マーチ教授は,有名なサイモンとの共著,サイアートとの共著の後,これも古典に入れられるべきHandbook of Organizations(Rand McNally, 1965)を編集した.さらに最近では.Johan P. Olsenとの共著Ambiguity and Choice in Organizations(Universitetzforlaget, 1976)を刊行するなど,今日まで組織の理論的研究の最先端にいる.本稿は,マーチ教授の描く組織理論の発達史であり,また現代の課題である.マーチ流の組織理論が,まだ本流からはずれることなく,発展していることがわかる.
サイモン教授は,組織論の金字塔とも言うべき業績を発表した後,その中に含まれるアイディアを中心とした社会科学の数理化に力を注いだ.その方法はアナリティカルなものと,コンピューター・シミュレーションを使用したものとに二分できるが,特に最近は後者に努力を注ぎ,MITのチョムスキーと並びアーティフィシャル・インテリジェンスの先瑞的指導者である.本稿は,この新分野に専念した後の目で見たその後の組織理論の発展と新分野の組織論への貢献を論じたもので,彼の思想を理解する上で格好のものである.
低成長経済体制への急激な移行段階にある我国経営組織の意思決定機構,戦略遂行機構がどのように変貌しつつあるかの概観を試みた.トップ・マネジメントの能動性,模索に頼るゼネラル・スタッフ,問題点の克服を求められる事業部制,そして平常時と緊急時との流動的な権限配分などに主眼を置いた.本稿ではミドル・マネジメント以下の段階における組織運営に関しては割愛せざるをえなかった.
企業組織の最近における主要な変化の局面とその特徴,およびその方向と問題点をより現実的なレベルの観察を通じて明らかにすること,これが本論文の主題である.これらの変化として,環境関連組織の形成,法規則による組織の負担,意思決定機能の変化,調達機能集中化の傾向,および所有構造の変化の五つの局面をとりあげ,いずれも,企業組織が70年代における社会的,制度的,経済的環境から受けている衝撃もしくはそれへの適応過程として把握しようと試みている.
日本における組織研究の無意識的基盤を探り,それが漢学的古典注解の方法であることを明らかにした.こうした学問の風土では,唯名論的な個別的事実を尊重するという風潮は軽視される.組織調査は軽くみられる.
組織行動の調査は,潜在行動過程である組織行動を再構成するために,不可欠の情報を探索することである.調査は簡単に実施されてはならない.調査に内在する考え方を略述し,日本の学問の特質との関係を論考した.