咀嚼・嚥下機能障害者にとって, 障害の程度に対応して調理・調整された食事はQOL (Quality of life) の維持・向上, ならびに栄養状態の改善に重要であるが, その食事形態は基準化されていない.そこで全国2, 000の介護保険施設において, 食事形態区分の実態をアンケート調査した.
アンケートの項目として, 主食形態区分を「ごはん」「かゆ」「ミキサーかゆ」「流動食 (重湯, くず湯) 」「濃厚流動食 (経管) 」「その他」とし, 副食形態区分を「普通に調理」「素材の形を残して軟らかく調理」「一口大にカット」「粒が残る状態にきざむ」「粒がなく滑らかな状態にミキサーなどで調理」「卵やゼラチン, 寒天などを加えて加熱したり冷やしたりして形を整える」「その他」に設定し調査を行った.
回答結果から, 主食では「ごはん」「かゆ」「ミキサーかゆ」「濃厚流動食 (経管) 」に区分され, 副食では提示した6種類の区分ならびに「あんかけ」に区分していた.しかし, 食事形態の区分数は施設によって相違があり, また主食と副食, 介護用加工食品の区分基準は同一ではなかった.食事形態の区分と咀嚼・嚥下機能障害の区分の対応を検討するには, 咀嚼および嚥下機能障害の区分を先に検討したうえで, 食事形態の区分を対応させる必要があると考えられた.
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