感神経活動も弱い亢進状態が持続することが示唆された.
  • 窪田 金次郎
    1998 年 8 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    約800万年昔, 東部アフリカで赤道を北から南に過ぎるリフトバレイの出現によって, アフリカ熱帯雨林に生息していたチンパンジーと人類の共通の祖先は, 西部と東部の2群に分けられた.西部の群は雨林で繁えてチンパンジーになり, 東部の群はサバンナで進化して人類になった (Coppens, 1994).
    人類の系統進化において咀嚼の影響を理解することは, 人間の脳皮質の発達原因を理解する上に重要である.百瀬ら (Momosee et al., 1997) との共同研究でチューインガム咀嚼と脳血流との相関関係が18-40歳までの健康な12人のボランティアで調べられた.陽電子放出断層 (PET) 法が, 小量の酸素-15標識水 (減衰期2分) を静注して施行された.各被験者のPET画像はその磁気共鳴断層画像に重ねられ, チューインガム咀嚼中に得られた画像から引き算した画像がMR画像位でつくり出された.咀嚼訓練用にデザインされたガムが実験に使われた (株式会社ロッテが提供).
    咀嚼は一次感覚運動野で25%-28% (P≦0.01) の局所脳血流を増加させた.また, 島や補足運動野で9%-17%, 小脳と線条体で8%-11%の局所脳血流を増加させた (Momose, T.et al., 1997).
    これらの脳血流増加は, 活発な力強い咀嚼が脳の広範な領域を活性化することを実証している.もし, これが真実ならば, 活発な力強い咀嚼は, たくましい脳やからだの成長に対して無視できない生成力を与えるだろうし, また, オーストラロビテックスの脳頭蓋窩の容積の増大は草食咀嚼が脳皮質を活性化し, その増大による大脳化を反映しているのであろう.咀嚼システムの個体発生過程は人類進化の系統発生過程を反映しているので, もしも, 現代人が幼年時から活発に力強く粗食し続けるならば, 健康なたくましい高齢者となると同時により長い寿命を楽しく生きることが出来るようになるであろう.また, 現在の軟らかい食物を食べていれば, 咀嚼システムの発育不全に陥り, 次第に高齢になるに従って歯は喪失して, 経口的に食物が食べられなくなり, ついには寝たきりの状態になってしまう.こうならないためには, 幼少時からしっかりした力強い雑食性の食事で育てることが重要である.これが私の咀嚼哲学である.
  • 飯沼 光生, 盧 兆民, 平良 梨津子, 本田 真紀, 吉田 定宏
    1998 年 8 巻 1 号 p. 60-65
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    モルモットにおける咀嚼機能獲得の臨界期, 感受期を調べることを目的として, 生後3日で母獣より分離し, 固形飼料または粉末飼料を与え, その後, 生後7, 14, 21, 30日に再び母獣へ戻し母獣と共に固形飼料で飼育し, 生後3日より, 3日ごとに体重, 口腔内へ人工乳首を挿入しての乳首内圧の測定, 及び顎運動の肉眼的観察を行ない, 咀嚼リズム形成時期を調べた.
    その結果体重には群間で有意差は認められなかった.
    また咀嚼機能獲得時期については, 生後14日までに親へ戻して離乳させれば, 咀嚼機能獲得時期には影響が現れないが, 生後21日以降に親へ戻し離乳させると咀嚼リズム形成時期が遅れた.しかし親に戻して離乳させなくても生後60~70日の間には咀嚼リズムが形成された.
    以上のことより, モルモットの場合, 感受期は生後21日以前であり, 臨界期ははっきりしないことが示唆された.
  • Mika SUGAWARA, Isao OOTA, Nariko SAKAGUCHI, Megumi ASAKA, Seiji IGARAS ...
    1998 年 8 巻 1 号 p. 66-72
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 食物咀嚼に対する鼻閉の影響を明らかにすることである.被験者の鼻腔をのーずくりっぷで閉鎖した状態を鼻閉とした.咀嚼に関する実験ではぴーなっつを咀嚼させ, その時の咀嚼時間, 嚥下時食塊水分量ならびに唾液分泌量を測定した.筋電図に関する実験ではぴーなっつ咀嚼時の咀嚼周期, 筋放電持続時間ならびに筋放電間隔を求めた.以上の結果は, 同一被験者の正常時と鼻閉時について比較した.鼻閉時の咀嚼時間は正常時に比べ有意に延長した.一方, 嚥下時食塊水分量ならびに唾液分泌量には両条件下で有意差を認めなかった.咀嚼周期時間は鼻閉時で延長する傾向を示した.鼻閉時における筋放電持続時間は有意な変化を示さなかったが, 筋放電間隔は有意に延長した.以上の結果は, 嚥下時食塊水分量は鼻閉時でも正常時におけると同様に咀嚼時間を決める重要な要因の一つであることを示している.したがって, 鼻閉時の咀嚼時間の延長は嚥下時食塊水分量を正常時と同程度にするための代償作用と考えられる.また, 鼻閉時では咀嚼運動を一時的に停止し, 口呼吸をするために筋放電間隔が延長すると推察される.
  • 永田 由美子
    1998 年 8 巻 1 号 p. 73-77
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    本研究では “咀嚼すること” の評価として, 種々の食べ物を咀嚼した時の心拍数とエネルギー消費量に及ぼす影響について検討した.被験者は20歳代の健康な女子10名であった.検査食として, 硬さが異なる食品と同一素材で調理法が異なる食べ物を3回咀嚼させて咀嚼前と咀嚼中の心拍数とエネルギー消費量および咀嚼後30分までの腋下温度を測定した.食べ物を咀嚼している時のエネルギー消費量はガム咀嚼時の値を用いた.この結果から, 硬さが異なる食品と同一素材で調理法が異なる食べ物を咀嚼した時の心拍数とエネルギー消費量は上昇したが, 食べ物が硬いか軟らかいかの差異は見られなかった.しかし, 腋下温度は経時的に上昇して硬い食べ物ほど高い値で変動する傾向を示したことから, 時間をかけて充分に咀嚼することの有用性が示唆された
  • 太田 勝美
    1998 年 8 巻 1 号 p. 78-79
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
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