現在我々は,解決策を見い出せないまま,多くの複雑な問題をかかえている.サイモン教授はこの複雑性を多目的の相互連関性,予測の困難性,意思決定の要素の不確定性,に三分し,これらの解決には不確実性を基本的事実として受け入れ,予測に対するセンシティビティーが低いような意思決定のスタイルの開発が必要であるということを強調している.
組織の構造と機能についての国際比較の研究は,一方において組織理論に国境を認めない普遍的なアプローチと,他方,組織に対する国民文化的な決定を主張するアプローチが対立している.本論文は1978年度国際社会学会「組織社会学:組織の国際比較部会」に提出された8編の実証報告(うち5編は本誌以下に邦訳を掲載)を論評して,国際比較に基づく組織理論の展開の動向を探る.
この論文は,若者の組織の国際比較調査プロジェクトの一環であり,最終報告は,『国民文化の測定次元――40ヵ国における組織の価値体系――』として近く公刊される.世界の40ヵ国に支社をもつ多国籍企業の各国従業員の組織に関連する価値知覚を測定して,各国の文化的差異を浮彫りにしている.
著者たちは前論文で,高度産業国の客観的公式組織構造が国の間で収斂していることを指摘した.第2論文では,組織構造についての成員の主観的知党が国々の間で大幅に異なっている事実を発見した.この対立する調査結果は,日本の組織構造に対する文化の影響力が主観的領域に限られており,組織の客観的構造は普遍的官僚制原理によって支配されていることを示唆する.
著者たちは,組織のコンティンジェンシー理論に対して,全体社会的要因による説明の有効性を,フランス,西ドイツ,イギリスの製造工場における組織の比較研究によって立証しようとする.調査結果は三国の従業員の構成比,職務の構造と調整および技能資格と経歴体系における三国の相違を明瞭に示している.特に専門職性の多面性が浮彫りされている.
この報告は社会主義国の工場の組織構造と機能をアストン・グループの研究方法に基づいて叙述し,分析した最初の研究成果である.イギリス,日本,スウェーデンと比較して,ポーランドの工場の組織構造は,一体どのような特性をもつのか.第一に,各国の間の構造の類似性と差異が検討され,つぎに,その政治体制や国民文化の構造に対する効果が分析されている.
Vardi教授らの調査研究は,リーダーシップ観についての従来の16ヵ国国際比較研究の追跡調査を,イスラエル国で行なったものである.イスラエル国の管理者達もリーダーシップ観に「認知的不一致」があることが,すなわち価値観において民主的志向と行動面での専制的態度志向があることが見出された.これらの分野での今後の研究努力が待たれるところは,国際比較の測定標準化の問題,認知的不一致が何故起こるかの解明に関してである.